[文書名] 我々が望む未来
I. 共通ビジョン
1. 我々、首脳とハイレベルの代表は、2012年6月20日から22日に、ブラジルのリオデジャネイロで会合し、市民社会が完全に参加し、持続可能な開発に向けた我々のコミットメントを再確認し、我々の地球と現在及び未来の世代のため、経済的、社会的、環境的に持続可能な未来を促進することを確認した。
2. 貧困の撲滅は今日世界が直面する最大の挑戦であり、持続可能な開発にとって、絶対に必要な条件である。この点に関し、我々は緊喫の課題として、極度の貧困及び飢餓から人類を解放することに全力で取り組む。
3. 従って、我々は、あらゆる側面で持続可能な開発を達成するためには、経済的、社会的、環境的側面を統合し、それらの相関を認識し、あらゆるレベルで持続可能な開発を、主流として更に組み込む必要があることを認める。
4. 我々は、貧困の撲滅、非持続可能な生産と消費ターンの変更及び持続可能なターンの推進、経済・社会開発のための天然資源基盤の保護と管理が、持続可能な開発の包括的目標であり、必須条件であることを認識する。我々はまた、新たな課題に直面した際の生態系の保護、再生、復元、回復力を促進すると同時に、持続的、包括的且つ衡平な経済成長を推進すること、不平等を軽減すること、基本的な生活水準を向上させること、衡平な社会的開発及び社会的包含を助長すること、とりわけ経済開発、社会開発、人間開発を支える天然資源及び生態系の総合的で持続可能な管理を推進すること、により持続可能な開発を達成する必要性を再確認する。
5. 我々は、「ミレニアム開発目標(MDGs)」を含む国際的に合意された開発目標の2015年までの達成を早期実現するために全力を尽くすというコミットメントを再確認する。
6. 我々は、持続可能な開発の中心には人々がいることを認識する。そしてこの点に関し、公正且つ衡平で、包括的な世界のために努力し、持続的且つ包括的な経済成長、社会開発、環境保護の推進と、それによるすべての利益のために協力することにコミットする。
7. 我々は、引き続き、国連憲章の目的及び原則によって導かれ、国際法とその原則を全面的に尊重することを再確認する。
8. 我々はまた、自由・平和・安全、開発する権利、食糧を得る権利を含む、適正な生活水準に対する権利などのすべての人権の尊重、法の支配、ジェンダー平等と女性のエンワーメント、開発のための公正で民主的な社会への全般的なコミットメントの重要性を再確認する。
9. 我々は、世界人権宣言の重要性、及び人権と国際法に関する他の国際文書の重要性を再確認する。我々は、国連憲章に従い、人種、色、性、言語や宗教、政治的またはその他の見解、国籍または社会的起源、財産、出自、身体障害、またはその他の状況によって区別することなく、すべての人々に対する人権及び基本的自由を尊重、保護、推進するために、すべての国家の責任を強調する。
10. 我々は、国及び国際レベルでの民主主義、優れたガパナンス、法の支配、並びにそれを可能にする環境が、持続的で包括的な経済成長、社会開発、環境保護、及び貧困と飢餓の撲滅を含む持続可能な開発にとって不可欠であることを認める。我々は、持続可能な開発目標を達成するために、すべてのレベルで、効果的且つ透明性があり、責任のある民主的な制度が必要であることを再確認する。
11. 我々は、国際協力を強化し、すべての人々、特に途上国における人々に対する持続可能な開発に関する持続的な挑戦に取り組むというコミットメントを再確認する。この点に関し、我々は、経済的持続性と持続的な経済成長、社会的平等の促進、環境保護を達成すると同時に、ジェンダー平等と女性のエンワーメント、すべての人々の機会均等、教育などを通じた子供の将来性の保護、存続、開発を強化することが必要であることを再確認する。
12. 我々は、持続可能な開発を達成するために緊急的な行動を取ることを決意する。従って我々は、持続可能な開発に対するコミットメントを再確認し、持続可能な開発に関する主要サミットの成果の実施におけるこれまでの前進及び残されたギャップを評価し、新たな課題に取り組む。我々は本会議の主題、すなわち「持続可能な開発及び貧困貧困根絶の文脈におけるグリーン経済」、及び「持続可能な開発のための制度的枠組み」に取り組むという決意を表明する。
13. 我々は、人々が自らの生活、未来に影響を与え、意思決定に参加し、懸念を声に出す機会が、持続可能な開発にとって欠かせないことを認識する。我々は、持続可能な開発には、具体的且つ緊急的な行動が必要であることを強調する。これは、広範囲にわたる人々、政府、市民社会、民間部門が、現代と未来の世代に対して我々が望む未来を保証するために皆が協力しあうことで初めて達成される。
II. 政治的コミットメントの更新
A. リオ原則と過去の行動計画の再確認
14. 我々は、1972年6月16日にストックホルムで採択された「国連人間環境会議のストックホルム宣言」を再確認する。
15. 我々は、とりわけ「環境と開発に関するリオ宣言」の第7原則において規定される、「共通だが差異ある責任」の原則を含め、リオ宣言のすべての原則を再確認する。
16. 我々は「環境と開発に関するリオ宣言」、「アジェンダ21」、「アジェンダ21のー層の実施のための計画」、「持続可能な開発に関する世界首脳会議実施計画」(「持続可能な開発に関するヨハネスブルグ宣言及び実施計画」)、小島嶋国の持続可能な開発のための「パルパドス計画」、パルパドス行動計画のさらなる実施を目指す「モーリシャス戦略」の全面的な実施に向けたコミットメントを再確認する。我々はまた、「後発開発途上国のためのイスタンブール行動計画(IPOA)」、「内陸開発途上国のためのアルマティ行動計画」、「アフリカの開発ニーズに関する政治宣言」及び「アフリカ開発のための新パートナーシップ」を再確認する。我々は同様に、「国連ミレニアム宣言」、「2005年世界首脳会議」の成果、「開発資金国際会議のモンテレイ合意」、「開発資金に関するドーハ宣言」、「MDGsに関する国連総会ハイレベル会合」の成果文書、「国際人口開発会議の行動計画」及び「北京宣言及び行動綱領」を含めた、経済、社会、環境分野の国連の全主要会議及び首脳会議の成果におけるコミットメントを再確認する。
17. 我々は、持続可能な開発の前進には3つのリオ条約が重要であることを認識する。そしてこの点に関して、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)、生物多様性条約(CBD)、及び国連砂漠化対処条約(UNCCD)の下でのコミットメントをそれぞれの原則と条項に従って全面的に実施し、同様にすべてのレベルで効果的且つ具体的な行動を取り、国際協力を強化することを、全関係者に要請する。
18. 我々は、ミレニアム開発目標などの国際的に合意された開発目標の達成を通じて持続可能な開発アジェンダを前進させるため、政治的意思に再び活力を与え、国際社会によるコミットメントのレベルを引き上げることを決意する。さらに我々は、1992年以降、その他の関連する経済、社会、環境分野における国際的に合意された目標を再確認する。したがって我々は、持続的な開発コミットメントを早期実現させる具体的な手段を取ることを決意する。
B. 持続可能な開発に関する主要サミットの成果の実施におけるこれまでの前進及び残されたギャップの評価並びに新たな課題への対応(統合、実施、ー貫性)
19. 我々は、1992年の「地球サミット」以降の20年間、持続可能な開発及び貧困の撲滅に関するものを含め、進捗が不均等であることを認識する。我々は、以前のコミットメントの実施を前進させる必要性を強調する。我々はまた、先進国と途上国間の開発ギャップを早期に埋め、経済の成長と多様化、社会開発、環境保護を通じ持続可能な開発を達成する機会を手に入れ、創り出す必要性を強調する。この目的のため、我々は、国及び国際レベルでこれを可能とする環境が引き続き必要であることを強調する。同様に資金、負債、貿易、相互に合意した技術移転、イノベーションと起業家精神、能力開発、透明性と信頼性の分野において特に国際協力を継続し、強化する必要性を強調する。これに関連して、我々は、すべての国、特に途上国が、世界規模での意思決定に、全面的且つ効果的に参加することが引き続き必要であることを再確認する。
20. 我々は、1992年以降、持続可能な開発の3つの側面の統合において不十分な進捗及び後退が見られた分野があり、それは、すべての国、特に途上国において持続可能な開発を達成する力を脅かす財政、経済、食糧、エネルギーの複合的な危機により悪化したことを認める。この点に関し、我々は「地球サミット」の成果に対するコミットメントを後戻りさせないことが重要である。我々はまた、すべての国、特に途上国にとっての現在の大きな困難の1つは、今日世界に影響を与えている複合的な危機からの衝撃であることを認識する。
21. 我々は、地球上の5人に1人、すなわち10億人以上の人々が依然として極度の貧困状態にあり、7人に1人ーすなわち14%ーが栄養不足で、流行病や伝染病などの公衆衛生課題が、遍在する脅威であることを深く懸念している。これに関連して、我々は、国連総会において現在進行中である人間の安全保障に関する討論に留意する。我々は、世界人口が2050年までに90億人を超え、3分の2が都市に住むと予想される状態にあって、特に貧困と飢餓の撲滅及び予防できる病気において、持続可能な開発を達成するためにー段と努力する必要があることを認識する。
22. 我々は、地域、国家、準国家、地方レベルで持続可能な開発における進展例があることを認識する。我々は、「アジェンダ21」の採択以降、法律や制度、並びに、国際協定、地域協定、広域自治体協定及びそのコミットメントの開発と実施を通じて、持続可能な開発を達成する努力が、地域、国、地方の政策と計画に反映され、各国政府が持続可能な開発に対するコミットメントを強めたことを認識する。
23. 我々は、MDGsを含む国際的に合意された開発目標の達成を目的とした社会的保護フロアなどの効果的な社会政策により補完される、機会の障害除去、生産能力強化、持続可能な農業の開発、すべての人々に対する完全且つ生産的な雇用及びディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の推進などの、貧困を撲滅し、貧困層や弱い立場にある人々の権利を拡張するための途上国の努力を、先進国が支援する重要性を認識する。
24. 我々は、高いレベルの失業率及び不完全雇用が、特に若年層に続いていることに深い懸念を表明し、すべてのレベルで若年層の雇用に積極的に取り組むための持続可能な開発戦略の必要性に留意する。この点に関し、我々は、国際労働機関(ILO)の作業における若年層及び雇用構築に関するグローパル戦略の必要性を認識する。
25. 我々は、気候変動が分野横断的且つ永続的な危機であることを認め、気候変動の負の影響の規模と重大さが、すべての国に影響を与え、すべての国、特に途上国における持続可能な開発及びMDGsを達成する能力を弱体化させ、国の生存能力及び存続を脅かすことに懸念を表明する。従って我々は、気候変動に対処するには、UNFCCCの原則と条項に準拠した緊急且つ意欲的な行動が必要であることを強調する。
26. 国家は、特に途上国における経済及び社会開発の完全な達成を妨げるような、国際法及び国連憲章に従わないー方的な経済、財政または貿易手段の推奨、適用を避けることが強く要請される。
27. 我々は、ヨハネスブルグ実施計画(JPOI)、2005年の世界首脳会議の成果、及び2010年のMDGsサミットにおいて表明したコミットメントを繰り返し表明し、経済と社会開発、更に環境にも負の影響を与え続け、人間の尊厳及び価値に抵触し、闘って撲滅しなければならないような、植民地支配及び外国の支配下の人々の自決権の完全な実現に対する障害物を取り除くため、国際法に従い更に効果的な手段と行動を取る。
28. 我々はまた、国連憲章に従い、これが、国家の領土保全や政治的独立に反する行動の正当性を認め、推奨するような解釈をされるべきではないということを再確認する。
29. 我々はまた、国際法に従い、障害や制約を取り除き、支援を強化し、複雑な人道的緊急事態の影響を受ける地域及びテロリズムの影響を受ける地域に住む人々の特別なニーズに応えるために、さらに効果的な手段と行動を取ることを決意する。
30. 我々は、多くの人々、特に貧困層が、彼らの生計、及び経済的、社会的、身体的幸福、並びに文化遺産のために、生態系に直接依存していることを認識する。このため、生活水準の格差を減らす健全な職と収益を生み出し、人々のニーズにより良く応え、持続可能な生計と慣行及び持続可能な天然資源と生態系の利用を推進することが不可欠である。
31. 我々は、持続可能な開発が、包括的且つ人間中心のもので、青少年や子供たちを含むすべての人々に、恩恵と参加機会を与えるものでなければならないということを強調する。我々は、ジェンダー平等と女性のエンワーメントは、持続可能な開発及び我々の共通の未来にとって重要であると認識する。我々は、経済、社会、政治的意思決定における参加及びリーダーシップに対する女性の平等な権利、アクセス、機会を保証するというコミットメントを再確認する。
32. 我々は、持続可能な開発を達成するために各国が特有の課題に直面していることを認識し、最も脆弱な国、また特に、アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶋開発途上国(SIDS)が直面する特有の課題、及び中所得国が直面する特有の課題を認識する。紛争状態にある国にも特別な注意が必要である。
33. 我々は、「モーリシャス戦略及びパルパドス行動計画」の持続的な実施などを通じて、SIDSの脆弱性に取り組むための、緊急且つ具体的な行動を取るというコミットメントを再確認し、「パルパドス行動計画及びモーリシャス戦略の実施」及び「持続可能な開発の達成」における勢いを持続させるために、申し合わせた通りに小島嶋開発途上国が直面する主要な課題の追加的な解決策を見いだす緊急性を強調する。
34. 我々は、「後発開発途上国のためのイスタンブール行動計画(2011-2020年)」が、持続可能な開発のための後発開発途上国(LDC)の優先事項の要点を述べ、これを実施すべく、世界的パートナーシップの更新と強化のための枠組みを定義していることを再確認する。我々は、IPOAの実施及び持続可能な開発の達成努力においてLDCを援助することにコミットする。
35. 我々は、アフリカ、及び主要国連首脳会議及び会議で作成され、先に合意されたアフリカの開発ニーズに関連するコミットメントの実施に、より多くの注意が払われるべきであると確認する。我々は、アフリカに対する援助が近年増加していることに留意する。しかしながら、それは依然、先に作成されたコミットメントに対しては遅れを取っている。我々は、アフリカの持続的な開発努力を支援する国際社会にとっての主要な優先事項を強調する。この点に関し、我々は、アフリカの開発ニーズ、特に「国連ミレニアム宣言」、「アフリカ開発のための新パートナーシップ宣言」、「開発資金に関する国際会議のモンテレイ合意」、「ヨハネスブルグ実施計画」、「2005年世界首脳会議の成果」、及び「2008年アフリカの開発ニーズに関する政治宣言」に含まれる開発ニーズに関する国際的に合意されたコミットメントを全面的に実施することを再びコミットする。
36. 我々は、内陸開発途上国の3つの側面すべてにおける持続可能な開発を達成するための深刻な制約を認識する。この点に関し、我々は、特別な開発ニーズ及び内陸開発途上国が直面する課題に、中期的再検討に関する宣言に含まれる「アルマティ行動計画」の完全で、タイムリー且つ効果的な実施を通じて取り組むというコミットメントを再確認する。
37. 我々は、国民の幸福を向上させる上で中所得国が示した大きな進展に加え、貧困を撲滅し、不衡平を軽減し、MDGsを含む開発目標を達成するために努力し、経済、社会、環境の側面を統合した総合的な方法で持続可能な開発を達成するために努力する上で直面する特有の開発課題を認識する。我々は、これらの努力が国際社会によって、様々な形で、これらの国々の国内資源を結集するニーズと能力を考慮して、十分に支援されるべきであると繰り返し表明する。
38. 我々は、政策決定をより良い形で報告するために、GDPを補完する広範囲な進捗尺度が必要であると認識する。この点に関し、我々は、関連する国連システムの諸機関及び他の関連組織と協議して、国連統計委員会に、既存のイニシアティブに基づき、この地域の作業計画を発表するように要請する。
39. 我々は、地球とその生態系は我々の故郷であり、「母なる地球」は、多くの国や地域で共通の表現であると認識する。そして、我々は、持続可能な開発の推進との関連で、自然の権利を認識する国もあることに留意する。我々は、現代及び未来の世代における経済的、社会的、環境的ニーズの正しいパランスを達成するためには、自然との調和の推進が必要であると確信している。
40. 我々は、人類が自然と調和して生活するように導くとともに、地球の生態系の健康と完全性を回復する努力につながるような、持続可能な開発への全体的且つ統合されたアプローチを求める。
41. 我々は世界における自然及び文化の多様性を認め、すべての文化及び文明が持続可能な開発に寄与し得ることを認識する。
C. 主要グループ及び他のステークホルダーの関与
42. 我々は、持続可能な開発を推進するにあたり、すべてのレベルの政府及び立法機関の主な役割を再確認する。我々は更に、地方及び広域自治体レベルで示された努力及び進展を認めるとともに、このような機関や地域社会が、必要に応じて市民及びステークホルダーを関与させ、持続可能な開発の3つの側面に関連する情報を与えることなどにより、持続可能な開発を実施する上で果たし得る重要な役割を認識する。我々は更に、持続可能な開発政策の計画及び実施に、関連するすべての意思決定者を参加させる重要性を認める。
43. 我々は、情報と司法、行政手順への広範囲な国民の参加及びアクセスが、持続可能な開発の推進に不可欠であることを強調する。持続可能な開発には、地域、国家、準国家の議会と司法、及びすべての主要グループ、すなわち女性、子供と青少年、先住民族、非政府組織、地方政府、労働者と労働組合、企業と産業、科学界と技術界、農業者、及び地域社会、ボランティア団体、財団法人、移住者、家族などのその他ステークホルダー、及び高齢者や障害を持つ人々、の意義のある関与と積極的な参加が必要である。この点に関し、我々は、主要グループやその他ステークホルダーとより緊密に協力することに合意するとともに、必要に応じ、すべてのレベルでの持続可能な開発のための政策と計画の意思決定、企画、実施に寄与するプロセスにおける彼らの積極的な参加を推奨する。
