データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国政府及びジョージア政府との間の二国間クレジット制度に関する協力覚書

[場所] トビリシ
[年月日] 2022年9月13日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

1. 日本国政府及びジョージア政府(以下個別に「政府」といい、「両政府」と総称する。) は、パリ協定の第2条1(a)に規定される、世界全体の平均気温の上昇を工業化以前 よりも摂氏2度高い水準を十分に下回るものに抑えること及び世界全体の平均気温の 上昇を工業化以前よりも摂氏1.5度高い水準までのものに制限するために努力するこ とを含むパリ協定の目的を追求し、並びに気候変動への対処における二国間協力を強化 するため、二国間クレジット制度(以下「JCM」という。)を創設する。

2. JCMは、先進的な脱炭素の技術、製品、システム、サービス及びインフラ等の普及や 緩和行動の実施を促進し、これにより、ジョージアにおける温室効果ガスの排出削減又 は吸収及び持続可能な開発並びに日本及びジョージアの国が決定する貢献の達成に貢 献することを目的とする。

3. 本協力覚書は、法的拘束力を有するものではなく、また、いずれの政府に対してもいか なる法的な権利又は法的な義務を創設することも意図しない。両政府は、それぞれの国 における関連する有効な国内法令に従って、JCMを実施する。

4. 両政府は、JCMを実施するために、それぞれの政府の代表者から構成される合同委員 会を設置する。

5. 合同委員会は、プロジェクトサイクルの手続、方法論、プロジェクト設計書、モニタリ ング、第三者機関の指定、妥当性確認及び検証並びにJCMに関連するその他の事項に 関し、JCMの実施に必要な規則及びガイドラインを策定する。

6. 両政府は、パリ協定第6条2にいう協力的な取組みに関する指針(以下「指針」という。) に適合する相当調整に基づき二重計上の回避を確保しつつ、排出量の削減及び吸収から 発行されるJCMクレジットの一部を日本の国が決定する貢献の達成に利用すること ができること並びに当該JCMクレジットの残余がジョージアの国が決定する貢献の 達成に寄与することができることを相互に認める。

7. 各政府は、日本のJCM登録簿において発行されたJCMクレジットを、指針に適合し て、国際的に移転される緩和の成果として日本の国が決定する貢献の達成のために利用 することを承認する。

8. 各政府は、JCMクレジットの一部を、指針に適合して、適当な場合には、他の国際的な緩和の目的に利用することを承認することができる。

9. 両政府は、世界全体の温室効果ガスの排出量の削減及び吸収のための具体的な行動を 促進するため、JCMの透明性及び環境十全性を確保するとともに、JCMを簡素か つ実用的なものに維持する。

10. 両政府は、JCMの実施のために緊密に協力する。日本国政府は、ジョージア政府に よるJCMの運営に必要となる技術的な及び能力向上の支援を促進する。

11. 両政府は、途上国の適応に関する取組を支援するための貢献を行うことを目指す。

12. いずれの政府も、外交ルートを通じて他方の政府に少なくとも6ヶ月前に事前通告す ることにより、この協力覚書を終了させることができる。このような終了は、この協力 覚書に基づく進行中のプロジェクト又は活動に影響を与えない。

13. この協力覚書の内容は、両政府間の書面による相互同意により、修正及び補足すること ができる。

14. この協力覚書の解釈、適用及び実施に関するいかなる相違も、両政府間の協議により友 好的に解決される。

トビリシにおいて2022年9月13日に、英語による本書2通に署名された。



日本国政府
今村朗
ジョージア駐箚特命全権大使

ジョージア国政府
オタル・シャムギア
環境保護・農業大臣