[文書名] 気候技術に関する自発的活動のための実施協定
平成十五年七月十四日 パリで作成
平成十五年九月十九日 我が国についての効力発生
平成十五年十二月八日 告示(外務省告示第四七〇号)
前文
第一条に定義する参加者による合意
第一条に定義するIEA加盟国の政府が、同条に定義するIEP協定第四十一条において、同協定第四十二条に規定する分野における自国の計画の実施に合意したので、
締約者が、この協定に定め、第一条に定義する年次作業計画を、作成し及び運用することを希望するので、
IEAの理事会が二千三年七月十四日に年次作業計画をIEP協定第六十五条に規定する特別活動として承認し及び気候技術に関する自発的活動のためのIEAの実施協定の作成を承認したので、
国際エネルギー技術協力のためのIEAの枠組みが二千三年四月三日に理事会によって承認されたので、
オーストリア、カナダ、デンマーク、ドイツ、日本国、ノルウェー、英国及びアメリカ合衆国の政府が、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)に署名しかつ批准し、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において地球の大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを達成するUNFCCCの目的を了知し、「他の締約国(特に開発途上締約国)がUNFCCCを実施することができるようにするため、適当な場合には、これらの他の締約国に対する環境上適正な技術及びノウハウの移転又は利用の機会の提供について、促進し、容易にし及び資金を供与するための実施可能なすべての措置をとる」ことを約束したので、
参加者が、地球規模の気候変動に関連するものを含め環境問題に対処するためのその個々の及び共同の責任を認識して、環境上適正な技術及び方式の開発及び普及を容易にすることに係るものに焦点を合わせる一連の活動(特に開発途上国及び移行国における固有の能力及び技術の開発及び向上を含む。)を協力して行うことを希望するので、
参加者が、特に開発途上国及び移行国における環境上適正な技術及び方式の開発及び普及を容易にすることに関する協同活動(そのような環境上適正な技術及び方式の採用、運用及び維持を確保するために必要な固有の能力の開発を含む。)により、IEAの共通目標に従って開発途上国及び移行国への技術移転を更に進めることを希望しているので、
参加者は、ここに次のとおり協定する。
第一条 定義
1.1 「活動の長」とは、年次作業計画の下で計画における活動について調整の責任を有する個人又は団体をいう。
1.2 「機関」又は「IEA」とは、国際エネルギー機関をいう。
1.3 「附属書」とは、この協定の付録であり、かつ、その不可分の一部を成し及び附属書の目的である活動を参加者が実施する方法(財政上の約束その他の支援の手段を含む。)を規定するものをいう。
1.4 「年次作業計画」とは、この協定及びその附属書がある場合にはその附属書に基づいて実施される毎年の作業計画をいう。
1.5 「年次報告」とは、この協定及びその附属書がある場合にはその附属書の計画及び事業であって毎年一月一日から十二月三十一日までの期間におけるものの進展に関する報告をいう。
1.6 「CERT」とは、IEAのエネルギー研究技術委員会をいう。
1.7 「締約者」とは、政府、政府若しくは欧州共同体によって指定された団体又は国際機関であって、この協定に署名し又は加入し、かつ、この協定から脱退していないものをいう。
1.8 「執行委員会」とは、第四条の規定に従って設置される委員会をいう。
1.9 「会計年度」とは、毎年一月一日から十二月三十一日までの十二箇月の期間をいう。
1.10 「理事会」とは、IEAの理事会をいう。
1.11 「IEAの枠組み」とは、理事会が二千三年四月三日に採択した国際エネルギー技術協力のためのIEAの枠組み及びその改正をいう。IEAの枠組みは、この協定の文書Aとして附属し、かつ、その不可分の一部を成す。
1.12 「IEP協定」とは、千九百七十四年十一月十八日の国際エネルギー計画に関する協定(改正されたものを含む。)をいう。
1.13 「IEA加盟国」とは、IEAの加盟国をいう。
1.14 「OECD」とは、経済協力開発機構をいう。
1.15 「参加者」とは、締約者であるか後援者であるかを問わず、この協定の署名当事者をいう。
1.16 「計画における活動」とは、年次作業計画の一部であって、この協定の一部又は全部の参加者が参加を選択することのできるものをいう。
