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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 技能開発に関する日印協力

[場所] 
[年月日] 2018年10月29日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

 インドの製造基盤を強化する枠組みを提供するために,インド技能開発・起業省と経済産業省は2016年に「ものづくり技能移転推進プログラムに関する協力覚書」に署名した。10年間で3万人の人材やエンジニアを育成することで「スキル・インディア」,「メイク・イン・インディア」にも貢献する。本覚書の下で,在インド日本企業は,日本式ものづくり学校(JIM)及び寄附講座(JEC)の設立を通じ,技能開発に参加している。

 日本式ものづくり学校(JIM)では,インドにおいて,日本式ものづくりの手法やカイゼン・5S等の日本式の考え方を教え,将来的に製造現場の中核を担う人材を育成する。2017年に,スズキ(グジャラート州),ダイキン(ラジャスタン州),ヤマハ(タミル・ナードゥ州),トヨタ(カルナタカ州)及び日立建機(カルナタカ州)の5社が,JIMを設立した。2018年には,アーレスティガバワル(ハリヤナ州)に,豊田通商がマンダル(グジャラート州)に,テルモがトリバンドラム(ケララ州)にJIMを設立した。

 寄附講座(JEC)では,既存大学に対し,製造業分野における中間管理職を担うエンジニアを育成するための講座を設置する。2017年に明電舎が発電・変電分野で、第一号寄附講座を開始。その後2018年に,三菱電機がインド各地の大学に対し、FAに関する寄附講座を開始した。MSDEは,厚生労働省,法務省及び外務省との間で,2017年10月に技能実習制度(TITP)に関するMOCに署名し,改正技術実習法に基づくTITPの適切な実施のための二国間協力のための枠組みを創設した。インドは,2018年3月に開催された23派遣機関の第1回目の認定を完了した。これら機関は,TITPに基づいて受け入れを行う技術研修生養成機関(OTIT)が承認した。2018年7月から9月までの間,第一次CII(認定派遣機関)によって研修を受けるインド人実習生15人が,TITP枠組みに基づいて日本の企業において研修を行うために受け入れられた。本日までに,17人のインドからの技術実習生が,TITPの下で日本に入国した。

 ニュー・デリーでのワークショップ(2018年2月)や名古屋市におけるTITPに関するインドセミナー(2018年9月)などのアウトリーチ・プログラムが、日本のニーズを満たすインドの技能実習生供給力の強さを示し,インドにおけるTITPの係る機会について関係者に情報提供する目的で,MSDE・国家技能開発社及びJITCOによって開催された。

将来の協力

(i)日本及びインドは,日本式ものづくり学校(JIM)及び寄附講座(JEC)を通じてインドにおける技能開発に継続して努力し,「スキル・インディア」及び「メイク・イン・インディア」に一層貢献する。

(ii)日本及びインドは,技能実習制度の下で研修のために北東部から日本を訪れる介護士に向けたものを含め,日本語等の技能訓練を促進する。これは,アジア健康構想の下での二国間協力拡大に資する。