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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書

[場所] モントリオール
[年月日] 1987年9月16日
[出典] 外務省条約局,条約集(昭和64年 平成元年 多数国間条約)1‐22頁.
[備考] 
[全文]

昭和六十二年 九月十六日 モントリオールで作成

昭和六十四年 一月一日 効力発生

昭和六十三年 四月二十七日 国会承認

昭和六十三年 九月三十日 受諾の閣議決定

昭和六十三年 九月三十日 受諾所寄託

昭和六十三年 十二月二十七日 公布及び告示(条約第九号及び外務省告示第六五九号)

昭和六十四年 一月一日 我が国について効力発生

 前文

 この議定書の締約国は、

 オゾン層の保護のためのウィーン条約の締約国として、

 同条約に基づく、オゾン層を変化させ又は変化させるおそれのある人の活動の結果として生じ又は生ずるおそれのある悪影響から人の健康及び環境を保護するために適当な措置をとる義務があることに留意し、

 ある種の物質の世界的規模における放出が、人の健康及び環境に悪影響を及ぼすおそれのある態様でオゾン層の著しい破壊その他の変化を生じさせる可能性のあることを認識し、

 この物質の放出が気候に及ぼす潜在的な影響を意識し、

 オゾン層を保護するための措置が、技術的及び経済的考慮を払つたものであり、かつ、関連のある科学的知識に基づいたものであるべきことを認識し、

 技術的及び経済的考慮を払い、かつ、開発途上国の開発の必要に留意しつつ、科学的知識の発展の成果に基づきオゾン層を破壊する物質の放出を無くすことを最終の目標として、この物質の世界における総放出量を衡平に規制する予防措置をとることによりオゾン層を保護することを決意し、

 開発途上国の必要を満たすため、追加的な財源及び関連のある技術の利用に関する措置を含む特別な措置が必要であることを確認し、また、必要な資金の規模が予測できること並びにこの資金が科学的に確認されたオゾン層の破壊及びその有害な影響の問題に取り組むための世界の能力を実質的に高めることが期待できることに留意し、

 国内的及び地域的に既にとられているある種のクロロフルオロカーボンの放出を規制する予防措置に留意し、

 開発途上国の必要に特に留意しつつ、オゾン層を破壊する物質の放出の規制及び削減に関連のある代替技術の研究、開発及び移転における国際協力を推進することが重要であることを考慮して、

 次のとおり協定した。

第一条 定義

 この議定書の適用上、

1 「条約」とは、千九百八十五年三月二十二日に採択されたオゾン層の保護のためのウィーン条約をいう。

2 「締約国」とは、文脈により別に解釈される場合を除くほか、この議定書の締約国をいう。

3 「事務局」とは、条約の事務局をいう。

4 「規制物質」とは、附属書A、附属書B、附属書C又は附属書Eに掲げる物質(他の物質と混合してあるかないかを問わない。)をいい、関係附属書に別段の定めがない限り、当該物質の異性体を含む。ただし、製品(輪送又は貯蔵に使用する容器を除く。)の中にあるものを除く。

5 「生産量」とは、規制物質の生産された量から締約国により承認された技術によつて破壊された量を減じた量をいう。

6 「消費量」とは、生産量に規制物質の輸入量を加え、輸出量を減じた量をいう。

7 生産量、輸入量、輸出量及び消費量の「算定値」とは、第三条の規定に従つて決定される値をいう。

8 「産業合理化」とは、経済効率を高めること又は工場閉鎖の結果として予想される供給の不足に対応することを目的として、生産量の算定値の全部又は一部をいずれかの締約国から他の締約国に移転することをいう。

