[文書名] インフルエンザに係るサーベイランスについて
(平成23年3月31日)
(健感発0331第1号)
(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部あて厚生労働省結核感染症課長通知)
新型インフルエンザ(A/H1N1)対策については、多大なご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
今般の新型インフルエンザ(A/H1N1)については、平成23年3月31日をもって、感染症法第44条の2第3項の規定に基づき、「新型インフルエンザ等感染症」でなくなった旨の厚生労働大臣による公表を行いました。
これに伴うインフルエンザに係るサーベイランス体制については、当面の変更はありませんが、今後の予定を含めて、下記の通りお知らせします。
なお、サーベイランスに関するものを含めて、これまでに厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部事務局が発出した事務連絡を廃止することについては、「新型インフルエンザ(A/H1N1)に係る季節性インフルエンザ対策への移行について」(平成23年3月31日厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部事務局事務連絡)でご連絡した通りです。
記
1.年間を通じて実施するサーベイランス
(1) インフルエンザサーベイランス(患者発生サーベイランス)【別添1】
(2) ウイルスサーベイランス【別添2】
(3) インフルエンザ重症サーベイランス【別添3】
2.期間を限定して実施するサーベイランス
(1) インフルエンザ様疾患発生報告(学校サーベイランス)【別添4】
[別添1]
インフルエンザサーベイランス
(患者発生サーベイランス)
1.目的
インフルエンザ定点医療機関において、インフルエンザ様の受診者数を把握することにより、インフルエンザ全体の流行動向を把握する。
2.実施方法
(1) 患者定点医療機関
インフルエンザと診断した患者について、一週間(月曜日から日曜日)ごとに、保健所に報告する。
(2) 保健所
① (1)により得られた患者情報を、毎週火曜日(休日の場合はその翌開庁日)までに、感染症サーベイランスシステム(NESID)に入力する。
② インフルエンザの発生状況等を把握し、市町村、患者定点医療機関、その他の関係医療機関、医師会、教育委員会等の関係機関に、発生状況等について適宜情報を提供し、連携を図る。
(3) 都道府県等の本庁
保健所からの情報の入力があり次第、登録情報の確認を行う。
(4) 地方感染症情報センター
当該都道府県等域内の全ての患者情報を収集、分析するとともに、その結果を週報として公表される都道府県情報、全国情報と併せて、保健所等の関係機関に提供、公開する。
(5) 中央感染症情報センター
都道府県等の本庁が確認済みの患者情報を速やかに集計し、分析評価を加えた全国情報を、週報として作成し、都道府県等の本庁に送付する。
(6) 厚生労働省
インフルエンザ流行期においては、患者発生の状況及び動向について、予防等に関する必要な情報とともに国民へ周知する。
3.実施時期
通年、実施する。
4.報道発表
定期的な報道発表は、毎年9月から翌年3月までを目途として実施する。
なお、平成23年においては、4月末まで発表する予定。
5.その他
関連する法令及び通知等は、以下のとおり。
○ 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第14条
○ 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の施行に伴う感染症感染症発生動向調査事業について(平成11年3月19日健医発第458号厚生省保健医療局長通知)
○ 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1及び第14条第2項に基づく届出の基準等について(平成18年3月8日健感発第0308001号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)
[別添2]
ウイルスサーベイランス
1.目的
インフルエンザウイルスの型・亜型、抗原性、抗インフルエンザウイルス薬への感受性等を調べ、流行するウイルスの性状を把握する。
2.実施方法
(1) 病原体定点医療機関
インフルエンザ患者定点医療機関として保健所に報告するインフルエンザ患者から検体を採取する。
(2) 保健所
(1)で採取された検体を入手し、地方衛生研究所に送付する。
(3) 地方衛生研究所
① インフルエンザウイルスの型・亜型についての確認検査は、病原体定点医療機関から送付された全ての検体で行う。検査の結果が判明次第、感染症サーベイランスシステム(NESID)の「病原体検出情報システム」に入力を行う。
