[文書名] 日本とスリランカ間の低炭素成長パートナーシップのための二国間クレジット制度に関する協力覚書
1. 在スリランカ日本国大使によって代表される日本国政府及び環境省次官によって代表されるスリランカ政府(以下「両政府」という。)は、気候変動に関する国際連合枠組条約(以下「条約」という。)の第2条に言及される究極的な目的及び持続可能な開発目標の達成を追求し、気候変動の影響に協力して対処することを継続するため、次のとおり低炭素成長パートナーシップを推進する。
2. 両政府は、低炭素成長に向けた二国間及び地域的協力のための協議を実施する。
3. 両政府は、スリランカにおける低炭素成長を実現するための低炭素技術、製品、システム、サービス及びインフラへの投資及び展開を促進するため、二国間クレジット制度(以下「JCM」という。)を創設し、それぞれの国における関連する有効な国内法令に従ってJCMを実施する。
4. 両政府は、JCMを運営するため、合同委員会を設置する。
i. 合同委員会は、両政府の代表者から構成される。
ii. 合同委員会の委員の構成を含む合同委員会手続規則は、両政府間の協議を通じて定められる。
iii. 合同委員会は、JCMの実施に関する規則及び指針、温室効果ガスの排出量の削減又は吸収を定量化するための方法論、第三者機関の指定のための要件、クレジットの配分の指針及び必要に応じてその他のJCMの実施及び運営に関する事項を策定する。
iv. 合同委員会は、相互に一致したタイムラインで定期的に会合を招集し、その評価を含むJCMの実施に必要な意思決定を行う。
v. 合同委員会は、JCMプロジェクトの妥当性確認及び温室効果ガスの排出量の削減又は吸収の検証を行う第三者機関として、認定機関を指定する。
5. 両政府は、JCMの下での緩和事業による検証済みの排出量の削減又は吸収が、相当調整に基づいて二重計上の回避を確保しつつ、パリ協定の下での国が決定する貢献の達成に活用できることを相互に認める。
6. 両政府は、世界全体の温室効果ガスの排出量の削減又は吸収のための具体的な行動を促進するため、JCMの確固とした方法論、透明性及び環境十全性を確保するとともに、JCMを簡素かつ実用的なものに維持する。
7. いずれの側も、温室効果ガスの排出量の削減又は吸収の二重計上を回避するため、JCMの下で登録された緩和事業を他の国際的な気候緩和制度の目的のために使用しない。
8. 両政府は、JCMの実施に必要な資金的、技術的及び能力向上の支援を促進するために緊密に協力する。日本政府は、スリランカ政府に対し、JCMの実施のための技術的及び能力向上の支援を促進する。
9. JCMは取引を行わないクレジット制度としてその運用を開始する。両政府は、JCMの実施を踏まえつつ、取引可能なクレジット制度への移行のための協議を継続し、可能な限り早い段階で当該協議の結論に達する。各政府は、関連する国内法令に従い、クレジットの取扱いのための適切な国内取決めを決定する。
10. JCMの下で、温室効果ガスの排出量の削減又は吸収のために国家的に優先される部門及び下位部門が、検討される。
11. JCMは、取引可能なクレジット制度に移行した後、スリランカの適応に関する取組を支援するための具体的な貢献を目指す。
12. この協力覚書は、署名日から2030年までに生じたJCMの下での緩和事業による検証された排出量の削減又は吸収の期間を対象とする。両政府は、上記期間のあり得る延長を検討し、2030年までに結論に達する。
13. 本協力覚書は、両政府によって署名された法的拘束力を有する文書ではない。この協力覚書の実施及び/又は解釈から生じるすべての相違は、両政府により友好的に解決される。
14. この協力覚書の各内容は、両政府間の書面による一致によってのみ修正される。コロンボにおいて、2022年10月10日、英語による本書2通に署名した。
水越英明
スリランカ民主社会主義共和国
駐箚特命全権大使
アニル・ジャシンハ
スリランカ民主社会主義共和国
環境省次官