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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 抗インフルエンザウイルス薬の安定供給等について

[場所] 
[年月日] 2012年11月16日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成24年11月16日)

(/医政経発1116第1号/健感発1116第1号/)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医政局経済課長・厚生労働省健康局結核感染症課長通知)

 今冬のインフルエンザ対策については、「今冬のインフルエンザ総合対策の推進について」(平成24年11月9日付け健感発1109第2号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)により、本格的に対策に取り組んでいるところです。

 インフルエンザ患者に対して適切な検査・治療を行うためには、抗インフルエンザウイルス薬及びインフルエンザウイルス抗原検出キット(以下「抗インフルエンザウイルス薬等」という。)について、その安定的な供給等を図ることが必要ですので、下記の事項に十分留意の上、対応していただくようお願いいたします。

 また、各都道府県におけるインフルエンザ総合対策に資するため、現時点における供給見込み状況を別添により情報提供いたしますので参考としてください。

 なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に規定する技術的な助言です。


   記

1.抗インフルエンザウイルス薬等の安定的供給を図るためには、各医療機関等に対して適切な量が提供されることが必要であることから、患者数等の動向を勘案して必要量を精査した上で、特定の医療機関、薬局(以下「医療機関等」という。)に過剰な量が供給されることがないよう、貴管内の医療機関等や卸売販売業者等に対し、周知徹底してください。

2.各都道府県においては、平成23年11月21日付け厚生労働省医政局経済課長及び健康局結核感染症課長連名通知「抗インフルエンザウイルス薬の安定供給等について」(医政経発1121第1号、健感発1121第1号)及び抗インフルエンザウイルス薬に関するガイドラインにより、抗インフルエンザウイルス薬の安定供給対策等を協議するため、抗インフルエンザウイルス薬対策委員会等を設置することとされておりますが、当該委員会等のさらなる充実を図るとともに、今期におけるインフルエンザ対策を実施するため、当該委員会等において以下の体制等に係る取り決め及び見直しを実施してください。

 (1) 貴管内の卸売販売業者及び医療機関等の在庫状況等の把握方法

 (2) 抗インフルエンザウイルス薬が不足した場合の融通方法

 (3) 抗インフルエンザウイルス薬が処方可能な医療機関等が限定される場合の住民への周知方法

 (4) 貴都道府県において備蓄している抗インフルエンザウイルス薬の放出方法

3.厚生労働省としては、抗インフルエンザウイルス薬等の安定的な供給の確保の観点から、供給企業に対し、インフルエンザの流行状況に応じた適切な供給を行うよう要請しております。

 つきましては、各都道府県においても、医療機関等、卸売販売業者等と連携しつつ、関係者に対して以下の事項を周知し、抗インフルエンザウイルス薬等の適切な供給確保への協力を要請してください。

 (1) 注文量について

  抗インフルエンザウイルス薬等については、過去の流行規模を踏まえ、十分な量の供給が予定されていることから、医療機関等は注文をする際には、備蓄目的での注文は控え、インフルエンザ流行状況や前年度使用実績等を踏まえた注文量となるよう配慮すること。

  卸売販売業者は、注文を受ける際には、この様な取扱いについて配慮するとともに、流行時に追加注文を受ける際には、前回注文により納入された医療機関等在庫を確認した上で、インフルエンザの流行状況を踏まえた患者数等の動向等を勘案した必要量の供給を随時行い、抗インフルエンザウイルス薬等の偏在が起こらないよう配慮すること。

  また、卸売販売業者は、前年に実績のない医療機関等からの新規注文については、全体の注文量の状況を踏まえて調整する必要があるものの、新規開業の医療機関等が不利とならないよう最大限配慮すること。

 (2) 分割納入について

  医療機関等へ一度に大量に抗インフルエンザウイルス薬等が納入されると、市場に流通する抗インフルエンザウイルス薬等の在庫量に与える影響が大きいことから、卸売販売業者は、医療機関等における診療に支障を来す場合を除いて分割納入を行うこととし、この取扱いに医療機関等も協力すること。

