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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 太平洋島嶼国における日米援助協調に関する共同声明

[場所] ラロトンガ島
[年月日] 2012年9月1日
[出典] 外務省(仮訳)
[備考] 
[全文]

-太平洋島嶼国が持続可能な開発を含む様々な課題に直面する一方で,経済成長への豊かな可能性を有していることを確認し,

-太平洋島嶼国との関係強化が,日米両国にとって益々重要になってきていることを再認識し,

-アジア太平洋地域に豊かで安定した秩序を形成するために,開放的で多層的な政府間及び市民社会のネットワークを創ることが必要であることを認識し,

-第42回太平洋諸島フォーラム(PIF)総会コミュニケが太平洋島嶼国の持続可能な開発の達成のために注力すべき特定の分野・課題を示していることに留意し,

-自然災害に対して特に脆弱な太平洋島嶼国における災害対策の重要性に留意し,

-日米両国は,大洋州地域全体の安定,繁栄,持続可能な開発の促進のために努力を継続することを再確認した。

両国は,太平洋島嶼国との連携・協力に当たっては,「対等な協力関係」及び「パシフィック・ウェイ(※注)の尊重」が基本原則として重要であることを再確認した。この死活的 に重要な地域に対してより大きな援助効果と利益をもたらすため,両国は,以下の分野を共同で実施する案件・取組の優先分野として特定した。

(1)防災

-太平洋津波警報・減災システムの向上

-人道支援/災害救助

(2)環境・気候変動

-パプアニューギニアにおける森林保全

-再生可能エネルギー

(3)脆弱性の克服と人間の安全保障の促進

-爆発性残存物の処理

-女性の問題とジェンダー平等への対応促進

-非感染症への対応

(4)人的交流・情報共有

-更なる協力分野特定のための,日本の ODA タスクフォースと米国大使館・USAIDとの対話の強化

援助効果に関する釜山ハイレベルフォーラム(HLF)において,新興国,市民社会組織(CSOs),民間セクター等を含む幅広くより包括的なパートナーシップが構築されたことを踏まえ,日米両国は,全てのドナー国や新興経済国等の主体に対し,太平洋島嶼国の経済成長に資 する効果的かつ透明性のある支援に向けた取組への参画を促す努力を継続する。

※パシフィック・ウェイ:PIFの基本原則の一つで,「寛容と尊敬を以て地域内の多様性を尊重すること」を意味する。