② 薬剤耐性の確認検査については、検査体制に応じて、病原体定点医療機関において採取された検体から分離されたウイルスの一部で行い、検査の結果が判明次第、「病原体検出情報システム」に情報を追加する。解析株数と耐性株数を月毎に集計し、国立感染症研究所に報告を行う。
③ 分離されたウイルス株等は、必要に応じて、国立感染症研究所に送付する(薬剤耐性が疑われる株は全てを送付する)。
(4) 国立感染症研究所
送付されたウイルス株について抗原解析、遺伝子解析、薬剤感受性等の詳細な検査を行う。
(5) 地方感染症情報センター
当該都道府県域内の全ての患者情報及び病原体情報(検査情報を含む)を収集、分析するとともに、その結果を週報等として公表される都道府県情報、全国情報と併せて、保健所等の関係機関に提供、公開する。
(6) 中央感染症情報センター
地方衛生研究所から報告された病原体情報及び(4)に基づき、国立感染症研究所が実施した検査の情報の分析評価を行い、その結果を速やかに地方衛生研究所に送付するとともに、必要に応じて週報・月報等に掲載する。
(7) 厚生労働省
インフルエンザ流行期においては、ウイルスの性状について、患者発生の状況及び動向とともに国民へ周知する。
3.実施時期
通年、実施する。
4.その他
関連する通知は、以下のとおり。
○感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の施行に伴う感染症発生動向調査事業について(平成11年3月19日健医発第458号厚生省保健医療局長通知)
[別添3]
インフルエンザ重症サーベイランス
1.目的
インフルエンザと診断された重症及び死亡患者の数及び臨床情報を捕捉することにより、インフルエンザによる重症者の発生動向や病原性の変化を把握する。
2.実施方法
(1) 医療機関
入院医療機関において、医師が、インフルエンザ患者の急性脳症、人工呼吸器装着、集中治療室入室、死亡を確認した場合、保健所に連絡を行う。
(2) 保健所
(1)により連絡を受けた保健所は、患者の入院する医療機関等と連絡をとり、得られた患者の臨床情報を、毎週火曜日(休日の場合はその翌開庁日)までに、暫定感染症サーベイランスシステム(iNESID)に入力する。患者の臨床情報に変更があれば、随時入力を行う。
(3) 都道府県等の本庁
保健所からの情報の入力があり次第、登録情報の確認を行う。
(4) 厚生労働省
都道府県等の本庁が確認済みの患者情報を速やかに集計し、全国情報を作成し、都道府県等の本庁に送付する。
3.実施時期
通年、実施する。
4.報道発表
定期的な報道発表は、毎年9月から翌年3月までを目途として実施する。
なお、平成23年においては、4月末まで発表する予定。
5.その他
平成23年9月以降は、基幹定点医療機関での把握による入院サーベイランスとして制度的に位置づけて実施する予定であり、移行までの間は当該実施内容で行う。
なお、入院サーベイランスについては、引き続き、暫定感染症サーベイランスシステム(iNESID)で入力を行い、平成24年4月からは、感染症サーベイランス(NESID)に一元化を行う予定。
[別添4]
インフルエンザ様疾患発生報告
(学校サーベイランス)
1.目的
学校におけるインフルエンザの流行状況を把握し、インフルエンザの感染拡大を探知するため、インフルエンザ様症状の患者の発生による管内の幼稚園、保育所、小学校、中学校、高等学校等の休校数等を把握する。
2.実施方法
(1) 保健所
① 管内の幼稚園、保育所、小学校、中学校、高等学校等と連携し、インフルエンザ様症状の患者による臨時休業(学校閉鎖、学年閉鎖、休校)の状況及び欠席者数を把握する。
② ①で入手した情報を、一週間(日曜日から土曜日まで)ごとに集計し、翌週火曜日(休日の場合はその翌営業日)までに、都道府県等の本庁に報告する。
(2) 都道府県等の本庁
(1)により入手した情報を、感染症サーベランスシステム(NESID)に速やかに入力し報告を行う。
(3) 厚生労働省
インフルエンザ流行期においては、学校における流行状況について、患者発生の状況及び動向とともに国民へ周知する。
3.実施時期
期間を限定して実施するが、調査を開始、または終了する場合は、別途通知を行う。
なお、期間としては、概ね9月から4月末日までを目途とする。
4.報道発表
定期的な報道発表は、毎年9月から翌年3月までを目途として実施する。
なお、平成23年においては、4月末まで発表する予定。
5.その他
関連する通知等は、以下のとおり。
○ インフルエンザの防疫対策について(昭和48年9月20日衛情第102号厚生省公 衆衛生局保健情報課長通知)
○ インフルエンザ施設別発生状況に係る調査について(平成21年5月22日健感発第0522003号厚生労働省健康局結核感染症課長)