1.17 「計画の管理者」とは、この協定に基づく年次作業計画を管理するために執行委員会によって任命される法人をいう。
1.18 「計画の事務局」とは、この協定を実施するための行政上の援助を執行委員会及び計画の管理者に対して提供するために執行委員会によって設置される団体をいう。
1.19 「後援者」とは、この協定の参加者であって、(a)OECDの加盟国又は非加盟国の団体で自国の政府によりこの協定に参加することについて指定されていないもの及び(b)OECDの加盟国又は非加盟国の一又は二以上の団体が参加している非政府間の国際的な団体をいう。
第二条 目的及び計画における活動
2.1 目的。この協定は、OECDの加盟国及び非加盟国が気候への悪影響を抑制し、かつ、環境上適正な技術及び方式の速やかな開発及び普及のための国際協力を強化するために、IEAの他の活動も考慮して、協力することを目的とする。
参加者は、この目的の範囲内で、開発途上国及び移行国、UNFCCC及び特にUNFCCCの技術移転専門家部会(EGTT)、関連するIEAの実施協定並びに他の国際機関又は自発的活動と共同して、広範な分野の協力活動を実施する。この実施協定に基づく活動及び事業は、必要な場合には、UNFCCCの第七回締約国会議で採択されたマラケシュ合意に規定する技術移転のための次のような枠組みと適合するものでなければならない。
技術のニーズ及びニーズの評価
技術の情報
環境の整備
能力の開発
2.2 計画における活動。年次作業計画は、調整された活動であって、すべての参加者が協力して決定し、かつ、支持するものを通じて、この実施協定の枠組みの範囲内で実施される。年次作業計画は、適当な場合には、重複を避け及び成果を高めるために、IEA及びIEAの他の実施協定、UNFCCC(EGTTを含む。)その他の関連する国際機関が行う活動と調整される。
2.2.1 年次作業計画には、次の六の中核的な活動を含む。
(a) 技術のニーズの評価の実施及び完了における開発途上国及び移行国との協力
(b) できる限り民間部門の参加主体を含め、気候への悪影響を抑制し、かつ、環境上適正な技術についての意識を促進し並びに協力関係及び技術移転を促進するためのセミナー及びシンポジウムの開催
(c) (a)の規定に基づいて得られた技術のニーズの評価の結果に直接対応する活動をいかに実施するかについての検討における開発途上国及び移行国との協力(できる限り民間部門の参加主体を含める。)
(d) 能力の開発を達成するための訓練コースの実施(域外との活動を含む。)
(e) 情報の普及
(f) 計画の管理者及び計画の事務局が提供する一般的な支援、通信、出版及びインターネット上の情報拠点の維持を含む支援活動
2.2.2 すべての活動については、2.1の目的とこれらの活動との間の実効性、一貫性及び整合性を確保するため、すべての参加者と共に全体として計画する。参加者は、2.2.1に定める活動であって選択される一又は二以上のものに積極的に参加することができる。
第三条 計画の実施
3.1 活動の調整。計画の管理者は、執行委員会の指示により、年次作業計画の全般的な実施の責任を負うものとし、計画の事務局によって補佐される。
2.2.1に規定され及び年次作業計画の一部となる中核的な活動は、活動の長が調整する。
3.2 附属書。参加者は、一部又は全部の参加者が年次作業計画の中の一又は二以上の特定の活動を行うことを希望する場合には、この協定の一又は二以上の附属書(改正されるものを含む。)を作成する権利を有する。
第四条 執行委員会
4.1 任務及び責任。執行委員会は、参加者が実施する作業を監督する責任を有し、及び特に全会一致により次のことを行う。
(a) 年次作業計画及び予算を承認すること。
(b) IEAの枠組みに従い、参加者の参加の条件を定めること。
(c) この協定の実施のために各参加者が提供する科学上及び技術上の情報、ノウハウ及び研究への貢献、人的資源並びに資本投資その他の形態の資金調達の条件を定めること。
(d) この協定の改正を承認すること。
(e) 附属書及びその当初の有効期間並びにそのすべての改正の作成を承認すること。
(f) 参加者が7.1の規定に従って定める規定及び手続であって情報及び知的財産に関するものを承認すること。
更に、執行委員会は、4.4.5に規定する特別多数による議決で次のことを行う。
(g) 一の団体を計画の管理者に任命し並びにその責務を定め及びその修正を承認すること。
(h) 計画の事務局を設置し並びに、計画の管理者と協力して、その責務を定め及びその修正を承認すること。