第二条 規制措置

1 締約国は、この議定書が効力を生じた日から七番目の月の初日に始まる十二箇月の期間及びその後の十二箇月の期間ごとの附属書AのグループIに属する規制物質の消費量の算定値が千九百八十六年における当該物質の消費量の算定値を超えないことを確保する。当該物質の一又は二以上を生産する締約国は、これらの期間ごとの当該物質の生産量の算定値が千九百八十六年の生産量の算定値を超えないことを確保する。ただし、当該締約国の生産量の算定値は、第五条の規定の適用を受ける締約国の基礎的な国内需要を満たすため及び締約国間の産業合理化のためにのみ、千九百八十六年の算定値をその十パーセントを限度として超えることができる。

2 締約国は、この議定書が効力を生じた日から三十七番目の月の初日に始まる十二箇月の期間及びその後の十二箇月の期間ごとの附属書AのグループIIに属する規制物質の消費量の算定値が千九百八十六年における当該物質の消費量の算定値を超えないことを確保する。当該物質の一又は二以上を生産する締約国は、当該物質の生産量の算定値が千九百八十六年の生産量の算定値を超えないことを確保する。ただし、当該締約国の生産量の算定値は、第五条の規定の適用を受ける締約国の基礎的な国内需要を満たすため及び締約国間の産業合理化のためにのみ、千九百八十六年の算定値をその十パーセントを限度として超えることができる。これらの措置を実施するための仕組みは、第一回の科学的再検討の後最初に開催される締約国の会合において締約国が決定する。

3 締約国は、千九百九十三年七月一日から千九百九十四年六月三十日までの期間及びその後の十二箇月の期間ごとの附属書AのグループIに属する規制物質の消費量の算定値が千九百八十六年における当該物質の消費量の算定値の八十パーセントを超えないことを確保する。当該物質の一又は二以上を生産する締約国は、これらの期間ごとの当該物質の生産量の算定値が千九百入十六年の生産量の算定の八十パーセントを超えないことを確保する。ただし、当該締約国の生産量の算定値は、第五条の規定の適用を受ける締約国の基礎的な国内需要を満たすため及び締約国間の産業合理化のため、千九百八十六年の生産量の算定値の十パーセントを限度として当該算定値の八十パーセントを超えることができる。

4 締約国は、千九百九十八年七月一日から千九百九十九年六月三十日までの期間及びその後の十二箇月の期間ごとの附属書AのグループIに属する規制物質の消費量の算定値が千九百八十六年における当該物質の消費量の算定値の五十パーセントを超えないことを確保する。当該物質の一又は二以上を生産する締約国は、これらの期間ごとの当該物質の生産量の算定値が千九百八十六年の生産量の算定値の五十パーセントを超えないことを確保する。ただし、当該締約国の生産量の算定値は、第五条の規定の適用を受ける締約国の基礎的な国内需要を満たすため及び締約国間の産業合理化のため、千九百八十六年の生産量の算定値の十五パーセントを限度として当該算定値の五十パーセントを超えることができる。この4の規定は、会合において出席しかつ投票する締約国の三分の二以上の多数であつて締約国による附属書Aのグループーに属する物質の消費量の算定値の合計の少なくとも三分の二を代表するものによる議決で締約国が別段の決定を行わない限り、適用する。当該別段の決定は、第六条の評価に照らして検討し及び行うものとする。

5 附属書Aのグループーに属する規制物質の千九百八十六年の生産量の算定値が二十五キロトンに満たない締約国は、産業合理化のため、1、3及び4に定める限度にかかわらず、生産量を他の締約国に移転し又は他の締約国から受領することができる。ただし、関係締約国の生産量の算定値の合計がこの条に定める生産量の算定値の限度を超えないことを条件とする。この生産量の移転は、移転の時までに事務局に通報する。

6 第五条の規定の適用を受けない締約国は、千九百八十七年一月一日前に国内法に基づき計画された施設のうち附属書A又は附属書Bに掲げる規制物質の生産のためのもので同年九月十六日前に着工し又は契約したものを有する場合には、千九百八十六年の生産量の算定値を決定するに当たり、当該物質の同年の生産量に当該施設の生産量を加えることができる。ただし、当該施設が千九百九十年十二月三十一日までに完成し、かつ、当該施設の生産量を加えた場合にも当該締約国の規制物質の消費量の算定値が一人当たり、〇.五キログラムを超えないことを条件とする。