44. 我々は、市民社会の役割、及び市民社会のすべてのメンパーが持続可能な開発に積極的に参加するようになることの重要性を認める。我々は、市民社会の参加の改善は、とりわけ、情報へのアクセスの強化、市民社会の能力及びそれが可能な環境の構築によって決まると認識する。我々は、情報通信技術(ICT)が、政府と国民の間の情報の流れを促進していることを認識する。この点に関し、ICT、特にブロードパンドネットワーク及びサービスへのアクセス改善に向け作業し、デジタル・ディパイド(情報格差)を埋めることが不可欠であり、この点に関する国際協力の寄与を認識する。
45. 我々は、持続可能な開発を達成する上で、女性が極めて重要な役割を持つことを強調する。我々は女性のリーダーシップを認識する。そして我々は、ジェンダー平等と女性のエン ワーメントを促進するとともに、持続可能な開発のすべてのレベルの政策、計画、意思決定に女性が全面的且つ効果的に参加することを保証することを決意する。
46. 我々は、持続可能な開発の実施は、公的及び民間セクター両方の積極的関与に依存することを認める。我々は、民間セクターの積極的な参加は、官民パートナーシップの重要なツールを通じるなどして、持続可能な開発の達成に寄与し得ると認識する。我々は、企業の社会責任の重要性を考慮に入れた持続可能な開発イニシアティブを、企業及び産業が前進させることを可能とするような国の規制及び政策枠組みを支援する。我々は、民間セクターに対し、国連グローパルコンクトによって推進されるような責任ある作業慣行(business practices)に従事することを要求する。
47. 我々は、企業の持続可能性の報告の重要性を認めるとともに、必要に応じて、企業、特に上場企業及び大企業が、報告サイクルへの持続可能性情報の組み込みを検討することを推奨する。我々は、国連システムの支援を受けた産業、関係政府、及び関連ステークホルダーが、既存の枠組みでの経験を考慮するとともに、能力開発を含む途上国のニーズに特別な注意を払いつつ、必要に応じて、ベストプラクティスのためのモデルを開発し、持続可能性の報告を組み込むための行動を促進することを推奨する。
48. 我々は、科学界及び技術界の持続可能な開発への重要な寄与を認識する。我々は、先進国と途上国間の技術格差を埋め、科学政策のインターフェースを強化し、持続可能な開発に関する国際共同研究を促進するために、特に途上国の学術、科学、技術界と協力するとともに、各界間の協力を促進することにコミットする。
49. 我々は、持続可能な開発を達成する上で、先住民族の参加の重要性を強調する。我々はまた、持続可能な開発戦略の世界、地域、国及び準国家での実施に関して、「先住民族の権利に関する国連宣言」の重要性を認識する。
50. 我々は、我々が取り組んでいる諸問題は、現代及び未来の世代に大きな影響を及ぼし、子供や青少年の寄与は、持続可能な開発にとって極めて重要であることから、意思決定プロセスに若年層が積極的に参加することの重要性を強調する。我々はまた、若年層の意見を受け入れることにより世代間の対話及び団結を推進する必要性を認識する。
51. 我々は、持続可能な開発の推進に対する労働者及び労働組合の参加の重要性を強調する。労働者の代表として、労働組合は、持続可能な開発の、特に社会的側面の達成を促進する上での重要なパートナーである。持続可能性に関する職場を含むすべてのレベルの情報、教育及び訓練は、労働者及び労働組合の持続可能な開発を支援する能力を強化する鍵となる。
52. 我々は、小規模農家や漁業者、牧畜家や林業者を含む農業者が、環境に配慮した生産活動を通じて持続可能な開発に大きく寄与し、食糧安全保障と貧困層の生計を高め、生産及び持続的な経済成長を活性化し得ることを認識する。
53. 我々は、特に分析、情報と知識の共有、対話の推進及び持続可能な開発の実施のための支援の分野における持続可能な開発において、非政府組織が、基礎のしっかりとした多様な経験、専門知識、能力を通じて行うことの出来る、そして実際に行う、価値ある寄与に留意する。
54. 我々は、持続可能な開発アジェンダを前進させる上で、国連の中心的役割を認識する。我々は同様に、この点に関し、国際金融機関(IFIs)や国際開発金融機関(MDBs)を含む他の関連する国際機関の寄与を認めるとともに、それぞれのマンデート内での各機関間及び国連との協力の重要性を強調する。そして、我々は持続可能な開発のための資源を動員する上での各機関の役割を認識する。
55. 我々は、1992年にリオで発足させた、持続可能な開発のための世界的パートナーシップを再活性化させることにコミットする。我々は、持続可能な開発を協力的に追及するために重要な新たな勢いの必要性を認識するとともに、実施のギャップに取り組む上で、主要グループ及び他のステークホルダーと協力することにコミットする。
III. 持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済
56. 我々は、我々の全般的な目標である3つの側面での持続可能な開発を達成するためには、それぞれの国の状況及び優先事項に従って、実行できるアプローチ、ビジョン、モデル、ツールが異なることを認める。この点に関し、我々は、持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済を、持続可能な開発を達成するために実行できる重要なツールと認識するとともに、政策決定のための意見を提供し得るが、柔軟性のない規則となってはならないと考える。我々は、グリーン経済が、地球の生態系の健全な機能を維持すると同時に、貧困の撲滅、持続的な経済成長、社会的包含の強化、人間の幸福の改善、すべての人々に対する雇用機会及びディーセントワークの創出に寄与すべきであると強調する。
57. 我々は、持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済が、「リオ原則」、「アジェンダ21」、「ヨハネスブルグ実施計画」のすべてに準拠し、また、これらによ
って導かれたものであり、MDGsを含む国際的に合意された関連する開発目標の達成に向け寄与すべきであると再確認する。
58. 我々は、持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済の政策は、以下の通りであるべきと再確認する。
(a) 国際法とー致する。
(b) 持続可能な開発の3つの側面に関する各国の状況、目的、責任、優先事項、政策空間を考慮し、天然資源についての各国の主権を尊重する。
(c) 可能な環境、及び適切に機能しているすべてのレベルの機関、政府の指導的役割、市民社会を含む関連するすべてのステークホルダーの参加によって支援される。
(d) 持続的且つ包括的な経済成長を推進し、イノベーションを促進し、機会、利益、すべての人のエン ワーメント、及び人権の尊重をもたらす。
(e) 途上国、特に特別な状況にある途上国のニーズを考慮する。
(f) 財源、能力開発、途上国への技術移転を含む国際協力を強化する。
(g) ODA及び資金に関する不当な融資条件を効果的に回避する。
(h) 恋意的または不当な差別手段、または国際貿易に関する偽装された制約を構成するものとならず、輸入国の司法権が及ばない、環境的課題に対処するー方的な行為を回避し、国境を超える或いは世界的な環境問題に取り組む環境的手段が、可能な限り、国際的なコンセンサスに基づく。
(i) 適切なあらゆる手段を駆使し、先進国と途上国の技術格差を埋めることに寄与するとともに、途上国の技術依存を軽減する。
(j) 先住民族及びその社会、並びに他の地域社会と伝統社会、及び少数民族の幸福を高め、彼らのアイデンティティ、文化、関心を認識し、支援する。そして文化遺産、習慣、伝統的知識が危険にさらされることを回避し、貧困の撲滅に寄与する非市場アプローチを保護し、尊重する。
(k) 女性、子供、青少年、障害を持つ人々、小自作農と自作農、漁業者及び中小企業で働く人々の幸福を高め、特に途上国における貧困層と社会的弱者グループの生計及びエン ワーメントを改善する。
(l) すべての可能性を動員し、女性と男性両方の平等な寄与を保証する。
(m) 途上国において、貧困の撲滅に寄与する生産活動を推進する。
(n) 不平等に関する懸念に取り組み、社会的保護の床を含む社会的包含を推進する。
(o) 持続可能な消費及び生産 ターンを推進する。
(p) 貧困及び不平等を克服するため包括的且つ公正な開発アプローチに向かい努力し続ける。
59. 我々は、持続可能な開発への移行のためにグリーン経済政策を適用しようと努める国によってグリーン経済政策が実施されることを、共通事業とみなす。そして我々は、各国が、国の持続可能な開発の計画、戦略、優先事項に従って、適切なアプローチを選択することが可能であると認識する。
60. 我々は、持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済が、天然資源の持続可能性を管理する能力を強化し、より小さな環境への影響で、資源効率を高め、廃棄物を軽減すると認識する。
61. 我々は、非持続可能な消費及び生産ターンに対する緊急的な行動が、環境の持続可能性への取り組み、生物多様性及び生態系の保護と持続可能な使用の推進、天然資源の再生、持続的で包括的且つ衡平な経済成長の推進において、必須であることを認識する。
62. 我々は、各国が、持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済の政策の実施を、持続的で包括的且つ衡平な経済成長、及び特に女性、子供、青少年、貧困層に対する雇用創出を推し進めようと努力するような形で、考慮することを推奨する。この点において、我々は、労働者が教育、能力開発を通じるなどして必要なスキルを備えており、必要な社会的、健康的保護が与えられることを保証する重要性に留意する。この点に関し、我々は、必要に応じ、企業及び産業を含むすべてのステークホルダーが寄与することを推奨する。我々は、関連する国連機構がそのマンデート内で支援することで、関連する政府が、職の動向、開発、制約に関する知識及び統計能力を向上させ、関連データを国家統計に組み込むことを求める。
63. 我々は、社会的、環境的、経済的要因の範囲を評価することの重要性を認識するとともに、国の状況及び条件が許すならば、それらを意思決定に組み込むことを推奨する。我々は、最も有効な科学的データ及び統計を使用して、持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済の政策の機会、課題、コスト、利益を考慮することが重要になると認める。我々は、国レベルで適用され、国際的な合意の下での義務とー致した規制、自発的行為及びその他を含む手段をミックスしたものが、持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済を推進し得ると認める。我々は、持続可能な開発の推進には社会政策が極めて重要であると再確認する。
64. 我々は、すべてのステークホルダーの関与、パートナーシップ、ネットワーク、及びすべてのレベルで共有される経験が、グリーン経済政策を含む適切な持続可能な開発政策を確定する上で、国が互いに学びあう助けとなり得ることを認める。我々は、包括
的アプローチを通じて持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済の政策を採用するにあたり、途上国を含むー部の国におけるポジティブな経験に留意するとともに、持続的な開発における様々な分野での経験及び能力開発の自発的な交換を歓迎する。
65. 我々は、持続可能な開発に必要な知識交換、技術協力、能力開発を推進するための接続技術及び革新的アプリケーションを含む通信技術の力を認める。これらの技術及びアプリケーションによって、能力が開発され、開かれた透明性のある方法で、持続可能な開発の様々な分野における経験と知識が共有されることが可能となる。
66. 持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済を含む、持続可能な開発のための、資金調達、技術、能力開発、国のニーズを結合する重要性を認識した上で、我々は、国連システムに対し、関連する援助資金供与者及び国際組織と協力して、以下の要求に関する情報を整理し、提供することを求める。
(a) 関係国と要求された支援の提供に最も適したパートナーのマッチング。
(b) すべてのレベルで持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済に関する政策を採用する上でのツールボックス及びベストプラクティス。
(c) 持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済の政策モデルまたは適例。
(d) 持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済の政策を評価するための方法論。
(e) この点に関し寄与する既存及び新たなプラットフォーム。
67. 我々は、政府が、包括的且つ透明性のあるプロセスを通じて、政策及び戦略の開発において果たす指導的役割の重要性を強調する。我々はまた、持続可能な開発を支持して既に国のグリーン経済戦略及び政策を準備するプロセスに入った、途上国を含む各国の努力に注目する。
68. 我々は、持続可能な開発に関与する、国連地域委員会、国連組織及び機構、他の関連する政府間及び地域組織、国際金融機関、主要グループが、それぞれのマンデートに従って、特に後発開発途上国において、とりわけ持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済を通じるなどして持続可能な開発を達成する要求に関して、途上国を支援することを求める。
69. 我々はまた、必要に応じて、企業及び産業に対し、国の法令に準拠し、持続可能な
開発に寄与し、とりわけグリーン経済政策を統合する持続可能性戦略を開発することを求める。
70. 我々は、特に途上国において、社会的包含及び貧困の軽減に寄与する上で、協同組合及び小規模企業の役割を認める。
71. 我々は、官民パートナーシップを含む既存及び新たなパートナーシップが、必要に応じ、地方及び先住民社会の関心を考慮して、民間セクターにより補完された公的融資を動員することを推奨する。この点に関し、政府は、持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済の政策を支援する民間セクターの寄与の促進を含め、持続可能な開発のためのイニシアティブを支援すべきである。
72. 我々は、特に途上国において技術が果たす重要な役割、及びイノベーションの重要性を認識する。我々は、政府に対し、必要に応じ、持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済を支持するものを含めて、環境に配慮した技術、研究開発、イノベーションを促進することが可能な枠組みを創出することを求める。
73. 我々は、途上国への技術移転の重要性を強調するとともに、特に途上国への、相互に合意した譲許的条件及び優遇条件などの有利な条件での、技術移転、資金、情報へのアクセス、ヨハネスブルグ実施計画で合意されたような知的財産権、必要に応じてそれを推進し、助長し、出資する要求、環境的に技術及び対応するノウハウへのアクセス、その開発、移転及び普及の重要性を強調する。我々はまた、JPOI(ヨハネスブルグ実施計画)以降の、これらの問題に関する議論及び合意の更なる進化に注目する。
74. 我々は、持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済の政策を実施する選択をする途上国の努力は、工業的且つ技術的援助によって支援されるべきであると認識する。
IV. 持続可能な開発のための制度的枠組み
A. 持続可能な開発の3つの側面の強化
75. 我々は、持続可能な開発のための制度的枠組みを強化する重要性を強調する。これは、現在及び未来の課題に対し、ー貫した効果的な答えを出し、持続可能な開発アジェンダを実施する上でのギャップを効果的に埋める。持続可能な開発のための制度的枠組みは、パランスのとれた方法で、持続可能な開発の3つの側面を統合するとともに、とりわけー貫性、協調性を強化し、努力の二度手間を回避し、持続可能な開発の実施における進展を再検討することによって実施を強化すべきである。我々はまた、枠組みが包括的で、透明性があり、効果的であるとともに、持続可能な開発に対する世界的な課題に関する共通の解決策を見いだすべきであると再確認する。
76. 我々は、すべての人々の声及び関心を代表する地方、準国家、国家、地域、世界レベルでの効果的なガパナンスが、持続可能な開発を進めるためには必須であると認識する。制度的枠組みの強化及び改革は、それだけで終わるべきではなく、持続可能な開発を達成する手段であるべきである。我々は、改善されたより効果的な国際レベルでの持続可能な開発のための制度的枠組みは、「リオ原則」とー致し、「アジェンダ21」及び
「ヨハネスブルグ実施計画」に基づき、持続可能な開発のための制度的枠組みの目的とー致すべきであり、経済、社会、環境及び関連分野における国連会議及び首脳会議の成果におけるコミットメントに寄与し、国の優先事項と開発戦略及び途上国の優先事項を考慮すべきである。従って我々は、とりわけ以下のような持続可能な開発のための制度的枠組みを強化することを決意する。
(a) 持続可能な開発の3つの側面のパランスのとれた統合を推進するもの。
(b) 持続可能な開発の実施に寄与することを目的として、すべての関連する分野横断的問題に配慮する行動結果志向アプローチに基づくもの。
(c) 主要な問題と課題、及びそれらに対するすべての関連レベルでの体系的アプローチの間のインターリンケージの重要性を強調するもの。
