データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「特別なパートナーシップ」の下で両国間に新たな地平を開く日仏協力のロードマップ(2019〜2023年)

[場所] 
[年月日] 2019年6月26日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

 エマニュエル・マクロン・フランス共和国大統領は、安倍晋三日本国内閣総理大臣の招待により、2019年6月26日から27日にかけて日本を公式訪問した。

 この機会に、両国は、自由、民主主義、法の支配、人権の尊重、ルールに基づく国際秩序といった共通の価値を強固に共有していることを改めて確認し、「特別なパートナーシップ」に新たなダイナミズムを与える決意を表明する。

I- インド太平洋における協力を強化する。

1- 日本とフランスは、共にインド太平洋国家として、この地域を、包摂的ですべてのパートナーにとって自由で開かれた平和と繁栄の地域とするために、航行の自由・海洋安全保障、気候変動・環境・生物多様性、質の高いインフラの3本柱を中心に、インド太平洋のパートナーシップの枠組みで、具体的な協力を実施していくことにコミットする。

2- 両国は、具体的には、インド太平洋地域における協力の強化を決定する。

- とりわけ太平洋・島サミット(PALM)へのニューカレドニア及び仏領ポリネシアの参加も踏まえ、太平洋島嶼国地域における共同協力を強化する。

- 日本国際協力機構(JICA)とフランス開発庁(AFD)の間の協力を推進し、持続可能な開発、気候変動対策、生物多様性及び質の高いインフラ等の分野における具体的なプロジェクトに関し連携を強化する。

- 海洋状況把握(MDA)を始めとする海洋安全保障に係る情報共有及び協力を発展させる。特に主要なシーレーンである太平洋島嶼国周辺海域及び西インド洋におけるMDA協力を強化する。

- 「太平洋における適応、生物多様性・気候変動及びレジリエンス」イニシアティブの枠組みにおける日本の協力を慫慂する。

- 二国間の具体的協力の進捗状況を考慮しつつ、海洋安全保障、環境、気候変動、生物多様性及びインフラ等の分野において、インド太平洋のその他のパートナーとの協力の可能性を検討する。

- 特にSATOYAMAイニシアティブをモデルとし、生物多様性の保全と持続可能な利用を通じて人間の福利の向上を図る取組を推進する。

- 共同プロジェクトを特定し、その実施は関係当局間における複数の対話の枠組みにおいて調整される。

3- 両国は、包括的海洋対話を通じ、海洋ガバナンス、科学技術・イノベーション、海洋安全保障、環境ブルーエコノミー等の分野において、特にインド太平洋における共同プロジェクトを特定し、具体化する。両国は、海洋保全、並びに国家管轄権外区域における海洋生物多様性(BBNJ)の保全及び持続可能な利用に関する将来的な国際約束の交渉に関する連絡及び協力を国連の枠組みにおいて強化し、可能な限り早期の交渉妥結に向け積極的に貢献することにコミットする。両国は、東南極地域における海洋保護区の設置に関し、適切なフォーラムでの議論を継続し、南極における海洋生物資源の保護及び持続可能な利用に関する多国間協力を継続することで一致する。両国は、本年下半期に第1回包括的海洋対話を開催する予定。

II–安全保障及び防衛分野における二国間の協力を深化する。

4- 両国は、次の取組を通じ、日本の自衛隊とフランス軍の間の効率的な相互運用の実施を促進しつつ、その戦略的な協力を強化することを決定する。

- 情報保護に関する新しい国内法を踏まえた2011年10月24日の情報の保護に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定のアップデート

- どちらか一方によって開催される訓練への陸・海・空の部隊の要員の参加の推進の検討、及びこのような協力を効果的に強化することを検討

- 防衛協力に必要な安全が確保された条件下でのリエゾンの設置

- HA/DR分野における協力、仏の展開の機会に計画される訓練への日本の自衛隊の参加、並びに同地域における寄港及び寄航に係る協力

- インド太平洋における日EU間での安全保障分野における協力の発展

- 日NATO国別パートナーシップ協力計画(IPCP)に基づく日NATO間の協力の進展

5- 両国は、インド洋及び太平洋の沿岸国の海洋に関する能力向上に貢献するための様式を検討し、両国のジブチにおけるプレゼンスに依拠しつつ、地域に貢献する日仏協力の活動を発展させるよう尽力する。

6- 両国は、防衛、国内の治安及び国際の平和と安全に寄与する平和維持活動並びに文民保護の分野におけるアジアやジブチを含むアフリカの第三国のための共同協力活動を発展させることを決定する。