 (3) 納入時期等の情報提供について

  製造販売業者及び卸売販売業者は、一部納入に遅れが予想される医療機関等に対しては、納入時期及び数量等についてより正確な情報提供を行うことに努めること。

4.抗インフルエンザウイルス薬の投与に際しては、薬剤の必要性を慎重に検討するなど添付文書に記載されている内容を踏まえ、適正に使用されるよう、貴管内の医療機関等に周知を徹底してください。

5.インフルエンザウイルス抗原検出キットに用いる咽頭ぬぐい液等を採取する際には、患者の飛沫により医療従事者が感染する可能性が高いとの指摘があることから、十分な感染防御手技を講ずるよう貴管内の医療機関等に周知を徹底してください。


<別添>

抗インフルエンザウイルス薬等の供給見込み

1.抗インフルエンザウイルス薬の供給について(9月末時点での企業からの聞き取り結果を基に作成)

 ○「タミフル」については、中外製薬は次のような措置を講ずる予定。

 ・流行状況に応じて、追加供給を検討。

 ○「リレンザ」については、グラクソ・スミスクラインは次の措置を講ずる予定。

 ・流行状況に応じて、追加供給を検討

 ○「ラピアクタ」については、塩野義製薬は次の措置を講ずる予定。

 ・流行状況に応じて、追加供給を検討

 ○「イナビル」については、第一三共は次の措置を講ずる予定。

 ・流行状況に応じて、追加供給を検討

 ①タミフル(一般名:オセルタミビルリン酸塩 中外製薬)

 ・特徴:A型・B型インフルエンザウイルス感染症に有効

     経口投与/1日2回×5日間

     発症後、48時間以内に投与することが必要

     タミフルドライシロップは小児の適応を有する

     タミフルカプセル及びタミフルドライシロップは予防使用の適応を有するが、対象者と機会は限定的である

     有効期限については、タミフルカプセルは7年、タミフルドライシロップは6年である

 ・昨シーズンの医療機関等への供給量

     平成23年9月~平成24年3月末まで 約356万人分

 ・今シーズン(平成24年9月~平成25年3月末)の供給予定量

     約1,100万人分

  (9月末のメーカー及び卸在庫を含む。なお、流行状況に応じて追加供給を検討予定とのこと。)

 ②リレンザ(一般名:ザナミビル水和物 グラクソ・スミスクライン)

  ・特徴:A型・B型インフルエンザウイルス感染症に有効

     吸入投与/1日2回×5日間

     発症後、48時間以内に投与することが必要

     小児の適応を有する

     予防使用の適応を有するが、対象者と機会は限定的である有効期限は7年

  ・昨シーズンの医療機関等への供給量

     平成23年9月~平成24年3月末まで 約127万人分

  ・今シーズン(平成24年9月~平成25年3月末)の供給予定量

     約740万人分

  (9月末のメーカー及び卸在庫を含む。なお、流行状況に応じて追加供給を検討予定とのこと。)

 ③ラピアクタ(一般名:ペラミビル水和物 塩野義製薬)

  ・特徴:A型・B型インフルエンザウイルス感染症に有効

     静脈内投与/単回

     発症後、48時間以内に投与することが必要

     小児の適応を有する

     有効期限については、ラピアクタ点滴用は24ヶ月、ラピアクタ点滴静注液は36ヶ月である

  ・昨シーズンの医療機関等への供給量

     平成23年9月~平成24年3月末まで 約26万人分

  ・今シーズン(平成24年9月~平成25年3月末)の供給予定量

     約100万人分

  (9月末のメーカー及び卸在庫を含む。なお、流行状況に応じて追加供給を検討予定とのこと。)

 ④イナビル(一般名:ラニナミビルオクタン酸エステル水和物 第一三共)

 ・特徴:A型・B型インフルエンザウイルス感染症に有効

     吸入投与/単回

     発症後、48時間以内に投与することが必要

     小児の適応を有する

     有効期限は36ヶ月

 ・昨シーズンの医療機関等への供給量

     平成23年9月~平成24年3月末まで 約270万人分

 ・今シーズン(平成24年9月~平成25年3月末)の供給予定量

     約700万人分

  (9月末のメーカー及び卸在庫を含む。なお、流行状況に応じて追加供給を検討予定とのこと。)

