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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「東アジア低炭素成長パートナーシップ対話」第1セッションにおける山根外務副大臣ステートメント

[場所] 東京
[年月日] 2012年4月15日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

皆様おはようございます。まず私から,共同議長国として,あらためて,各国・機関代表者の皆様を,心から歓迎申し上げます。

 我が国では,グリーン成長や低炭素社会の構築に対する国民の意識が高く,官民でさまざまな取組が行われています。

 2010年に策定した新成長戦略では,7つの戦略分野の一つとして,「グリーン・イノベーション」を挙げております。そこでは,国による制度作りから,地方自治体による取組の促進,国民一人一人のライフスタイルの変革まで,総合的な政策パッケージを作ることによって,世界ナンバーワンの「環境・エネルギー大国」を目指しています。

 本年7月からは,再生可能エネルギーをさらに普及,促進していくために,固定価格買取制度が開始されます。また,先日成立した本年度の税制改正法により,10月から,環境税が導入される予定です。

 また,低炭素成長を実現するためには,地方自治体の取組の促進も不可欠です。我が国では,先駆的な取組にチャレンジする13の自治体を「環境モデル都市」に指定しています。これらの指定都市に,中央省庁や民間企業などを加えた200団体以上が集まり,優れた取組を横に広げていくことで,国全体としての低炭素化を推し進めています。

 さらに,住宅や家電を対象にしたエコポイント制度によって,グリーン製品の普及にも取り組んでいます。2009年から導入している住宅エコポイント制度によって,断熱性に優れた省エネ住宅が新築住宅に占める割合は,1割から5割に増えました。

 我が国は,このような取組を海外にも広げていく努力をしています。これまで我が国が東アジア地域に対して行った短期支援の額は70 億ドル以上になりますが,その中でも,防災対策,省エネルギー,再生可能エネルギー,森林対策といった分野で多くの実績があります。

 防災対策では,気候変動の影響に伴う洪水,かんばつ,台風といった自然災害への対処能力を強化するための協力を行っています。昨年の東日本大震災などの災害で得られた知見や教訓を国際社会と共有するために,本年7月に,被災した東北地方の3つの県で,ハイレベル国際会議をいたします。また,世界各国で防災問題に取り組んでいる方々を日本にお招きし,研修などを受けていただく様々なプログラムを随時実施しております。

 都市化が進む諸国に対しては,我が国の技術を活かした日本版スマートコミュニティを展開するため,今後,東アジア地域を中心に,事業可能性調査を実施したいと考えています。

 このような協力を効率的に進めるには,官民の連携と,市場メカニズムの活用が不可欠です。我が国は,国連工業開発機関(UNIDO(ユニド))と連携しながら,東アジア諸国の関係者を日本に招待して,日本企業が持つ低炭素技術の紹介を行うほか,新たな市場メカニズムを含む,低炭素技術の普及に向けた二国間協議を実施する予定です。本日の昼食時には,日本企業による展示が行われますので,そちらも是非ご覧ください。

 今後も,我が国の低炭素化に向けた努力を着実に進めるとともに,東アジア地域の低炭素成長の実現に向けて,さまざまな協力を行っていきたいと考えています。ありがとうございました。