(d) 協調及び協力を強固にすると同時に、ー貫性を高め、崩壊を軽減し、効果と効率及び透明性を重ねて合わせて強化するもの。
(e) 意思決定プロセスにおいてすべての国の全面的且つ効果的な参加を推進するもの。
(f) 経験及び教訓を自発的に共有することを通じるなどして、持続可能な開発の効果的な実施を推進するために、ハイレベルの政治的指導者が関与し、政策ガイダンスを提供し、特定の行動を確認するもの。
(g) 必要に応じ、包括的で、根拠に基づき、透明性のある科学的評価、及び持続可能な開発の3つの側面に関連する分野における既存のメカニズムに基づく信頼できるタイムリーな関連データを通じて、科学政策のインターフェースを促進するもの。この点に関し、国際的な持続可能な開発プロセス、及び特に途上国において自国の監視及び評価を実施するなどの能力開発における、すべての国の参加を強化するもの。
(h) 関連する国際フォーラムにおける市民社会と他の関連ステークホルダーの参加
及び効果的な関与を強化するとともに、この点に関して、持続可能な開発を実施するために、透明性及び幅広い国民参加とパートナーシップを推進するもの。
(i) 実施手段に関するコミットメントを含めた、実現可能な開発のすべてのコミットメントの実施における進展の再検討及び調査を推進するもの。
B. 持続可能な開発のための政府間連携の強化
77. 我々は、今日の持続的な開発の緊急的な世界的課題に取り組むためには、包括的で、透明性があり、改良され、強化された効果的な多国間体制が極めて重要であると認めるとともに、国連の普遍性及び中心的役割を認識し、国連システムの効果と効率の推進及び強化というコミットメントを再確認する。
78. 我々は、とりわけ、機関、基金、計画間の情報交換を通じて、また国際金融機関及び世界貿易機関(WTO)のような他の関連組織とともに、それぞれのマンデート内で、国連システム内における持続可能な開発の3つの側面の統合を進めるために、既存の機関間のメカニズム及び戦略の下での協力的な努力を報告し、強化する上でのー貫性を強化することにより、加盟諸国に対する適切な説明責任を保証すると同時に、国連システム規模のー貫性と協調性を強化する必要性を強調する。
79. 我々は、改良された、より効果的な持続可能な開発のための制度的枠組みの必要性を強調する。これは、必要とされる特定の機能及び関与するマンデートによって導かれ、関連するすべての影響を考慮し、相乗効果とー貫性を推進し、二度手間の回避と国連システム内での不必要な重複の除去に対する努力をし、管理上の負担を軽減し、既存の協定に基づくべきである。
総会
80. 我々は、国連憲章に明記された国際社会に対する世界的懸念事項に関する、総会の役割及び権限を再確認する。
81. 我々は更に、国連最高位の審議、政策決定、及び代表組織としての、総会の中心的な立場を再確認する。この点に関し、我々は、持続可能な開発を国連活動にとっての全般的枠組みの主要な要素として更に組み込み、定期的なハイレベルの対話を通じるなどして、アジェンダの設定内で持続可能な開発に十分に取り組むことを、総会に要求する。
経済社会理事会(ECOSOC)
82. 我々は、経済社会理事会が、経済的及び社会的開発の問題に関する、ミレニアム開発目標の追求するための、政策再検討、政策対話及び提言の主要な機関であり、国連システムの協調、及び本理事会の補助機関、特に機能的委員会の監督、並びにシステム規模のー貫性及び協調性の強化による「アジェンダ21」の実施促進のための中核的メカニズムであることを再確認する。我々はまた、本理事会が基金、計画、専門機関の総合的な協調において果たす主要な役割、及びこれらのー貫性を保証すること、並びに、マンデートと活動の重複を避けることを再確認する。
83. 我々は、経済、社会、環境及び関連分野におけるすべての主要国連会議及び首脳会議の成果の追求を統合し調整する上での主要機関として、経済社会理事会(ECOSOC)をその憲章マンデート内で強化することにコミットするとともに、持続可能な開発の3つ側面のパランスのとれた統合を達成する上での主要な役割を認識する。我々は、「ECOSOCの強化に関する総会決議(61/16)の実施の点検」に期待する。
ハイレベル政治フォーラム
84. 我々は、「持続可能な開発に関する委員会」の強み、経験、資源、及び包括的な参加様式に基づき、後に委員会に代わる普遍的な政府間ハイレベル政治フォーラムを設立することを決定する。ハイレベル政治フォーラムは、費用効率が高い方法で、持続可能な開発の実施を追求し、既存の体制、機関、団体との重複を回避すべきである。
85. ハイレベルフォーラムは以下のことを可能にする。
(a) 持続可能な開発のための政治的リーダーシップ、ガイダンス、提言を提供する。
(b) すべてのレベルで全体的且つ分野横断的な方法で、持続可能な開発の3つの側面の統合を強化する。
(c) 持続可能な開発を進めるために、定期的な対話の場を設け、調査し、アジェンダ設定を提供する。
(d) 新たな持続可能な開発課題の適切な考慮を保証する、集中的且つ活動的で、行動志向型な課題を持つ。
(e) 「アジェンダ21」、「ヨハネスブルグ実施計画」、「パルパドス行動計画」、「モーリシャス戦略」、及び本会議の成果、並びに必要に応じ、「第4回国連後発開発途上国会議」の成果を含む関連する他の国連首脳会議と会議の成果、及びそれぞれの実施手段に含まれる持続可能な開発を実施する上での進展を追求し、再検討する。
(f) 国連機構、基金、計画のハイレベルなシステム規模の参加を推奨し、必要に応じ、それぞれのマンデート内で、国連の規則及び条項に従って、他の関連する国際的な金融及び貿易機関、条約体が参加することを求める。
(g) 持続可能な開発計画及び政策に関する国連システム内での協力及び調整を改善する。
(h) 議論の政府間的性質を保つと同時に、経験をより効果的に利用するため、国際的レベルでの主要グループ及び他の関連ステークホルダーの諮問的役割と参加を更に強化することにより、透明性と実施を推進する。
(i) 持続可能な開発の実施に関するベストプラクティスと経験の共有を推進し、自発的な形で、成功、課題、教訓などの経験の共有を促進する。
(j) 持続可能な開発政策におけるシステム規模のー貫性及び協調性を推進する。
(k) 既存の評価に基づく、世界的な持続可能な開発報告の様式に含まれるような、分散した情報や評価をまとめるドキュメンテーションの再検討により、科学政策のインターフェースを強化する。
(l) すべてのレベルで根拠に基づく意思決定を強化し、途上国でのデータ収集及び分析のための能力開発における進行中の努力を強化することに寄与する。
86. 我々は、第68回国連総会の開始までに、第1回ハイレベルフォーラムを開催することを目的として、ハイレベルフォーラムの形式及び組織的事項を定義するために、総会の下で、政府間の、開かれた、透明性のある、包括的な交渉プロセスを開始することを決定する。我々はまた、事務総長に対し、本問題に関する報告書を作成するように求めるなどして、未来の世代のニーズを考慮し、持続可能な開発の達成に向け世代間の連帯を促進する必要性を考慮することとなる。
C. 持続可能な開発の文脈における環境の柱
87. 我々は、持続可能な開発の経済的、社会的、環境的側面のパランスのとれた統合、及び国連システム内での調整を推進するため、持続可能な開発のための制度的枠組みの中で国際的な環境ガパナンスを強化する必要性を再確認する。
88. 我々は、世界的な環境アジェンダを定め、国連システム内で持続可能な開発における環境的側面のー貫した実施を促進し、世界環境にとっての正式な擁護者として働く、主要な世界環境機関としての「国連環境計画」(UNEP)の役割を強化することにコミットする。我々は、UNEPを設立した1972年12月15日の決議2997(XXVII)及びそのマンデートを補強する他の関連決議、並びに、「1997年ナイロビ閣僚宣言」及び「2000年マルメ閣僚宣言」を再確認する。この点に関し、我々は第67回国連総会において、以下の方法でUNEPを強化し、格上げする決議を採択することを求める。
(a) UNEP運営委員会における普遍的加盟方式、及び加盟諸国に対するガパナンス、対応、説明責任を強化する他の手段を確立する。
(b) 国連通常予算及びマンデートを満たすための任意拠出金からの、安全で、安定した、十分な、増加した財源を持つ。
(c) 主要な国連協議機関へのUNEPの関与を強化し、環境に関する国連システム規模の戦略を策定する努力を主導する権限をUNEPに持たせることにより、国連システム内の協調マンデートを満たすためのUNEPの声及び能力を強化する。
(d) 情報を得た上での意思決定を支援するために、情報及び評価をまとめることを目的としたプロセスの1つである「地球環境概況(GEO)」を含む既存の国際的手段、評価、ネル、情報ネットワークに基づき、強力な科学政策のインターフェースを推進する。
(e) 根拠に基づく環境情報を広め、共有し、重要且つ新たな環境問題に関する国民意識を高める。
(f) 各国への能力開発を提供し、技術へのアクセスを支援、促進する。
(g) 他の関連する国連システムの諸機関と密接に協力して国の環境政策を実施する上で、要求に応じて、各国を援助するために、ナイロビにおける本部機能を徐々に強固にし、地域での存在感を高める。
(h) 関連する国際機関からのベストプラクティス及びモデルを利用し、透明性及び市民社会の効果的な関与を推進するメカニズムを探求するすべての関連ステークホルダーの積極的な参加を保証する。
89. 我々は、多国間環境協定(MEAs)によってなされた持続可能な開発への意義深い寄与を認識する。我々は、化学物質と廃棄物の分野における3つの条約(パーゼル条約、ロッテルダム条約、ストックホルム条約)間の相乗効果を高めるために既に実施された作業を認める。我々はMEAs加盟国に対し、関連するすべてのレベルで政策のー貫性を推進し、効率を改善し、不必要な重複を削減し、3つのリオ条約を含めたMEAs間及びこの分野における国連システムとの調整と協力を強化するために、必要に応じて、これらの分野及び他の分野における更なる措置を検討するよう悠憩する。
90. 我々は、地球環境の変化状況及び人間の幸福に与える影響を引き続き定期的に再検討する必要性を強調する。そしてこの点に関し、我々は、「地球環境概況」プロセスのように、環境情報と評価をまとめ、情報を得た上での意思決定を支援する国及び地域の能力を開発することを目的としたイニシアティブを歓迎する。
D. 国際金融機関及び国連のオベレーショナルな活動
91. 我々は、持続可能な開発が、国際金融機関や国連貿易開発会議(UNCTAD)などの国連システム及び他の関連する団体の、計画、基金、専門機関によって、それぞれの既存のマンデートに従って、十分に考慮されるべきであると認識する。この点に関し、我々は、それらの団体に対し、すべての国、特に途上国の持続可能な開発の達成における努力を支持して、それぞれのマンデート、計画、戦略、及び意思決定プロセスにおける持続可能な開発の主流化をさらに強化することを求める。
92. 我々は、経済の国際的な意思決定及び基準設定における途上国の参加を広げ、強化する重要性を再確認する。この点に関し、我々は、より現状を反映し、途上国の声と参加を高める、ブレトン・ウッズ機関のガパナンス構造、割り当て、投票権の改革に関する最近の重要な決定に注目し、より効果的で、信頼でき、責任ある、合法的な機関を供給するため、これらの機関のガパナンス改革の重要性を繰り返し表明する。
93. 我々は、UNシステム全体に渡り、持続可能な開発の3つの側面の更なる主流化を要求するとともに、事務総長に対し、この点に関して示された進展について、ECOSOCを通じて総会に報告することを要請する。我々はまた、加盟諸国の説明責任を保証すると同時に、持続可能な開発を支持するシステム規模のー貫性を保証するために、主要な国連事務局組織内での政策協調の重要性を要求し、認識する。
94. 我々は、国連開発システムの基金、計画、専門機関の運営組織に対し、国連システムの業務活動を横断して、社会的、経済的、環境的側面を統合するための適切な手段を検討することを求める。我々はまた、国連開発システムへの財政貢献の増加が、ミレニアム開発目標を含む国際的に合意された開発目標を達成する鍵となることを強調する。そしてこの点に関し、我々は、貧困の撲滅及び持続的な経済成長と持続可能な開発の達成における途上国支援のー貫した結果を達成するような、国連開発システムの効果性の増加、効率性の増加、ー貫性の増加間の相互に強化し合う関連性を認識する。
95. 我々は、途上国における国の持続可能な開発の優先事項とー致した分野における、国連システムの開発のための業務活動を強化する必要性を強調する。この点に関し、我々は、関連する総会決議に明記された国連業務活動の根本的な特質及び原則が、この分野における国連開発援助業務に関するすべての事象のための全般的な枠組みをもたらすことを強調する。我々は、国連システムの協調性を強化することが重要であると認識する。我々は、ー体となった任務遂行(Delivering as One)イニシアティブの独自
(independent)評価の結果を受け取ることを期待する。
96. 我々は、国連システムに対し、加盟諸国への説明責任を維持すると同時に、既存の努力及び費用効果の推進に基づく、財政上の規則及び規制を含む合法的な枠組みに従った、持続可能な開発の実践を考慮することにより、施設及び業務の管理を改善することを要求する。
E. 地域、国家、準国家、地方
97. 我々は、持続可能な開発の地域的側面の重要性を認める。地域的枠組みは、持続可能な開発政策を、国レベルでの具体的な行動に効果的に移すことを、補完、促進し得る。
98. 我々は、必要に応じて、地域、国家、準国家及び地方機関が、すべてのレベルでの持続可能な開発の意思決定及び実施を導くための主要な手段として、持続可能な開発戦略を開発、使用することを推奨する。そして、この点に関し、我々は、社会、経済、環境データの統合、及び効果的な実施分析と評価が、意思決定プロセスにとって重要であることを認識する。
99. 我々は、地域、国家、準国家及び地方レベルでの行動が、必要に応じ、環境的な事象における情報へのアクセス、国民参加、及び司法アクセスを推進することを推奨する。
100. 我々は、国連地域委員会及びそのサブ地域事務所(sub-regional offices)を含む、地域及び広域自治体組織が、それぞれの地域における持続可能な開発の経済的、社会的、環境的側面のパランスのとれた統合を推進する上で、重要な役割を持つことを強調する。我々は、持続可能な開発を効果的に業務化及び実施する上で、国連システムを通じるなどして、これらの機関を支援し、関連する開発政策、企画、計画の機関におけるー貫性及び調和を促進する必要性を強調する。この点に関し、我々は、必要に応じ、これらの機関に対し、とりわけより効率的で効果的な能力開発、地域合意及び協定の開発と実施、及び情報、ベストプラクティス、教訓の交換を通じで、持続可能な開発を優先することを要請する。我々はまた、持続可能な開発のための地域及び地域横断型イニシアティブを歓迎する。我々は、持続可能な開発を進めるための、世界的、地域的、小地域的、及び国のプロセス間の効果的な連携を保証する必要性をー層認識する。我々は、国連地域委員会及びそのサブ地域事務所が、持続可能な開発の実施において加盟諸国を、その能力内で支援することを推奨する。
101. 我々は、必要に応じて、国家、準国家、地方レベルで、よりー貫性のある、統合
された企画及び意思決定の必要性を強調する。そして、このため、我々は、必要に応じ、国家に対し、国家、準国家及び/または地方機関、または関連するマルチ・ステークホルダーが持つ、持続可能な開発に関する事象の調整や持続可能な開発の3つの側面の効果的統合を含めて持続可能な開発に対処するための機関及びプロセス、を強化することを要求する。
102. 我々は、すべてのパートナーの参加が自発的で開かれている「グリーン・ブリッジ・パートナーシップ」のような、地域及び地域横断型のイニシアティブを歓迎する。
103. 我々は、持続可能な開発に対する国の状況及び優先事項を考慮した長期的政治コミットメントを保証する必要性を強調する。そして、この点に関し、我々は、すべての国が、持続可能な開発を達成するために必要な行動及び手段に取り組むことを推奨する。
V. 行動とフォローアップ
A. テーマ別分野と横断的事項
104. 我々は、持続可能な開発に向けた新政治的コミットメントを確立すると同時に、持続可能な開発、貧困の撲滅、及び持続可能な開発の組織的枠組みの範囲でのグリーン経済のテーマを取り上げるという会議の目的を達成するために、持続可能な開発に関する主要サミットの結果の実施に関する溝を埋め、最近浮き彫りになった新しい課題を取り扱い、適切な実施手段として支持されているこの行動枠組みに挙げられた次の行動を通して新しい機会を掴むことを目指す。目的、目標、指標を持つことは、ジェンダーの平等に関する指標を含め、我々の進捗を計り、加速するために役立つ。情報、知識、体験を進んで共有することにより、以下に挙げた行動は更に推進されるであろう。
貧困の撲滅
105. 我々は、2015年のMDGsの目標期日まであと3年と迫った今、ある地域では貧困の撲滅がある程度進んだとは言え、進捗は地域によって差があり、後発開発途上国、中でもアフリカ諸国で貧困に苦しむ人々の数が増え、女性と子供が特に影響を受けていることを認識する。
106. 我々は、開発途上国において継続的、包括的且つ衡平な経済成長を促すことが、貧困の撲滅、飢餓撲滅、MDGsの達成に必要であることを認識する。これに関して、開発途上国の発展機会を広げる環境作りを援助する必要性があることを強調する。また、国連の開発アジェンダにおいて貧困の撲滅を最優先事項とし、全レベルで統合され、調和のとれた、ー貫した戦略を通じ、貧困の原因を追求し、課題に挑戦する必要性も強調する。
107. 我々は、開発による利点を強化し、獲得する上で、社会サービスの充実が非常に有効であることを認識する。貧困の撲滅と「ミレニアム開発目標」の推進と達成には、不平等と社会的疎外の問題に対処する社会的保護システムが必要である。この点に関して、すべての人の社会的保護を促進させるためのイニシアティブを強く悠憩するものである。
食料安全保障、栄養、持続可能な農業
