データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 神戸コミュニケ〜兵庫行動枠組(HFA)のさらなる推進に向けて〜

[場所] 神戸
[年月日] 2007年1月16日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

国際津波・地震フォーラム‐「兵庫行動枠組の進捗状況と津波・地震災害からの復興」が、IRP事務局、アジア防災センター(ADRC)、日本政府、兵庫県が中心となり、国連国際防災戦略事務局(UN/ISDR)、国連開発計画(UNDP)、国連人道問題調整事務所(UN/OCHA)、国際労働機関(ILO)、世界銀行(WB)、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)、国連人間居住計画(UN-HABITAT)、イタリア外務省、スイス開発協力庁などの協力のもと、2007年1月15日、16日の両日、神戸で開催された。参加者は、国内外政府高官、中央・地方政府関係者、防災・復興専門家、その他関係者を含め、34カ国、20の国際機関など約300名に及んだ。

フォーラムは、国やコミュニティの災害に対するリスクと脆弱性を軽減し、兵庫行動枠組(HFA)を達成することに貢献するために開催された。

a)災害からの復興における重要な視点を提示する

b)特に、現在進行中の復興に際し、関係機関相互で経験や教訓を共有する

c)各国における兵庫行動枠組の優先行動の実践を通して、兵庫行動枠組の考え方に対するフィードバックを行う

フォーラムは、溝手顕正内閣府特命担当大臣による開会挨拶により開幕し、災害に強い国々構築に向けての日本の国際防災協力についての言及があった。

フォーラムでは参加者により、建設的かつ熱心な議論が交わされ、復興に際しての重要項目として下記の点が確認された。

1.災害リスク軽減に向けての国際協力を推進することの重要性。さらに、災害前よりもよくするための復興の理念の推進や、復興に際してのガバナンス、体制、教育、地域文化などへの配慮の必要性

2.事情がそれぞれ異なる各被災国で展開されている適切かつ持続可能な復興活動についての理解。また、インドネシア、スリランカ、モルジブ、インド、パキスタン、タイ、日本、その他の国々の復興経験を踏まえ、復興過程のあらゆる面においてリスク軽減の要素を折り込むことの必要性

3.津波や地震災害からの復興に際して重要な3つの要素 ? A)住宅復興、b)生活復興、c)復興の組織体制及、d)分野横断的課題(環境、ジェンダー、早期警報等)?についての検証による良い復興を支援するために必要な項目:

・社会・経済、文化、環境の状況を踏まえた総合的な復興計画の必要性

・適切な復興のための標準的ガイドラインと、分野別の復興活動

・復興を効果的に推進するための継続的な組織体制の確立

・復興に関するあらゆる局面での公平性

4.国際復興支援プラットフォーム(IRP)による復興関係者、国連機関、国際的・地域的機関、中央・地方行政機関、NGO、国際金融機関及び、コミュニティなどを対象とした、より効果的な経験の共有と災害リスクの軽減及び復興の実践。そのための、地球規模での災害復興ネットワーク(南南協力を含む)をさらに強化することへの提案

5.知識共有のネットワークや復興の事前準備、人材育成のためのトレーニング、災害被害とニーズの評価ツール、使いやすい復興データベースの開発、定期的なオンラインによる対話やフォーラムなどによって国や地域の災害対応力強化の必要性

6.持続的な開発を成し遂げるためには、リスク軽減が復興に際しての不可欠な要素であることの再認識。災害に対する脆弱性の高い国々においては、災害リスク軽減を政策策定の中心的な位置に据え、一層の努力を行うことの必要性。そのため、ISDRシステムの強化を進め、世界銀行の新たな取り組みである「災害軽減・復興グローバル基金(GFDRR)」やIRP、その他の関連するプラットフォームやネットワークなどを効果的に活用することの重要性

7.兵庫行動枠組の目標を達成するために、関係機関がより一層連携を深めることの呼びかけ。特に、関係機関相互の調整や協力のため、防災や復興を担当する政策決定者、国、地方の政府関係者やコミュニティー・リーダー等の一層の参画を促すためのより優れた仕組みを各国において確立することの重要性