4.2 委員。執行委員会は、各締約者によって指名される各一人の委員で構成する。また、各締約者は、指名された委員が執行委員会に関する職務を遂行することができない場合には、その職務を遂行する委員代理一人を指名する。
また、各後援者は、執行委員会が一又は二以上の後援者のこの協定への参加の承認を全会一致によって合意する場合には、執行委員会に関する職務を遂行する委員一人及び委員代理一人を指名する。
4.3 手続。執行委員会は、次の手続に従い、その責務を遂行する,
(a) 執行委員会は、全会一致により、締約者の中から一人の議長及び二人までの副議長をそれぞれ二年の任期で選出する。その任期は、執行委員会の全会一致により一回更新することができる。
(b) 各締約者及び会合に出席する資格を有するその他の者又は団体(顧問の資格によるIEAの事務局及び計画の管理者の代表者一人を含む。)に対し、執行委員会の各会合の少なくとも二十一日前までに、執行委員会の委員が入手することのできるすべての文書並びに会合の場所、日時及び議題についての通知を送付する。
(c) 投票権を有する執行委員会の委員又はその指名された代理人が執行委員会の会合に出席することができない場合であって、必要とされるときは、当該執行委員会の委員は、決定又は勧告について、書面(郵便、電子メール、ファクシミリその他の電子的な送信手段)により会合の少なくとも五日前までに執行委員会の議長に通報することによって投票することができる。
(d) 決定又は勧告は、いずれかの執行委員会の委員の妥当な提案により、会合を招集する必要なしに書面による手続によって行うことができる。この場合には、執行委員会の議長は、(i)すべての執行委員会の委員が決定又は勧告に関する必要な文書を受領し及び(ii)賛否を書面(郵便、電子メール、ファクシミリその他の電子的な送信手段)によつて表明するために書面による手続の通報(当該文書を含む。)の送付の日から二十一日間が与えられるようにする。
(e) 執行委員会は、議長が同意した議事録の草案が会合に出席する資格を有する者又は団体に各会合の後速やかに配布されるようにする。議事録の草案は、承認のために次の執行委員会の会合において提出される。
(f) IEAの事務局は、顧問の資格で執行委員会及びその補助機関の会合に招請される。
4.4 投票
4.4.1 一又は二以上の締約者を指定した各政府、国際機関又は欧州共同体は、その指定した締約者の数のいかんを問わず、執行委員会において一の票を有する。
4.4.2 各後援者の代表者は、執行委員会が全会一致によって決定する場合には、投票権を有し、及び執行委員会が定める条件に従う。
4.4.3 投票する資格を有する参加者の票は、状況に応じ、4.3(c)及び(d)の規定に従い執行委員会の会合において又は書面によって投じられる。ただし、決定又は勧告は、賛成の数が執行委員会のすべての委員の過半数の数と等しいことが明らかな時にのみ有効となる。棄権は、投票数に入れないものとし、別段の全会一致、特別多数又は過半数による議決を妨げるものではない。
4.4.4 全会一致による議決とは、この協定においてそれが求められる場合には、この協定に署名し、かつ、この協定から脱退していない参加者であって投票するすべてのものの賛成票をいう。
4.4.5 特別多数による議決とは、この協定においてそれが求められる場合には、投票する参加者の三分の二に一を加えた数(一末満の数は、切り捨てる。)の賛成票をいう。
4.4.6 過半数による議決とは、この協定においてそれが求められる場合には、投票する参加者の半数に一を加えた数(一末満の数は、切り捨てる。)の賛成票をいう。
4.4.7 投票に関し、この協定に明示的な規定がない決定及び勧告については、執行委員会は、投票する参加者の特別多数による議決によって採択する。
4.4.8 一又は二以上の書面による投票があるたびに、執行委員会の議長は、(i)関連する執行委員会の会合のすべての参加者に書面による投票の結果を通報し、及び(ii)その結果が当該会合の議事録に記録されるようにする。
4.5 報告。執行委員会は、IEAに対して次のとおり提出する。
4.5.1 締約者の加盟及び脱退、参加者の名称び地位の変更、執行委員会の委員若しくは計画の管理者の変更又は実施協定及びその附属書の改正が生じた時は直ちにこれらについて通告する。
4.5.2 年次作業計画及び次の会計年度の予算を毎年十一月三十日までに提出する。
4.5.3 この協定及びその附属書に基づく前会計年度の活動状況に関する年次報告を毎年二月二十八日までに提出する。
4.5.4 次の事項に関する正確な情報を毎年提出する。
(a) 最近のすべての参加者の名称及び連絡先についての詳細
