[文書名] 日本インド科学技術協力
交流の枠組み
日本及びインド間の科学技術(S&T)協力は,1985年に署名された政府間取り決めをもって正式に開始された。両国間の科学技術協力は,1993年に日印合同科学評議会(IJSC)が設立されたことによって,さらに促進され,今日までに19回の協議,約250件の共同研究を支援し,約1600名の研究者間の交流,65の共同セミナー及びワークショップ,及び9のアジア学術セミナー並びに10の水島・ラマンレクチャーを実施してきた。
2006年にDSTは,相互主義及び共同出資の原則に基づいた価値のあるパートナーシップを,文部科学省(MEXT)を通じて日本学術振興会(JSPS)と科学技術振興機構(JST)と構築した。以降,両国の科学機関の間で,生命科学,材料科学,高エネルギー物理学,情報通信技術,バイオテクノロジー,ヘルスケア,重粒子線治療,メタンハイドレート,ロボット工学,代替エネルギー源,海洋地球科学技術,宇宙空間の平和利用の分野における複数の協力覚書が結ばれた。
最近のイニシアティブ
・ 国際共同研究拠点(ICT分野):課題名「IoTとモバイルビッグデータ処理のための高信頼高機能サイバーフィジカルシステムの構築」(東京大学-IITボンベイ校)、「データ科学で実現する気候変動下における持続的作物生産支援システム」(東京大学-IITハイデラバード校)、「安全なIoTサイバー空間の実現」(九州大学-IITデリー校)
・ DST-JSPS間で「日本-インド若手研究者交流事業」を開始。
・ 高エネルギー加速器研究機構(KEK,つくば)における先端材料研究に関する第二期インドビームラインMOUに署名。
・ 地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)の下で,2017年に,「マルチモーダル地域交通状況のセンシング,ネットワーキングとビッグデータ解析に基づくエネルギー低炭素社会実現を目指した新興国におけるスマート・シティの構築」プロジェクトが立ち上げられ,国際共同研究が開始。
・ DSTのINSPIREスカラーシップ受賞者である39名の学生を含めた655名の学生が,2017年4月から2018年3月までの間に,日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプラン)に参加し,日本を訪問した。
・ 筑波市における先進バイオ医学研究所(DAILAB)及びシックス・スターズ(SixSISTRES)研究所並びにインドにおける治療薬開発及び治療疾患の研究のための研究集会を設立。
・ インド地球科学省(MoES)及び海洋研究開発機構(JAMSTEC)は,2016年11月に,海洋地球科学技術における幅広い分野の協力のためにMOCに署名した。
・ DBTとAISTとの間では,筑波に於いて先端バイオメトリックに係る国際研究所を設置。環境研究センター(DAICENTER)を設置するためのものは,2017年9月のインドにおける。
・ 重粒子線治療の分野における量子科学技術研究開発機構(QST)とタタメディカルセンターとの間のMOCは2017年9月に署名された。
・ 2016年11月にインド宇宙研究機関(ISRO)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)との間で署名された宇宙分野の協力に関する了解覚書に基づき,ISRO及びJAXAは,両機関間の協力分野について議論するため,2018年9月に第2回共同ワーキンググループを開催した。
・ ISRO及びJAXAは、2017年12月に、月極域探査の検討に関する実施取決めを締結し、2018年3月に、同取決めに基づくフィージビリティスタディの共同レポートを作成した。
・ ISRO及びJAXAは、2018年6月に、衛星画像及び地上データを使用した降雨プロダクトの検証・改良と利用研究に関する実施取決めを締結した。
・ インド宇宙庁,ISRO,文部科学省,及びJAXAは、2017年11月にベンガルールにて第24回アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF-24)を共同で開催し,同会議において共同声明が採択された。
研究及び学術に関する連携
・ “オムロン株式会社、立命館大学情報理工学研究科ならびにインド工科大学ハイデラバード校とのインターンシッププログラムに関する覚書”が2017年11月に署名された。
・ 広島大学は8つのインド機関との覚書等に次のとおり署名した。
(i)インド科学産業研究委員会中央電子工学研究所(CSIR-CEERI)
“Annexure to Memorandum of Understanding between the Council of Scientific and Industrial Research through the CSIR-Central Electronics Engineering Research Institute (CSIR-CEERI), Pilani,India and Hiroshima University, Japan Concerning International Collaboration on Research, Academic and Educational Exchange”(2017年12月)
(ii)ビルラ技術科学大学ピラニ校(BITS-P)