108. 我々は、すべての人が適切な食料を得る権利、飢餓に苦しまない基本的権利に従って、安全で栄養豊富な食料を十分に得る権利の確保を目指すコミットメントを再確認する。食料の安全と栄養の問題が世界中で火急の課題となっている点に関して、2009年の「ローマ原則(Rome Principles)」に沿い、国、地域、世界の食料安全と栄養に関する戦略を通じて、2歳以下の子供を含む、現在と未来の世代に食料安全と、適切で安全、且つ栄養豊富な食料の確保を目指すコミットメントを再認識する。
109. 我々は、世界の貧困層の大多数は農村地域に暮らし、農村社会は多くの国で、経済発展に重要な役割を果たしていることを認識する。経済的、社会的、環境的に持続可能な方法で開発途上国における農業及び農村開発部門を活性化する必要性を強調する。農村社会のニーズに対応するため、農業生産者、特に小規模生産者、女性、先住民、社会的弱者に対し、信用貸し、その他の金融サービス、市場、土地保有、健康保健、社会サービス、教育、職業訓練、知識、及び、濯瓶、処理済み排水の再利用、水栽培、水の貯蔵を含めた適切で購入できる技術を提供する等の行動を起こす重要性を認識する。農業、農村開発、及び食料安全保障と栄養問題の改善のため、農村地域の女性のエンパワーメントを推進する重要性を繰り返す。また、多くの先住民と地域社会に暮らす人々が昔から行ってきた種の供給システムを含めた、伝統的で持続可能な農業の慣習を保存する重要性も認識する。
110. 農業の多様な条件を考慮し、我々は、市場や貿易システム機能の改善、国際協力の強化を特に開発途上国において推進することを通じ、持続可能な農業、土地管理、農村開発に対する官民による農業投資を増やすことにより、全世界で持続可能な農業生産の増大と生産性の向上を促進することを決意する。融資と支援は主に次の分野に対して行う:持続可能な農業の慣習;農村地域の経済基盤、倉庫の容量、関連技術;持続可能な農業技術の研究開発;強い農業組織やパリューチェーンの展開;都市と農村地域の繋がりの強化。食物供給チェーン全体において、ポストハーベストロスを大幅に削減する必要性も認識する。
111. 我々は、穀物、家畜、林業、漁業、養殖を含めた持続可能な農業を推進、改善、支援する必要性を再確認する。持続可能な農業は、食品安全を向上させ、貧困を撲滅し、経済的に実行可能であると同時に、土地、水、動植物の遺伝子資源、生物多様性及びエコシステムを保全し、気候変動や自然災害への回復力を強化する。
112. 我々は、牧草地と濯瓶システムの改善と並行し、国の政策、法律、規則、規定に沿った持続可能な水管理システムを通じ、牧畜家を含めた農家の生計と家畜の健康との間の密接な関係を認識した上で、家畜病の撲滅と拡散防止に向けた努力を通じ、持続可能な家畜生産システムを向上させる必要性を強調する。
113. 我々は、食料の安全と栄養供給、何百万人もの人々の生計を支える健全な海洋生態系、持続可能な漁業、及び持続可能な養殖の重要な役割についても強調する。
114. 我々は、知識とグッドプラクティスを進んで共有することにより、農業に関する研究、拡張サービスを推進し、農業生産性と持続可能性を向上させるための職業訓練、教育の充実に向けた行動を取ること決意する。更に、農家、漁業者、林業者が多様な手法の中から持続可能な農業生産に適切な手法を選ぶ能力を養うための新しい情報伝達技術を通じ、情報、技術知識、ノウハウを提供する決意がある。農業発展のための研究に関して、国際協力を強化することを呼びかける。
115. 我々は、持続可能な食料生産と食料安全に関する国主導の評価への支援を含め、「世界食料安全保障委員会(CFS)」による重要性と包括的性質を再確認する。また、各国に対し、「土地所有等の責任ある管理のための任意のガイドライン」(VG)の実施を奨励する。「責任ある農業の投資原則(PRAI)」の枠組み内の他、CFSの枠組み内でも責任ある農業投資に関する進行中の協議に留意する。
116. 我々は、食料価格の高騰の原因を、全レベルでの構造的原因を含めて解明する必要を強調する。また、農業用備品の高騰がもたらすリスクと、小規模農家や都市貧困層に与える影響を含め、世界の食料安全と栄養に対する影響を管理する必要も強調する。
117. 我々は、食料価格の高騰問題に対処するため、正確で透明な情報をタイムリーに取得する重要性を強調する。この点に関して、「国連食糧農業機関(FAO)」が主催する「農産物市場情報システム」に注目し、参加国際機関、民間部門、政府に対し、時宜を得た食料市場情報を公開することを求める。
118. 我々は、開かれた、差別の無い、衡平な多方向貿易システムを、規則に従って世界的に実施することが、開発途上国の農業と農村の開発を促進し、世界の食料安全に貢献することを再確認する。国家、地域、国際レベルの戦略を実施し、農家、中でも女性を含む小規模農家の、地域社会、国、地域、国際規模の市場への参加促進を求める。
水と衛生
119. 我々は、水は世界の主要な課題に密接に繋がるため、持続可能な開発の中核をなすことを認識する。従って、持続可能な開発において水を統合することの重要性を繰り返し、持続可能な開発の3つの側面において、水と衛生の重要性を強調する。
120. 我々は、「ヨハネスブルグ実施計画」と「ミレニアム宣言」において明言されたコミットメントを再確認する。このコミットメントとは、2015年までに安全な飲み水と基本的衛生を手に入れられない人の割合を半減させること、統合された水資源管理と水効率化計画を開発し、水の持続可能な使用を確実にすることである。貧困の撲滅、女性のエンワーメント、人の健康保護、及びあらゆるレベルで統合資源管理を大幅に向上させるために必要なすべての人への基本的な公衆衛生と、誰にでも購入できる価格での安全な飲み水の提供を実現させることに力を入れる。この点に関して、全ソースからの資源の移動、能力開発、技術移転を通じ、これらの努力、特に開発途上国における努力を支援することを繰り返し強調する。
121. 我々は、安全な飲み水と衛生を手に入れる人間の権利に関するコミットメントを国の主権を十分に尊重した上で実現させることを再確認する。また、「命のための水」国際行動の10年(2005〜2015年)に向けたコミットメントも強調する。
122. 我々は、水の量と質を維持する上で生態系が果たす主要な役割を認識し、生態系の保護と持続的管理行動を各国の国境を尊重しながら支援する。
123. 我々は、従来とは異なる水資源を含めた水の需要と供給のパランスを考慮しながら、氾濫、干ばつ、水不足の問題に対処する方法を採択し、国家の優先事項に従って水と衛生サービスのための基盤に対して資金源を投入し、投資を行う必要性を強調する。
124. 我々は、水質汚濁削減や水質・排水処理・水の効率化の改善、水の損失削減等の対策を講じる必要性を強調する。この目的を達成するために、国際支援及び協力の必要を強調する。
エネルギー
125. 我々は、発展の過程でエネルギーが果たす役割を認識する。持続可能な近代的エネルギーサービスの提供は貧困の撲滅に貢献し、人命を保護し、健康を増進し、人間の基本的ニーズに対応するからである。これらのサービスが社会的包摂、ジェンダーの平等に必要不可欠であり、エネルギーは生産の必需品であることを強調する。これらのサービスを、現在サービスを提供されていない世界中の14億人の人々に対して供給する。持続可能な開発を進める上で、これらのサービスは必須であることを認識する。
126. 我々は、すべての人に持続可能な近代的エネルギーサービスを提供する必要性を強調する。中でも、これらのサービスが提供されているにも関わらず、手に入れることができない貧困層の人々を考慮する必要がある。この状況を改善するために、適切な資金を投入し、開発途上国において、これらのサービスを信頼性の高い、経済的に実行可能な、社会的・環境的に受け入れられる方法を購入できる価格で提供することを含め、更なる行動を起こす必要があることを強調する。
127. 我々は、各国の国家状況と開発希望に基づいて、国家・地域レベルの政策と戦略の実施を支援することを再確認する。支援は、再生可能エネルギー源、その他の低排出技術の利用率を高め、エネルギーの効率化、高度エネルギー技術に対する信頼感の向上を通じ、クリーンな化石燃料技術、従来のエネルギー源の持続可能な利用を含め、開発のニーズに合わせた適切なエネルギーミックスで行われる。国家、地域の政策、中でも持続可能な料理・加熱方法の電化と普及を含め、ベストプラクティスを共有し、政策を採択する共同作業を通じて、すべての人に持続可能な近代的エネルギーサービスを提供することに力を入れる。公共と民間部門が、適切で必要なクリーンエネルギー技術に投資できる環境整備を政府に求める。
128. 我々は、エネルギーの効率化、及び、再生可能エネルギーやクリーンで効率の良いエネルギー技術のシェア向上は、気候変動への対処を含め、持続可能な開発に重要であることを認識する。都市計画、建築、交通、物品やサービスの製造、製品の設計におけるエネルギー効率化対策の必要性も認識する。エネルギー効率化に向けたインセンティブの推進、エネルギー効率化に逆行するインセンティブの排除、エネルギーミックスの多様化、開発途上国を含めた各国での研究開発推進の重要性も認識する。
129. 我々は、国連事務総長による「すべての人のための持続可能エネルギー」イニシアティブの立ち上げに留意する。このイニシアティブは、エネルギー効率を高めること、再生可能なクリーン且つ省エネ技術の割合を高めることに焦点を当てている。我々は
「すべての人のための持続可能エネルギー」を実現するために行動し、この行動を通じ、貧困を撲滅し、持続可能な開発 と世界の繁栄に貢献する決意がある。各国の広い意味でのエネルギー問題に関する行動は非常に重要であり、エネルギーミックスの問題を含め、課題、能力、状況に応じて優先順位を決定されていることを認識する。
持続可能な観光
130. 我々は、良い計画のもとで管理された観光は持続可能な開発の3つの側面に大きく貢献し、他部門と密接な関係を持ち、健全な職と貿易機会を生み出す可能性があることを強調する。環境に対する認識を向上させ、環境を保存・保護し、野生生物、植物、生物多様性、生態系と文化の多様性を尊重し、地域経済と人間環境、自然環境を全体として支援することにより、地域社会の幸福と生計を改善する持続可能な観光と関連能力の開発を推進する必要性を認識する。開発途上国における持続可能な開発の達成に貢献するため、持続可能な観光と関連能力の開発に対する支援を求める。
131. 我々は、自然保護観察旅行、文化観光を含め、持続可能な観光に対する投資の推進を奨励する。これは中小企業を設立し、資金調達を可能とすることを含め、自然保護観察旅行が必要な地域の貧困層、先住民、地域社会のためのマイクロクレジット・イニシアティブを通じて行われる。この点に関して、国家の重点課題と持続可能な観光を推進、支持する法令に従って、必要な場合は適切な指針と規定を設定する重要性を強調する。
持続可能な交通
132. 我々は、持続可能な開発にとって交通と移動(モビリティ)が重要であることに注目する。持続可能な交通により移動の利便性と共に経済成長が加速されることがある。持続可能な 交通は環境に対する配慮と同時に経済の統合を促す。我々は人と物品の移動の重要性を認識する。また、社会の平等、健康、都市の耐久性、都市と農村の繋がり、農村地域の生産性を強化する方法として、環境に配慮した、安全で購入できる交通手段を提供する重要性を認識する。この点に関して、持続可能な開発を達成するための努力のー部として、道路の安全を考慮する。
133. 我々は、エネルギー効率の良い多モード交通システム、即ち公共の大量交通システムを含め、クリーンな燃料と車、農村地域における交通システムの改善等、持続可能な交通システムの開発を支援する。持続可能な開発を推進するため、交通のサービスとシステムに関する国家、地域、地方レベルの政策決定に向けた統合的取組みの必要を認識する。また、持続可能な乗り継ぎ交通システムの設立には、通過地点にある内陸後発開発途上国の特別な開発を考慮することが必要な点も認識する。この点に関して、開発途上国に対する国際的支援の必要性を認識する。
持続可能な都市と人間居住
134. 我々は、都市作りにおいて統合的なアプローチを推進すすれば、経済面、社会面、環境面で持続可能な社会の構築を促進することを認識する。この点に関して、都市と住宅地の開発は、購入できる住宅と経済基盤を提供し、スラムの改善と都市の再生を目指す全体的な取組みを必要とすることを認識する。すべての人が基本的サービス、住宅、交通手段を購入できるよう、貧困の撲滅の意味での都市と農村の両方の生活・労働条件を含めた住宅地の品質向上に向けて努力する。住宅地の自然・文化的伝統の適切な保存、歴史的区域の再活性化、都市中心部の修復の必要性も認識する。
135. 我々は、地方自治体への支援を通じ、公共の認識を高め、貧困層を含めた都市の住民を政策決定に参加させることにより、持続可能な都市と郊外の住宅地の設計と建設に向けた取組みの推進に努力する。また、包括的住宅供給と社会サービスを支援する持続可能な開発政策の推進にも努力する。その中には、次のものが含まれる:子供、青少年、女性、高齢者、障害者を含めたすべての人に対する安全で健康な生活環境の提供;購入できる価格の持続可能な交通手段とエネルギー;都市における安全な緑化地帯の推進、保護、保全;安全で清潔な飲み水と衛生;健全な空気;健全な職;都市計画とスラムの改善。3R(リデュース(削減)、リユース(再利用)、リサイクル)を通じた持続可能な廃棄物管理も支持する。都市計画における災害や気候変動リスクを勘案することの重要性を強調する。農村地域の開発とパランスを取るための都市の努力を認識する。
136. 我々は、今後の数十年間で予想される都市人口の増加に対応するため、持続可能な都市計画と設計を実施する大都市、都市、町の数を増やす重要性を強調する。持続可能な都市計画には、人口統計学の傾向、収入分布、非公式住宅地を含む、情報と性別データのフル活用と同様、複数の利害関係者が関わることによって利点があることを認識する。都市計画の開始から、古い都市と近郊地域の再活性化まで、建物管理と、地域に合致した持続可能な交通システムの開発において、エネルギー効率を考慮したプログラムを採択することを通じ、持続可能な都市の展望を設定する市役所の役割が重要であることを認識する。更に、エネルギーの混合利用計画、歩行者と自転車を含めたモーターの無い移動手段を推進することの重要性を認識する。
137. 我々は、都市間の連携は、持続可能な開発の推進に重要な役割を果たすことを認識する。この点に関して、従来の協力体制や協力のための連携・プラットフォームの強化、その他、「国連ハビタット・アジェンダ」の協調実施を推進するツールの強化に全ての関連する国連機関が積極的に関わり、持続可能な都市開発を実現するという全般的目標を持って行うことが必要であることを強調する。更に、適切な時期に「国連ハビタット・アジェンダ」を効果的且つ堅実に世界中で実施するため、「国連ハビタット・アジェンダ」と「人間居住財団」に計画的な資金援助を継続して適切に行う必要を認識する。
健康と人口
138. 我々は、健康が持続可能な開発の3つの側面すべての前提条件、結果、指標であることを認識する。持続可能な開発は、人を衰弱させる感染症及び非感染症の大流行が無く、人々が健全な身体、精神、社会を得て初めて達成できることを理解する。健康を左右する社会的・環境的な要因に関連する行動は、貧困層、社会的弱者、人口全体にとって、包括的で衡平な、生産性が高く健全な社会を構築する上で重要である。可能な限りの身体的・精神的健康を得る権利の完全な実現を求める。
139. 我々は、健康、社会の結合を促進し、持続可能な人と経済の発展のために、世界が普遍的に健全である必要性を認識する。衡平で普遍的な保健システムの強化にコミットする。世界人口の健康問題に早急に対処するため、関連機関は強調し、多分野に渡る行動を起こすことを求める。
140. 我々は、HIV、AIDS、マラリア、結核、インフルエンザ、小児麻庫、その他の感染症が依然として世界中で深刻な問題となっていることを強調し、HIVの予防、治療、看護、支援の充実、HIVの母子感染の防止に向けた努力を倍加すると同時に、マラリア、結核、未知の熱帯病への対策の刷新、強化に尽力する。
141. 我々は、世界中で非感染症(NCDs)の問題と脅威が21世紀の持続可能な開発における最大の課題の1つであることを認める。衡平で普遍的な保健システムを強化し、NCDs、特に癌、心疾患、慢性の呼吸器系疾患、糖尿病の予防、治療、看護、支援を購入できる価格で提供することに努力する。また、非感染症の予防と治療に向け、多分野に渡る国家政策を設立・強化することに努力する。大気汚染、水の汚染、化学物質による汚染を防止することが健康に良い影響を与えることを認識する。
142. 我々は、「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)」、「知的所有権の貿易関連の側面と公共の保健に関するドーハ宣言」、「TRIPS協定と公共の保健に関するドーハ宣言」の第6ラグラフの実施に関する2003年8月30日付の「世界貿易機関ー般理事会」による決定に記載された条項を最大限に活用する権利を再確認する。また、公共の保健の保護に柔軟性を持たせ、すべての人に薬を提供し、開発途上国の公共保健への支援を推奨することを盛り込んだ、同協定第31条への訂正が正式に承認されれば、その条項を最大限に活用する権利も再確認する。
143. 我々は、保健に対する投資強化、保健に関わる人材の職業斡旋、能力開発、職業訓練、保持、安全で効果的且つ高品質の薬品、ワクチン、医療技術の購入できる価格での提供、保健基盤の強化を通じ、保健システムの充実に向けた国家及び国際レベルの提携と協力を要請する。国際保健の指導・調整機関として、世界保健機関の主導的役割を支持する。
144. 我々は、国家、農村、都市の開発戦略、開発政策において、人口の傾向と予測を体系的に考慮する。将来を見据えた計画を通じ、移住を含めた人口の推移に関連した課題に対処する機会を掴むことができる。
145. 我々は、「北京宣言」、「国際人口開発会議(ICPD)行動計画」、及び性と生殖に関わる健康、性と生殖に関する全人類の権利の促進と保護に向けた行動を含めた見直し会議の結果の完全且つ効果的な実施を求める。家族計画、性に関わる健康を普遍的に提供し、性と生殖に関わる健康問題を国家戦略や国家計画に網羅する必要性を強調する。