(b) 年次報告の対象となる年にこの実施協定又はその附属書から脱退したすべての参加者の名称及び連絡先についての詳細
(c) 年次報告の対象となる年にこの実施協定及びその附属書に参加したすべての新たな参加者の名称及び連絡先についての詳細
(d) 参加者の名称又は地位の変更
(e) 執行委員会の委員及びその委員代理並びに計画の管理者の名称及び連絡先についての詳細
(f) この実施協定及びその附属書の改正
(g) 当該時点で有効な、かつ、関連するCERTの決定によって要請するすべての情報及び文書を含む期末報告
(h) IEAの要請がある場合には、IEAがその権限に関連して要請することのできるいずれの者の所有権にも属さない情報
4.5.5 この協定の有効期間が終了する六箇月以上前に、当該時点で有効な、かつ、関連するCERTの決定によって要請するすべての情報及び文書を含む期末報告を提出する。
4.5.6 IEAの要請がある揚合には、IEAがその権限に関連して要請することのできるいずれの者の所有権にも属さない情報を提出する。
第五条 計画の管理者
5.1 指定。参加者は、この協定の実施のために計画の管理者及び附属書がある場合にはそれぞれの附属書の計画の管理者を指定する。計画の管理者は、その任務を遂行し、並びに執行委員会及びこの協定が定める責任を負う。
5.2 任務の承諾。計画の管理者は、この協定に基づく任務及び責任を承諾することを、IEAの事務局長を代表するIEAの法律顧問部に対し承諾の通告を提出することによって明らかにする。
5.3 代表。この協定及びその関連する附属書に従うことを条件として、
(a) この協定又はその附属書に基づく活動を行うことに必要なすべての法的行為は、参加者を代表して計画の管理者が行う。
(b) 計画の管理者は、参加者の利益のため、この協定若しくはその附属書に帰属し又はこの協定若しくはその附属書のために取得されるすべての所有権に対する法的権原を有する。
5.4 費用の払戻し。執行委員会は、計画の管理者がこの協定又はその附属書に基づく任務を遂行するために要する支出及び費用を参加者が負担することを定めることができる。
5.5 交代。執行委員会は、全会一致により計画の管理者を交代させることができる。
5.6 辞任。計画の管理者は、執行委員会に対し六箇月前に書面による通告を行うことにより、いつでも辞任する権利を有する。後任者が当該通告の期間の満了前に任命される場合には、その時点の計画の管理者は、執行委員会の議長の決定により、その任務をそれより早い日に終了する。後任者が当該通告の期間の満了後も任命されない場合には、その時点の計画の管理者が、最大限六箇月の追加の期間、同一の権利及び義務をもって引き続きそのすべての任務を遂行する。
5.7 報告、会計報告及び情報。計画の管理者は、執行委員会に対し、毎年二月十四日までに、(a)この協定又はその附属書に基づく前会計年度の活動状況に関する報告、(b)前会計年度においてこの実施協定又はその附属書の実施のために費消し、徴収し又は取得した金銭その他の資産についての会計報告及び(c)執行委員会が要求する追加の情報を提出する。
5.8 権利の移転。その時点の計画の管理者に代わる計画の管理者が任命される場合には、その時点の計画の管理者は、参加者のために保有するすべての所有権を新たに任命された計画の管理者に移転する。計画の管理者は、計画の事務局と緊密に協力する。
第六条 会計
6.1 個別の金銭上の義務。参加者は、この協定及びその附属書がある場合にはその附属書に基づく作業を実施するのに自己が必要とするすべての費用(報告の作成又は配布のための費用及び年次作業計画に基づいて行われる作業に関連して被用者に支払う旅費その他日当を含むが、これらに限定されない。)を負担する。
6.2 共通基金。締約者は、年次作業計画に定める計画の広範な中核的活動を行うため、計画の管理者が管理する共通基金の設立に同意する。各参加者は、この協定に参加している年毎に最低一万ユーロを毎年一月一日に又は実行可能な限り速やかに、いかなる場合にも六月三十日までに支払う。もっとも、各参加者は、参加の初年度に関し、初年度の参加の日が、(i)一月一日から六月三十日までの間に当たる場合には一万ユーロ又は(ii)七月一日から十二月三十一日までの間に当たる場合には五千ユーロの最低限の分担金を支払う。その後の各年の参加については、毎年一月一日に又は実行可能な限り速やかに、いかなる場合にも六月三十日までに最低一万ユーロの拠出を行う。
更に、参加者は、年次作業計画に含めるため、自己が支援し又は参加しようとする活動及びその活動への財政上の約束を明らかにする。この約束は、拠出金若しくは現物による寄与又はこれらの組合せから成る。