“Agreement on Academic and Educational Exchange and Memorandum to Academic and Educational Exchange Agreement between Hiroshima University, Japan and Birla Institute of Technology and Science, Pilani, India (BITS-P)” (2017年12月)
(iii)インド工科大学ボンベイ校(IIT BOMBAY)
“Agreement on Academic and Educational Exchange and Memorandum to Academic and Educational Exchange Agreement between Hiroshima University, Japan and Indian Institute of Technology Bombay, India (IIT BOMBAY)”(2018年1月)
(iv)インド技術科学大学シブプール校
“Memorandum to Academic and Educational Exchange Agreement between Hiroshima University, Japan and Indian Institute of Engineering Science and Technology, Shibpur, India”(2018年1月)
(v)インド科学産業研究委員会中央機械工学研究所(CSIR-CMERI)“Memorandum on Student Exchange between Hiroshima University, Japan and CSIR-Central Mechanical Engineering Research Institute (CSIR-CMERI)”(2018年1月)
(vi)インド経営大学院大学アーメダバード校(IIMA)
“Memorandum of Agreement for Student Exchange between Indian Institute of Management Ahmedabad (IIMA)and Hiroshima University, Japan”(2018年4月)
(vii)インド工科大学デリー校
“Memorandum to the Agreement on Academic and Educational Exchange between Indian Institute of Technology Delhi, India and Hiroshima University, Japan”(2018年5月)
(viii)インド工科大学ハイデラバード校“インド工科大学ハイデラバード校・広島大学間の研究・教育交流に関する覚書(仮訳)”(2018年10月)
・ 長岡技術科学大学機械創造工学専攻及び原子力システム安全工学専攻は、2018年1月にインド工科大学ティルパティ校機械工学科、2018年7月にインド工科大学インドール校材料科学科との間の学術交流協定にそれぞれ署名した。
・ 北海道大学は、2018年1月にインド工科大学ボンベイ校、2018年3月にインド工科大学マドラス校、2018年4月にインド工科大学ハイデラバード校、2018年10月にインド工科大学カンプール校との間の学術交流協定及び学生交流覚書にそれぞれ署名した。
・ 長崎大学は、2018年7月に全インド医科大学(AIIMS)、インド理科大学院(IISc)、およびインド工科大学デリー校(IITDelhi)との間のLettersofIntent(LoIs)にそれぞれ署名した。
・ “日本国静岡大学とインド国国立薬科教育研究院(NIPER)との間の教員、研究者、学生の交流を含む学術交流を進めるための覚書(仮訳)”が2018年10月に署名された。
日印首脳会談の期間に署名された覚書
・ 東京大学先端科学技術研究センターとインド科学産業研究委員会の間の研究開発協力に関する次のような分野を対象とする覚書‐ロボット工学を含むメカトロニクス,表面技術,再生可能エネルギー(特に太陽エネルギーの化学的貯蔵),光エレクトロニクス等‐が2018年10月に署名された。
・ インド科学産業研究委員会(CSIR)と広島大学との間で研究パートナーシップに係るMOUが2018年10月に署名された。
・ “長崎大学、インド情報工業大学カンチプラム校との間の日印スタートアップに関する協力覚書(仮訳)”が2018年10月に署名された。
・ “東京工業大学科学技術創成研究院とインド科学・産業研究評議会の学術交流に関する協定書(仮訳)”が2018年10月に署名された。
・ 情報・システム研究機構国立極地研究所とインド共和国地球科学省国立極地海洋研究センターとの極地研究に関する協力覚書が2018年10月に署名された。
将来の取組
日印は,気候予測,海洋予測,及びその他の分野における共同研究を設置することを提案。両国は情報通信技術の分野における国際共同研究拠点に関し,協力を更に継続するための何らかの活動を検討している。また,ISRO及びJAXA間の共同月極域探査ミッションについて,両機関は2020年代初めに同ミッションを打上げることを目標にして早急に開発を開始するための共同検討を継続する。