146. 我々は、母子の死亡率を低下、女性、男性、青少年の健康増進に向けて努力する。ジェンダーの平等を保証し、女性、男性、青少年が性に関する問題を自ら管理し、責任を持って自由に決断する権利を、性と生殖に関わる健康を強制、差別、暴力無しで得る権利を含め、保護することを再確認する。女性の性と生殖に関わる健康の問題に関連する必要な情報と保健サービスを提供する保健システムを実現にするために積極的に努力する。女性の健康とジェンダーの平等の促進に必須なため、これには、安全で効果的且つ受け入れやすい近代的な家族計画の方法を、購入できる価格で普遍的に提供するための努力が含まれる。
完全且つ生産的な雇用、すべての人のディーセントワーク及び社会的保護
147. 我々は、貧困の撲滅、完全で生産性の高い雇用、すべての人のためのディーセントワーク、社会統合と社会保障は相互に関係があり、補強し合うことを認識し、これらの問題に対応する環境作りをすべてのレベルで実行することの必要性を認める。
148. 我々は、労働市場の状態と、求職者、特に若い男女がディーセントワークに就く機会が広く不足している現実を憂慮する。世界中の若年層に堅実で生産性の高い職業を斡旋する戦略と政策を開発、実施することにより、若者の雇用問題に対処することを各国政府に求める。持続可能で包括的な開発と貧困の削減を確実にするために、今後数十年間に渡り、健全な職の斡旋が必要となるであろう。
149. 我々は、堅実、効果的且つ十分な経済・社会基盤、持続可能な開発と包括的且つ衡平な経済成長を長期に渡って維持するための生産能力に投資し、これを開発することにより、雇用創出を行う重要性を認識する。持続可能な開発のため、経済基盤への投資を増やすことを各国に求め、国連基金、国連計画、国連機関を支援し、開発途上国、中でも後発開発途上国のこの方面への努力を補助し、推進することに合意する。
150. 我々は、包括的且つ衡平な経済成長を長期的にもたらし、生産性の高い雇用機会を増やし、農業と産業の発展を促進するような持続可能な開発を推進し、将来を見据えたマクロ経済学的政策を採択することにより、雇用を創出する重要性を認識する。
151. 我々は、すべての人、特に貧困層のために雇用と収入機会を提供する必要性を強調する。この点に関して、都市部と農村部の双方において貧困層に就職機会を提供する国の努力を、中小企業への支援を含め、支持する。
152. 我々は、労働者は教育、技能、健康維持、社会保障、職場における基本的権利、職業上の安全と健康を含む社会的・法的保護、及びディーセントワークに就く機会を提供されるべきであることを認識する。政府、労働組合、労働者、雇用主は皆、すべての人のためのディーセントワークを提供するための役割を持っている。皆が、青少年が必要な技能を身につけ、新しい、最近登場した分野を含めた雇用機会を得るために支援すべきである。女性も男性も、平等に職業上の技能、労働者保護を得る機会を持つべきである。変遷する労働市場の条件に対応するため、労働者を支援するプログラムを含めた適切な移行の重要性を認識する。
153. 我々は、大部分が女性で賄われている非公式で無報酬の仕事が、人間の幸福と持
続可能な開発に大きく貢献していることを認識する。この点に関して、安全で堅実な労働条件と、社会的保護、教育を提供することにコミットする。
154. 我々は、すべての人のためのディーセントワークと雇用創出の機会は、科学技術革新に対する公共と民間の投資、自然資源と生態系の復元、再生、保存のための公共事業、社会と地域社会のサービスを通じて実現されることを認識する。自然資源と生態系の復元と管理に関わる貧困層のための雇用を創設する政府のイニシアティブを歓迎し、民間分野がすべての人のためのディーセントワークと雇用創出を、男女、特に青少年に提供し、中小企業との提携等を通じて貢献することを奨励する。この点に関して、グリーン雇用イニシアティブと関連技能を含む、すべての人のためのディーセントワークと雇用創出に関する情報と知識の交換を促進する努力、関連データを国の経済と雇用政策に統合する努力が重要であることを認める。
155. 我々は、青少年等に失業と不完全雇用が多く見られる問題に対処するための経験とベストプラクティスの共有を奨励する。
156. 我々は、正式な職業を持たない人も含め、社会の全メンパーに対して社会的保護を提供し、成長、耐久力、社会正義、社会との結合を養成する必要性を強調する。この点に関して、すべての人に社会的保護の床(最低限度の社会的保護)を提供する国、地域のイニシアティブを強く推奨する。持続可能な開発の3つの側面を考慮した社会的保護プログラムのベストプラクティスに関する国際的な対話を支持し、この点に関して、「国際労働機関の社会的保護の床に関する勧告No.202」に注目する。
157. 我々は、移住の状態に関わらず、女性と子供を含めた人権と移民の自由の保護を促進し、効果的に保護することを各国に求める。また、国際、地域、または相互の協力と対話を通じ、移住の国際的問題に対処し、移民の人権を促進・保護し、弱者である移民の状態を悪化させる可能性のある取組みを回避する出身国、中継国、目的国の役割と責任を認識しつつ、ー貫して調整の取れた取組みを構築することを求める。
海洋
158. 我々は、海洋が地球の生態系の統合された基本的要素を構成し、生態系を維持するために不可欠であることを認識する。また、「国連海洋法条約(UNCLOS)」に則って、海洋とその資源を保存し持続可能的に利用することを認識する。貧困の撲滅、長期に渡る経済成長、食品の安全、持続可能な生計とディーセントワークの創出を通じ、同時に生物多様性と海洋環境を保護し、気候変動の影響にも対処する、持続可能な開発の
ための、海洋と海洋資源の保存と持続可能な利用の重要性を強調する。従って、海洋と海洋の生態系の健康、生産性、耐久力を保護し、復元することにコミットする。また、生物多様性を維持・保存し、現在と未来の世代による持続可能な利用を実現し、持続可能な開発の3つの側面を実現するために、国際法に従って、生態系の取組みと、海洋環境に影響する行動の予防的取組みを効果的に管理に適用することにコミットする。
159. 我々は、持続可能な開発の推進に関して、近日中に国際的に採択される予定のUNCLOSの重要性を認識する。この点に関して、本会議において決定した義務を各国が完全に履行することを求める。
160. 我々は、開発途上国が海洋、海、及び海洋資源の保存と持続可能な利用から利益を得る手段を確立する重要性を認識する。この点に関して、UNCLOS、持続可能な開発に関する主要サミットで決定された条項を実施するための海洋科学研究における協力、技術移転の必要性を、「海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)のガイドライン」を考慮した上で強調する。
161. 我々は、国連総会で制定された「海洋環境の状態に関する地球規模の調査報告と影響評価についての定常的な検討過程」を、社会経済的側面を含め、支持する。2014年に終了する予定の、海洋環境の状態に関する初めての地球規模の調査が完了し、総会で取り上げることを期待する。調査結果を適切なレベルで考慮することを各国に推奨する。
162. 我々は、国家管轄権外の生物多様性の保全及び持続可能な利用の重要性を認識する。国連総会で進行中の、臨時の自由で非公式な作業グループによる、国家管轄権外の生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する研究に注目する。臨時作業グループの調査に基づいて、第69回国連総会の終了前に、我々は、緊急に、国家管轄権外の生物多様性の保全及び持続可能な利用の問題を、UNCLOSに従った国際的な手段の開発に関する決議を含め、提示する。
163. 我々は、海洋と海洋生態系の健康が、船舶や土地の流出を含む数多くの海上、または陸上の汚染源から排出されるプラスチック、残留性有機汚染源、重金属、窒素化合物等の海洋ごみの海洋汚染により悪影響を受けていることを憂慮する。「国際海事機関(IMO)」による枠組みで採択された協定の効果的な実施、「海洋環境を陸上活動から保護するための地球行動計画」等の関連イニシアティブのフォローアップ、この目的のために調和された戦略の採択を通して海洋生態系に対する汚染の排出と影響を防止するために行動を起こすことを宣言する。2025年までに、収集された科学データに基づい
て更なる行動を起こし、海洋ごみを劇的に削減し、沿岸と海洋の環境に対する被害を防止することに尽力する。
164. 我々は、外来種が海洋生態系と海洋資源にもたらす脅威に注目し、外来種の侵入を防止し、環境への悪影響を制御する手段を、IMOの枠組みで採択されたものも含めて講じる。
165. 我々は、海面上昇と海岸浸食が開発途上国等の沿岸地域や島にとって深刻な脅威となっている事実に注目する。この点に関して、これらの課題への対処を強化することを国際コミュニティに求める。
166. 我々は、海洋酸性化と気候変動が沿岸の生態系と資源に与える影響に対処するイニシアティブへの支援を求める。この点に関して、この方面での国際協力を強化することも含め、海洋酸性化の防止に向けて結束すると同時に、海洋生態系と、海洋生態系で生計を立てている地域社会の耐久力を強化し、海洋科学研究を支援し、海洋酸性化、特に傷つき易い生態系への影響を監視・観察する必要性を繰り返し強調する。
167. 我々は、海洋肥沃化が環境に与える影響に配慮する。この点に関して、政府間で採択された海洋肥沃化に関する決定を想起し、細心の注意を払い、予防的取組みに沿った方法で対処することを決意する。
168. 我々は、JPOI(ヨハネスブルグ実施計画)で合意された2015年の目標、即ち、海洋資源の備蓄を最大持続生産量レベルに維持、または早急に回復する目標を達成するための努力を強化する。この点に関して、海洋資源の備蓄を最大持続生産量レベルに維持、または早急に回復するため、それぞれの生物学的性質により判断される通り、最短期間で目標達成する意図を持って行動を起こす。この目的のため、漁獲を削減、中止、または水産資源の備蓄量にふさわしい行動をとること等を通して、科学に基づいた管理計画を早急に構築、実施する。更に、破壊的な漁業習慣の排除等を通じ、パイキャッチ(無用の海洋生物で、別の種類を釣っている時に網に掛かるもの)、廃棄、その他、漁業が生態系に与える悪影響を制御する活動を強化する。また、傷つき易い海洋生態系を大きな悪影響から保護する活動を、調査結果の有効利用等を通して強化する。有能な機関等によるこれらの活動は、国際法、適用可能な国際協定、国連総会決議、及び国連食糧農業機関(FAO)のガイドラインに準拠して行う。
169. 我々は、各国に、「分布範囲が排他的経済水域の内外に存在する魚類資源(ストラドリング魚類資源)及び「高度回遊性魚類資源の保存及び管理」に関するUNCLOS
の条項の実施のための1995年の協定を完全に施行し、同協定のVII編に従って開発途上国の特別な要求を完全に認めることを各国に求める。更に、「責任ある漁業のための行動規範」と「FAO国際行動計画」と技術ガイドラインの実施を各国に求める。
170. 我々は、違法無報告無規制(IUU)漁業が多くの国から重要な自然資源を奪い、依然として持続可能な開発の脅威となっていることを認める。「ヨハネスブルグ実施計画」で提案された通り、IUU漁業を撲滅し、次の行動を通してこれを防止、対抗する : IUU漁業に対抗するために、FAO国際行動計画に従って、国、地域の行動計画を開発、実施する ; 沿岸国、旗国、寄港国、チャーター国、IUU漁業の実質的な所有者、その他IUU漁業を支援、実行している者の属する国が、IUU漁業に関わる船舶を特定し、反対者からIUU漁業による利益を奪うことにより、国際法に従って、効果的で調和された方法を実施する ; 開発途上国と協力し、監視、管理、調査、法準拠、法の施行に対する支援を含め、体系的にニーズを特定して能力を開発する。
171. 我々は、FAOの「寄港国措置に関する協定」に署名した各国に対し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業を防止、阻止、撲滅し、同協定の早期施行を視野に入れ、裁可に向けた工程を促進することを求める。
172. 我々は、「地域の漁業管理機関」(RFMO)による透明で責任のある漁業管理が必要であることを認識する。RFMOがこれまでに独立して実施した実績検証を認め、全RFMOが定期的に実績検証を行い、結果を公表することを求める。実績検証の勧告を実施し、必要に応じ、時間をかけて包括性を高めていくことを推奨する。
173. 我々は、開発途上国にとって漁業分野が持つ重要性を考慮した上で、違法・無報告・無規制(IUU)漁業と過剰漁獲力に繋がる補助金の廃止に関する「ヨハネスブルグ実施計画」の実施を再確認する。また、過剰漁獲・過剰漁獲努力量につながる漁業形態を禁止すること等を通して、「WTOドーハ開発アジェンダ」と「香港閣僚宣言」に効果を与える漁業補助金に関する多国間規則を完結させ、漁業分野の補助金に関する規則を強化に尽力することを繰り返し強調する。開発途上国、後発開発途上国に対する適切で効果的な特別優遇がWTOの漁業補助金交渉の中心部分となることを認め、開発、貧困撲滅、生計、食糧の安全に関する問題にとって漁業分野の持つ重要性を考慮する。各国に対し、透明性を強化し、WTOを通じて既存の漁業補助金プログラムを報告することを求める。漁業資源の状態を勘案し、漁業補助金に関する「WTOドーハ開発アジェンダ」、「香港閣僚宣言」、更には協議を終了する必要性にも影響することなく、我々は、各国に過剰漁獲・過剰漁獲努力量につながる漁業補助金を廃止し、新しい補助金を導入せず、既存の補助金を拡張しないことを求める。
174. 我々は、開発途上国からの水産品の市場参入を促進すること等を通し、持続可能な漁業を維持し、持続的に管理し、利益を実現する能力の開発に向けた戦略を2014年までに確立し、中心に据えることで、開発途上国、中でも後発開発途上国、小島嶋開発途上国を更に援助することを勧告する。
175. 我々は、小島嶋開発途上国を含む開発途上国において、生存のために魚を獲る者、小規模・職人的漁師、女性漁業者、先住民とその地域社会が確実に水産物を収穫できる環境を確保する必要性、及び市場参加の重要性を認める。
176. 我々は、島国、沿岸諸国においてサンゴ礁が経済、社会、環境に大きく貢献すること、また、気候変動、海洋の酸化、乱獲、破壊的漁業、公害によりサンゴ礁が非常に傷つき易いことも認識する。サンゴ礁とマングローブの生態系の保存、社会、経済、環境への利益の実現、及び、技術提携と自発的な情報の共有を目的とした国際協力を支援する。
177. 我々は、国際法に従って保護されている海洋域を含め、生物多様性とその構成要素の持続可能な利用を保存するためのツールとして最適な科学情報に基づいた、地域ベースの保存手段を構築する重要性を再確認する。海洋保護区における、効果的且つ衡平に管理された、生態学的に適切な、接続の良いシステム、その他の地域ベースの効果的な保存手段を通して、2020年までに沿岸地域と海洋地域の10%、中でも生物多様性と生態系サービスにとって最も重要な地域を保存することを目的とした「生物多様性条約第10回締約国会議」の決定事項X/2 に留意する。
小島嶋開発途上国(SIDS)
178. 我々は、小島嶋開発途上国(SIDS)が、規模が小さく、他国から離れていること、資源が少なく、輸出の基盤が脆弱で、気候変動や、悲惨な自然災害に頻繁に見舞われることを含め、環境問題や外部からの経済的ショックに晒されていること等、その固有な傷つき易さの点で、依然として持続可能な開発の特別なケースであることを再確認する。「モーリシャス戦略」の5年後のレビュー(MSI+5)は、SIDSが他のグループに比べ、経済面、特に貧困の撲滅と負債維持可能性の意味で、進歩が少なく、後退さえ見られたと結論したことを憂慮する。海面の上昇、その他、気候変動による悪影響は、SIDSの持続可能な開発にとって依然として大きな脅威であり、土地の損失を含め、大勢にとって生存と生存能力に対する最大の脅威となっている。SIDSにおいて、ジェンダーの平等、健康、教育、環境の分野では進歩が見られたー方、「ミレニアム開発目標」の達成に向けた全般的な進歩は不均ーであったことも憂慮する。
179. 我々は、「パルパドス行動計画」と「モーリシャス戦略」の実施において、SIDSの支援を継続、強化することを求める。また、持続可能な開発の実現に当たってSIDSが直面する、進行中、若しくは新しく出現した複数の課題を支援する努力を継続し、SIDSに対する国連システムの支援を強化することを求める。
180. 「パルパドス行動計画」と「モーリシャス戦略」に基づいて、我々は、SIDSが直面する持続可能な開発の課題に対処するための調和された、パランスのとれた、統合された行動の重要性を認識し、第3回小島嶋開発途上国国際会議を2014年に開催することを求める。第67回国連総会で、会議の進捗状況を判断することを望む。
後発開発途上国(LDCs)
181. 我々は、「イスタンブール行動計画(IPOA)」を効果的に実施し、優先地域を行動枠組みに完全統合することに同意する。計画を広く実施することにより、2020年までにLDCの半分が卒業基準を満たすというIPOAの目標達成に貢献するだろう。
内陸後発開発途上国(LLDCs)
182. 我々は、「アルマティ行動計画」で合意された5つの重点課題に含まれる特定の行動と「宣言」の中間レビューで提示された行動の実施を調和のとれた方法で加速することを、開発提携者を含めた加盟諸国、国連機関、その他の関連国際、地域、小地域の機関に求める。中でも、代替道路、接続経路の完成、通信とエネルギー基盤の改善を含め、交通手段、倉庫、その他の輸送設備の建設、メンテナンス、改修に関わる活動に力を入れ、これらの国の持続可能な開発を支援する。
アフリカ
183. 我々は、アフリカの開発ニーズに関連する国際的コミットメントの遂行に向けた何らかの進展が為されていることを認識するー方、アフリカ大陸における持続可能な開発の達成に依然、重大な課題が残っていることも重視する。