参加者は、第四条の規定に基づいて要求される年次作業計画及び十一月三十日までの予算の作成を認めるため、計画の管理者に対し、共通基金への拠出金の予定及び参加を予定している特定の活動への拠出金又は現物による寄与について、毎年十一月十五日までに通報する。
6.3 会計規則及び支出。執行委員会は、全会一致により、各活動の健全な財政運営に必要な規則を作成することができる。
6.4 会計。計画の管理者が用いる会計制度は、計画の管理者の属する国で一般的に認められている会計原則に適合するものとし、かつ、一貫して適用する。
6.5 この協定の解除又は終了の際の財政上の手続。この協定が解除され又は終了する場合には、未使用の共通基金は、その解除又は終了の前の各参加者の最初の参加の日からのそれぞれの拠出累積額に当該年中に受領された追加の拠出額を加えた額の割合に基づいて配分する。支出も、同様に配分する。未使用の贈与資金は、原拠出者の書面による指示により当該原拠出者の銀行口座に払い込まれる。
6.6 租税。参加者及び計画の管理者は、この協定及びその附属書がある場合にはその附属書の実施に関連して課されるすべての国又は地方の租税及び賦課金を要求される。
6.7 会計検査。各参加者は、自己のみの負担において、共通基金が維持される作業であってこの協定に基づくものの会計帳簿を検査する権利を有する。
第七条 情報及び知的財産
7.1 情報及び知的財産。参加者は、財産的情報の利用、情報を公表する権利、発明の使用許可及び10.2に規定する資材以外の資材の著作権に関する必要な規定及び手続を定める。
7.2 OECD/IEAの知的財産。参加者は、IEAの名称、略称及び記章が千九百七十九年九月二十八日に改正された工業所有権の保護に関するパリ条約第六条の規定に従って世界知的所有権機関(WIPO)事務局に通告されていることを了解し及び同意する。更に、参加者は、OECD/IEAがすべての産物、資材又はIEA若しくはIEA及び一若しくは二以上の締約者が共同で公表した若しくは公表することのある共同資材若しくは共同出版物に係る著作権を保持することを了解し及び同意する。参加者は、そのような産物、資材、共同資材又は共同出版物を利用する場合には、「©OECD/IEA,(出版年)」の著作権に係る表示がされた資材の出所であるOECD/IEAに対し十分に通知する。
第八条 立法規定
8.1 手続の履行。参加者は、自国(国際機関についてはその加盟国)の関係当局に対し、この協定に基づく活動を行うために必要な人の移動、資材及び機器の輸入並びに通貨の移転に伴う手続の履行を容易にするため、関係法令の枠内で、最善の努力を払うよう要請する。
8.2 予算措置及び適用される法律。参加者は、この協定及びその附属書がある場合にはその附属書を実施するに当たり、必要な場合には、適当な政府機関による予算措置に従い並びにそれぞれの参加者について適用される憲法及び法令(政府契約を取り付けるために雇用される者に対し手数料、歩合、仲介手数料又は成功謝金を支払うこと及び政府職員に対し当該契約から生ずる取り分を与えることを禁止する法律を含むが、これらの法律に限定されない。)に従う。
8.3 紛争の解決。この協定から生じた又はこの協定に基づく参加者間の紛争(この協定の解釈又は適用に係るものを含む。)であって交渉又は他の合意する解決方法により、一の参加者から他の参加者への通告から三十日以内に、解決されないものは、当該紛争の当事者によって選出される一人の仲裁人に付託する。
当該紛争の当事者が仲裁人の選出について仲裁の通告から三十日以内に合意することができない場合には、ハーグにある常設仲裁裁判所の裁判長が、いずれかの参加者の要請により、その任務を果たす。仲裁人は、すべての紛争をこの協定の規定及び関係法令に基づいて決定するものとし、事実問題に関する決定は、最終的なものであり、かつ、拘束力を有する。参加者でない計画の管理者は、自己が紛争の当事者である場合には、この8.3の規定の適用上参加者とみなされる。
第九条 参加者の加盟、参加及び脱退
9.1 新たな締約者の加盟。この協定への加盟は、執行委員会の全会一致による招請に基づき、次の者に開放される。
(a) OECDの加盟国及び非加盟国の双方の政府
(b) 欧州共同体
(c) OECDの加盟国又は非加盟国の政府が参加している国際機関
(d) OECDの加盟国若しくは非加盟国の政府又は欧州共同体が指定する行政機関、公的機関、私的法人その他の団体
