[文書名] 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の施行等について〔感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〕
(平成23年8月30日)
(健発0830第10号)
(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生労働省健康局長通知)
「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(平成23年法律第105号。以下「整備法」という。)は、平成23年8月26日に成立し、平成23年8月30日に公布されたところである。
これに伴い、健康局が所管する法律が改正され、一部は公布日(平成23年8月30日)に施行され、その他については平成24年4月1日又は平成25年4月1日に施行されることとなっている。また、あわせて関係政令及び通知を改正する予定である。改正の趣旨、内容等は下記のとおりであるので、御了知の上、貴管内市町村に対し、その周知徹底を図るとともに、その事務の運営に当たってよろしく御配慮願いたい。
記
第一 整備法による法律の改正
第1 改正の趣旨
整備法は、地域主権戦略大綱(平成22年6月22日閣議決定。以下「大綱」という)を踏まえ、地域の自主性及び自立性を高めるための改革を総合的かつ計画的に推進することを目的とするものである。なお、整備法により改正される法律のうち、健康局所管のものは以下のとおりである。
・地域保健法(昭和22年法律第101号)
・理容師法(昭和22年法律第234号)
・墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)
・興行場法(昭和23年法律第137号)
・旅館業法(昭和23年法律第138号)
・公衆浴場法(昭和23年法律第139号)
・クリーニング業法(昭和25年法律第207号)
・美容師法(昭和32年法律第163号)
・水道法(昭和32年法律第177号)
・水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律(平成6年法律第8号)
・感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)
・健康増進法(平成14年法律第103号)
・がん対策基本法(平成18年法律第98号)
第2 改正の内容
一 地域保健法の一部改正(整備法第二十一条関係)
都道府県が人材確保支援計画に定めるものとされている事項のうち、特定町村の地域保健対策を円滑に実施するための人材の確保又は資質の向上の基本的方針に関する事項については、人材確保支援計画に定めるよう努める事項として、努力義務化し、その他特定町村の地域保健対策を円滑に実施するための人材の確保又は資質の向上に関し都道府県が必要と認める事項については削除すること。
二 理容師法の一部改正(整備法第二十三条関係)
理容師が理容の業を行うときに講じなければならない衛生上必要な措置の基準及び理容所の開設者が講じなければならない衛生上必要な措置の基準に係る条例の制定に関する権限を都道府県から保健所を設置する市及び特別区へ移譲すること。
三 墓地、埋葬等に関する法律の一部改正(整備法第二十四条関係)
墓地、納骨堂及び火葬場の経営の許可、許可の取消その他の監督権限を都道府県知事からすべての市の市長及び特別区の区長へ移譲すること。
四 興行場法の一部改正(整備法第二十五条関係)
興行場の設置の場所及び構造設備に係る公衆衛生上必要な基準並びに興行場について営業者が講ずべき衛生措置の基準に係る条例の制定に関する権限を都道府県から保健所を設置する市及び特別区へ移譲すること。
五 旅館業法の一部改正(整備法第二十六条関係)
社会教育施設等で学校・児童福祉施設に類するものの指定、旅館業を営む施設について営業者が講ずべき衛生措置の基準及び宿泊を拒むことができる事由に係る条例の制定に関する権限を都道府県から保健所を設置する市及び特別区へ移譲すること。
六 公衆浴場法の一部改正(整備法第二十七条関係)
公衆浴場の設置の場所の配置基準並びに公衆浴場について営業者が講ずべき衛生及び風紀に必要な措置の基準に係る条例の制定に関する権限を都道府県から保健所を設置する市及び特別区へ移譲すること。
七 クリーニング業法の一部改正(整備法第三十二条関係)
クリーニング業を営む者が講ずべき措置の基準に係る条例の制定に関する権限を都道府県から保健所を設置する市及び特別区へ移譲すること。