184. 我々は国際社会に対し、アフリカの持続可能な開発にとって極めて重要な諸分野における活動の前進に向けた支援の強化とコミットメントの遂行を求め、また「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」との協力強化に向けた開発パートナーの努力を歓迎する。また我々は、民主主義、人権、優れたガパナンス及び健全な経済運営におけるアフリカ諸国による進展を歓迎すると共に、この点に関してアフリカ諸国がそれぞれの努力を継続することも奨励する。我々はアフリカにおける全ての開発パートナー、特に先進諸国に対し、アフリカ諸国が必要とする技術の相互に合意された通りの移転の推進を通じた前進を含め、あらゆるレベルでのアフリカ開発の拡大を視野に入れた優先事項及び目標に合致する形での人的能力及び民主主義制度の強化において、アフリカ諸国を支援するよう促す。我々は、持続可能な開発を支援する形での包括的成長を可能にする環境、並びにアフリカ諸国による開発努力を支える官民の、国内及び国外のあらゆる資金源からの新規及び追加での開発資金源の流れの増加に向けて国際社会が継続的に努力することを可能にする環境の創出に向けた、アフリカ諸国による継続的努力を認識すると共に、この点に関してアフリカ諸国と開発パートナーの間で確立された様々な重要イニシアティブを歓迎する。
その他の地域
185. 我々は、持続可能な開発の促進に向けた協調的な地域レベルでの行動を奨励する。我々はこの点に関して、特にアラブ地域、ラテンアメリカ及びカリブ海、及びアジア太平洋地域において、国連の諸地域委員会の範囲内を含めた関連の場を通じ、持続可能な開発の促進に向けた重要な措置が講じられてきていることを認識する。様々な分野で依然課題が残っていることに留意しつつ、国際社会はこうした努力や、既に達成した結果を歓迎すると共に、更なる開発と実施のための、あらゆるレベルでの行動を求める。
防災
186. 我々は、「兵庫行動枠組2005〜2015:災害に強い国・コミュニティの構築」のコミットメントを再確認すると共に、諸国、国連システム、国際金融機関、広域自治体レベル、地域レベル及び国際レベルの組織、並びに市民社会に対し、同枠組の実施とその目標の達成を加速するよう求める。我々は防災と強靭性の構築について、持続可能な開発及び貧困の撲滅を背景とする喫緊の対処及びあらゆるレベルでの政策、計画、プログラム、及び予算への主流化を要請する。我々はあらゆるレベルの政府はもとより、関連する広域自治体レベル、地域レベル及び国際レベルの組織に対しても、都市や地域社会がそれぞれ固有の状況や能力に応じて災害への対応力を強化できるよう、防災のため、十分な、時宜に適う、予測可能な資源を投じるよう求める。
187. 我々は、人命の損失を含めた経済的及び社会的損害を削減できるよう、あらゆるレベルでの効果的な防災のー環としての早期警告システムの重要性を認識し、またこの点に関して加盟諸国に対し、そうしたシステムを自国の防災戦略及び計画へ統合するよう奨励する。我々はドナー国及び国際社会に対し、技術支援、相互に合意された通りの技術移転、能力開発及び訓練プログラムを通じて適宜、開発途上国での防災のための協力を促進することを悠憩する。我々は更に、包括的な危険有害性及びリスクの評価、並びに信頼できる地理空間的情報を含めた知識や情報の共有の重要性を認識する。我々は、リスク評価や防災手段を時宜に適う形で行い、強化することをコミットする。
188. 我々は、防災、復旧及び長期的な開発計画立案、これらのインターリンケージ強化の重要性を強調し、またリスクの削減、対応力の増強、そして救済、復旧及び開発に至る移行のー層の円滑化を目標に、防災と気候変動への適応に関する検討事項を、人道的活動や開発活動における官民の投資、意思決定及び計画立案へ統合するような、より協調的且つ包括的な戦略を求める。この点に関して、我々は、災害リスク評価のあらゆる段階の設計及び実施に、ジェンダーの観点を統合する必要性も認識する。
189. 我々は各国政府、国際レベル、地域レベル及び広域自治体レベルの組織、民間セクター及び市民社会を含めた全ての関連するステークホルダーに対し、兵庫行動枠組及び2015年以降の災害リスクの削減に向けた枠組にそって、人々、インフラストラクチャ及びその他の国家資産を災害の影響から保護するため、リスク曝露の削減に向けた協調及び協力の強化を通じたもの含め、持続可能な開発の3つの側面を考慮に入れつつ、適切且つ効果的な対策を講じるよう求める。
気候変動
190. 我々は、気候変動が現代の最大の課題の1つであることを再確認し、また温室効果ガスの排出が世界的に増加し続けていることについて、深刻な警告を表明する。我々は、全ての国々、特に開発途上国が、気候変動の悪影響に対して脆弱であり、また既に、持続的な干ばつや極端な気象事象、海面上昇、沿岸浸食及び海洋酸性化、食糧安全保障に対する脅威、貧困の撲滅や持続可能な開発の達成に向けた努力に対する脅威の深刻化、といった影響の増大に見舞われていることを深く憂慮する。この点に関して、我々は、気候変動への適応が、差し迫った喫緊の世界的優先事項に当たるということを重視する。
191. 我々は、気候変動の世界的性質によって、全ての国々が可能な限り協力し、また温室効果ガスの世界的排出の削減加速を視野に入れた効果的且つ適切な国際的対応に参加することが求められるということを強調する。我々は、UNFCCCにおいて、締約国は平等を原則として、また共通だが差異のある責任とそれぞれの能力に応じて、人類の現在及び未来の世代の利益のために気候システムを保護する旨、規定されていることを想起する。我々は、重大な懸念を以て、温室効果ガスの2020年までの世界的年間排出量に関する締約国の緩和プレッジと、世界平均での気温上昇を産業革命以前より2°Cまたは1. 5°C高いレベルに保つという可能性に合致する、集約的な排出経路の間に、大きな隔たりがあることに言及する。我々は、革新的な資金源を含めた官民の、二国間及び多国間での多様な資金源からの、開発途上国における国別の適切な緩和行動、適応措置、技術の開発及び移転、並びに能力開発を支援するための資金動員の重要性を認識する。この点に関して、我々は緑の気候基金の設立を歓迎するとともに、早期且つ適切な補充プロセスを持てるよう、同基金の早期運用開始を要請する。
192. 我々はUNFCCC締約国及び京都議定書の締約国に対し、それぞれのコミットメントはもとより、これらの合意の下で採択された決定についても、完全に実施することを促す。この点に関して、我々は、2011年11月28日から12月9日に南ア・ダーパンで開かれたCOP-17/CMP7での前進を含め、達成された前進を基盤とする意向である。
森林
193. 我々は、森林が人々にもたらす社会的、経済的及び環境的便益、並びに持続可能な森林経営が本会議のテーマと目的への貢献を強調する。我々は、持続可能な森林経営を促進するためのセクター横断的、制度横断的政策を支持する。我々は、森林が提供する多様な生産物及びサービスが、持続可能な開発にとって最も切迫した課題の多くに対処する機会を創出するものであることを再確認する。我々は、持続可能な森林管理、森林再生、回復及び植林の達成に向けた努力の強化を求めると共に、森林の破壊と劣化を効果的に減速、停止及び逆転させる、あらゆる努力、中でも特に合法的に採取される林産物の取引の促進を支持する。我々は、開発途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減、森林保全、持続可能な森林経営、森林炭素蓄積の増強など進行中のイニシアティブの重要性に言及する。我々は、持続可能な森林経営の達成に向けた「すべてのタイプの森林に関する法的拘束力を伴わない文書(NLBI)」に従った、森林ガパナンス枠組の強化に向けた努力と実施手段の増進を求める。この目的に対し、我々は人々及び地域社会の暮らしを、資金、貿易、環境に配慮した技術の移転、能力開発及びガパナンスといった分野での協力協定の強化を通じたものを含めて持続可能な形で森林を管理するために必要な条件を創出することによって、さらに安全な土地保有の促進、特に国別の法制及び優先事項に従った意思決定及び利益共有によって、改善することをコミットする。
194. 我々は、「すべてのタイプの森林に関する法的拘束力を伴わない文書(NLBI)」、並びに国際森林年の創設を契機とした第9回国連森林フォーラム閣僚級会合における閣僚宣言の、早急な実施を促す。
195. 我々は、国連森林フォーラムが、その普遍的メンパーシップと包括的マンデートにより、全体的且つ統合的な形での森林問題への対処と、持続可能な森林経営に向けた国際的な政策協調及び協力の推進に、きわめて重要な役割を果たしていることを認識する。我々は、「森林に関する協調パートナーシップ」に対し、同フォーラムへの支援継続を促すと共に、ステークホルダーに対しては同フォーラムの作業へ引き続き積極的に参加するよう奨励する。
196. 我々は、持続可能な森林経営の目標と実践を経済政策及び政策決定において主流化することの重要性を強調し、その目的に対して我々は「森林に関する協調パートナーシップ」加盟組織の統治機関を通じ、全てのタイプの森林の持続可能な経営を適宜、各機関の戦略やプログラムへ統合すべく取り組むことをコミットする。
生物多様性
197. 我々は、生物多様性の本質的価値はもとより、その生態学上の、遺伝学上の、社会的、経済的、科学的、教育的、文化的、娯楽的、及び美術的な価値も再確認し、また持続可能な開発及び人間の福利にとって重要な基礎である本質的サービスを提供する生態系の維持に生物多様性が果たす重要な役割も再確認する。我々は世界的な生物多様性の損失や生態系の劣化を認識すると共に、これらは世界的開発を損ね、食糧安全保障や栄養、水の提供及び水へのアクセス、現在及び未来の世代を含めた農村の貧困層や世界中の人々の健康に影響を及ぼすものであると認識する。これは生物多様性の保全、生息地の連続性の拡充強化、生態系の回復力の構築の重要性を明らかにするものである。我々は、先住民族や現地の地域社会の伝統的な知識、革新及び慣行が、生物多様性の保全及び持続可能な利用に重要な貢献を果たし、それらの適用を拡大することが社会的福利や持続可能な暮らしの支えとなり得ることを認識する。我々は更に、先住民族や現地の地域社会が生物多様性や生態系に最も直接的に依拠することが多く、また従ってそれらの損失や劣化の影響を最も即座に受けることも多いということを認識する。
198. 我々は、生物多様性条約の3つの目標達成に向けたコミットメントをあらためて表明すると共に、生物多様性の損失を効果的に減速、停止及び逆転させる早急な行動を求める。こうした背景にあって、我々は生物多様性条約第10回締約国会議で採択された「生物多様性戦略計画2011〜2020」の実施、並びに「愛知目標」の達成の重要性を再確認する。
199. 我々は、「生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正且つ衡平な配分に関する名古屋議定書」の採択に留意し、また生物多様性条約締約国に対し、同議定書を早期発効できるよう、同議定書の批准または加盟を促す。我々は、生物多様性の保全及び持続可能な利用、貧困の撲滅、及び環境的持続可能性への貢献において、遺伝資源の利用から生じるアクセスと利益供給の役割を認識する。
200. 我々は、生物多様性条約第10回締約国会議で採択された決定に従って、生物多様性を支える全ての源泉からの資源の持続可能な増加に向けたコミットメントを含め、同条約の3つの目標の達成を支える、資源動員戦略を歓迎する。
201. 我々は、生物多様性とその構成要素はもとより、不可欠なサービスを提供する生態系についても、保全及び持続可能な利用がもたらす社会経済的な影響と利益の検討を、国別の法制、状況及び優先事項に従って、関連するあらゆるレベルのプログラムや政策での主流化を支持する。我々は、適切な動機と政策を通じ、生物多様性の保全及び持続可能な利用、劣化した生態系の回復を支える投資を、生物多様性条約及びその他の関連する国際的義務と整合的に、歩調を合わせて行うことを奨励する。
202. 我々は、国際的な協力及びパートナーシップ、また適宜、情報交換を促進することに合意し、またこうした背景にあって我々は、生物多様性の保全及び持続可能な利用はもとより、自然との共生を理念に、遺伝資源へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正且つ衡平な配分へも、全てのステークホルダーが積極的に参加することの奨励を目的に、「国連生物多様性の10年(2011〜2020年)」を歓迎する。
203. 我々は、ワシントン条約(CITES)が果たす重要な役割を認識する。ワシントン条約は貿易、環境及び開発の交点に位置し、生物多様性の保全及び持続可能な利用を促進するもので、また現地の人々のための有形な利益に貢献するはずの条約であり、そして国際取引される種がー切、絶滅の危機に曝されないことを確保するものである。我々は、野生生物の不法取引による経済的、社会的、環境的影響を、需要と供給の両面で確固たる強化された行動が要求される状況として認識する。この点に関して、我々は関連する多国間の環境合意や国際機関間での効果的な国際協力の重要性を重視する。我々は更に、種のー覧作成の基盤を、合意された基準に置くことの重要性も強調する。
204. 我々は、「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学プラットフォーム(IPBES)」の設立に留意し、また生物多様性に関して意思決定者の支援となる、利用可能な最善の政策関連情報を提供できるよう、早期の活動開始を促す。
砂漠化、土地劣化、干ばつ
205. 我々は、土壌を含む土地の良好な管理の重要性、特にそれが経済成長、生物多様性、持続可能な農業及び食料安全保障、貧困の撲滅、女性のエンワーメント、気候変動への対処、水の利用可能性の向上へ果たす貢献を認識する。我々は砂漠化、土地の劣化、及び干ばつは世界的規模の課題であり、全ての国々、特に開発途上国の持続可能な開発に対して依然、深刻な課題をもたらしていることを強調する。また我々は、これがアフリカ、LDC及びLLDCにもたらしている、際立った課題も強調する。この点に関して、我々は、アフリカ、特にアフリカの角(アフリカ大陸東端のソマリア全域とエチオピアのー部などを占める半島)とサヘル地域における周期的な干ばつや飢僅という壊滅的な結末に対して深い懸念を表明すると共に、あらゆるレベルでの短期、中期及び長期での対策を通じた、早急な行動を求める。
206. 我々は、土地劣化を回復させるための緊急な行動の必要性を認識する。これを踏まえ、我々は持続可能な開発を背景に、土地の劣化が中立的な世界の達成に尽力する意向である。これは官民双方からの多様な資金源に触媒作用を及ぼすはずである。
207. 我々は、乾燥地域、半乾燥地域及び乾燥した亜湿潤地域における土地の劣化の世界的モニタリング及び劣化した土地の回復に向けた協調的な行動を国レベル、地域レベル及び国際レベルで取るための、国連砂漠化対処条約(UNCCD)の下での決議を再確認する。我々はUNCCDとその10か年戦略計画及び枠組(2008ー2018)の実施を、適切、予測可能且つ適時な資金源の動員を通じた実施も含め、支持及び強化すると決意する。我々は、砂漠化、土地の劣化及び干ばつの影響を、オアシスの保全及び開発、劣化した土地の回復、土壌の質の改善、水管理の改善といった手段によって改善し、持続可能な開発や貧困の撲滅に貢献することの重要性に言及する。この点に関して、我々は土地資源を保護するためのパートナーシップやイニシアティブを奨励し、その重要性を認識する。また我々は、持続可能な土地管理の政策及び慣行の経済的、社会的及び環境的利益に関する理解を深め、意識を高めることを狙いとする能力開発、拡大訓練プログラム、科学的な研究及びイニシアティブも奨励する。
208. 我々は、砂漠化、土地の劣化及び干ばつの度合いのモニタリング及び評価に関する、科学ベースの健全且つ社会的包含性のある方法や指標の更なる開発や実施の重要性はもとより、UNCCDの下、砂漠化や干ばつへ対処するための科学的調査の促進及び科学的基盤の強化に向けて進行中の各取組の重要性も強調する。この点に関して、我々は、UNCCD締約国へ科学的助言を提供するための具体的選択肢について議論するために地域パランスを考慮して臨時作業部会を設置する旨の、同条約のCOP10における決定に着目する。
209. 我々は、砂漠化、土地の劣化及び干ばつはもとより、砂塵嵐や砂嵐についても、世界的レベル、地域レベル及び準地域レベルで関連のある気候・気象情報、予測及び早期警告システムの共有を通じた協力の必要性を、あらためて強調する。この点に関して、我々は加盟諸国及び関連組織に対し、関連情報、予測及び早期警告システムの共有に協力するよう促す。
山岳
210. 我々は、山岳地域から派生する利益が、持続可能な開発に不可欠であると認識する。山岳生態系は、世界の人口の大部分への水資源提供に極めて重要な役割を果たし、脆弱な山岳生態系はとりわけ、気候変動、森林の破壊や劣化、土地利用の変化、土地の劣化、自然災害の悪影響を受けやすく、世界中の山岳氷河は後退してだんだん薄くなり、環境や人間の福利に対する影響が増大しつつある。
211. 我々は更に、山岳は先住民族や現地の地域社会を含めた地域社会が存在する場所であることが多く、そうした人々が山岳資源の持続可能な利用を開発してきた、ということを認識する。しかし、彼らは社会的に疎外されてしまうことが多く、従って我々はこうした地域における貧困、食糧安全保障及び栄養、社会的包含及び環境劣化といった問題に対処するための努力が今後も要求されることになるということを強調する。我々は加盟諸国に対し、関連する全てのステークホルダーが効果的に関与し、経験を共有する協力的行動を、持続可能な山岳開発のための既存の協定、合意、及び優れた研究施設の強化のほか、適宜、新たな協定や合意を探求することによって、強化するよう促す。
212. 我々は、生物多様性を含めた山岳生態系の保全に向けた努力の強化を求める。我々は加盟諸国に対し、特に開発途上国の山岳地域における、とりわけ貧困削減の計画やプログラムを含み得る、国別の持続可能な開発戦略へ山岳特有の政策を盛り込むことによるものも含め、長期的な展望と全体論的アプローチを採用することを奨励する。この点に関して、我々は開発途上国における持続可能な山岳開発のための国際的支援を求める。