9.2 執行委員会は、締約者のこの協定及びその附属書がある場合にはその附属書への加盟及び参加並びにこれらからの脱退の条件(締約者の権利及び義務を含む。)を定める。もっとも、OECDの非加盟国又は国際機関の締約者は、OECDの加盟国の締約者が有する権利又は利益より大きい権利又は利益を有することはない。
9.3 後援者の加盟。次の者は、後援者となることができる。
(a) OECDの加盟国又は非加盟国の団体であって、自国の政府により特定の実施協定に参加することについて指定されていないもの
(b) OECDの加盟国又は非加盟国の一又は二以上の団体が参加している非政府間の国際的な団体
後援者の参加には、CERTの事前の承認を要する。この協定及びその附属書がある場合にはその附属書の後援者の参加の条件(権利及び義務を含む。)は、執行委員会が定める。もつとも、後援者は、OECDの非加盟国の締約者が有する権利より大きい権利を有せず、また、この協定における議長又は副議長に指名されることはない。
9.4 締約者の交代。いずれかの政府によって指定された締約者については、当該政府の要請により、執行委員会の全会一致による同意を条件として、他の者と交代させることができる。締約者の交代が行われた場合には、交代した者は、10.1に規定する手続に従い、10.1に規定する締約者の権利及び義務を引き受ける。
9.5 脱退。締約者は、(a)執行委員会の全会一致によりいつでも又は(b)IEAの事務局長に対し十二箇月前に書面による脱退の通告を行うことにより、この協定から脱退することができる。その通告は、この協定の効力発生の日から一年間は行うことができない。この9.5の規定に基づく締約者の脱退は、他の締約者の権利及び義務に影響を及ぼすものではない。ただし、当該他の締約者が共通基金に拠出している場合には、そのような脱退を考慮に入れて予算の分担比率の調整を行う。
脱退の通告を行い又は執行委員会に対してより早期の脱退の承認を要請した締約者は、脱退の効力が生ずる日までそのすべての権利及び義務(金銭上の性格を有するものを含む。)を維持する。
9.6 締約者の地位の変更。政府又は国際機関以外の締約者は、その地位若しくは所有権に係る重大な変更又はその破産若しくは精算について直ちに執行委員会及びIEAの事務局に通報する。執行委員会は、特別多数による議決により、締約者の地位の変更が他の締約者の利益に重大な影響を与えるものであるか否かを決定し、及び適当な措置をとる。
9.7 協定上の義務の不履行。いずれかの参加者がこの協定に基づく義務を履行しなかった場合には、執行委員会は、当該いずれかの参加者に対し、その不履行を明記し、かつ、この9.7の規定を援用する旨の書面による通告を行う。当該いずれかの参加者がその通告を受領した後六十日経過してもその義務を履行していない場合には、執行委員会は、全会一致により当該いずれかの参加者をこの協定から脱退したものとみなすことができるものとし、その旨を書面により当該いずれかの参加者に通告する。
第十条 最終規定
10.1 協定の有効期間。この協定は、少なくとも二の締約者の署名によって効力を生じ、引き続き三年間効力を有する。この協定は、CERTの承認を条件として、執行委員会の全会一致による議決により、一回当たり五年までの追加の期間延長することができる。この10.1の規定にかかわらず、執行委員会は、全会一致による議決によりこの協定をいつでも終了させることができる。
10.2 改正。この協定及びそのいずれの附属書も、執行委員会の全会一致による議決によりいつでも改正することができる。改正は、IEAの枠組みに従い、執行委員会が決定する方法で効力を生ずる。この協定又はその附属書のいずれかのすぺての改正は、この協定又はその附属書の新たな電子版に統合され、10.4の規定に従って配布される。
10.3 適用される規則。IEAの枠組み及びその改正は、この協定に署名し又は加入し、かつ、この協定から脱退していない参加者を拘束する。
10.4 寄託。執行委員会の議長は、この協定及びその附属書がある場合にはその附属書の原本並びにこれらの改正された版を電子的な形態でIEAの事務局長を代表するIEAの法律顧問部に寄託するものとし、参加者及び計画の管理者に対しその認証謄本を送付する。
末文
この協定は、二千三年七月十五日に効力を生じた。
(この協定が効力を生じた二千三年七月十五日現在における参加者の表は省略)
文書A 国際エネルギー技術協力のためのIEAの枠組み
I 一般原則
第一条 権限
1.1 IEAは、国際エネルギー計画に関する協定第七章の規定を履行するため、IEAの共通目標に照らし、その加盟国がエネルギー技術の調査、開発及び利用についての計画及び事業を遂行することができるように実施協定を運用する。
