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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 世界保健機関(WHO)新型コロナウイルス起源調査に関する共同声明

[場所] 
[年月日] 2021年3月31日
[出典] 外務省
[備考] 声明仮訳
[全文] 

豪州、カナダ、チェコ、デンマーク、エストニア、イスラエル、日本、ラトビア、リトアニア、ノルウェー、大韓民国、スロベニア、英国、米国の各国政府は、我々の集団としての世界的な健康安全保障(グローバル・ヘルス・セキュリティ)と対応を改善するため、このパンデミックの起源を理解するべく、世界保健機関(WHO)、重要な使命を担う国際的な専門家、及び国際社会と協力するとのコミットメントを堅持する。 我々は、COVID-19パンデミックの起源について、干渉や不当な影響を受けず、透明性のある独立した分析・評価を行うことを支持する。これに関連して、我々は、最近、WHOが中国で実施した調査について、共通の懸念を表明するとともに、将来、このような未知の感染症の発生を国際的に評価するための、迅速かつ効果的で、透明性のある、科学的根拠に基づいた独立したプロセスの確立と活用に向けて協力することの重要性を同時に強調する。

WHOのミッションは、国際保健と世界的な健康安全保障(グローバル・ヘルス・セキュリティ)を推進する上で不可欠である。我々はWHOの専門家や職員を全面的に支援し、COVID-19のパンデミックがいかにして発生し広がったのかを解明するなど、パンデミックの終息に向けた彼らのたゆまぬ努力を認識する。このような重要な任務を担っている以上、SARS-CoV-2ウイルスの発生源に関する国際専門家による調査の実施が大幅に遅れ、完全なオリジナルのデータ及び検体へのアクセスが欠如していたという共通の懸念を表明することも同様に極めて重要である。このような科学的調査は、独立した客観的な提言と調査結果が得られる状況下で行われるべきである。我々がこのような懸念を共有するのは、今回のパンデミックの起源についてできる限りの情報を得るためのみならず、この研究の次の段階や次の健康危機に対して、タイムリーで透明性の高い、証拠に基づくプロセスへの道筋をつけるためでもある。

我々は、ヒトへの感染経路を探るための更なる動物調査の必要性を含む調査結果・提言に留意し、専門家主導の第二段階の調査に向けたモメンタムを要請する。今後、WHOと全ての加盟国は、アクセス、透明性、適時性を確保するとのコミットメントを新たにしなければならない。パンデミックを引き起こし得る未知の病原体が発生した場合、我々の国民、公衆衛生機関、産業界、政府がより良く対応し、将来のパンデミックを防ぐための備えをするには、迅速で独立した、専門家主導の、干渉を受けない起源の評価が不可欠である。独立した専門家にとって、今回のパンデミックがいかにして発生したのかを判断するためには、関連する全てのヒト、動物、環境のデータ、研究、発生初期段階に関わった当事者に完全にアクセスできることが極めて重要である。全てのデータが揃っていれば、国際社会はCOVID-19の起源を独立して評価し、このパンデミックから貴重な教訓を得て、将来の病気の発生による壊滅的な結果の招来を防ぐことができる。

我々は、透明性、プライバシーの尊重、科学・研究公正の原則に則り、全ての関係者の間で完全かつオープンな協力関係の下に実施される、未知の起源の感染症発生を迅速に調査するための強固で包括的な、専門家主導のメカニズムの必要性を強調する。我々は、WHOと協力して能力を強化し、世界の健康安全保障(グローバル・ヘルス・セキュリティ)を向上させ、将来の感染症の発生を探知し、それに備え、対応する世界の能力に対する人々の信頼を得られるよう取り組んでいく。