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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 野鳥等における鳥インフルエンザ(H5N1)の発生への対応について

[場所] 
[年月日] 2008年10月1日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成20年10月1日)

(健感発第1001001号)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主幹部(局)長あて厚生労働省健康局結核感染症課長通知)

 本年4月より我が国で確認されたハクチョウにおける鳥インフルエンザ(H5N1)の発生を踏まえ、今般、環境省自然環境局より、別添1のとおり「野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る都道府県鳥獣行政担当部局等の対応技術マニュアル」の作成について通知があったので、お知らせします。貴職におかれては、野鳥での高病原性鳥インフルエンザ(主として亜型がH5及びH7のA型インフルエンザウイルスによる感染をいう。)に係る各都道府県の鳥獣行政担当部局等による監視体制並びに発生時の対応等についてご了知いただくとともに、関係者へ周知いただくようお願いします。

 またこの度、特に野鳥において鳥インフルエンザの発生が確認された場合の対応を迅速に行うため、「国内の鳥類における鳥インフルエンザ(H5N1)発生時の調査等について」(平成18年12月27日付け健感発第1227003号当職通知)を補完する対応マニュアルを別添2のとおり定めたので、引き続き、関係部局及び関係機関との連携を密に本病への対応に万全を期されますようお願いします。


別紙1(環境省マニュアル)の印刷配布は省略させていただきますので、次のいずれかにより入手していただきますようお願いします。

○ 各都道府県鳥獣行政担当部署から提供を受ける

 (環境省から各都道府県鳥獣行政部局に対し、協力が依頼されております。)

○ 環境省ホームページに掲載されているマニュアルを印刷

 <高病原性鳥インフルエンザに関する情報>

{URLは省略}

○ 厚生労働省ホームページに掲載されているマニュアルを印刷

<鳥インフルエンザに関する情報(関連情報) 関連通知>

{URLは省略}


[別添2]

鳥インフルエンザの感染が疑われる死亡野鳥等を発見した場合の対応について

−厚生労働省−

平成20年10月1日

 この規定は、国内の野鳥において鳥インフルエンザ(H5N1)が発生に備えた対応について、特に関係省庁との連携、接触者調査、感染予防のための注意喚起等の対応に関しての留意事項を示すものであり、「国内の鳥類における鳥インフルエンザ(H5N1)発生時の調査等について」(平成18年12月27日付健感発第1227003号本職通知)を補完するものである。

[I 通常時における体制整備]

1.関係機関の役割

 (1) 厚生労働省の役割

  厚生労働省は、鳥インフルエンザ(H5N1)の人への感染予防の観点から、環境省、農林水産省等の関係省庁と連携し、鳥類での本病の発生状況を把握し、都道府県及び保健所を設置する市又は特別区(以下、「都道府県等」という。)に対し、適切な対応について必要な助言を行うとともに、必要に応じて疫学調査等を実施する。また、複数の都道府県等で発生した場合等の措置が円滑に講じられるよう、必要に応じて都道府県等間の連絡調整を行う。

 (2) 都道府県等の役割

  都道府県等衛生部局は、インフルエンザ(H5N1)の人への感染予防の観点から、鳥獣保護部局、家畜衛生部局及び教育部局等の関係部局と連携し、鳥類での本病の発生状況を把握し、感染鳥類及びその排泄物等(以下「感染鳥類等」という。)の接触者への健康調査等の積極的疫学調査、防疫作業従事者等への基本的な感染予防対策(手洗い、うがいの励行等)、個人防護具(Personal protective equipment;PPE)(以下「PPE」という。)の適切な着用に関する指導及び必要に応じた物件への措置を実施する。

2.関係部局間の連絡体制の整備

 (1) 関係省庁との情報共有

  厚生労働省は、関係省庁が鳥類の異常死等鳥インフルエンザ(H5N1)の発生が疑われる疫学情報等を入手した場合には、速やかに情報提供が行われるよう日頃から関係省庁との連絡体制の整備等、緊密な連携を図っておくものとする。

 (2) 都道府県等における関係部局との情報共有

  都道府県等衛生部局は、鳥類の異常死、鳥インフルエンザ(H5N1)の発生に関する疫学的状況が判明するなど、関係部局が同疾病に関する情報を入手した場合には、「国内の鳥類における鳥インフルエンザ(H5N1)発生時の調査等について」(平成18年12月27日付健感発第1227003号本職通知)(以下、「課長通知」という。)の第6に基づき、速やかに情報提供が行われるよう、日頃から関係部局等と緊密な連携を図ること。また、鳥インフルエンザ(H5N1)の発生が疑われる等の情報を入手した場合には、(3)の規定により速やかに厚生労働省に報告するとともに、関係部局等に対しても情報提供を行われたいこと。