1.2 実施協定は、1.1に規定する目的のため、少なくとも二のIEA加盟国が確立する合意に基づく関係であって理事会によって承認されるものである。
1.3 実施協定の参加者は、その実施協定の目的の達成にできる限り十分に貢献し、並びに公私の支援を通じてその実施協定に従って遂行される計画及び事業のために必要な科学的及び技術的な能力並びに資金を確保するために努力する。
1.4 各実施協定は、すべての参加者の代表者によって構成される執行委員会を有する。
第二条 実施協定の性格
2.1 実施協定の活動には、特に次のものを含む。
(a) 国内的又は国際的に行われる特定のエネルギー技術の調査、開発及び利用のための研究、作業又は実験の調整及び計画であって、これらの活動を通じて取得される科学上及び技術上の結果のその後の交換、共同評価及び共同管理を伴うもの
(b) 参加者が提供する特別の調査若しくは試験のための施設及び設備の運営への参加又はそのような施設及び設備の共同での設計、建設及び運営
(c) (i)国内の計画及び政策、(ii)科学的及び技術的開発並びに(iii)エネルギーに関する法令及び慣行に関する情報の交換
(d) 科学者、技術者その他の専門家の交流
(e) エネルギーに関連する技術の共同の開発
(f) その他のエネルギー技術に関連する活動
2.2 実施協定への参加は、義務、拠出、権利及び利益の衡平な配分に基づいて行う。実施協定の参加者は、執行委員会が同意することにより、技術上、金銭上その他のもののいかんを問わず、建設的な貢献を行う。
2.3 実施協定の一部又は全部の参加者は、その実施協定の附属書により、特定の事業又は計画を実施することを選択することができる。
II IEAの実施協定に適用される規則
第三条 参加、加盟及び脱退
3.1 実施協定は、二以上のIEA加盟国がエネルギー研究技術委員会(CERT)及び理事会の承認を条件として作成することができる。実施協定への参加には、二の区分、すなわち、締約者と後援者とがある。
3.2 次の者は、締約者となることができる。
(a) OECDの加盟国又は非加盟国の双方の政府
(b) 欧州共同体
(c) OECDの加盟国又は非加盟国の政府が参加している国際機関
(d) OECDの加盟国若しくは非加盟国の政府又は欧州共同体が指定する行政機関、公的機関、私的法人その他の団体
3.2.1 OECDの非加盟国又は国際機関の実施協定への参加には、CERTの事前の承認を要する。もっとも、CERTは、OECDの非加盟国又は国際機関の最初の申請が機微に係るものとみなす場合には、適当と認める決定を理事会に付託することができる。
3.2.2 執行委員会は、OECDの非加盟国又は国際機関の実施協定への参加についてのCERTの承認に先立ち次のことを行う。
(a) 実施協定に参加する申請者に賛成の投票をし、かつ、CERTに対しその証拠を提供すること。
(b) 申請者の実施協定への参加に関する条件の写しをCERTに提供すること。
(c) 実施協定に参加する申請者の希望が表明され及びどの附属書に参加することを希望するかが明示された申請者の書簡、その実施協定の条件の承諾、指定された団体が申請者自身でない場合にはその指定された団体の名称並びに実施協定に署名する団体の名称をCERTに提供すること。
3.2.3 各実施協定の執行委員会は、実施協定及びその附属書がある揚合にはその附属書への締約者の加盟及び参加並びにこれらからの脱退の条件(締約者の権利及び義務を含む。)を定める。
3.2.4 3.2.3の規定にかかわらず、OECDの非加盟国又は国際機関の締約者は、OECDの加盟国の締約者が有する権利又は利益より大きい権利又は利益を有しない。
3.3 次の者は、後援者となることができる。
(a) OECDの加盟国又は非加盟国の団体であって自国の政府により特定の実施協定に参加することを指定されていないもの。
(b) OECDの加盟国又は非加盟国の一又は二以上の団体が参加している非政府間の国際的な団体
3.3.1 後援者の実施協定への参加には、CERTの事前の承認を要する。
3.3.2 執行委員会は、後援者の実施協定への参加についてのCERTの承認に先立ち次のことを行う。
(a) 実施協定に参加する申請者に賛成の投票をし、かつ、CERTに対しその証拠を提供すること。
(b) 申請者の実施協定への参加に関する条件の写しをCERTに提供すること。
(c) 実施協定に参加する申請者の希望が表明され及びどの附属書に参加することを希望するかが明示された申請者の書簡、その実施協定の条件の承諾並びに実施協定に署名する団体の名称をCERTに提供すること。