7 生産量の5の規定に基づく移転及び6の規定に基づく追加は、当該移転又は追加の時までに事務局に通報する。

8(a) 条約第一条6に定義する地域的な経済統合のための機関の構成国である締約国は、この条に定める消費量に関する義務を共同して履行することを合意することができる。ただし、当該締約国の消費量の算定値の合計がこの条の定める限度を超えないことを条件とする。

(b) (a)の合意を行つた締約国は、当該合意に係る消費量の削減の日前に当該合意の内容を事務局に通報する。

(c) (a)の合意は、地域的な経済統合のための機関のすべての構成国及び当該機関がこの議定書の締約国となり、かつ、当該締約国の実施の方法を事務局に通報した場合にのみ、実施可能となる。

9(a) 締約国は、第六条の評価に基づいて、次の事項を決定することができる。

(i) 附属書Aに掲げるオゾン破壊係数を調整すること及び調整する場合にはその内容

(ii) 規制物質の生産量又は消費量を千九百八十六年の水準に対して更に調整し又は削減すること並びに調整し又は削減する場合にはその範囲、量及び時期

(b) (a)の(i)及び(ii)の調整に関する提案は、その採択が提案される締約国の会合の少なくとも六箇月前に事務局が締約国に通報する。

(c) 締約国は、(a)の決定を行うに当たり、コンセンサス方式により合意に達するようあらゆる努力を払う。コンセンサスのためのあらゆる努力にもかかわらず合意に達しない場合には、当該決定は、最後の解決手段として、出席しかつ投票する締約国の三分の二以上の多数であつて締約国による規制物質の消費量の合計の少なくとも五十パーセントを代表するものによる議決で採択する。

(d) この9の決定は、すべての締約国を拘束するものとし、寄託者は、これを直ちに締約国に通告する。当該決定は、当該決定に別段の定めがある場合を除くほか、寄託者による通告の送付の日から六箇月を経過した時に効力を生ずる。

10(a) 締約国は、第六条の評価に基づき及び条約第九条に定める手続に従つて、次の事項を決定することができる。

(i) いずれかの物質をこの議定書の附属書に追加し又は当該附属書から削除すること。

(ii) (i)の規定に基づいて追加し又は削除する物質に適用すべき規制措置の仕組み、範囲及び時期

(b) (a)の決定は、出席しかつ投票する締約国の三分の二以上の多数票による議決で受諾されていることを条件として効力を生ずる。

11 締約国は、この条の規定にかかわらず、この条の定める措置よりも厳しい措置をとることができる。

第三条 規制値の算定

 締約国は、前条及び第五条の規定の適用上、附属書Aのグループごとに自国についての算定値を次の方法により決定する。

(a) 生産量の算定値については、

(i) 各規制物質の年間生産量に附属書Aに定める当該物質のオゾン破壊係数を乗じ、

(ii) (i)の規定により得られた数値を合計する。

(b) 輸入量及び輸出量の算定値については、(a)の規定を準用して計算する。

(c) 消費量の算定値については、(a)の規定により決定される生産量の算定値に(b)の規定により決定される輸入量の算定値を加え、(b)の規定により決定される輸出量の算定値を減ずる。ただし、非締約国への規制物質の抽出量は、千九百九十三年一月一日以降は、当該輸出を行う締約国の消費量の算定に当たり減ずることができない。

第四条 非締約国との貿易の規制

1 締約国は、この議定書の締約国でない国から規制物質を輸入することをこの議定書の効力発生の日から一年以内に禁止するものとする。

2 次条1の規定の適用を受ける締約国は、千九百九十三年一月一日以降この議定書の締約国でない国に対し規制物質を輸出することが出来ない。

3 締約国は、この議定書の効力発生の日から三年以内に、規制物質を含んでいる製品の表を第十条に定める手続きに従つて附属書に定めるものとする。当該附属書に対し当該手続に従つて異議の申立てを行わなかつた締約国は、この議定書の締約国でない国から当該製品を輸入することを当該附属書の効力発生の日から一年以内に禁止するものとする。