7- 両国は、特に海洋の安全に関する情報の共有の分野において、多国間の枠組みの中での一層の協力強化を推進するとともに、関係省庁間の協力を強化することで一致する。

8- 両国は、次の取組を通じて、防衛装備品の分野に関する共同プロジェクトの枠組みで協力を強化する。

- 高精度な機雷探知技術を利用した試作品製造及び実海面での試験を含む協力を継続する。

- 海洋、航空、宇宙の分野を優先して、日仏両国の防衛産業間の協力をより一層促進する。

9- 両国は、次の取組を通じて、サイバー対話を強化することで一致する。

- 将来の大規模スポーツイベントの文脈において、国家情報システムセキュリティ庁(ANSSI)と内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の強化された協力を発展させる。

- ブルターニュのサイバー・クラスターの設置を受けて、可能な協力を検討する。

10- テロ対策については、両国は、フランスのイニシアティブにより形成された2018年4月の「NoMoneyforTerror」会合の際に採択された「パリ・アジェンダ」に盛り込まれたコミットメントや、国連安全保障理事会決議第2462号、及び2019年5月15日にパリでエンドースされた「オンライン上のテロ及び暴力的過激主義コンテンツ排除に向けたクライストチャーチ・コール」のコミットメントを歓迎し、それらの実施を促進することにより、協力を強化する。

11- 国境を越えた組織犯罪対策に関して、日本とフランスは、特に2020年に京都で開催される国連犯罪防止刑事司法会議を控え、協力を継続することにコミットする。

12- 両国は、日仏輸出管理措置委員会の会合等を通じ、武器及び汎用品・技術の輸出管理に係る協力を継続する。

III- 主要な世界規模課題に共に立ち向かうため、多国間主義に基づくグローバルガバナンスを推進する。

13- 両国は、常任・非常任議席双方の拡大を含む国連安全保障理事会改革の早期実現に向けた協力を強化することを再確認する。フランスは安全保障理事会の改革の枠組みにおいて日本の常任理事国入りへの支持を新たにする。

14- 両国は、世界貿易機関(WTO)改革、とりわけ上級委員会を始め紛争解決制度の改善に向け尽力しつつ、ルールに基づくWTOを中心とする多角的貿易体制の維持・強化に努め、社会面・環境面といった要素にも考慮を払いつつ、公正な競争環境を確保するべく、透明性を高め、既存のルールを刷新する。

15- フランスは、G5サヘル諸国を支援する目的のサヘル同盟への日本のオブザーバー参加決定を歓迎する。

16- 両国は、国連安保理決議に従い、北朝鮮による全ての大量破壊兵器、あらゆる射程の弾道ミサイル並びにそれらに関連する計画及び施設の完全な、検証可能な、不可逆的な廃棄の重要性を再表明する。両国は、国連安保理決議の完全な履行に係る国際社会のコミットメントの重要性を改めて強調する。両国は、違法な「瀬取り」対処に関し引き続き緊密に協力し、日本は、哨戒機及び船舶の将来の派遣により、違法な「瀬取り」対処で引き続き貢献するフランスの意向を評価する。フランスは、北朝鮮に拉致された全ての日本国民の即時帰国に向けて努力する日本への連帯を表明した。

17- 両国は、とりわけ海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に規定されている、国際法の諸原則に基づく、ルールを基礎とした自由で開かれた海洋における秩序の維持・発展に対するコミットメントを再確認する。両国は、包括的海洋対話の枠組みにおいて、この課題に関する協議を強化する。

18- 両国は、航行及び上空飛行の自由、阻害されない貿易、自制並びに外交的及び法的手段を通じた紛争の平和的解決の重要性を強調する。両国は、東シナ海及び南シナ海における状況に対して引き続き強い懸念を表明するとともに、緊張を高め、地域の安定及びルールに基づく国際秩序を損なう一方的な行動に対し、強い反対を改めて表明する。両国は、実効的で、UNCLOSを含む国際法に適合し、自由で開かれた海洋の維持を保証する南シナ海に関する行動規範(COC)の重要性を強調する。

19- 両国は、核不拡散レジームの礎石、核軍縮達成の不可欠な基礎、また原子力の平和的な利用の開発の重要な要素である核兵器の不拡散に関する条約(NPT)の維持・強化に向けた連携強化を再確認し、2020年NPT運用検討会議の成功に向け、緊密に協力することで一致する。

20- 両国は、イランに関し、包括的共同作業計画(JCPoA)を引き続き実施し、未解決の問題、すなわちイランの核・弾道ミサイル開発プログラム及び中東における不安定化を招く活動への対処に貢献する必要性を再確認する。

