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政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第6項の適切な運用について(通知)

[場所] 
[年月日] 2016年7月28日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成28年7月28日)

(健感発0728第5号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局結核感染症課長通知)

(公印省略)

 感染症対策の推進につきましては、日頃より御理解と御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

 過日、解剖の結果感染症へのり患が判明したものの、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法第114号。以下「感染症法」という。)第12条第6項に基づく届出が行われず、感染症対策に遅れが生じるという事案が発生いたしました。

 こうした状況を踏まえ、感染症法第12条第6項の解釈等について、別添のとおり公益社団法人日本医師会長、一般社団法人日本解剖学会理事長、一般社団法人日本感染症学会理事長、一般社団法人日本病理学会理事長及び特定非営利法人日本法医学会理事長宛て通知しましたので、御承知おき願います。

 なお、別添の5について相談があった場合には感染予防策を講じる必要性等を考慮し、適切に御対応いただきますようお願いいたします。


[別添]

○感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第6項の適切な運用について(通知)


(平成28年7月28日)

(健感発0728第3,4号)

(関係各位あて厚生労働省健康局結核感染症課長通知)

 感染症対策の推進につきましては、日頃より御理解と御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

 過日、解剖の結果感染症へのり患が判明したものの、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)第12条第6項に基づく届出(以下単に「届出」という。)が行われず、感染症対策に遅れが生じるという事案が発生いたしました。

 こうした状況を踏まえ、感染症法第12条第6項の解釈等について、改めて下記のとおり周知することとしましたので、その趣旨及び内容について十分御了知の上、貴会会員に対し周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏のないようお願い申し上げます。



   記


1 感染症法第12条第6項においては、医師が感染症の患者等を診断した際の届出義務について、死体を検案した場合に準用するとされており、解剖を行った医師は、死体検案書の交付の有無にかかわらず、届出対象の感染症により死亡したことが判明した場合に届出義務があること。

 本通知における解剖については、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)、死体解剖保存法(昭和24年法律第204号)及び警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律(平成24年法律第34号。以下「死因・身元調査法」という。)に基づく解剖等であること。

 なお、病理解剖においては、主治医を通して届出を行うことも差し支えないこと。

2 死因が感染症によるものではない死体が届出義務のある感染症にり患していたことが判明した場合、感染症法上の届出義務はないが、感染拡大防止の観点から届出を行うよう御協力いただきたいこと。

3 死因・身元調査法では、解剖の実施について大学法医学教室等へ委託することができるが、届出義務は委託を受けた大学法医学教室等が負うものではなく、医師個人が負うものであること。

 また、死因・身元調査法第9条では警察署長は、必要があると認めるときは、関係行政機関に通報するものとするとされているが、解剖した医師は、当該通報がなされるか否かにかかわらず、感染症法に基づく届出を行うこと。

4 解剖の結果、死体が感染症にり患していたことが判明した場合は、死体の解剖を嘱託又は委託した捜査機関において、早急に感染拡大防止等の措置を講ずる必要が生じることから、死体が感染症にり患していたことが判明した時点で、解剖した医師は速やかに解剖を委託した捜査機関に連絡するとともに、当該感染症の感染拡大防止策等の必要性について助言いただきたいこと。

5 感染症を疑う場合の届出の必要性について判断に迷う場合には、届出先である最寄りの保健所に連絡・相談すること。



(参考)

[感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)(抄)]

第12条 医師は、次に掲げる者を診断したときは、厚生労働省令で定める場合を除き、第一号に掲げる者については直ちにその者の氏名、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を、第二号に掲げる者については七日以内にその者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。

 一 一類感染症の患者、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の患者又は無症状病原体保有者、厚生労働省令で定める五類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者及び新感染症にかかっていると疑われる者

 二 厚生労働省令で定める五類感染症の患者(厚生労働省令で定める五類感染症の無症状病原体保有者を含む。)

2~5 (略)

6 第一項から第三項までの規定は、医師が第一項各号に規定する感染症により死亡した者(当該感染症により死亡したと疑われる者を含む。)の死体を検案した場合について準用する。