4 締約国は、この議定書の締約国でない国から規制物質を用いて生産された製品(ただし、規制物質を含まないものに限る。)を輸入することを禁止し又は制限することの実行可能性についてこの議定書の効力発生の日から五年以内に決定する。締約国は、実行可能であると決定した場合には、当該製品の表を条約第十条に定める手続に従つて附属書に定める。当該附属書に対し当該手続に従つて異議の申立てを行わなかつた締約国は、この議定書の締約国でない国から当該製品を輸入することを当該附属書の効力発生の日から一年以内に禁止し又は制限するものとする。

5 締約国は、規制物質を生産し及び利用するための技術をこの議定書の締約国でない国に対し輸出しないよう勧奨する。

6 締約国は、規制物質の生産に役立つ製品、装置、工場又は技術をこの議定書の締約国でない国に輸出するための新たな補助金、援助、信用、保証又は保険の供与を行わないようにする。

7 5及び6の規定は、規制物質の封じ込め、回収、再利用若しくは破壊の方法を改善し、代替物質の開発を促進し又は他の方法により規制物質の放出の削減に寄与する製品、装置、工場及び技術については、適用しない。

8 この条の規定にかかわらず、この議定書の締約国でない国からの1、3及び4の輸入については、当該国が第二条及びこの条の規定を完全に遵守していることを示す資料を第七条の規定に基づいて提出している場合には、許可することができる。

第五条 開発途上国の特別な事情

1 開発途上国である締約国で、当該締約国の規制物質の消費量の算定値が当該締約国についてこの議定書が効力を生ずる日において又はその後この議定書の効力発生の日から十年以内のいずれかの時点において一人当たり〇.三キログラム未満であるものは、基礎的な国内需要を満たすため、第二条の1から4までに定める規制措置の実施時期を十年遅らせることができる。ただし、当該締約国は、消費量の算定値が一人当たり〇.三キログラムを超えないようにする。当該締約国は、規制措置を実施する為の基準として、千九百九十五年から千九百九十七年までの各年の消費量の算定値の平均値又は消費量の算定値が一人当たり〇.三キログラムとなる値のいずれか低い値を使用することができる。

2 締約国は、開発途上国である締約国による環境上安全な代替物質及び代替技術の取得を円滑にし及びその速やかな利用を援助することを約束する。

3 締約国は、開発途上国である締約国による代替技術及び代替製品の利用のため、補助金、援助、信用、保証又は保険の供与を二国間又は多数国間で促進することを約束する。

第六条 規制措置の評価及び再検討

 締約国は、千九百九十年に及び同年以降少なくとも四年ごとに、科学、環境、技術及び経済の分野の入手し得る情報に基づいて、第二条に定める規制措置を評価する。締約国は、その評価の少なくとも一年前に、当該分野において認められた専門家から成る適当な委員会を招集し並びに委員会の構成及び付託事項を決定する。委員会は、その招集の日から一年以内に、その結論を事務局を通じて締約国に報告する。

第七条 資料の提出

1 締約国は、千九百八十六年における自国の規制物質の生産量、輸入量及び輸出量に関する統計資料又は、当該統計資料が得られない場合には、その最良の推定値を締約国となつた日から三箇月以内に事務局に提出する。

2 締約国は、締約国となつた年及びその後毎年自国の規制物質の年間生産量(締約国により承認された技術によつて破壊された量に関しては、別の資料に明示する)、年間輸入量並びに締約国及び非締約国それぞれに対する年間輸出量に関する統計資料を事務局に提出する。統計資料は、当該統計資料に係る年の末から遅くとも九箇月以内に送付する。

