[文書名] 日・カンボジア低炭素成長パートナーシップ
1. 日本側及びカンボジア側(以下「双方」という。)は、気候変動に関する国際連合枠組条約(以下「条約」という。)第2条に言及される条約の究極的な目的及び持続可能な開発の達成を追求し、また2013年以降も引き続き気候変動に取り組むために、次のとおり低炭素成長パートナーシップを推進する。
2. 双方は、国際連合の下並びに東アジア低炭素成長パートナーシップを含めた、地域的及び二国間の枠組みでの低炭素成長に向けた協力のため、様々なレベルで緊密に政策協議を行う。
3. 双方は、カンボジアにおける低炭素及び持続可能な成長を実現するための投資並びに低炭素技術、製品、システム、サービス、社会基盤及び能力向上の普及を促進するため、二国間クレジット制度(以下「JCM」という。)を創設し、それぞれの国の関連する有効な国内法令に従ってJCMを実施する。
4. 双方は、JCMを運営するため、合同委員会を設置する。
(1)合同委員会は、双方の代表者から構成される。
(2)合同委員会の委員の構成を含む合同委員会運営規則は、双方の協議を通じて定められる。
(3)合同委員会は、JCMに関する規則及び指針、温室効果ガスの排出削減又は吸収量を定量化するための方法論、第三者機関の指定のための要件及び必要に応じてその他のJCMの実施及び管理に関する事項を策定する。
(4)合同委員会は、JCMの実施状況を評価するために、定期的に会合を招集する。
5. 双方は、JCMの下での森林分野を含む緩和事業における認証された排出削減又は吸収量を、国際的に表明した日本側の温室効果ガス緩和努力及びカンボジア側の国として適切な緩和行動(NAMA)の一部として使用できることを相互に認める。
6. 双方は、世界的な温室効果ガスの排出削減又は吸収に向けた具体的行動を推進するために、JCMの堅固な方法論、透明性及び環境十全性を確保するとともに、JCMを簡素で実用的なものとする。
7. いずれの側も、温室効果ガスの排出削減又は吸収量の二重計算を回避するため、JCMの下で登録された緩和事業を、他の国際的な気候緩和制度の目的のために使用しない。
8. 双方は、JCMを実施していくために必要な資金、技術及び能力向上の支援の円滑化のため、緊密に協力する。特に、カンボジアでのJCMの実施のため、日本側はカンボジア側を支援する。
9. JCMは取引を行わないクレジット制度としてその運用を開始する。双方は、JCMの実施を踏まえつつ、取引可能なクレジット制度への移行のための協議を継続し、可能な限り早い段階で当該協議の結論を得る。
10. 双方は、条約に関する枠組みの下で、他の制度に自由に参加することができる。
11. 双方は、JCMが取引可能なクレジット制度に移行された後、JCMを通じ、カンボジアの適応努力を支援すべく、具体的な貢献を目指す。
12. 本パートナーシップは、この文書の署名から2020年に想定されている条約の下での新たな国際的な枠組みが効力を生じ得るまでの期間を対象とする。双方は、とりわけ、気候変動に関する国際連合の交渉における進展を踏まえつつ、本パートナーシップのあり得る延長につき検討し、本パートナーシップの期限までに結論を得る。
13. 本パートナーシップの各内容は、双方間の相互の書面による同意によってのみ修正される。
プノンペンにおいて2014年4月11日に、英語による本書2通に署名された。
隈丸優次
カンボジア王国駐箚特命全権大使
日本国
サイ・サムオル
環境大臣
カンボジア王国