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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 東アジア低炭素成長パートナーシップ対話:共同議長サマリー

[場所] 東京
[年月日] 2012年4月15日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 2012年4月15日,東京にて,東アジア低炭素成長パートナーシップ対話が開催された。東アジア首脳会議(EAS)に参加する18か国の閣僚,及びオブザーバーとして,アジア開発銀行(ADB),東南アジア諸国連合(ASEAN),国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP),経済協力開発機構(OECD),国連開発計画(UNDP),国連工業開発機関(UNIDO),世界銀行,国際協力機構(JICA),国際協力銀行(JBIC)の代表が参加した。

 本対話は,玄葉光一郎日本国外務大臣及びラフマット・ウィトラールインドネシア共和国大統領気候変動特使兼国家気候変動評議会執行議長の共同議長により開催された。

 本対話は,世界経済の重心であるとともに,気候変動に極めて脆弱な地域であるEAS地域において,低炭素成長の推進に関する議論をキックオフする重要な場となった。

 参加者は,低炭素成長に向けた各国の行動と戦略,先進国と途上国との協力,低炭素技術,資金支援,そして市場メカニズムの重要性,そして様々なステークホルダー間の効果的なネットワークの重要性について意見交換を行った。

 参加者は,低炭素成長は,将来に向け,持続可能な経済成長を実現する鍵であるとの見解を共有した。参加者はまた,二国間及び地域における取組は,国連の下のグローバルな制度を考慮しつつ,低炭素成長を実現し,発展途上国と後発開発途上国が協働するための能力を高める上で重要な役割を果たすとの点を認識した。この観点から,参加者は,東アジア低炭素成長パートナーシップ構想に向けた取組を歓迎し,資源とインフラの制約により,気候変動の影響が最も厳しく感じられるこの地域において,低炭素成長を積極的に推進していくことの重要性を認識した。

 参加者は,各国が持続可能な発展の文脈において,及び各国の特定の事情と優先事項に従い,それぞれの低炭素成長戦略を策定,実施するとの点に留意した。参加者は,発展途上国による低炭素成長に向けた努力を支援するために,地域内で資金,人的,知的資源を動員すべきであるとの点に留意した。また参加者は,エネルギーや森林資源への需要の高まりへの対応や,都市化から生じる問題に環境に効果的,親和的な方法で対応するため「スマートシティ」を創造する上で,低炭素成長戦略が有益であると強調した。

 参加者はまた,低炭素成長実現の上で,技術が重要な役割を果たすことを認識した。参加者は,低炭素成長のための活動を支援するために,先進国が技術革新を主導し,また発展途上国において技術発展を促進する必要性を強調した。これに関連し,技術発展に向けた投資を促進する上で政府と民間企業を含めた他のステークホルダーの役割を認識した。また,市場及び非市場メカニズムの活用が,優れた技術と製品を更に広く活用できるようにする効果的な方法の一つであるとの見解を共有し,また,参加者から提案された様々なアプローチについて留意した。参加者は,本事項に関する相互理解を高めるため,引き続き情報交換していくことで一致した。

 参加者は,政府,地方自治体,国際機関,大学,研究機関,民間企業,そしてNGOのような様々なステークホルダーが,低炭素成長と気候変動に強靱な社会の実現に向け,協働していくことが重要であるとの点を改めて確認した。このために,これらのステークホルダーが,低炭素成長と適応に関連した知識,情報,そして経験を共有し,戦略的な研究協力を促進し,そして政策形成過程にインプットする,開放的,多層的で柔軟なネットワークとしての「東アジア低炭素成長ナレッジ・プラットフォーム」の構築に向け,協働していくことで合意した。

 参加者は,本年の東アジア首脳会議及びEAS関係閣僚会合に対し,本会合での議論のサマリーを共同議長がその責任において報告することで合意した。また,明年の適切な時期に第二回会合を開催するという日本とカンボジアの提案を歓迎した。