化学物質と廃棄物
213. 我々は、化学物質の健全な管理が、人間の健康や環境の保護に極めて重要であると認識する。我々は更に、化学物質の生産や使用の世界的増大、及び環境中での蔓延により、国際協力の増強が求められると認識する。我々は、「ヨハネスブルグ実施計画」に明記された通り、人間の健康や環境に対する重大な悪影響の最小化に繋がるような形での、ライフサイクル全体にわたる化学物質及び有害廃棄物の適正な管理を2020年までに達成するという我々の目標を、再確認する。また我々は、新たに浮上する問題や課題に対して効果的、効率的で、ー貫性のある協調的な形で対応する、あらゆるレベルでの化学物質と廃棄物の健全な管理のためのアプローチに向けた我々のコミットメントを再確認し、またコミットメントの遂行における格差を解消できるよう、諸国及び諸地域にまたがる、更なる前進を奨励する。
214. 我々は、新たに浮上する課題への対応を含め、ライフサイクル全体にわたる化学物質の健全な管理のための強固でー貫性のある、効果的且つ効率的なシステムのー環として、「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)」の効果的な実施と強化を求める。
215. 我々は、多数の国々、特に開発途上国において、ライフサイクル全体にわたる化学物質と廃棄物を健全に管理する能力が不足していることを、深く憂慮する。パートナーシップ、技術支援、ガパナンス構造の改善を通じたものも含め、能力強化に向けて作業を拡充するための、付加的努力が必要である。我々は、2020年までの化学物質の健全な管理という目標の達成に向けて前進を成し遂げてきた国々や組織に対し、知識、経験及びベストプラクティスの共有によって、他の国々を支援するよう奨励する。
216. 我々は、化学物質と廃棄物に関する諸条約、即ちパーゼル条約、ロッテルダム条約及びストックホルム条約間の調整及び協力の強化を推奨すると共に、それらの条約とSAICMの間での調整と協力の継続的拡充も奨励する。我々は、パーゼル条約の地域センターや調整センター、並びにストックホルム条約の地域センターや準地域センターの重要な役割に注目する。
217. 我々は、廃棄物の防止を含めた環境に配慮した化学物質と廃棄物の管理のための能力及び技術の拡充を狙いとする、産業、政府、学術界及びその他の非政府ステークホルダー間での既存の官民パートナーシップを推奨すると共に、継続的、新規及び革新的な官民パートナーシップも求める。
218. 我々は、ライフサイクルアプローチを導入することの重要性と、資源効率性の向上及び環境に配慮した廃棄物管理のための政策の更なる展開と実施の重要性を認識する。従って我々は、3R(reduce(削減)、reuse(再利用)、recycle(リサイクル))の推進のほか、全世界の廃棄物の大部分を環境に配慮した形で、また可能であれば資源として管理することを視野に、廃棄物からのエネルギー回収のー層の推進にコミットする。電子機器廃棄物やプラスチックなど固形廃棄物は特有の課題をもたらすもので、これらへ対処すべきである。我々は、国や地方における廃棄物管理に関する包括的な政策、戦略、法律及び規制の策定及び実施を求める。
219. 我々は諸国及びその他のステークホルダーに対し、有害廃棄物の不健全な管理や不法投棄について、特にこれらの廃棄物の処理能力が限られている国々において、関連する国際文書の下での諸国の義務と整合的な形で、あらゆる可能な措置を講じるよう、強く求める。こうした背景にあって、我々は、パーゼル条約の第10回COPで採択された関連決定を歓迎する。
220. 我々は、化学物質によって人類と環境にもたらされるリスクに関する科学ベースの評価の重要性と、有害化学物質に対する人間や環境の曝露の削減の重要性を認識する。我々は、製品や工程における有害化学物質に代わる、環境的に健全で、より安全な代替物の開発を奨励する。この目的に対し、我々はとりわけ、ライフサイクル評価、情報効果、生産者責任の拡大、研究開発、持続可能な設計及び知識供給を適宜、奨励する。
221. 我々は、人間の健康や環境へのリスクに対処するための、水銀に関する世界的に法的拘束力のある国際条約の制定に向けた交渉の進展を歓迎するとともに、交渉が成功裏にまとまることを求める。
222. 我々は、オゾン層破壊物質(ODS)の段階的廃止が、地球温暖化の潜在性を持つハイドロフルオロカーボン(HFC)の使用及び環境への放出の急増という結果を招いていることを認識する。我々は、HFCの消費及び生産の段階的な廃止を支持する。
223. 我々は、持続可能且つ適切な長期的資金拠出が、特に開発途上国において、化学物質と廃棄物の健全な管理の鍵となる要素であると認識する。この点に関して、我々は、化学物質と廃棄物の健全な管理に相応しい政治的優先順位を引き上げるための努力の強化の必要性と、化学物質と廃棄物のアジェンダについて持続可能、予測可能、適切且つアクセス可能な資金の必要性の増大を検討するために始まった、「化学物質と廃棄物に対する資金拠出選択肢に関する協議プロセス(Consultative Process on Financing Options for Chemicals and Waste)」を歓迎する。我々は、UNEP事務局長から出される予定の提案を期待しているところであるが、これについては「化学物質に関する国際会議」、並びにUNEP管理理事会第27回会合にて検討されることになる。
持続可能な消費と生産
224. 我々は、「リオ宣言」、「アジェンダ21」及びJOPIにおいて持続可能な消費及び生産に関して為されたコミットメント、また特に、JPOI(ヨハネスブルグ実施計画)の第3章における、「10ヵ年計画枠組み(10YFP)」を奨励及び促進する旨の要請を想起する。我々は、社会における消費と生産の形態の基本的変化が、世界的に持続可能な開発の達成に不可欠であることを認識する。
225. 諸国は、無駄な消費を助長し持続可能な開発を損ねる、有害且つ非効率的な化石燃料助成金の段階的廃止に向けて行ってきたコミットメントを再確認する。我々は他の人々に対し、税制の再構築や、存在する場合においては有害な助成金の段階的の廃止を含めた市場の歪みの解消によって、非効率的な化石燃料助成金を、環境に対する影響を反映する形で合理化することを検討し、係る政策においては開発途上国の特異的なニーズや条件を全面的に考慮に入れ、自国の開発に対して可能性のある悪影響の最小限に抑えることを狙いとし、また貧困な地域社会や影響を受ける地域社会を保護する形とするよう促す。
226. 我々は文書A/CONF/XXに記載の通り、持続可能な消費と生産(SCP)に関する10年取組枠組(10YFP)を採択し、また10YFPに含まれるプログラムは自発的なものであることを強調する。我々は国連総会に対し、第67回会合の際、ある国連加盟国の機関を指名して、同枠組を全面的に運用開始するために必要な措置をとることを求める。
鉱業
227. 我々は、鉱物及び金属は世界経済や現代社会へ大きく貢献していると認識する。我々は、鉱業は鉱物資源を有する全ての国々、特に開発途上国にとって重要な産業であることに注目する。また我々は、鉱業は広範な経済開発の触媒作用を果たし、貧困を削減し、諸国がMDGsを含む国際的に合意された開発目標を、効果的か適正に管理された状況において達成する支援となる機会を提供する、という点にも注目する。我々は、諸国は自国の鉱物資源を国内の優先事項や、「リオ原則」に記された資源活用に関する責任に従って、開発する主権を有することを認識する。我々は更に、鉱業活動においては社会的及び経済的利益を最大限に高めることはもとより、環境的及び社会的な負の影響にも効果的に対処すべきであることを認識する。この点に関して、我々は、各国政府は持続可能な開発に役立つよう、自国の鉱業を開発、管理、及び規制するための、強固な能力が必要であると認識する。
228. 我々は、鉱業セクター向けの、経済的及び社会的利益をもたらし、また社会的及び環境的影響を削減するほか、鉱山閉鎖後の期間も含めて生物多様性及び生態系を保全する効果的な保護対策を含む、強固且つ効果的な法規制上の枠組、政策及び慣行の重要性を認識する。我々は各国政府や事業者に対し、説明責任と透明性はもとより、関連する既存の、鉱業活動からの違法な資金の流れを防止する仕組みの実効性についても、促進するよう求める。
教育
229. 我々は、教育の権利に対する我々のコミットメントを再確認し、またこの点に関して我々は、初等教育への普遍的アクセスの達成に向けた、特に開発途上国向けの国際協力の強化をコミットする。我々は更に、あらゆるレベルでの質の高い教育へのアクセスが、持続可能な開発、貧困の削減、ジェンダーの平等と女性のエン ワーメント、そして人材開発の達成、ミレニアム開発目標を含む国際的に合意された開発目標の達成、そして男女平等な、特に若年者が全面的に参加するための、不可欠な条件であることを再確認する。この点に関して、我々は、障害者、先住民族、現地地域社会、少数民族、農村地域居住者のための、教育への平等なアクセスを確保する必要性を強調する。
230. 我々は、若い世代は未来を担う世代であること、そして初等レベルより上の教育の質とアクセスを向上させる必要性を認識する。従って我々は、教員訓練の拡充、持続可能性を中心とするカリキュラムの開発、持続可能性関連分野でのキャリアを目指す学生を育成する訓練プログラムの開発、学習成果を拡充するための情報通信技術のより効果的な利用を含め、持続可能な開発を追求する人材を育成するための教育システムの能力を向上させることを決意する。我々は、学校、地域社会及び当局の間での、あらゆるレベルでの上質な教育へのアクセス促進に向けた努力における協力の拡充を求める。
231. 我々は加盟諸国に対し、若年者における持続可能な開発に対する意識を、特に、「国連持続可能な開発のための教育の10年」の目標に従った、ノンフォーマル教育のためのプログラムの促進によって、促進するよう奨励する。
232. 我々は、教育インフラストラクチャの構築及び強化、投資、特に開発途上国におけるすべての人々のための教育の質の向上に向けた投資の増強を含め、教育へのアクセス改善に向けた国際協力強化の重要性を重視する。我々は、世界的教育目標の達成に役立つフェローシップやスカラーシップの創設を含め、国際的な教育交流及びパートナーシップを奨励する。
233. 我々は、「持続可能な開発のための教育(ESD)」を促進すること、並びに「国連持続可能な開発のための教育の10年」(2005〜2014年)以降も持続可能な開発を教育に統合していくことを決意する。
234. 我々は教育機関に対して、持続可能性管理におけるグッドプラクティスをキャンスや地域社会へ導入することを検討し、そこへ特に学生、教員、現地のパートナーが積極的に参加し、そして持続可能な開発を分野横断的な統合型の構成要素として指導す
るよう、強く奨励する。
235. 我々は、教育機関、特に開発途上国の高等教育機関が、教育分野を含めた持続可能な開発のための研究及び革新を実行することや、起業家精神及びビジネススキル訓練、専門的、技術的、職業的訓練、及び生涯学習を含め、国別の持続可能な開発の目標を前進させるにあたりスキルの格差を解消するよう考案された、上質且つ革新的なプログラムを開発することの支援の重要性を強調する。
ジェンダーの平等と女性のエンパワーメント
236. 我々は、女性が果たす極めて重要な役割と、持続可能な開発のあらゆる分野における女性の全面的且つ平等な参画及びリーダーシップを再確認し、またこの点に関して、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(CEDAW)」のほか「アジェンダ21」、「北京宣言及び行動綱領」及びミレニアム宣言にも盛り込まれている通り、我々のそれぞれのコミットメントの実施の加速を決意する。
237. 我々は、ジェンダーの平等についてはー部の分野で前進が為されているものの、女性がリーダー、参加者及び変化の代理人として持続可能な開発に参加し、貢献し、恩恵に与る潜在性は、特に、根強い社会的、経済的、及び政治的不平等を背景に、まだ十分に実現していないと認識する。我々は、あらゆるレベルでの意思決定及び管理への女性の全面的且つ平等な参加に対する障壁の解消を含め、我々の社会のあらゆる領域においてジェンダーの平等及び女性のエンワーメントを促進するため優先的な手段をとることを支持し、また我々は、ジェンダー同等性の達成を目標に、指導者の立場に立つ女性の数の大幅な増加に向け、適宜、具体的目標の設定とー時的措置の実施の効果を重視する。
238. 我々は、差別的な法律の廃止や形式上の障壁の解消、司法制度及び法的支援への平等なアクセスの確保、ジェンダーの主流化や革新的且つ特別なアプローチの開発及び導入のための適格性及び能力の確保に向けた制度改革を通じたものを含め、持続可能な開発の原動力としての女性の潜在力を解き放つことで、ジェンダーの平等に対する障壁と化す、非形式的で有害な慣行に対処することを決意する。この点に関して、我々は、あらゆる場所、特に農村地域や地方社会、先住民族、少数民族における女性及び女子の状況改善を可能にする環境の創出をコミットする。
239. 我々は、全ての人々にとって持続可能な開発というコミットを果たせるよう、国別の状況や能力に応じて、政策、プログラム設計及びモニタリング枠組における、ジェンダーに配慮した指標や男女非集計データの収集、分析及び利用を積極的に推進することをコミットする。
240. 我々は、政治・経済的政策決定及び資源配分における女性の平等な権利と機会の確保に献身すると共に、女性が経済へ全面的に参加することを妨げる如何なる障壁も解消することに献身する。我々は、土地及びその他の形態の財産、信用、相続、天然資源
及び適切な新技術に対する所有権及び統制権へのアクセスを含め、経済資源に対して男性と平等な権利を女性に与えるための、法制改革及び行政改革を実行することを決意する。
241. 我々は、女性の性的及び生殖面での健康への対処、そして安全、効果的、手頃で許容可能な、現代的な家族計画の方法への普遍的アクセスの確保を含め、教育、基本的サービス、経済的機会及び医療サービスへの女性及び女子の平等なアクセスの促進に献身する。この点に関して、我々は、国際人口開発会議の行動プログラムの実施、並びに国際人口開発会議の行動プログラムの更なる実施に向けた主要な活動に対する、我々のコミットメントを再確認する。
242. 我々は、ジェンダーの平等と女性の効果的参加は、持続可能な開発のあらゆる側面における効果的な行動に重要であると認識する。
243. 我々は、ジェンダーの平等と女性のエンワーメントと、持続可能な開発の促進の間のリンケージに関するものも含め、生活のあらゆる側面におけるジェンダーの平等と女性のエンワーメントの促進と達成における、国連女性機関を含む国連システムの仕事を支持する。我々はこの点に関して、国連システムの説明責任を先導、調整及び促進する国連女性機関を支持する。
244. 我々は、援助資金供与者、国連システム組織を含む国際組織、さらに国際金融機関、地域銀行、民間セクターを含む主要グループに対し、ジェンダーの平等と女性のエン ワーメントに対するコミットメント及び配慮を全面的に統合することと、意思決定
及び全面的なプログラム策定サイクルにおける女性の参加と効果的なジェンダーの主流化を確保することを促す。我々はそれらの者に対し、開発途上国における、ジェンダーの平等と女性のエン ワーメントに対するコミットメントと配慮の全面的な統合と、国別の法制、優先事項及び能力に応じた意思決定、プログラム計画立案、予算編成及び実施への女性の参加と効果的なジェンダーの主流化の確保に向けた努力を支援する役割を果たすよう促す。
B. 持続可能な開発目標(SDGs)
245. 我々は、国連の開発活動のための、また共通の目標に向けた国別の優先順位設定のための、及びステークホルダーと資源の動員のための、広範な開発の展望及び枠組のー環として、MDGsは、特異的な開発利得の達成に焦点を当てる中で有用なツールであることを強調する。従って我々は引き続き、それらの全面的且つ適時な達成に、断固として献身する。
246. 我々は、目標の策定は持続可能な開発に対して焦点を絞りー貫性のある行動の追求にも役立ち得ると認識する。我々は更に、「アジェンダ21」及び「ヨハネスブルグ実施計画」を基本とし、「リオ原則」を全面的に尊重し、様々な国別の状況、能力及び優先事項を考慮に入れた、ー連のSDGsの重要性と利便性は、国際法に合致し、既に為されたコミットメントを基盤とし、そしてこの成果文書を含めた経済、社会、環境分野での全ての主要サミットの成果の全面的な実施に貢献するものであると認識する。これらの目標においては、持続可能な開発の3つの側面全てとそれらのインターリンケージを、パランスの取れた形で取り上げ、組み入れるべきである。それらは2015年以降の国連開発アジェンダと整合的であると同時に同アジェンダへ統合されるべきであり、その結果、持続可能な開発に貢献し、また国連システム全体における持続可能な開発の実施及び主流化の原動力の役割を果たすべきである。これらの目標の開発は、ミレニアム開発目標の達成から、焦点または努力が逸脱することがあってはならない。
247. また我々は、SDGsは様々な国ごとの現実、能力及び開発レベルを考慮に入れ、国ごとの政策や優先事項を尊重しつつ、すべての国々にとって行動指向で、簡潔で伝達しやすく、限られた数で、向上心があり、グローパルな性質で、普遍的に適用可能なものであるべきであることも強調する。また我々は、これらの目標においてはこの成果文書が指針となる持続可能な開発の達成に向けた優先分野を取り上げ、それらに焦点を当てるべきであることも認識する。各国政府は、適宜、関連する全てのステークホルダーを積極的に関与させながら、実施を先導すべきである。
248. 我々は、国連総会により合意されることになる世界的な持続可能な開発目標の策定を視野に、全てのステークホルダーへ開かれたSDGsに関する包括的且つ透明な政府間交渉プロセスの立ち上げに合意する。オープンな作業部会は、第67回国連総会の開始
