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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国経済産業省と中華人民共和国国家発展改革委員会との間において持続可能な経済発展に資する互恵関係構築を推進していくための包括協力文書

[場所] 東京
[年月日] 2008年5月7日
[出典] 経済産業省
[備考] 
[全文]

日本国経済産業省と中華人民共和国国家発展改革委員会(以下「双方」と略す)は、日中両国が共同で構築していくこととした戦略的互恵関係という大きな枠組みの下、日中両国政府の環境・エネルギー分野における協力推進に関する共同コミュニケの精神をさらに推し進め、双方の協力の持続的発展と互恵関係の基礎のもと、実務協力をさらに推進するため、以下の分野の協力の促進につき共通認識に達した。

1.双方は、両国経済の持続可能な経済発展を共同で追求することにつき一致し、このテーマにつき包括的協力を推進することを希望する。双方は改めて両部門間のマクロ経済政策に関する定期対話の重要な意義について確認した。双方は多様な方式を通じて共同研究と交流を実施し、経済産業政策の策定に関する過去の経験を共有し、共に持続可能な経済発展のための経済産業政策の在り方について議論を深めていく。

2.双方は、積極的に資源循環型経済の発展を推進し、ビジネスベースの省エネルギー・環境協力を推進させるため、日中省エネルギー・環境総合フォーラムを活用しつつ、市場の透明性及び予見可能性を一層高め、知的財産権を保護し、省エネルギー・環境分野の市場環境の改善を図ることとする。

3.双方は、「日本国政府と中華人民共和国政府との気候変動に関する共同声明」に則り、更に一層交流と協力を展開し、気候変動に積極的に取り組む。

4.双方は、両国の中小企業の持続可能な発展に着目し、双方が既に構築した中小企業政策定期対話メカニズムを発展させることにより、両国の中小企業に関する互恵協力を実効的に推進する。

5.双方は、エネルギー分野における両国間及び多国間の定期的な閣僚政策対話の重要性を強調するとともに、共同の努力によりエネルギー分野での互恵協力を深化させる。2007年4月に東京で開催された第1回日中エネルギー閣僚政策対話を積極的に評価するとともに、引き続き、毎年1回、閣僚政策対話を継続して開催する。さらに、双方は、2006年12月に北京で開催された第1回5カ国エネルギー大臣会合を積極的に評価し、第2回会合が本年6月に青森で開催されることを歓迎するとともに、今後、同会合の継続的な開催に向け協力していく。

6.双方は、現在の石油価格に対する懸念を表明すると共に、石油価格の安定が両国及び世界経済の持続可能な発展に有益であると認識する。双方は、エネルギー効率、クリーンエネルギー、再生可能エネルギー等の分野で更なる協力を展開するとともに、エネルギー安全保障、安定的で持続可能な発展の効果的な手段を共同で検討することを希望する。

7.日本側は、中国側の「双方で中国に「日中省エネルギー協力センター」を共同で設立する」という提案を積極的に評価し、今後、協議を強化していく。

8.双方は、双方を含む主要なエネルギー消費国が、省エネルギーに関する政策手法等につき、幅広く情報を共有し、意見交換を行う必要性を共有する。

9.双方は、鉱物資源分野に係る対話を継続し、建設的議論を行っていくことを希望するとともに、当該分野における交流と協力をより一層深めるため、年内の、双方にとり都合のよい時期に、レアアース交流会議を開催することで共通認識に達した。

10.双方は、双方の投資協力強化が両国経済発展に与える作用の重要性につき認識し、日中投資協力促進につき、緊密に意見交換を行っていく。

11.双方は、現在の人材研修プロジェクトや経済交流協力を積極的に評価し、既存の協力枠組みを強固なものとし、良好な協力環境を整備していく。

12.双方は、双方の協力ニーズに基づき、双方の連絡システムを確立し、日本側は経済産業省通商政策局が事務を担当する。中国側は国家発展改革委員会外事司が事務を担当する。

13.双方は、本包括協力文書が重要な原則的意義を有することを認識した。双方はそれぞれの国家の法律、制度による制約に反しない範囲内で、協議形式により、具体的分野での協力方策を策定することができる。

本協力文書は2008年5月7日東京にて署名され、日文中文の2部で一式とする。

日本国 中華人民共和国

経済産業大臣 国家発展改革委員会主任