[文書名] 「感染症対策特別促進事業について」の一部改正について
(平成31年4月9日)
(健発0409第1号)
(各都道府県知事・各保健所設置市市長・各特別区区長あて厚生労働省健康局長通知)
(公印省略)
標記については、平成20年3月31日健発第0331001号本職通知に定める各実施要綱に基づき行われているところであるが、今般、同通知の別添1「感染症予防体制整備事業実施要綱」の一部を別紙新旧対照表のとおり改正し、平成31年4月1日から適用することとしたので通知する。
なお、本事業の実施に当たっては、事業が円滑に実施されるよう貴管内における関係機関等への周知について、特段の御配慮をお願いする。
{別紙は省略}
別添1
感染症予防体制整備事業実施要綱
平成21年4月1日
最終一部改正
平成31年4月9日
1 目的
感染症予防のための体制整備や正しい知識の普及等を推進することにより、感染症の発生の予防及びまん延の防止を図り、もって公衆衛生の向上及び増進を図ることを目的とする。
2 実施主体
この事業の実施主体は、都道府県、政令市及び特別区とする。
3 対象事業
(1) 感染症指定医療機関職員等院内感染防止研修事業
新たな感染症の発生に備え、感染症指定医療機関等の医療従事者に対し、院内における感染の拡大防止のための実地研修等を行い、院内感染防止対策の充実・強化を図る。
ア 研修対象者
感染症指定医療機関等の医療従事者
イ 事業内容
(ア) 管内の感染症指定医療機関等における院内感染防止対策の充実・強化を図るため、感染症に関する情報提供体制を確立し、情報の共有化を図る。
(イ) 感染症指定医療機関等の医療従事者を対象とした院内感染防止に関する研修計画を策定する。
(ウ) 厚生労働省が主催する感染症の院内感染防止のための研修会へ職員を派遣し、その内容を管内の感染症指定医療機関等の医療従事者に対して伝達する講習を行う。
(2) 動物由来感染症予防体制整備事業
感染症の多くは、人の感染症のうち病原体が動物に由来する感染症(以下「動物由来感染症」という。)である。以下の事業を選択して実施することにより、動物由来感染症の予防体制の整備を行う。
ア 事業内容
(ア) 研修・普及啓発
都道府県等は、医療関係者及び地域住民に対し、動物由来感染症に関する正しい知識を普及し、動物由来感染症の予防、迅速な診断及び治療等に寄与するため、研修会の開催及びポスターの作成等による普及啓発を行う。
(イ) 動物由来感染症に関する情報収集、分析及び提供体制の整備
a 情報関連体制整備検討会の設置
本事業の適切な運用を図るため、都道府県等は、獣医学、医学等の専門家5名程度から成る検討会(以下「情報関連体制整備検討会」という。)を設置し、情報収集の手段並びに情報の分析及び提供に関する事業計画の立案を行う。
b 動物由来感染症疫学情報の収集
都道府県等は、管下の動物の飼育、管理又は棲息状況等を勘案して、調査点及び時期等を定め、管内の動物管理センター等の関係機関及び地域の獣医師会等の協力の下、発生状況及び動向、抗体保有状況等疫学情報を収集する。
また、必要に応じ、抗体保有状況等調査の結果が陽性となった動物の所有者等又は動物由来感染症と診断された患者が所有する動物等の調査結果等についての情報収集を行い、行政機関、医療機関及び獣医療機関間で情報を共有することにより相互の連携体制を確立する。
(ウ) 情報提供
都道府県等は、情報関連体制整備検討会での検討結果を踏まえ、医療機関及び獣医療機関が、迅速かつ適切に動物由来感染症による健康危害防止対策を講じられるよう、調査結果を医療機関、獣医療機関等に情報提供し、併せて保健所、動物管理センター等の行政機関を活用することにより、地域の住民及び動物等取扱業者に情報提供を行う。
(エ) 対応計画の策定及び連携体制の整備
a 対応体制整備検討会の設置
動物由来感染症の発生予防とともに発生時の適切かつ迅速な対応に資するため、都道府県等は、獣医学、医学等の専門家5名程度から成る検討会(以下「対応体制整備検討会」という。)を設置し、事前に地域の実情に合わせた必要な対応について検討を行う。
b 発生時対応計画等の策定
都道府県等は、対応体制整備検討会の検討結果に基づき、発生時対応計画、マニュアル等を作成し、動物由来感染症対策に関係する部門(感染症対策担当部門、環境衛生対策担当部門、動物対策担当部門等)及び関係機関(保健所、動物管理センター等、地方衛生研究所、地方医師会、医療機関、地方獣医師会、獣医療機関、大学等)間で共有し、連携体制を整備する。
