データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 水と衛生に関するサイド・イベント「すべての人に水と衛生を」

[場所] ニューヨーク
[年月日] 2008年9月24日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 水と衛生の問題に取り組むための国際的な努力に強い政治的後押しを与えるため、また、水と衛生に関するミレニアム開発目標(MDG)を達成するための努力を加速する必要性を強調するため、ドイツ、日本、オランダ、タジキスタンは、MDGsに関するハイレベル会合の機会に、2008年9月24日午後、国連本部信託統治理事会議場において、水と衛生に関するサイド・イベントを開催した。

 サイド・イベントにおいては、4の共催国(タジキスタン、日本、オランダ、ドイツ)の首脳及びハイレベルの代表、国連事務総長及びAU議長代理としてのハイレベルのAU代表による政治的ステートメントが行われた。「『命のための水』国際行動の10年-2005-2015」を実施するための努力を強化する更なる必要性及び国際衛生年における努力を認識し、首脳達は、そのステートメントにおいて、2015年までにMDG7を達成するためには強い政治的コミットメント及び現場での具体的な行動が必要であるという考えを共有した。

 サイド・イベントにおける討議に基づき、共催国は、以下を呼びかける。

・水と衛生の問題への取組及び人間の安全保障の強化のための国際的な努力において、強い政治的及び外交的な後押しを与えること

・水と衛生の問題への効果的かつ持続可能な取組を行うため、良い循環型水管理を促進し、統合水資源管理を適用すること

・被援助国の個別のニーズ及びリソースを考慮しつつ、「援助効果に関するパリ宣言」に基づく国家援助戦略を作成し、実施すること

・国家戦略の実施及びセクター・ワイド・アプローチの活用の努力のために、十分な国際的な及び各国の財政的資源を動員すること

水・衛生分野における既存の監視及び評価メカニズムの調和及び調整を行うこと

・国家戦略及び行動計画の実施のために水・衛生のサービスへのアクセスと質を改善するため、市民社会組織、地方公共団体及び民間部門との間で、パートナーシップを進展させること

 水と衛生の問題の分野横断的な性質を考慮しつつ、この分野における改善は、その他のMDG目標の達成における努力を進展させることに資するものであることが共有された。このサイド・イベントにおいて言及された考え及び提案として、他のMDGへの取組において水と衛生を完全に一体化することの重要性、水と衛生の問題への取組を通じ、個人及びコミュニティのために「人間の安全保障」を追求することの必要性、触媒的な資金を伴う「ファスト・トラック・イニシアティブ」の検討の可能性を含め、軌道に乗っていない諸国への焦点を当てるための「行動のための枠組み」の創設、MDG7を達成するためのハイレベル「タスクフォース」の導入及び年次進捗状況報告の作成及び年次ハイレベル・レビュー会合の開催とのイニシアティブがあった。

MGDsハイレベル会合及びラウンドテーブルへのメッセージ

 清潔な水と十分な衛生施設へのアクセスは、それ自体が目標でありかつ人間の安全保障の強化及びMDGs全体の達成にとって重要な触媒-経済成長のための原動力として機能し、保健及び教育における投資を維持すること-であることを認識し、水と衛生に関するサイド・イベントの共催国は、教育及び健康、貧困及び飢餓並びに環境持続可能性に関するハイレベル・ラウンドテーブルにおいて、水と衛生が一体のものであることを完全に認識するよう呼びかける。

貧困及び飢餓に関するラウンドテーブルへのメッセージ

・水と衛生を貧困削減国家戦略における成長のための原動力として認識すべき-安全な水及び十分な衛生の欠如は、サハラ以南のアフリカに毎年GDP5%の損失をもたらしている-

・持続可能な衛生を促進するため、国連及び民間が有する科学的な資源を利用すべき。

・一滴から多くの収穫を! 農業における水生産性の向上を促進すべき。

教育及び保健へのラウンドテーブルへのメッセージ

水と衛生に関するMDGに向けた進展の遅れは、保健及び教育における進展を妨げていることを認識すべき。

教育、水と衛生及び保健の相互依存性を認識し、セクター間アプローチを奨励すべき。

治療よりも予防がより良い:水と衛生及び衛生管理の促進における投資及び教育を奨励すべき。

十分な水と衛生施設のない学校をなくすべき。

環境持続可能性に関するラウンドテーブルへのメッセージ

・持続可能な衛生が欠如している水供給プロジェクトはなくすべき。

・循環型水資源管理及び統合水資源管理を促進すべき。不適当な取水及び汚染から生態系及び地下水を保護すべき。

・将来の世代の利益のため、経済成長から水消費を切り離すことを奨励すべき。

・水を気候変動への適応の鍵(key)として認識すべき。