 (3) 他の都道府県等、国等との情報共有

  都道府県知事等は、課長通知の第6に基づき、Ⅲ2(1)による積極的疫学調査に伴い得られる情報の重要性にかんがみ、調査の過程においても、鳥インフルエンザ(H5N1)の発生状況、動向等を含む調査結果について関係する都道府県知事等との間で共有するとともに、感染症法第15条第5項の規定に基づき、厚生労働大臣に報告を行うこと。

  また、鳥類における鳥インフルエンザ(H5N1)の発生が都道府県等の区域を越えて発生し、または発生するおそれがある場合には、厚生労働大臣は、感染症法第63条の2に規定に基づき、積極的疫学調査の実施について必要な指示を行うものであること。

3.野鳥等からの感染予防

 (1) 厚生労働省及び都道府県等

  厚生労働省及び都道府県等衛生部局は、課長通知の第2の3に基づき、野鳥はどのような病原体を保有しているか分からないことから、死亡又は衰弱した野鳥を発見した場合は以下のことに留意するよう、日頃から関係省庁や関係部局に対して周知するとともに、住民や観光客等に対して、ホームページや広報等を活用して周知に努めること。

  ● 死亡又は衰弱した野鳥並びにその排泄物には直接触れないようにすること

  ● もしも死亡又は衰弱した野鳥並びにその排泄物に触れた場合には、うがいや手洗いを励行すること

  ● また、発熱等の健康状態に異状が認められた場合には、速やかに医療機関を受診し、死亡野鳥等との接触の機会があったことを医師に伝えること


[II 発生疑い(死亡野鳥等の発見等)から確定まで]

1.感染予防のための留意事項

 厚生労働省は、環境省等から複数の野鳥等の異常死等により鳥インフルエンザ(H5N1)の発生が疑われる旨の連絡を受けた場合には、感染予防として以下のことに留意するよう死亡野鳥等の収容等を行う者等への周知に関して、連絡のあった環境省等に要請するとともに、関係都道府県等の衛生部局に対し連絡し、同様に周知を要請する。

 また、都道府県等衛生部局は、課長通知の第3に準じて、関係部局と連携して感染予防のため、以下のことに留意するよう死亡野鳥等の収容等を行う者等への周知を行う。

 (1) 鳥インフルエンザ(H5N1)の感染の有無が確認されるまでの間は、住民や観光客等が死亡野鳥等に接触しないよう死亡野鳥の収容等の措置を講じるとともに、必要に応じて死亡野鳥等の発見・収容場所の消毒等の措置に努められたいこと

 (2) 死亡野鳥等を収容する場合には、適切なPPEを着用するなど、必要な感染防御措置を講じること

 (3) 死亡野鳥等と接触した者について、鳥インフルエンザ(H5N1)の感染が確認(H5N1亜型が確定)された場合に速やかに健康観察が行えるよう、関係部局と連携して、接触者の特定作業を開始するなど、Ⅲに規定する積極的疫学調査等の準備を行うこと

[III 鳥インフルエンザの確定から対策まで]

1.鳥インフルエンザ(H5亜型)の判明

 厚生労働省及び都道府県等衛生部局は、環境省等から、検査の結果、H5亜型鳥インフルエンザであると判明した旨の連絡を受けた場合には、H5N1亜型が判明した場合に備え、2に規定する措置を実施するための準備を行う。

2.鳥インフルエンザ(H5N1)の判明

 (1) 積極的疫学調査の実施

  厚生労働省及び都道府県等衛生部局は、環境省等から、検査の結果、鳥インフルエンザ(H5N1)であると判明した旨の連絡を受けた場合には、課長通知の第4の1の規定に基づき、関係部局と協力連携し、感染症法第15条に基づく周辺の鳥類等の感染状況、感染原因等の調査を行うこと。また、感染鳥類又はその排泄物等(以下「感染鳥類等」という。)に接触したすべての者(以下「接触者」という。)について、感染鳥類等との接触の状況に関する質問を行い、接触の状況に応じ、以下の必要な調査等を実施すること。

  ①感染鳥類等と直接接触し、その際に適切なPPEを着用していなかった者

   ア.健康調査の内容

    ① インフルエンザ様の症状の有無を確認すること。

    ② 感染鳥類等との直接接触後10日間(最終接触日を0日として10日目まで)は、保健所による指導のもと健康観察(1日2回の検温等)を行うよう要請すること。保健所においては可能な範囲で電話等により健康状態を聴取すること。また、接触状況を踏まえ必要に応じて、この間は公共の場所での活動を可能な限り自粛するよう要請するとともに、やむを得ず外出する際にはマスクの着用を指導すること。