21- 両国は、それぞれが議長国を務めるG20及びG7の連携に基づき、G20大阪サミット及びG7ビアリッツ・サミットの結果の実施に努め、以下を決定する。

- 2020年7月にフランスがホストする世界女性フォーラムを控え交流を強化し、女性に対する暴力撤廃や男女間の平等のために行動をすること

- サヘルを始めとする脆弱な地域における女子教育に特にコミットしつつ、ユネスコや教育のためのグローバルパートナーシップ等を通じて教育へのアクセスを促進すること

- 「アフリカにおける持続可能な開発、保健、及び安全のための日仏計画」を踏まえ、アフリカ協力を推進し、G7ビアリッツ・サミットにおいて、アフリカとの刷新したパートナーシ

ップの立ち上げに貢献すること

- 質の高いインフラ投資に関するG20原則にのっとって、インフラの社会的及び環境的側面に配慮しつつ、開放性、透明性、経済性、債務持続可能性といった国際スタンダードに適合する質の高いインフラ投資を推進し、同原則の普及や途上国による履行を促進すること

- 開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループの議長国を日本が務めることを活用しつつ、開発のための革新的資金調達の議論の先頭に立つこと

- 2019年10月にリヨンで開催予定の世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)第6次増資会合を控え、グローバルファンドや、UNITAIDへの支援を確実なものにしつつ、グローバルヘルスの改善のために尽力し、ユニバーサルヘルスカバレッジ及びプライマリーケアの強化を推進すること

- 人工知能に関する国際専門家グループ(IPAI)の設置に向け、意見交換を行うこと

- G20の成果を踏まえ、途上国における税関連の技術支援を含め、租税回避及び脱税への協調した対抗を継続するとともに、経済の電子化に伴う課税上の課題への2020年までの解決策に向けた国際的議論を推進すること

22- 両国は、次の取組を通じて、気候変動対策、資源効率性、海洋プラスチックごみ対策及び生物多様性保全を多国間の場における優先課題とすることを決定する。

- クリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金(CEPF)、気候変動リスクに関する早期警戒システム(CREWS)、太陽に関する国際的な同盟(ISA)、建物及び建築のグローバル・アライアンス、並びに「『気候と大気浄化の国際パートナーシップ』の枠組みの下で効率的な空調・冷却のイニシアティブ」を支援する。

- 「愛知目標」の達成に向け引き続き最善を尽くすとともに、野心的かつ現実的なポスト2020生物多様性枠組みの策定に貢献し、あらゆるレベルにおいて、必要な資源の動員に努め、同枠組みの実施に取り組む。

- 開発途上国のための永続的な気候変動対策資金を動員し、パリ協定及び生物多様性条約の目標に開発諸機関の実務を同調させることを推進し、緑の気候基金の強化と効率的なガバナンスを保証するよう尽力することにより、気候変動対策及び生物多様性の保全に向けた官民の資金の新たな方向付けの重要性を主張する。

- とりわけG20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する閣僚会合において採択されたコミュニケ及び「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」など、海洋プラスチックごみ対策のためのG20の強いコミットメントを促進する。このダイナミズムはG20首脳宣言の中で継続されるだろう。

- 途上国におけるパリ協定の実施を支援するための二国間対話及び実務協力を強化するべく、気候変動に関する作業部会の立ち上げのために意見交換を継続する。

- それぞれの企業に対し、それぞれの国の中で、また国際的な関与において生物多様性を保護するための力強いコミットメントを行うよう促す。

- 海洋に投棄される前のプラスチックごみの回収イニシアティブを支持し、プラスチックの再利用の増加、リサイクルのイニシアティブを促進する。

IV- イノベーションのための両国間の多様な経済的パートナーシップを発展する。

23- 両国は、日EU経済連携協定(EPA)の発効を歓迎し、同EPAの実施等を通じ、中小企業間の交流やパートナーシップの強化を含む二国間の経済関係強化を進めていく。

24- 両国は、次の取組を通じ、パートナーシップの中心にイノベーション、デジタル経済分野における協力を位置付けることを決定する。

- スタートアップ支援機関等と協力しつつ、フレンチ・テック及びJ- Startupプログラムの組織間交流及び連携を促進する。Bpifrance(フランス公的投資銀行)のプラットフォーム「Euroquity」は、これらのコネクションを組織し、そのコネクションを特定するためのラベリングを提案することにより、特に支援を提供し得る。

- 日本国経済産業省とフランス経済財務省企業総局間の産業協力委員会において、3つの作業部会(繊維、未来の産業/IoT及び新エネルギーシステム)を中心に、具体的なパートナーシップの実現に向け議論する。

