[文書名] 結核に関する特定感染症予防指針の一部改正について
(平成28年11月25日)
(健発1125第2号)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省健康局長通知)
(公印省略)
平素より、結核対策の推進につきまして、ご理解とご協力を賜り誠にありがとうございます。
厚生科学審議会結核部会における議論を踏まえ、結核に関する特定感染症予防指針(平成19年厚生労働省告示第72号。以下「指針」という。)を別添のとおり改正することとなりましたので、下記のとおり通知いたします。
つきましては、今般の改正の趣旨を踏まえ、結核対策の一層の推進を図っていただきますようお願いいたします。
記
第1 改正の趣旨
結核については、指針に基づき、予防のための施策を総合的に推進している。指針については、少なくとも5年ごとに再検討を加え、必要があると認めるときは改正することとされているが、昨今の結核を取り巻く状況の変化を踏まえ、所要の見直しを行う。
第2 主な改正内容
前文
・結核を取り巻く状況についての認識及び指針の目的等について見直しを行う。
第一 原因の究明
以下の内容を追記する。
・都道府県、保健所を設置する市及び特別区は、結核菌が分離された全ての結核患者の検体又は病原体を確保し、結核菌を収集し、積極的疫学調査に活用するほか、発生動向の把握や分析、対策の評価に用いるよう努めること。
・国は、特に重要な多剤耐性結核の患者の結核菌の収集のための体制整備を国の当面の目標とすること。
第二 発生の予防及びまん延の防止
以下の内容を追記する。
・65歳以上の住民の定期健康診断については、患者発見率等が低下傾向にあることを踏まえ、国は必要に応じてそのあり方を検討すること。
・地域ごとに定期健康診断の対象者の設定、受診勧奨方法等を十分に検証することが重要であること。
・接触者健康診断について、対象者を適切に選定し、必要かつ合理的な範囲について積極的かつ的確に実施することが望ましいこと。
第三 医療の提供
以下の内容を追記する。
・低まん延国化に向けて、潜在性結核感染症の者の確実な治療が重要であること。
・患者を中心とした医療の提供に向けて、病床単位で必要な結核病床を確保すること、結核病床とその他の病床を一つの看護単位として治療を行うこと等により医療提供体制の確保に努めること。
・中核的な病院、基幹病院、一般の医療機関が連携し、結核患者が身近な地域において個別の病態に応じた治療を受けられる地域医療連携体制整備が重要であること。
・国は、低まん延国化達成後の医療提供体制のあり方について、検討するものとすること。
・日本版DOTS戦略として、確実な治療のため、潜在性結核感染症の者も含め結核患者を中心として、その生活環境に合わせて服薬確認を軸とした患者支援等を推進すること。
・保健所が必要に応じて地域の関係機関へ積極的に地域DOTSの実施を依頼するなど、地域の結核対策の拠点としての役割を引き続き果たすこと。
・長期入院患者についても、退院を見据えて保健所が入院中から継続的に関与すること、入院しない結核患者についても治療初期の患者支援が重要であること。
・治療完遂後に保健所長が行う病状把握については発症リスクを踏まえて適切に実施すること。
第四 研究開発の推進
以下の内容を追記する。
・国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)や国立感染症研究所のみならず、民間団体、関連諸学会と連携し、それら及び海外の研究機関等の研究成果の相互活用を推進すること。
・国は、低まん延国化を見据えて定期のBCG接種のあり方の検討に資するため、必要な研究を進めること。
第五 国際的な連携、第六 人材の養成、第七 普及啓発及び人権の尊重
・主な改正事項無し。
第八 施設内(院内)感染の防止等
以下の内容を追記する。
・小児結核対策として、接触者健康診断の迅速な実施及び潜在性結核感染症の治療の徹底が必要であること。
第九 具体的な目標等
以下の内容を追記する。
・成果目標として、平成32年までに人口十万人対罹患率を10以下にすること。
・事業目標として、全結核患者及び潜在性結核感染症の者に対するDOTS実施率を95%以上にすること、肺結核患者の治療失敗・脱落率を5%以下にすること。
第3 適用期日
平成28年11月25日