イ 事業実施上の留意事項
(ア) 研修及び普及啓発について
都道府県等は、感染症に関する有識者の意見を踏まえつつ、研修会等の企画立案を行う。
(イ) 動物由来感染症に関する情報収集、分析及び提供体制の整備について
a 情報収集項目の選定
対象とする感染症及びその感染源となり得る動物等について情報関連体制整備検討会で選定する。
b 情報の収集手段及び協力機関の選定
情報の収集のための協力機関(保健所、動物管理センター等、地方衛生研究所、地方医師会、医療機関、地方獣医師会、獣医療機関、大学等)を設け、情報収集方法を選定する。
c 情報の分析
都道府県等は、収集された情報について、月別、年別、地域別等多角的な集計を行い、そのデータを基に検討会で専門家による分析を行うこと。ただし、緊急的な対応が必要な場合は、この限りでない。
(ウ) 対応計画の策定及び連携体制の整備について
関係機関等は、平時より情報交換等を行うことにより連携体制の強化を図る。
(エ) 検討会について
都道府県等が、(2)ア(イ)及び(2)ア(エ)の両事業を実施する場合にあっては、(2)ア(イ)a「情報関連体制整備検討会」及び(2)ア(エ)b「対応体制整備検討会」を「動物由来感染症対策検討会」等の名称により共用の検討会として設置しても差し支えない。
(3) 特定感染症対策事業(性感染症・インフルエンザ)
特定感染症対策として、総合的に予防のための施策を推進する必要がある性感染症及びインフルエンザに関する対策を推進するため、これらの特定感染症に関する正しい知識の普及啓発等を図る。
ア 事業内容
(ア) 事業所等への出張講習会
都道府県等は、産婦人科の医師又は泌尿器科の医師を事業所等へ講師として派遣し、性感染症に関する正しい知識の普及を行う。
また、インフルエンザの予防等正しい知識の普及啓発を行うためのポスター、リーフレットを作成及び配付し、発生の予防及びそのまん延の防止を図る。
(イ) ポスター、リーフレット等の作成・配付による普及啓発
都道府県等は、性感染症に関する正しい知識の普及、性感染症検査への受診勧奨等地域の実情に合わせた情報提供を行うためにポスター、リーフレット等を作成し、「性の健康週間」等の時期に合わせて配付するものとする。
イ 事業実施上の留意事項
地域住民及び医療関係者に対し、広報誌等を通じて広く事業の周知を図るものとする。
(4) 結核患者早期発見促進事業
結核新登録患者のうち大きな割合を占める80歳以上の高齢者等に対し、普及啓発や研修等の実施により結核に対する理解を深め、結核患者の早期発見につなげることで、結核対策の推進を図る。
ア 事業内容
(ア) ポスター、リーフレット等の作成・配布による普及啓発
都道府県等は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第53条の2に基づく定期健康診断(以下「定期健康診断」という。)の周知や受診案内、高齢者が結核り患率の高い層であることを含めた結核に関する正しい知識の普及等、結核患者の早期発見につながる内容のポスター、リーフレット等を作成し、80歳以上の高齢者及びその同居者や当該高齢者に頻繁に接する者(通所介護等の事業所・施設の職員等)へ効果的に伝わる場所において配付するものとする。
※定期健康診断対象者へ個別勧奨するための郵便費用は除く
(イ) 結核患者早期発見に資する研修会等の実施
都道府県等は、80歳以上の高齢者及びその同居者や当該高齢者に頻繁に接する者(通所介護等の事業所・施設の職員等)に対し、結核に関する研修会等を実施することにより、定期健康診断の受診や必要に応じて医療機関の受診を促し、結核患者の早期発見を図るものとする。
イ 事業実施上の留意事項
都道府県等は、「高齢者における結核発病患者の早期発見対策について」(平成30年4月27日健感発0427第1号)及び「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第53条の2に基づく定期の健康診断に係る受診案内について」(平成30年9月3日健感発0903第1号)の内容を考慮の上、当該事業を実施すること。
4 経費の負担
都道府県、政令市及び特別区がこの実施要綱に基づき実施する事業に要する経費については、厚生労働大臣が別に定める「感染症予防事業費等国庫負担(補助)金交付要綱」に基づいて、予算の範囲内で国庫補助を行うものとする。