2.インフルエンザウイルス抗原検出キット(迅速タイプ)の供給について(9月末時点での企業からの聞き取り結果を基に作成)

取扱い業者:デンカ生研(製造)、DSファーマバイオメディカル(輸入)、富士レビオ(製造)、シスメックス(製造)、積水メディカル(輸入)、ミズホメディー(製造)、ニチレイバイオサイエンス(製造)、タウンズ(製造)、日本ベクトン・デッキンソン(輸入)、アルフレッサファーマ(製造)、三菱化学メディエンス(製造)、アーリアメディカル(輸入)、和光純薬工業(製造)、アークレイマーケティング(製造)、東洋紡績(製造)

     ※検査所要時間は5~20分程度

     ※製品の有効期間は6~24か月

 ・平成24年9月末時点の在庫量(メーカー及び卸)

     約800万人分

 ・今シーズンの生産予定量(平成24年10月~平成25年3月末)

     約1,670万人分

    ※ インフルエンザの流行に伴い特定の製品に需要が集中すると安定供給に支障が生じる場合があることから、製品選択に当たっては柔軟に対応することにご配慮いただきたい。



○抗インフルエンザウイルス薬の安定供給等について

(平成24年11月16日)

(/医政経発1116第2号/健感発1116第2号/)

(<別記>あて厚生労働省医政局経済課長・厚生労働省健康局結核感染症課長通知)

 インフルエンザ対策については、平素より多大な御協力を賜り、深く感謝申し上げます。

 今冬のインフルエンザ対策については、「今冬のインフルエンザ総合対策の推進について」(平成24年11月9日付け健感発1109第2号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)により、本格的に対策に取り組んでいるところです。

 貴職におかれましては、抗インフルエンザウイルス薬の安定供給に協力いただきたく、貴団体傘下の医療機関等に周知いただくようお願いいたします。

 厚生労働省としても、可能な限りの対策を講じて、抗インフルエンザウイルス薬の安定供給を図る所存ですので、御理解、御協力のほど、お願い申し上げます。

 なお、各都道府県衛生主管部(局)長には、別添(写)のとおり通知したことを申し添えます。


   記

1.医療機関、薬局(以下「医療機関等」という。)において抗インフルエンザウイルス薬を注文する際には、各医療機関等における在庫量やインフルエンザの流行状況等を踏まえ、真に診療に必要な注文量となるよう配慮すること。

2.抗インフルエンザウイルス薬の安定的な供給の確保の観点から、今シーズン中は備蓄を目的とする注文は行わないこと。

3.医療機関等へ一度に大量に抗インフルエンザウイルス薬が納入されると、市場に流通する抗インフルエンザウイルス薬の在庫量に与える影響が大きいことから、診療に支障を来す場合を除いて、卸売販売業者の分割納入に協力すること。

4.抗インフルエンザウイルス薬の不足が発生した際、都道府県から融通の要請があった場合には積極的に融通に協力すること。

5.抗インフルエンザウイルス薬の投与に際しては、薬剤の必要性を慎重に検討するなど添付文書に記載されている内容を踏まえ、適正に使用されるよう、徹底されたいこと。

6.インフルエンザウイルス抗原検出キットに用いる咽頭ぬぐい液等を採取する際には、患者の飛沫により医療従事者が感染する可能性が高いとの指摘があることから、十分な感染防御手技を講じられたいこと。

7.都道府県では担当課(感染症対策、薬務、医務等)が中心となり、抗インフルエンザウイルス薬対策委員会等を設置し、安定供給対策等を協議することになるので、在庫状況等の調査を求められた場合には、積極的に協力すること。