- 新たな技術である「ブロックチェーン」及びフィンテック・インシュテックの開発における協力を強化する。

- BpiFrance(フランス公的投資銀行)及びNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の共同研究開発事業による企業間のプロジェクトを促進する。

- 2021年に未来の産業のために開催が計画される見本市「グローバル・インダストリー」の日本版の立上げや、JETRO(日本貿易振興機構)によるフランスでのイベント開催に、必要に応じ、支援を提供する。

- 企業関連部会を包含し得る人工知能に関する日仏独の三者によるシンポジウムの開催等を通じて、特に企業間の人工知能を含む研究開発協力を奨励する。

- 国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)とフランス国立情報学自動制御研究所(Inria)との人工知能を含む情報通信技術分野における共同研究を推進する。

- 両国のデジタル政策及びデジタル戦略について、政府レベル、ビジネスレベル及び学術レベルにおいて定期的に意見交換する。

- 特に個人情報、知的財産及びセキュリティの尊重の観点から、データ交換に起因する諸課題に対応し、「DataFreeFlowwithTrust」の実現の条件について作業するために、国際的な規範に関する議論を行う。また、データ・セキュリティ及びデータ規制に関する互いの信頼を強化するため協力する。

- デジタル時代の柔軟かつ機動的な規制制度(ガバナンスイノベーション)に関する意見交換を行う。

- イノベーションに向け力を合わせる機会として、研究機関間のアライアンス強化や国際共同研究開発の展開等を図る「RD20」に、フランス研究機関からの参加を促進する。

25- 両国は、金融分野の主要テーマである、金融市場の分断回避、技術革新及びグリーン・ファイナンス、並びに高齢化の経済的影響等に関し、国際的な議論の場で協働する。また、両国は、東京やパリの金融ハブの強化に向けて両国の民間金融機関等とも連携する。

26- 両国は、持続可能な移動やデジタル情報を活用した移動分野における協力覚書等に基づく取組及び持続可能な都市、建築物、航空輸送、環境に優しい社会の分野における既存の協力を推進することにより、パリ協定の実施及び気候変動に関するコミットメントの野心の引き上げ、及び具体的な産業協力のため、脱炭素社会に向けたエコロジー転換及び気候変動対策の分野における協力の強化を決定する。

27- 低炭素で安価かつ安定なエネルギーシステムを発展させるために、2019年に両国間で署名された協力覚書に従い、エネルギー転換のためのイノベーションの分野における協力を深化させる。両国は、この枠組みで次のとおり支援する。

- 再生可能エネルギーの発展及び、スマートグリッド技術を含む再生可能エネルギーのエネルギー・ネットワークへの統合の分野において、(研究開発を含む)経験及びベストプラクティスを共有。

- 水素閣僚会議等の枠組みを活用することにより、低炭素経済に貢献するための方法としての水素に関する知見を共有し、ミッション・イノベーションや国際水素・燃料電池パートナーシップ等の国際協力枠組みを通じて、水素技術の研究、開発、展開のための国際協力を共同で推進。

- 輸送、産業、建築物など全ての部門における省エネに関する知見、経験、ベストプラクティスを共有する。

- 以下を含む、最も高い安全、セキュリティ及び不拡散の水準を満たす民生原子力協力分野における緊密なパートナーシップの継続。

 ・産業分野において、核燃料サイクルの実施、ATMEA1型の最適化された共通技術の推進、たとえばインドや英国における欧州加圧水型炉(EPR)技術に対するサプライチェーン協力、高レベル放射性廃棄物の最終処分への対応

 ・研究開発分野において、2020年から2024年までの協力を定める高速炉開発に関する一般取決めに基づく、シミュレーションや実験を中心とする協力の実施、ITER計画及び幅広いアプローチ活動を中心とした核融合に関する協力の継続、原子力安全及び核医学に資するジュール・ホロビッツ研究炉計画における協力の可能性の検討

28- 農業分野においては、両国は次について一致する。

- 日仏間の協力は、日本のワイン産業の発展を促進することを目的とする。長期的なフランス産ぶどう苗木に対する隔離検疫の代替措置の導入を目的として、両国の植物衛生当局は、科学的及び技術的見地に基づき議論を継続することで一致する。

- 日仏当局は、フランス産牛肉に関する30か月齢の月齢制限撤廃の可能性を検討した。フランス当局は、日本当局による早期のリスク評価の実施を可能とするために必要な情報を提供した。両国は、関連する手続が円滑に進むよう、引き続きあらゆる努力を行う。

