データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 気候変動に関する包括的な枠組みに向けた道筋:日本提案

[場所] 東京
[年月日] 2011年10月21日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

・カンクン合意の2度目標を認識しつつ,世界全体で2050年半減を目指すべきことを共有。

・その達成のために,すべての主要国が参加する公平かつ実効性のある国際的枠組みを構築する,新しい一つの包括的な法的文書の速やかな採択が我が国の目指す最終目標。

・これを直ちに実現することは困難な状況であるが,ダーバンではこの将来枠組みに向けて前進しなければならない。将来の包括的枠組みに向かう道筋を明らかにし,必要な作業に着手する必要がある。

・具体的には,ダーバンで以下の合意をすることを各国に提案する。

1. (カンクン合意を基礎とすることに合意)

 緑の気候基金,適応枠組み,技術メカニズムといった仕組みの立ち上げと,透明性確保のための強固なMRVの仕組み作りをバランス良く進め,これを将来の枠組の基礎とすること。

2. (各国の排出削減努力の推進に合意)

 包括的な枠組みができるまでの間も,全ての主要国が目標・行動を掲げ,着実にそれを実施する。

3. (カンクン合意の国際的MRVに必要な事項を合意)

 COP17においてカンクン合意の隔年報告書の指針をはじめとする国際的MRVに必要な事項に合意。カンクン合意に基づく緩和目標・行動の実施状況について,先進各国及び途上各国が2013年に最初の隔年報告書を提出する。

4. (ルールベースの枠組みの維持に合意)

 京都議定書の一部の要素は改善を加えて今後も活用すべきことを念頭に,LCAの下で,2013年以降のルールベースの枠組みについて早急に結論を得る。

5. (レビュー等を踏まえ新たな枠組みに合意)

 隔年報告書及びこれを踏まえた国際的プロセス(IAR/ICA)の結果やIPCC第5次評価報告書による科学的知見,京都議定書第一約束期間の実施結果を踏まえて,カンクン合意に位置づけられた2013/2015年レビューにおいて,包括的な枠組みの必要性を明らかにしつつ,枠組みの構築のための国際的議論を行い,合意を得る。

6. (技術・市場・資金の総動員の必要性に合意)

 長期的な視野に立った技術革新,低炭素技術の移転・普及促進,新たな市場メカニズムの構築,途上国,とりわけ脆弱国に対し2013年以降も切れ目なく支援を行うこと,また,アフリカ,小島嶼国といった脆弱国への支援を最も重視すべきこと。