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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 麻しんに関する特定感染症予防指針の一部改正について

[場所] 
[年月日] 2012年12月14日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成24年12月14日)

(健感発1214第2号)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局結核感染症課長通知)

 標記指針については、「麻しんに関する特定感染症予防指針」(平成19年厚生労働省告示第442号。以下「指針」という。)により、行われてきたところであるが、今般、厚生科学審議会感染症分科会感染症部会における検討結果等を踏まえ、同指針を下記のとおり改正することとなり、麻しんに関する特定感染症予防指針の一部を改正する件(平成24年厚生労働省告示第584号)が平成24年12月14日に公布され、平成25年4月1日より適用することとしたので、貴管内の関係機関等に対する周知について、特段の配慮をお願いする。


   記

1 改正の趣旨

 国は、麻しん排除に向けた対策を強化するため、平成20年に指針を策定し、定期接種の対象者を時限的に拡大するなどの施策を推進してきた。こうした取組の結果、平成20年には11,013件あった麻しんの報告数も、平成23年には442件と大幅な減少となった。

 今般、このような麻しんを取り巻く現状の変化等を踏まえ、麻しん排除に向けた新たな目標の設定や、麻しん患者が一例でも発生した場合の迅速な対応の強化を規定するなどの所要の改正を行ったものである。

2 改正内容

 (1) 目標の改正

  平成27年度までに麻しんの排除を達成し、世界保健機関による麻しんの排除の認定を受け、かつ、その後も麻しんの排除の状態を維持することを目標とする。

 (2) 届出・検査・相談体制の充実

  医師による麻しんの届出に当たっては、可能な限り、診断後24時間以内に臨床診断としての届出、血清IgM抗体検査等の血清抗体価の測定の実施及びウイルス遺伝子検査用の検体の提出を求め、麻しんではないと判断された場合には届出の変更や取下げを求めることとする。また、可能な限り、国立感染症研究所等において、遺伝子配列の解析を行う。さらに、都道府県は、麻しん対策の会議を設置した上で、地域における施策の進捗状況を評価するものとし、必要に応じて、関係団体と連携して、麻しんの診断等に関する助言を行うアドバイザー制度の整備を検討するものとする。

 (3) 定期接種の時限措置の終了と今後の新たな対策

  5年間の時限措置の実施により、10代の年齢層に2回目の接種機会が与えられ、多くの者が接種を受けた。その結果、当該年齢層の麻しん発生数の大幅な減少と抗体保有率の上昇を認めたことから、時限措置を行った当初の目的はほぼ達成することができたと考えられる。

  一定程度の未接種者の存在が課題として残るが、時限措置を延長することで得られる効果が限定的と予想されることや、海外からの麻しんの輸入例が中心となりつつある現状及び特定の年齢層に限らず全ての年齢層に感受性者が薄く広く存在することが示唆されていること等を踏まえ、時限措置は当初の予定どおり平成24年度をもって終了することとする。今後は、麻しん患者が一例でも発生した場合に、積極的疫学調査の実施や、周囲の感受性者に対して予防接種を推奨することも含めた対応を強化する必要があるものとする。

 (4) 第1期及び第2期の定期接種の接種率目標(95%以上)の明確化

  麻しんの発生を予防するため、麻しんの予防接種を2回接種することが重要であることから、第1期及び第2期の接種率目標(95%以上)を明確化する。

 (5) 国際機関への協力

  国際機関と協力し、麻しんの流行国の麻しん対策を推進することは、国際保健水準の向上に貢献するのみならず、海外で感染し、国内で発症する患者の発生を予防することにも寄与する。そのため、国は、世界保健機関等と連携しながら、国際的な麻しん対策の取組に積極的に関与する必要があるものとする。

 (6) 排除認定会議の設置

  国は、麻しんが排除・維持されているかを判定し、世界保健機関に報告する排除認定会議を設置する。

 (7) 普及啓発の充実

  労働省は、文部科学省や報道機関等の関係機関との連携を強化し、国民に対し、麻しんとその予防に関する適切な情報提供を行うよう努めるものとする。

 (8) その他所要の改正

3 根拠法令の条項

  ・感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第11条第1項

  ・予防接種法(昭和23年法律第68号)第20条第1項