(2012年9月)までに発足され、また公正、平等、パランスの取れた地理的代表の達成を目標に、5つの地域グループを通じて加盟諸国から指名される30名の専門家で構成されることとする。当初、このオープンな作業部会は、多様な観点と経験を提供できるよう、市民社会、科学界及び国連システムからの関連のステークホルダー及び専門家が作業へ全面的に関与することを確保すべく、様式の策定を含め、作業方法を決定することになる。同部会は第68回国連総会の会合へ、SDGsの提案を盛り込んだ報告書を提出して、検討及び適切な行動を仰ぐことになる。
249. このプロセスは調整が図られ、且つ2015年以降の開発アジェンダの検討プロセスと整合的である必要がある。作業部会の初期インプットは、国連事務総長が各国政府と協議の上で提供することになる。このプロセスと作業部会の作業へ技術支援を提供するため、我々は国連事務総長に対し、この作業に必要な全てのインプット及び支援が、関連する全ての専門家の助言に基づいて、必要に応じた機関間の技術支援チームや専門家委員会の設立を通じたものも含め、国連システムから提供されることを確保するよう要請する。作業の進捗に関する報告書は定期的に、国連総会向けに作成されることになる。
250. 我々は、目標達成への進捗について、様々な国別の状況、能力及び開発レベルを考慮に入れつつ、評価され、ターゲットと指標を設ける必要があると認識する。
251. 我々は、持続可能な開発に関して世界的な、統合型の、科学的根拠に基づく情報が必要とされていると認識する。この点に関して、我々は、国連システムの関連機関に対し、それぞれのマンデートの範囲内で、この世界的努力の参考になるよう、地域経済委員会による国別のインプットの収集及び編纂を支援するよう要請する。我々は更に、この努力を達成すべく、特に開発途上国向けに、資金源の動員と能力開発をコミットする。
VI. 実施手段
252. 我々は、「アジェンダ21」、「アジェンダ21のー層の実施のための計画」、「ヨハネスブルグ実施計画」、「開発資金国際会議におけるモンテレイ合意」、並びに「開発資金に関するドーハ宣言」において明記された実施手段は、持続可能な開発のコミットメントを全面的且つ効果的に、有形の持続可能な開発成果へと転換させることの達成
に不可欠であると再確認する。我々は、各国がそれぞれ独自に経済的及び社会的開発に対してー次的責任を負うこと、そして国別の政策、国内の資源及び開発戦略の役割はいくらでも重視してよいことを、あらためて表明する。我々は、開発途上国が持続可能な開発のための付加的資源を必要としていることを再確認する。我々は、多様な源泉からの資源の大幅な動員と、資金の効果的な利用が、持続可能な開発の促進に必要であると認識する。我々は、国別レベル及び国際レベルでの優れたガパナンスと法の支配が、持続的、包括的且つ平等な経済成長、持続可能な開発、及び貧困と飢餓の撲滅に不可欠であると認識する。
A. 資金
253. 我々は全ての国々対し、国別の優先事項とニーズに応じた資源配分において、持続可能な開発を優先事項とするよう求め、また我々は、全ての国々、特に開発途上国にとって、持続可能な開発のためのあらゆる源泉からの資金支援の強化が極めて重要であると認識する。我々は、持続可能な開発計画の実施に向けて広域自治体及び現地の当局にとってアクセスしやすいものを含め、国際的、地域的、及び国別の金融メカニズムの重要性を認識すると共に、それらの強化及び実施を求める。新たなパートナーシップや革新的な資金源は、持続可能な開発のための資金源を補う役割を果たし得る。我々は、伝統的な実施手段と並行して、それらを活用することを奨励する。
254. 我々は、「国連持続可能な開発会議」の成果に従って行われる行動や持続可能な開発目標達成のために行われる行動を通じたものを含め、開発途上国における持続可能な開発の促進に向けた努力を強力に支援するための、多様な源泉からの資金源の大幅動員や資金の効果的な利用の必要性を認識する。
255. 我々は、国連総会の下、国連システムからの技術支援を受け、そして関連の国際的及び地域的な金融機関及びその他の関連ステークホルダーとのオープン且つ広範な協議を経た上での、政府間交渉プロセスの立ち上げに合意する。このプロセスにおいては、持続可能な開発目標の達成における資源の動員及びそれらの効果的利用を推進するための「持続可能なファイナンシング戦略」に関する選択肢を提案する、報告書の作成を視野に、資金ニーズの評価を行い、既存の文書や枠組の効果、ー貫性及び相乗効果を検討し、そして付加的イニシアティブを査定することになる。
256. 地域グループにより指名された30名の、地理的に平等な代表の専門家からなる政府間委員会がこのプロセスを実施し、作業は2014年までに完了予定である。
257. 我々は国連総会に対し、この報告書を検討し、適切な行動を取るよう要請する。
258. 我々は、全てのODAコミットメントの遂行が極めて重要で、それは多数の先進諸国による、開発途上国向けのODAをGNP比0.7%とする目標の達成のほか、後発開発途上国向けのODAについてはGNP比0.15〜0.20%とする目標の達成を含む。それぞれの合意された計画達成のため、援助資金供与者は既存のコミットメントを果たせるよう、援助支出率を引き上げるための必要且つ適切な、あらゆる措置を講じるべきである。我々は、係る目標をまだ達成していない先進諸国に対し、それぞれのコミットメントに従って、後発開発途上国向けODAをGNP比0.15〜0.20%とする特異的目標を含め、開発途上国向けODAをGNP比0.7%とする目標を達成するための、追加の具体的努力を行うよう、強く求める。ODAが効果的に使用されることの確保において達成した進捗を基礎とすべく、我々は、民主主義的ガパナンス、透明性と説明責任の改善、及び結果の管理の重要性を強調する。我々は全ての援助支出供与者に対し、なるべく早期に、それぞれの予算配分プロセスに従った目標の達成をどのような形で目指すかが分かる、展開指標となる日程計画を確立するよう、強く奨励する。我々は、先進諸国におけるそれぞれのコミットメントの遂行に向けた、公共の意識高揚、提供した支援の開発効果に関するデータの提供、目に見える結果の明示といった手段による国内での支援動員を強化することの重要性を強調する。
259. 我々は、ODAの質の改善やODAによる開発効果の増強に向けた努力の増強を歓迎する。また我々は、開発効果の改善、プログラムベースのアプローチの増加、公共セクターが管理する活動向けの国内システムの利用、トランザクション費用の削減、及び相互の説明責任及び透明性の向上の必要性を認識し、またこの点に関して、我々は全ての援助資金供与者に対し、最大限可能な範囲での援助の自由化を求める。我々は更に、開発途上国へ定期的及び適時に、中期での支援計画に関して指標となる情報を提供することにより、開発をより効果的で予測可能なものにしてゆく。我々は、開発途上国による、政策の形成や市民社会組織との協力の深化に議会や市民が関与することで効果的な開発の最善の結果を確保できるよう、自国の開発、国家制度、システム及び能力のリーダーシップを強化することの重要性を認識する。また我々は、開発効果を保証する万能の常套手段など存在しないことも、念頭に置いておくべきである。各国の特有の状況を、十分に考慮する必要がある。
260. 我々は、ここ10年間で援助構造が大幅に変化したという点を指摘する。新たな援助提供者やこれまでにないパートナーシップアプローチは、新たな協力様式を活用するもので、資源の流れの増大に貢献してきた。さらに、開発援助と民間の投資、貿易及び新規の開発主体の相互作用は、民間の資源の流れを活性化させる、新たな援助機会を提供するものである。我々は、南南協力への支援はもとより、開発計画を実施するため大いに必要とされる付加的資源を提供する三角協力についても、我々の支援をあらためて強調する。我々は、南南協力の重要性、様々な歴史及び詳細事項を認識すると共に、南南協力は共有の経験と目標に基づく、諸国間の団結と協力の現れと捉えられるべきであることを強調する。いずれの協力形態も、開発途上国の特定のニーズや期待に対処する、開発アジェンダを支えるものである。また我々は、南南協力は南北協力に代わるものというより、むしろそれを補うものであると認識する。我々は、中間所得層の開発途上国が、開発協力の提供者として、同時に受益者として、果たす役割を認識する。
261. 我々は国際金融機関に対し、それぞれのマンデートの範囲内で、開発途上国における持続可能な開発の促進と貧困の撲滅のための特定のメカニズムを通じたものも含め、資金源を継続的に提供するよう促す。
262. 我々は、持続可能な開発に関連する様々な資金拠出のメカニズム及びイニシアティブの間におけるー貫性と連携の向上が極めて重要であると認識する。我々は、開発途上国が、持続可能な開発を促進するためのあらゆる源泉からの十分な資金へ、着実且つ予測可能な形でアクセスできることの確保の重要性をあらためて強調する。
263. 我々は、持続する深刻な全世界での財政的及び経済的課題は、開発途上国の債務との関連で為された何年にも及ぶ勤勉と利得を帳消しにしてしまう可能性を秘めていると認識する。我々は更に、負債による資金調達、債務免除及び債務再編を適宜振興することを狙いとして調整が図られた政策を通じた長期的な債務持続可能性を、開発途上国が確保することを支援する必要性も認識する。
264. 我々は、国連の開発システムにおける実務活動向けの十分な資金拠出の必要性のほか、我々がこの宣言で示した目標の達成に向けた新規の、付加的で予測可能な資源を動員するための、より広範な努力のー環として、より予測可能性が高く、効果的且つ効率的な資金拠出を行う必要性も、強調する。
265. 我々は、地球環境ファシリティ(GEF)による最近20年間にわたる環境プロジェクトへの資金拠出の重要な成果を認識すると共に、GEFがここ数年間で実行してきた重要な改革プロセスを歓迎し、そしてそれの更なる改善を求め、GEFに対してはそのマンデートの範囲内でその国際的環境コミットメントを各国が実施するための、国別のニーズを満たすためにアクセス可能な資源をもっと増やしてもらうよう奨励する。我々は、開発途上国、特に後発開発途上国、アフリカ及びSIDSにおけるGEFからの資源へのアクセスを援助するための手続き及び援助の更なる簡略化や、環境的に持続可能な開発に焦点を当てた他の文書やプログラムとの調整の充実を支持する。
266. 我々は、国別レベルと国際レベル双方での腐敗及び不法な資金フローとの闘いが1つの優先事項であることと、腐敗は効果的な資源動員に対する重大な障壁であり、また貧困の撲滅、飢餓との闘い、持続可能な開発に欠かせない活動から資源を遠ざけてしまうものであるという点を強調する。我々は、あらゆる形態での腐敗の顕在化と対抗し続けるための緊急且つ決定的な措置を講ずると決意しており、それにはあらゆるレベルでの強力な制度が必要であり、また我々はそうした措置をまだ講じていない全ての加盟諸国に対し、国連腐敗防止条約を批准または加盟し、実施に着手するよう、強く求める。
267. 我々は、途上国が開発のための付加的資源の自発的な動員を支援するような、革新的資金メカニズムを検討する。そうした資金調達は伝統的資金源を補うものであるべきで、それに代わるものであってはならない。開発のための革新的資金源の大幅な進歩を認識しつつ、我々は現在のイニシアティブについて、適切であれば、規模の拡大を求める。
268. 我々は、動的、包含的で、上手く機能する、社会的及び環境的に責任を負う民間セクターが、経済成長、貧困削減、及び持続可能な開発の促進に極めて重要な貢献を果たし得る、貴重な手段であると認識する。民間セクターの開発を促進するため、我々は引き続き、国別の、地方レベルを含めた官民イニシアティブを奨励する法律、動的且つ上手く機能するビジネスセクターを促進する法律、そして女性、貧困層及び弱者を含めた起業家精神や革新を推進する法律と整合的な形で、国別の適切な法規制枠組を追求してゆく所存である。我々は、所得の成長及び分配を、特に生産性の向上、女性へのエンパワーメント、労働者の権利の保護、そして税制を通じて改善すべく取り組んでゆく。我々は、民間セクターの促進及び規制に関連する政府の適切な役割は、各国の情勢次第で変わるものであると認識する。
B. 科学技術
269. 我々は、開発途上国への技術移転の重要性を重視すると共に、「ヨハネスブルグ実施計画」で合意された通り、特に、相互に合意された通りの譲許的条件及び優先的好的に基づくものも含め、好ましい条件での、特に開発途上国への、環境に配慮した技術とそれに対応するノウハウの適宜な促進、推進及び資金調達、アクセス、開発、移転及び普及を求める旨の合意通りの、技術移転、資金調達、情報へのアクセス、知的財産権に関する条項を想起する。また我々は、これらの問題に関する議論及び合意がJPOI(ヨハネスブルグ実施計画)以降、ー段と進化してきたことに注目する。
270. 我々は、環境に配慮した技術、新たな知識、ノウハウ及び専門知識への、全ての国々によるアクセスの重要性を強調する。我々は更に、技術革新や研究開発に関する協力的行動の重要性も強調する。我々は、環境に配慮した技術への途上国によるアクセスを強化するための、関連する場における様式の探求に合意する。
271. 我々は、環境に配慮した技術の開発、適応、普及及び移転を可能にする環境の必要性を強調する。こうした背景にあって、我々は環境に配慮した技術への外国からの直接投資、国際貿易及び国際協力の役割に言及する。我々は、自国はもとより、国際協力を通じても、持続可能な開発のための科学、革新、技術の促進に取り組む。
272. 我々は、持続可能な開発のための国別の科学的及び技術的能力の強化の重要性を認識する。これは各国、特に開発途上国における独自の革新的なソリューション、科学研究、そして新たな、環境に配慮した技術の、国際社会からの支援を受けての開発に役立ち得る。この目的に対し、我々は、研究機関、大学、民間セクター、政府、非政府機関、及び科学者の間での協力を通じたものも含め、男女双方が貢献者にも受益者にもなる、科学技術能力開発を支持する。
273. 我々は関連する国連機関に対し、クリーンで環境に配慮した技術の、特に開発途上国の技術ニーズの評価による開発、移転及び普及を促すファシリテーション・メカニズムの選択肢、係るニーズ及び能力開発に対処するための選択肢を特定するよう要請する。我々は国連事務総長に対し、明確化された選択肢に基づき、また既存のモデルを考慮に入れた上で、推進機構に関する勧告を、第67回国連総会の会合の際に提出するよう要請する。
274. 我々は、空間技術に基づくデータ、現場モニタリング、並びに持続可能な開発の政策立案、プログラム策定及びプロジェクト運営のための信頼のある地理空間情報の重要性を認識する。こうした背景にあって、我々は地球地図の関連性に留意し、またアイ・オン・アース(EyeonEarth)ネットワークや全球地球観測システム(GEOSS)を通じたものも含めた地球観測システムの開発を通じた努力を認識する。我々は、開発途上国による環境データ収集の努力を支援する必要性を認識する。
275. 我々は、研究及び技術評価における国際的、地域的及び国別の能力の強化、特に、生物多様性及び健康、またはその他の予期せぬ結末に対して意図しない負の影響を及ぼすおそれもある新たな技術の急速な開発や展開の可能性を視野に入れた、能力強化の重要性を認識する。
276. 我々は、持続可能な開発の問題に関して情報に基づく政策上の意思決定を推進する必要性と、これに関して科学政策のインターフェースを強化する必要性を認識する。
C. 能力開発
277. 我々は、持続可能な開発のための能力開発を強化する必要性を重視し、またこの点に関して、我々は南北、南南、三角協力を含む技術的・科学的協力の強化を求める。我々は、訓練、経験及び専門知識の交換、知識の移転及び能力開発のための技術支援を含め、計画立案、管理及びモニタリング能力を含む制度的能力の強化が絡む人材開発の重要性を、あらためて強調する。
278. 我々は、UNEPの「技術支援及び能力開発のためのパリ戦略計画」を継続的に、焦点を絞って実施を呼びかける。
279. 我々は、先進国及び開発途上国からの男女双方の科学者や研究者が、意思決定や政策立案のプロセス向けに国別の能力や研究の質を高める目的で、世界的な環境及び持続可能な開発の評価とモニタリングにおけるプロセスへ代表参加することを奨励する。
280. 我々は関連する全ての国連機関及びその他の国際組織に対し、開発途上国、特に後発開発途上国が資源効率的且つ包含的な経済開発のための能力開発に取り組むことを、以下に挙げる手段を含め、支援するよう促す。
(a) 様々な経済セクターにおける持続可能な経験の共有。
(b) 防災と強靭性を開発計画へ統合するための知識及び能力強化。
(c) 資源効率的経済へ移行するための南北協力、南南協力及び三角協力の支援。
(d) 官民パートナーシップの促進。
D. 貿易
281. 我々は、国際貿易は、開発及び持続可能な経済成長のためのエンジンとなることを再確認する。我々はまた、普遍的な、規則ベースによる、開かれた、非差別的で、衡平な多国間貿易システムが、意義のある貿易自由化と同様に、世界全体での成長、持続可能な開発及び雇用に貢献し、それにより、開発のあらゆる段階にある全ての国に対して恩恵をもたらすという重要な役割を再確認する。こうした背景にあって、我々は引き続き、特に、貿易歪曲的な助成金や環境的な財及びサービスの貿易など、ー連の重要な問題への対処の前進の達成に焦点を当てる。
282. 我々は、WTO加盟国に対し、多国間貿易システムの強化を視野に、透明性、包含性及び合意に基づく意思決定の原則を尊重しつつ、ドーハ開発ラウンドに対する野心的な、パランスの取れた、開発指向の妥結の達成するための努力を倍加するよう呼びかける。WTOの作業プログラムへ効果的に参加し、貿易機会を全面的に実現させるため、開発途上国は、関連する全てのステークホルダーによる援助と協力拡充が必要である。
E. コミットメントの登録
283. 我々は、リオ+20の場及び2012年を通じて登録された、全てのステークホルダー及び彼らのネットワークによる、持続可能な開発と貧困の削減に向けた具体的な政策、計画、プログラム、プロジェクト及び行動を実施する旨の自発的なコミットメントを歓迎する。我々は事務総長に対し、これらのコミットメントをまとめ上げ、インターネットベースの登録簿にコミットメントをまとめ上げた他の登録簿へのアクセスを推進するようお願いする。登録簿は、公衆にとって十分に透明性とアクセス性のある、コミットメントに関する情報を提供するものであり、且つ定期的に更新されるべきである。