第八条 違反

 締約国は、その第一回会合において、この議定書に対する違反の認定及び当該認定をされた締約国の処遇に関する手続及び制度を検討し及び承認する。

第九条 研究、開発、周知及び情報交換

1 締約国は、自国の法令及び慣行に従い、開発途上国の必要を特に考慮して、次の事項に関する研究、開発及び情報交換を直接に又は関係国際団体を通じて促進することに協力する。

(a) 規制物質の封じ込め、回収、再利用若しくは破壊の方法を改善し又は他の方法により規制物質の放出を削減するための最良の技術

(b) 規制物質、規制物質を含んでいる製品及び規制物質を用いて製造された製品の代替品

(c) 関連のある規制のための戦略の費用及び利益

2 締約国は、個々に、共同で又は関係国際団体を通じ、規制物質及びオゾン層を破壊する他の物質の放出が環境に及ぼす影響について周知を図ることに協力する。

3 締約国は、この議定書の効力発生の日から二年以内に、及びその後二年ごとに、この条の規定に基づいて実施した活動の概要を事務局に提出する。

第十条 技術援助

1 締約国は、条約第四条の規定の範囲内で及び開発途上国の必要を特に考慮して、この議定書への参加及びこの議定書の実施を円滑にするための技術援助を促進することに協力する。

2 締約国又はこの議定書の署名国は、この議定書の実施又はこれへの参加のための技術援助の要請を事務局に提出することができる。

3 締約国は、その第一回会合において、前条並びに1及び2の規定を実施する手段に関する審議(作業計画の準備を含む。)を開始する。当該作業計画は、開発途上国の必要及び事情に特別の考慮を払つたものとする。この議定書の締約国でない地域的な経済統合のための機関又は国は、当該作業計画に定める活動に参加することを奨励されるべきである。

第十一条 締約国の会合

1 締約国は、定期的に会合を開催する。事務局は、この議定書の効力発生の日の後一年以内に(その期間内に条約の締約国会議の会合が予定されている場合には、当該会合と併せて)締約国の第一回会合を招集する。

2 締約国のその後の通常会合は、締約国が別段の決定を行わない限り、条約の締約国会議の会合と併せて開催する。締約国の特別会合は、締約国がその会合において必要と認めるとき又は締約国から書面による要請のある場合において事務局がその要請を締約国に通報した後六箇月以内に締約国の少なくとも三分の一がその要請を支持するとき、開催する。

3 締約国は、その第一回会合において、次のことを行う。

(a) 締約国の会合の手続規則をコンセンサス方式により採択すること。

(b) 第十三条2の財政規則をコンセンサス方式により採択すること。

(c) 第六条の委員会を設置し及びその付託事項を決定すること。

(d) 第八条の手続及び制度を検討し及び承認すること。

(e) 前条3の規定に従つて作業計画の準備を開始すること。

4 締約国の会合は、次の任務を遂行する。

(a) この議定書の実施状況を検討すること。

(b) 第二条9の調整及び削減について決定すること。

(c) 第二条10の規定に基づき附属書への物質の追加及び附属書からの物質の削除並びに関連のある規制措置について決定すること。

(d) 必要な場合には、第七条及び第九条3に規定する情報の提出のための指針又は手続を定めること。

(e) 前条2の規定に基づいて提出される技術援助の要請を検討すること。

(f) 次条(c)の規定に基づいて事務局が作成する報告書を検討すること。

(g) 第二条に定める規則措置を第六条の規定に従つて評価すること。

(h) 必要に応じ、この議定書及び附属書の改正の提案並びに新たな附属書の提案を検討し及び採択すること。

(i) この議定書の実施のための予算を検討し及び採択すること。

(j) この議定書の目的を達成するために必要となる追加的な活動を検討し及び行うこと。

5 国際連合、その専門機関及び国際原子力機関並びにこの議定書の締約国でない国は、締約国の会合にオブザーバーを出席させることができる。オゾン層の保護に関連のある分野において認められた団体又は機関(国内若しくは国際の又は政府若しくは非政府のもののいずれであるかを問わない。)であつて、締約国の会合にオブザーバーを出席させることを希望する旨事務局に通報したものは、当該会合に出席する締約国の三分の一以上が反対しない限り、オブザーバーを出席させることを認められる。オブザーバーの出席及び参加は、締約国が採択する手続規則の適用を受ける。