八 美容師法の一部改正(整備法第三十七条関係)
美容師が美容の業を行うときに講じなければならない衛生上必要な措置の基準及び美容所の開設に際して衛生上必要な措置の基準に係る条例の制定に関する権限を都道府県から保健所を設置する市及び特別区へ移譲すること。
九 水道法の一部改正(整備法第三十八条関係)
1 水道事業者又は水道用水供給事業者が地方公共団体である場合には、当該事業者は布設工事監督職員の配置基準(布設工事監督職員を配置しなければならない水道の布設工事の範囲)及び資格基準を政令で定める要件を参酌して条例で定めるものとすること。
2 水道事業者、水道用水供給事業者又は専用水道の設置者が地方公共団体である場合には、当該事業者又は設置者は水道技術管理者の資格基準を政令で定める要件を参酌して条例で定めるものとすること。
3 専用水道及び簡易専用水道に係る権限(専用水道の布設工事の設計の確認等、専用水道の給水開始の届出受理、専用水道の業務委託の際の届出受理、改善の指示、給水停止命令、報告徴収及び立入検査)をすべての市に移譲すること。
十 水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律の一部改正(整備法第四十九条関係)
1 都道府県計画の内容のうち、地域水道原水水質保全事業の実施に際し配慮すべき重要事項に係る規定を廃止し、都道府県計画の公表に係る規定を努力義務化すること。
2 河川管理者事業計画の内容のうち、その他河川水道原水水質保全事業の実施に際し配慮すべき重要事項に係る規定を廃止し、河川管理者事業計画の公表に係る規定を努力義務化すること。
十一 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部改正(整備法第五十一条関係)
1 都道府県の予防計画に定めるものとされている事項のうち、感染症に関する研究の推進、人材の養成及び知識の普及については努力義務化し、その他地域の実情に即した感染症の予防のための施策に関する重要事項については削除すること。
2 予防計画の公表にかかる規定を削除すること。
3 都道府県知事並びに指定都市及び中核市の市長が行う結核指定医療機関の指定等の権限を、保健所設置市及び特別区の長へ移譲すること。
十二 健康増進法の一部改正(整備法第五十二条関係)
都道府県健康増進計画及び市町村健康増進計画の公表にかかる規定を削除すること。
十三 がん対策基本法の一部改正(整備法第五十五条関係)
都道府県がん対策推進計画の公表に係る規定を削除するとともに、その変更の義務付けを努力義務化すること。
第3 施行日
第2に掲げる改正は、整備法の公布の日(平成23年8月30日)から施行すること。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行すること。
一 理容師法、墓地、埋葬等に関する法律、興行場法、旅館業法、公衆浴場法、クリーニング業法及び美容師法の一部改正並びに水道法の一部改正(同法第四十六条、第四十八条の二、第五十条及び第五十条の二の改正規定を除く。)並びに感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部改正(同法第六十四条の改正規定に限る。) 平成24年4月1日
二 水道法の一部改正(同法第四十六条、第四十八条の二、第五十条及び第五十条の二の改正規定に限る。) 平成25年4月1日
第二 その他
第1 生活衛生局長通知の改正
水道法の一部改正による専用水道及び簡易専用水道の権限移譲を踏まえ、飲用井戸等の衛生確保についても都道府県、すべての市又は特別区が実施するよう、平成25年4月1日から、「飲用井戸等衛生対策要領」(昭和62年1月29日衛水第12号厚生省生活衛生局長通知別紙)の「2.実施主体」中「保健所を設置する市」を「市」と、「市町村」を「町村」と改正する。
第2 政令の改正
整備法による上記法律改正のほか、大綱を踏まえ以下の事項について政令改正を行う予定であり、追って通知することとしている。なお、以下の改正は、平成24年4月1日から施行することを予定している。
一 理容所以外の場所で理容の業務ができる場合の条例制定権の保健所設置市及び特別区への移譲(理容師法施行令(昭和28年政令第232号))
二 旅館業営業施設の構造設備基準の条例制定権の保健所設置市及び特別区への移譲(旅館業法施行令(昭和32年政令第152号))
三 美容所以外の場所で美容の業務ができる場合の条例制定権の保健所設置市及び特別区への移譲(美容師法施行令(昭和32年政令第277号))