<別記>

医療関係団体

 社団法人日本医師会感染症危機管理対策室長

 公益社団法人全国自治体病院協議会会長

 社団法人全日本病院協会会長

 社団法人日本医療法人協会会長

 一般社団法人日本病院会会長

 公益社団法人日本薬剤師会会長

 宮内庁長官官房秘書課長

 法務省大臣官房秘書課長

 防衛省人事教育局衛生官

 文部科学省高等教育局医学教育課長

 医政局国立病院課長

 労働基準局労災補償部労災管理課長

 社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長

 独立行政法人国立病院機構理事長

 独立行政法人国立印刷局理事長

 独立行政法人労働者健康福祉機構理事長

 日本郵政株式会社総務・人事部門総務・人事部長

 日本赤十字社社長

 社会福祉法人恩賜財団済生会理事長

 全国厚生農業協同組合連合会会長

 社会福祉法人北海道社会事業協会会長

 社団法人全国社会保険協会連合会会長

 財団法人厚生年金事業振興団理事長

 財団法人船員保険会会長

 国家公務員共済組合連合会理事長

 一般社団法人地方公務員共済組合協議会会長

 日本私立学校振興・共済事業団理事長

 独立行政法人国立がん研究センター理事長

 独立行政法人国立循環器病研究センター理事長

 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター理事長

 独立行政法人国立国際医療研究センター理事長

 独立行政法人国立成育医療研究センター理事長

 独立行政法人国立長寿医療研究センター理事長



○抗インフルエンザウイルス薬の安定供給等について

(平成24年11月16日)

(/医政経発1116第3号/健感発1116第3号/)

((社)日本医薬品卸業連合会会長あて厚生労働省医政局経済課長・厚生労働省健康局結核感染症課長通知)

 抗インフルエンザウイルス薬の安定供給の確保については、平素より多大な御協力を賜り、深く感謝申し上げます。

 今冬のインフルエンザ対策については、「今冬のインフルエンザ総合対策の推進について」(平成24年11月9日付け健感発1109第2号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)により、本格的に対策に取り組んでいるところです。

 貴職におかれましては、抗インフルエンザウイルス薬の安定供給に協力いただきたく、貴会所属の会員に周知されるようお願いいたします。

 厚生労働省としても、可能な限りの対策を講じて、抗インフルエンザウイルス薬の安定供給を図る所存ですので、御理解、御協力のほど、お願い申し上げます。

 なお、各都道府県衛生主管部(局)長には、別添(写)のとおり通知したことを申し添えます。


   記

1.医療機関、薬局(以下「医療機関等」という。)から注文を受ける際には、その医療機関の在庫量を勘案し、その注文量がインフルエンザの流行状況等を踏まえたものとなるよう確認していただきたいこと。

2.医療機関等から前回注文量を上回る発注があった場合は、現在の在庫数を確認した上で、必要量の供給を随時行い、抗インフルエンザウイルス薬の偏在が起こらないように配慮すること。

 また、抗インフルエンザウイルス薬の安定的な供給の確保の観点から、今シーズン中は備蓄を目的とする注文には応じないようにすること。

 なお、前年に供給実績のない医療機関等からの新規注文については、全体の注文量の状況を踏まえて調整する必要があるものの、新規開業の医療機関等が不利とならないように最大限配慮すること。

3.医療機関等へ一度に大量に抗インフルエンザウイルス薬が納入されると、市場に流通する抗インフルエンザウイルス薬の在庫量に与える影響が大きいことから、医療機関等において診療に支障を来す場合を除いて、大量に発注があった場合は抗インフルエンザウイルス薬を分割して納入すること。

 (注1)「診療に支障を来す場合」には、医療機関等の医療従事者への予防投与分が不足する場合も含まれる。

 (注2)分割納入の際には受注残の納品について計画的に行うこと。

4.納入に遅れが予想される医療機関等に対しては、納入時期及び数量等の予定についてより正確な情報提供を行うことに努めること。

5.都道府県では担当課(感染症対策、薬務、医務等)が中心となり、抗インフルエンザウイルス薬対策委員会等を設置し、安定供給対策等を協議することになるので、在庫状況等の調査を求められた場合には、積極的に協力すること。