データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 医療機関及び保健所に対するHIV―2感染症例の周知について(依頼)

[場所] 
[年月日] 2009年2月3日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成21年2月3日)

(健疾発第0203001号)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局疾病対策課長通知)

 この度、別添のとおり、我が国において国内での感染が疑われるHIV―2感染例が複数確認され、「厚生労働省健康危機管理基本指針」に基づく健康危険情報として厚生労働省に報告されたところである。

 平成14年に我が国において初めてのHIV―2感染症例の周知(平成14年10月24日付健疾発第1024001号厚生労働省健康局疾病対策課長通知「医療機関及び保健所に対するHIV―2感染症例の周知について」)を行い、平成18年には日本人の感染症例の周知(平成18年8月11日付健疾発第0811001号厚生労働省健康局疾病対策課長通知「医療機関及び保健所に対するHIV―2感染症例の周知について」)を行ったところであるが、今回改めて、周知を行うものである。

 貴職におかれては、管内医療機関に対し当該情報の周知とともに、HIV―2に配慮した適切なHIV診療の実施を指導されるよう特段の御配慮をお願いする。

 また、貴管内保健所においても、当該情報の周知及びHIV―2抗体検査実施の徹底を図るよう、併せてお願いする。


(別添)

本邦医療機関受診者のHIV―2感染について

平成21年2月3日

厚生労働省健康局疾病対策課

 平成21年2月2日、「厚生労働省健康危機管理基本指針」に基づき、エイズ対策研究主任研究者より健康危機管理調整官に対して以下の健康危険情報が報告された。

【健康危険情報の概要】

 従来日本国内においてはほとんど報告のなかったHIV―2感染症例が近年愛知県内において複数見つかっている。確認されたHIV―2感染症例数は2007年に2例、2008年に2例の合計4例であるが、遡って2004年も1例感染者がいたことが判明している。確認された5症例のうち3名は来日中のアフリカ系の外国人男性であるが、残りの2例は日本人女性であり、来日中のアフリカ系外国人※との性交渉により日本国内において感染したと思われる。

 ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV―1)感染が同性愛者間で主に拡大しているのに対して、今回のHIV―2感染症例、特に日本人女性2症例は異性間の性交渉で感染しており、今後HIV―2感染が性的嗜好に関わらず拡大する危険を孕んでいると思われる。

 国内におけるHIV―2感染拡大の恐れについてはすでに過去に危険情報が出されており、保健所等におけるHIV検査体制、日赤におけるスクリーニングのいずれもHIV―2感染の存在を念頭においた対策が取られている。しかし、日本国内において実際にHIV―2感染伝播が確認されたのは今回の2症例が初めてであり、検査実施時にHIV―2への注意を改めて喚起する必要がある。

――――――――――

※ 前記HIV―2感染が確認されたアフリカ系外国人とは別人