第十二条 事務局

 この議定書の適用上、事務局は、次の任務を遂行する。

(a) 前条に定める締約国の会合を準備し及びその会合のための役務を提供すること。

(b) 第七条の規定に基づいて提出された資料を受領し及び締約国の要請があつたときはその利用に供すること。

(c) 第七条及び第九条の規定により受領する情報に基づいて定期的に報告書を作成し、締約国に配布すること。

(d) 第十条の規定により受ける技術援助の要請を、当該技術援助の供与を促進するため締約国に通報すること。

(e) 非締約国に対し、締約国の会合にオブザーバーを出席させ及びこの議定書に沿つて行動するよう奨励すること。

(f) 非締約国のオブザーバーに適宜(c)の情報を提供し及び(d)の要請を通報すること。

(g) この議定書の目的を達成するため、締約国により課される他の任務を遂行すること。

第十三条 財政規定

1 この議定書の実施に必要な資金(この議定書に関する事務局の任務に必要なものを含む。)には、専ら締約国の分担金を充てる。

2 締約国は、その第一回会合において、この議定書の実施のための財政規則をコンセンサス方式により採択する。

第十四条 この議定書と条約との関係

 条約における議定書に関する規定は、この議定書に別段の定めがある場合を除くほか、この議定書について適用する。

第十五条 署名

 この議定書は、千九百八十七年九月十六日にモントリオールにおいて、同年九月十七日から千九百八十八年一月十六日まではオタワにおいて及び同年一月十七日から同年九月十五日まではニュー・ヨークにある国際連合本部において、国及び地域的な経済統合のための機関による署名のために開放しておく。

第十六条 効力発生

1 この議定書は、十一以上の国又は地域的な経済統合のための機関であつて、規制物質の千九百八十六年における推定消費量の合計が同年における世界の推定消費量の少なくとも三分の二を代表するものによりこの議定書の批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託されていること及び条約第十七条1に規定する要件が満たされていることを条件として、千九百八十九年一月一日に効力を生ずる。同日までに当該条件が満たされなかつた場合には、この議定書は、当該条件が満たされた日の後九十日目の日に効力を生ずる。

2 地域的な経済統合のための機関によつて寄託される文書は、1の規定の適用上、当該機関の構成国によつて寄託されたものに追加して数えてはならない。

3 この議定書の効力発生の後は、国又は地域的な経済統合のための機関は、その批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の日の後九十日目の日にこの議定書の締約国となる。

第十七条 効力発生の後に参加する締約国

 第五条の規定の適用を受ける場合を除くほか、この議定書の効力が生じた日の後にこの議定書の締約国となる国又は地域的な経済統合のための機関は、当該国又は機関が締約国となつた日においてこの議定書の効力発生の日から締約国であつた国又は地域的な経済統合のための機関が負つている第二条及び第四条の規定に基づくすべての義務と同一の義務を直ちに履行する。

第十八条 留保

 この議定書については、留保は、付することができない。

第十九条 脱退

 この議定書の適用上、第五条1の規定の適用を受ける締約国を除くほか、条約第十九条の脱退に関する規定が適用される。第五条1の規定の適用を受ける締約国は、第二条の1から4までの義務を四年間負つた後いつでも、寄託者に対して書面による通告を行うことにより、この議定書から脱退することができる。脱退は、寄託者が脱退の通告を受領した日の後一年を経過した日又はそれよりも遅い日であつて脱退の通告において指定されている日に効力を生ずる。

第二十条 正文

 アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とするこの議定書の原本は、国際連合事務総長に寄託する。

以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの議定書に署名した。

千九百八十七年九月十六日にモントリオールで作成した。