データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 谷川秀善外務副大臣による国連防災世界会議におけるステートメント

[場所] 神戸
[年月日] 2005年1月20日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

議長、

 我が国は、今月6日、アセアン緊急首脳会議において、小泉総理より防災世界会議の機会にインド洋津波災害に関する特別セッションを開催し、インド洋における津波早期警戒メカニズムの構築に向けて議論を行うことを提案しました。このセッションにおいて、有益な意見が表明されることを期待します。

議長、

 我が国は、インド洋の津波早期警戒メカニズムの構築に向けて、国際機関を経由する支援、及び二国間協力により、その持てる知見と技術を最大限に提供する用意があります。同時に、我が国は、インド洋地域において再び発生するかもしれない津波に対する予防を強化するために、インド洋において津波早期警戒メカニズムが本格的に運用されるまでの間、暫定的な措置として、この地域の諸国の求めに応じ、現時点で利用可能な観測データから得られる津波警戒情報を、既存の情報通信網を通じて提供する用意があります。

 この地域における津波早期警戒メカニズムの構築は、地域の諸国、知見を有する諸国や国際機関の幅広い調整と協力の下に進めていくことが重要です。この度の津波被害を受けた諸国との間で太平洋における津波警報メカニズムの経験と知見を共有する試みとして、昨日、我が国の専門当局とユネスコは、関係諸国と国際機関の専門家が議論をする「テーマ別会合」を共催し、報告書を作成しました。

 我が国としては、この報告書が示す津波早期警戒メカニズムの構築に必要な諸項目を実施するための行動をインド洋沿岸各国が速やかに開始することを希望します。また、報告書が示す手順と方式に従って、国際協調の下で、知見を有する各国や国際機関がこれら諸国からの要請に応じ積極的な支援行動に速やかに着手することを強く期待します。

 また、この会議でこれまでに表明された様々な提案をとりまとめ事務局が作成した「インド洋の災害に関する特別セッションの共通の声明」案は、この専門家による報告を適切に反映しており、我が国はこれを支持します。

 我が国は、インド洋に津波がもたらした未曾有の被害に対して、資金、人的貢献、知見の3点で最大限の支援を実施していきます。当面の緊急ニーズに応ずるため我が国の表明した5億ドルの無償支援の内、二国間支援の2.5億ドルについては昨日すでに全額の支出を完了し、国連機関などを経由して行う2.5億ドルについても今週中に支出を完了する予定です。また、我が国は、津波早期警戒メカニズムの構築のために、ISDRがユネスコ等との緊密な連携の下に行う知見の提供のための事業が必要とする800万ドルの内、400万ドルを支援することとし、今週中に支出する予定です。また、二国間協力も積極的に行う考えであり、JICAによる研修を速やかに行う考えです。

 ご静聴ありがとうございました。