[文書名] 「特定感染症検査等事業の実施について」の一部改正について〔感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〕
(平成23年3月29日)
(健発0329第15号)
(各都道府県知事・各保健所設置市市長・各特別区区長あて厚生労働省健康局長通知)
標記事業については、平成14年3月27日健発第0327012号本職通知「特定感染症検査等事業の実施について」の別紙「特定感染症検査等事業実施要綱」に基づき行われているところであるが、今般、その一部を別紙新旧対照表のとおり改正し、平成23年4月1日から適用することとしたので通知する。
なお、本事業の実施に当たっては、事業が円滑に実施されるよう貴管内における関係機関等への周知について特段の御配慮をお願いする。
{添付資料は省略}
○特定感染症検査等事業実施要綱
(平成14年3月27日)
(健発第0327012号)
1.事業目的
この事業は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)に基づく「性感染症に関する特定感染症予防指針」(平成12年厚生省告示第15号)に定められる性感染症に関する検査及び相談事業並びにHTLV―1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)に関する検査及び相談事業並びに感染症法に基づく「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」(平成11年厚生省告示第217号)に定められるHIV抗体検査及びエイズに関する相談事業並びに肝炎ウイルス検査及び肝炎ウイルスに関する相談事業並びに緊急肝炎ウイルス検査事業を推進することにより、これらの感染症の発生の予防・まん延防止及び治療対策の推進を図ることを目的とする。
2.事業の実施主体
この事業の実施主体は、都道府県、政令市(地域保健法(昭和22年法律第101号)第5条の政令で定める市をいう。以下同じ。)及び特別区とする。
3.事業内容
保健所等で行う性感染症(性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、梅毒及び淋菌感染症の5疾患)並びにHTLV―1に関する検査事業及び相談事業並びにHIV抗体検査及びエイズに関する相談事業並びに肝炎ウイルス検査事業(B型肝炎ウイルス検査及びC型肝炎ウイルス検査。)及び肝炎ウイルスに関する相談事業並びに緊急肝炎ウイルス検査事業(B型肝炎ウイルス検査及びC型肝炎ウイルス検査。医療機関等へ事業を委託して実施。)に対して補助をするものである。
なお、各事業の詳細については以下のとおりとする。
(1) 性感染症・HTLV―1検査及び相談事業
ア 保健所における性感染症に指定した5疾患及びHTLV―1の検査事業
イ 保健所における性感染症に指定した5疾患及びHTLV―1の相談事業
(2) HIV抗体検査及びエイズに関する相談事業
ア 保健所におけるエイズストップ作戦関連事業実施要綱に基づく事業
イ エイズ治療拠点病院におけるHIV抗体検査等事業実施要綱に基づく事業
ウ その他
(3) 肝炎ウイルス検査及び相談事業
ア 肝炎ウイルス検査
(ア) 実施方式
保健所において実施。
(イ) 対象者
本検査の受検を希望する者とする。
ただし、過去に本検査を受けたことがある者、医療保険各法その他の法令に基づく保健事業等のサービスを受ける際に、合わせて当該肝炎ウイルス検査に相当する検査を受けた者又は当該検査を受けることを予定している者若しくは健康増進事業の対象者については除くものとするが、結果的に受けられなかった者又は再検査の必要性のある者については、この限りではない。
(ウ) 肝炎ウイルス検査の実施
肝炎ウイルス検査の項目は、B型肝炎ウイルス検査及びC型肝炎ウイルス検査とする。
a HBs抗原検査
凝集法等による定性的な判断のできる検査方法を用いること。
b HCV抗体検査
HCV抗体価をウイルスの有無を判定するための高力価群、中力価群及び低力価群に適切に分類することのできる測定系を用いること。
c HCV抗原検査
HCV抗体検査により中力価及び低力価とされた検体に対して行うこと。抗原検査は、ウイルスのコア蛋白を測定する方法を用いること。
d HCV核酸増幅検査
HCV抗原検査の結果が陰性を示す場合に行うこと。
(エ) 肝炎ウイルス検査の結果の判定(別紙参照)
a HBs抗原検査
凝集法等を用いて、HBs抗原の検出を行い、陽性又は陰性の別を判定。
ただし、HBs抗原検査は、B型肝炎ウイルスの感染の有無を直接判定することが難しい場合があることに留意すること。
b HCV抗体検査
(a) HCV抗体高力価
検査結果が高力価を示す場合は、「現在、C型肝炎ウイルスに感染している可能性が極めて高い」と判定。
(b) HCV抗体中力価及び低力価
検査結果が中力価及び低力価を示す場合は、HCV抗原検査を行うこと。
(c) 陰性
各検査法でスクリーニングレベル以下を示す場合は、「現在、C型肝炎ウイルスに感染していない可能性が極めて高い」と判定。
c HCV抗原検査
HCV抗体検査により中力価及び低力価とされた検体に対して、HCV抗原検査を行い、結果が陽性を示す場合は、「現在、C型肝炎ウイルスに感染している可能性が極めて高い」と判定、結果が陰性を示す場合はHCV核酸増幅検査を行うこと。
d HCV核酸増幅検査
HCV抗原検査の結果が陰性を示す場合は、HCV―RNAの検出を行い、検出された場合は、「現在、C型肝炎ウイルスに感染している可能性が極めて高い」と判定、検出されない場合は、「現在、C型肝炎ウイルスに感染していない可能性が極めて高い」と判定。
なお、いずれの検査についても、その結果の判定に当たっては、検査に携わる医師によって行われるものであること。
(オ) 指導区分
HBs抗原検査において「陽性」と判定された者及びC型肝炎ウイルス検査において「現在、C型肝炎ウイルスに感染している可能性が極めて高い」と判定された者については、医療機関での受診を勧奨する。
(カ) 検査の結果
検査の結果については、別紙を参考として指導区分を付し、受診者に速やかに通知する。
イ B型及びC型肝炎ウイルスに関する相談事業
(4) 緊急肝炎ウイルス検査事業
ア 本事業は、(3)のアの事業の規定を準用する。この場合において、(3)のアの(ア)中、「保健所において実施」とあるのは、「医療機関等への委託(地域の医師会等の理解と協力を得て、医療機関等を選定。)により実施」と読み替えることとし、保健所及び医療機関以外の検査会場においても、当該検査を実施することができるものとする。
ただし、この場合は、採血等の実施に必要な条件を満たすこと。
イ 本検査事業に要した費用については、検査受検者からは徴収しないこととする。
4.実施に当たっての留意事項
本事業の企画及び立案に当たっては、事業を効率的、効果的に実施するため、関係機関等と連携を密にし、地域の実情に応じた事業の推進に努めること。
また、検査等を匿名で行うなど、個人のプライバシー等人権の保護に十分配慮すること。
5.経費の負担
都道府県、政令市及び特別区が本実施要綱に基づき実施する事業に要する経費については、厚生労働大臣が別に定める「感染症予防事業費等国庫負担(補助)金交付要綱」に基づいて、予算の範囲内で国庫補助を行うものとする。
{別紙は省略}