     鳥インフルエンザ(H5N1)の感染を疑うような症状が発現した場合には、直ちに保健所に相談するよう要請すること。

    ③ 鳥インフルエンザ(H5N1)の感染を疑うような症状を呈した旨の相談を受けた保健所又は衛生部局は、必要と判断される場合には、速やかに医療機関への受診を勧奨し、医師による診断及び治療が適切に行われるよう配慮すること。

     なお、受診の際に感染鳥類等との接触の機会があったこと及びこれまでに実施した検査の結果を医師に伝えるように要請すること。

    ④ その他必要と認める検査を行うこと。

   イ.抗インフルエンザウイルス薬の投与

    感染鳥類等との接触状況から感染の可能性が高いと判断される場合であって、予防投与について明示の同意が得られた場合には、予防投与が行われるようにすること。

  ②適切なPPEを着用した上で、感染鳥類等と直接接触した者

   ア.健康調査の内容

    ① インフルエンザ様の症状の有無を確認すること。

    ② 感染鳥類等との接触の間及びその終了後10日間(最終接触日を0日として10日目まで)は、保健所による指導のもと健康観察を行い、この間に鳥インフルエンザ(H5N1)の感染を疑うような症状が発現した場合には、直ちに保健所に相談するよう要請すること。

    ③ 鳥インフルエンザ(H5N1)の感染を疑うような症状を呈した旨の相談を受けた保健所又は衛生部局は、必要と判断される場合には、速やかに医療機関への受診を勧奨し、医師による診断及び治療が適切に行われるよう配慮すること。

     なお、受診の際に感染鳥類等との接触の機会があったことを医師に伝えるように要請すること。

   イ.抗インフルエンザウイルス薬の投与

    通常の死亡野鳥等の収容等で適切なPPEを着用していた限り感染の可能性は極めて低く、予防投与の必要はないと考えられるが、感染野鳥の解剖作業に従事した場合など感染鳥類等との接触状況や、接触者に感染が疑われるなどの状況に応じて、予防投与について明示の同意が得られた場合には、予防投与が行われることが望ましい。

  ③感染鳥類等との直接の接触はないが、発生場所の周辺地域に居住等をしている者

   ア.健康調査の内容

    鳥インフルエンザ(H5N1)の感染を疑うような症状を呈した旨の相談を受けた保健所又は衛生部局は、症状発現前10日間の鳥類等との接触状況について確認し、必要と判断される場合には、速やかに医療機関への受診を勧奨し、医師による診断及び治療が適切に行われるよう配慮すること。

   イ.抗インフルエンザウイルス薬の投与

    予防投与の必要はない。

 (2) 感染予防のための指導

  都道府県知事等は、課長通知第4の2の規定に基づき、感染鳥類等の防疫作業に従事する者に対して、以下のことを指導すること。

   ① 作業前後の健康状態を把握すること。

   ② 作業従事に当たっては、手洗いやうがいの励行や、適切なPPEの着用等、必要な感染防御手段を講ずるよう徹底すること。

   ③ 従事に当たっては体調に十分留意すること。

 (3) 接触者等に対する情報提供等

  都道府県知事等は、課長通知第7の規定に基づき、接触者等に対して、鳥インフルエンザ(H5N1)の鳥類における発生の状況、動向及び原因に関する適切な情報発信を行うとともに、マスクの着用、最寄りの保健所等への相談、医療機関での受診等についての必要な情報提供を行うこと。また、状況に応じ、相談窓口の設置等住民に対する正確な情報の提供、相談対応に努めること。

 (4) その他

  都道府県知事等は、課長通知第8に規定するように、積極的疫学調査の実施に当たり、「インフルエンザ(H5N1)に係る積極的疫学調査の実施等について」(平成18年11月22日付け健感発第1122001号本職通知・平成20年5月12日一部改正。以下、「課長通知の2」という。)の別添の「接触者調査票」(添付1)及び「接触者に係る体温記録用紙」(添付2)を活用することが可能であること。

3.患者(疑似症患者を含む。)が確認された場合の対応

 都道府県知事等は、課長通知第5に規定するように、Ⅲ2(1)による積極的疫学調査の結果、鳥インフルエンザ(H5N1)患者(疑似症患者を含む)が確認された場合については、課長通知の2に基づく対応を行うこと。

 また、厚生労働省は、「新型インフルエンザ発生時等における対処要領」(平成20年4月内閣官房作成)のⅡに基づき、内閣情報調査室に直ちに報告するとともに、記者会見、ホームページへの掲載等により広報を行うなど必要な対応を行うものとする。