3.3.3 各実施協定の執行委員会は、実施協定及びその附属書がある場合にはその附属書への後援者の加盟及び参加並びにこれらからの脱退の条件(権利及び義務を含む。)を定める。
3.3.4 3.3.3の規定にかかわらず、いかなる後援者も、OECDの非加盟国の締約者が有する権利又は利益より大きい権利又は利益を有せず、また、実施協定における議長又は副議長に指名されることはない。
3.3.5 CERTは、いずれかの後援者の参加の条件がこの枠組み、CERT又は理事会の決定及びIEAの共通目標に適合しない場合には、当該いずれかの後援者の参加を承認しない権利を有する。
第四条 特別規定
4.1 実施協定については、例外的な事態及び十分に正当な理由に基づいてCERTが別段の合意をしない限り、その最初の有効期間を最長五年とする。
4.2 実施協定については、CERTの承認を条件として、執行委員会が決定する追加の期間延長することができる。いずれの延長期間も、例外的な事態及び十分に正当な理由に基づいてCERTが別段の決定をしない限り、五年を超えない。
4.3 4.2の規定にかかわらず、CERTは、附属書の作業計画の期間がその関連する実施協定の有効期間を超える場合には、その附属書に基づいて行われるその時点の作業を完了させるための追加の期間その実施協定を延長することの承認を不当に差し控えてはならない。4.4 各実施協定の締約者又は執行委員会は、次のことを行う。
4.4.1 関連する実施協定の活動計画、年次作業計画及び予算を承認すること。
4.4.2 実施協定において各参加者が提供する科学上及び技術上の情報、ノウハウ及び研究への貢献、人的資源並びに資本投資その他の形態の資金調達の条件を定めること。
4.4.3 情報及び知的財産に関する必要な規定を定め並びにIEAの著作権、意匠その他のIEAが定める知的財産の保護を確保すること。
4.4.4 関連する実施協定の執行委員会に対して責任を負う団体に対し、計画又は事業の運用上の管理の責務を割り当てること。
4.4.5 実施協定及びその附属書の最初の有効期間を定めること。
4.4.6 実施協定及びその附属書の改正を承認すること。
4.4.7 IEAの事務局の代表者を顧問の資格で執行委員会の会合に招請し、会合の前に十分な余裕をもって、会合のために執行委員会の委員が利用することのできるすべての文書を事務局に提供すること。
第五条 著作権
5.1 実施協定の表題にIEAの名称が使用されている場合においても、実施協定、執行委員会又は計画若しくは事業の運用上の管理の責任を負う団体は、事前にIEAの書面による承認があり、かつ、実施協定を実施するためにのみ、世界知的所有権機関に通告したIEAの名称、略称及び記章を使用することができる。
5.2 IEAは、そのすべての産物及び公表した又は公表していない資材に係る著作権を有する。そのようなIEAの産物若しくは資材を利用し、これらの写しを作成し又はこれらを印刷することを実施協定において希望する場合には、事前にIEAに対し書面による承認の要請を提出する。
第六条 IEAへの報告
6.1 各執行委員会は、IEAに対して次のとおり報告する。
6.1.1 締約者及び後援者の加盟及び脱退、締約者若しくは後援者の名称若しくは地位の変更、執行委員会の委員若しくは計画若しくは事業の運用上の管理の責任を負う団体の委員の変更又は実施協定及びその附属書の改正が生じた時は直ちにこれらについて通告する。
6.1.2 実施協定及びその附属書の計画及び事業の進展に関する年次報告を提出する。
6.1.3 6.1.1の規定にかかわらず年次報告に加えてこれと共に次の情報をIEAに対し毎年提出する。
(i) 最近のすべての締約者及び後援者の名称及び連絡先についての詳細
(j) 年次報告の対象となる年に実施協定又は附属書から脱退したすべての締約者及び後援者の名称及び連絡先についての詳細
(k) 年次報告の対象となる年に実施協定及び附属書に参加したすべての新たな締約者及び後援者の名称及び連絡先についての詳細
(l) 締約者又は後援者の名称又は地位の変更
(m) 執行委員会の委員及び計画又は事業の運用上の管理の責任を負う団体の名称及び連絡先についての詳細
(n) 実施協定及びその附属書の改正
6.1.4 当該時点で有効な、かつ、関連するCERTの決定によって要請するすべての情報及び文書を含む期末報告を提出する。
6.1.5 IEAの要請がある場合には、IEAがその権限に関連して要請することのできるいずれの者の所有権にも属さない情報を提出する。
第七条 効力発生の日
この枠組みは、理事会による決定として承認する日に実施協定及びその附属書へのすべての参加者について効力を生じ、かつ、これらを拘束する。