データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日印間の協力 アクト・イースト・フォーラム

[場所] 
[年月日] 2018年10月29日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

1. インド北東部は,インドの「アクト・イースト」政策の主要地域の一つである。同地域はまた,ASEAN諸国と歴史的・伝統的な結び付きを有し,インドにとってASEAN地域への跳躍点となる潜在性を有している。北東部内の,また近隣国との連結性の強化は,北東部の潜在性を活かすために不可欠であり,また,ビジョンステートメントで示された日印間の共通ビジョンの結晶となる事例を示すものである。

2. 昨年設立されたアクト・イースト・フォーラムは,北東部における日印協力を推進するための原動力としての役割を果たしてきた。同フォーラム第2回会合は,10月8日に開催され,次の成果が得られた。

 2.1 実施の加速化

  ・メガラヤ州における北東部連結性

   フェーズ1: トゥラ・ダル(NH-51)

   フェーズ2: シロン・ダウキ(NH-40)

  ・ミゾラム州における北東部連結性

   フェーズ1&2: アイザウル・チュイパング(NH-54)

  ・シッキム州: 生物多様性保全及び森林管理

  ・ナガランド州: 森林保全,生計向上

 2.2 日本とインドは,以下を進める意思を再確認した。

  ・北東部の道路網連結性改善計画のフェーズ3として実施されるドゥブリ・プルバリ橋計画(実現すればインドで最長の河川橋となる)を含む,ADBとの協調によるゲレフ・ダル回廊の完成。

  ・社会・経済上有益な効果が期待される主要県道(MDRs)及びその他県道(ODRs)開発の検討。

  ・「ウミアム・ウムトゥル第3水力発電所改修計画」への円借款。

  ・トリプラ州における持続可能な森林管理及びメガラヤ州における同様の計画の検討。

 2.3 技能及び職業に関するイニシアティブ

  ・同地域における竹林の重要性に鑑みた「日本・インド北東部竹イニシアティブ」の立ち上げ。第一回「北東部竹ワークショップ」の成功を基礎とし,竹の産業的利用と竹資源管理をこのイニシアティブの下で追求する。

  ・インドの100の高等教育機関に日本語の語学課程を設置するという両首脳のコミットメントの一部としての北東部における日本語教育を促進する。アッサム州のCotton大学及びGauhati大学,メガラヤ州の英語・外国語大学(EFLU),ナガランド州の国立工科大学(NIT-N)によるこうした研修課程への関心の表明を歓迎。日本は語学教員養成センターを通じ適当な支援を提供する用意がある。北東部各州からの更なる提案が歓迎される。

  ・アジア健康構想の下での両国の協力拡大に貢献する,TITP(技能実

習制度)の下で日本を訪問する北東部出身の介護士に対する日本語を含む技能訓練を促進する。

 2.4 災害管理

  ・北東部における強靱なインフラや山岳道路に関する技術協力プロジェクトを通じた日本の貢献

  ・日印災害協力会議を通じた知見の共有

  ・北東部の政府関係者に関連する訓練機会を提供するための,JICAの課題別研修のより有効的活用の追求。

3. アクト・イースト・フォーラムは,そのイニシアティブの下でのプロジェクトの進捗状況を確認し,インド北東部地域に関する将来の協力を考慮する。