データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第74回世界保健総会政府代表演説(田村憲久厚生労働大臣)

[場所] 
[年月日] 2021年5月25日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

第74回世界保健総会政府代表演説

日本政府の厚生労働大臣の田村憲久です。今般のCOVID-19のパンデミックにおいて、献身的な働きをされているテドロス事務局長とWHO事務局の皆さまに感謝申し上げます。

まず、COVID-19については、我が国は、国民の健康と命を守り抜くことを最優先とし、強い危機感を持って、変異株への対応や水際対策の強化等に取り組んでいるところです。

また、我が国は、COVID-19のワクチンへの公平なアクセスの確保を全面的に支援しています。6月2日、我が国は、COVAXワクチン・サミットをGaviと共催します。サミットの共催を通じて、安全性、有効性、品質が保証されたワクチンの公平な確保に貢献する考えです。

次に、今般のパンデミックにより、必要不可欠な保健サービスの重要性が誰の目にも明らかになりました。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進を基本として、WHOが地域や国の多様性に沿った支援に引き続き取り組まれることを期待します。

一方、今般のパンデミックの検証・改革を進めることも、国際的な感染症対応の強化につながると考えます。「(パンデミックへの備えと対応に関する)独立パネル」や「IHR検証委員会」の提言を踏まえ、世界の公衆衛生の中核機関としてWHOの役割が整理、強化されることを期待します。

また、国際的な感染症対応においては、台湾のような公衆衛生上の成果を上げた地域を参考にすることや、特定の地域が取り残されることによる地理的空白を生じさせないことも、世界全体の感染拡大防止の目的に適うものと考えます。

さらに、新型コロナウイルス起源のWHO国際調査に関しては、元データや検体へのアクセスの向上や透明性等を確保するための取組の強化を求めます。

最後に、COVID-19により、栄養不良や発育阻害の問題が一層深刻化しています。我が国は、東京栄養サミットを通じて世界でこれらの課題への取組が進むよう後押ししていきます。

日本政府は、今後とも、全ての人々が健康でいられるよう、WHOの活動を積極的に支援していきます。