- 豚の伝染性疾病の流行という世界的な状況は、食肉の貿易を阻害し、世界的な食料安全保障に影響を及ぼし得る問題である。アフリカ豚コレラに係る地域主義は、豚における疫病発生の影響を抑えるため、日仏家畜衛生当局間で徹底的に取り組んでいる課題である。両国は、

地域主義の原則に基づき早期の解決を見いだすために協力を継続することで一致する。

- 農業、食料安全保障及び農村地域が直面する諸課題に対処するため、両国は、新規就農者を訓練し、若者及び女性に対して農業という職業をより魅力的なものにするために、農業教育において協力することで一致した。

- 両国は、日本産食品等のEUによる輸入規制の早期撤廃に向け、前向きに取り組んでいく。

V- 文化、教育、大学、科学、技術、スポーツ及び観光における絆の強化に基づいた人的交流における新たなダイナミズムを創造する。

29- 文化や教育、人材育成の分野において、両国は次のとおり決定する。

- 次の取組を通じて若者を優先事項とする。

 ・日本における2か国語クラスの発展、フランスの学校における日本セクションの推進、高等教育の資格の相互承認、及び、大学に対し、言語レベルのサーティフィケーションの承認を慫慂すること等を通じて、それぞれの国の学校制度における日本語やフランス語教育の発展を推進する。

 ・映画分野に関し、公益財団法人ユニジャパンとフランス国立映画センター(CNC)との間の映画に関する協力協定の実施を支援し、この分野における連携を推進する。

 ・ビデオゲーム、デジタルアートの分野における交流を促進する。生徒(高校の姉妹校提

携)や学生(とりわけジョイント・ディグリーやダブル・ディグリーの導入促進を通じ

たもの)、クリエイターや文化のプロフェッショナルの相互移動を推進する。oさらに、農業を含む教育・人材育成分野における協力を推進する。

- 2000年に両国間で創設されたワーキングホリデープログラムを推進し、人的交流を強化する。

- 特に東京及びパリでのオリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、フランコフォニー関係者及び仏語圏国際機関(OIF)との多国間協力を促進するとともに、日本とOIFとの関係をより緊密化する。

- 2021年の「日本におけるフランス文化季間」を、日仏文化協力、及び両国のクリエイタ

ー同士の絆のハイライトとする。

30- 科学分野においては、両国は次について一致する。

- 新たな措置や国家計画を盛り込んだ、研究や養成に関する革新的な対話を日仏合同委員会等において実施する。

- 人工知能(AI)、高性能計算技術、サイバーセキュリティ、ロボット工学、未来の産業、人と機械の連携、農業、腫瘍学、再生医療、ゲノム医療、難治性疾患、神経変性疾患、レアメタル、感染症、自然災害リスク、再生可能エネルギー、人文社会科学等、共通の関心を有する分野における協力を推進する。

- 研究者の相互移動や共同プロジェクトの立上げを慫慂する。

- 需要が非常に増大している数理・データサイエンス・AIに関する高等教育段階における両国の取組を共有する。

- 研究機関及び高等教育機関と共に、研究及びイノベーションに関する官民パートナーシップを支援するための二国間プログラムを立ち上げることを模索する。

- 深海とウォーターカラムの観測のための海洋技術における日仏パートナーシップの促進に努める。

- 極域における研究のための協力強化の手段を模索する。

- 海洋及び気候に関する科学データの体系化と共有についての意見交換を推進する。

- 第三国における公的及び/又は民間の科学協力(保健、レアメタル等)を強化する分野と手段を特定する。

- 知的交流を強化するため、2024年の日仏会館設立100周年を活用する。

31- 保健及び社会分野においては、両国は特に免疫学、腫瘍学及び救急医療分野での協力を深化させ、高齢者介護や介護保険に関する知見の共有や家族政策に関する意見交換を強化するため、ロードマップを採択することで一致する。

32- 宇宙分野においては、両国は特に気候変動研究、小惑星探査機「はやぶさ2」が採取したサンプルの分析、火星衛星探査計画(MMX)や再使用型宇宙輸送実験機カリスト計画、宇宙輸送システムスペースデブリの研究等における協力の強化を重視する。両国は、インド太平洋地域における衛星による監視にも資する産業協力の進展を留意する。

33- 両国は、大規模スポーツイベントを続いて開催する(2019年は日本、2023年はフランスがラグビーワールドカップを開催、2020年は東京、2024年はパリがオリンピック・パラリンピック競技大会を開催)ことで結ばれており、大規模な国際スポーツイベントの受入れに関する知見の交換の推進、国立スポーツ体育研究所(INSEP)と日本スポーツ振興センター間で署名された協力文書及び東京2020とパリ2024の間で締結された覚書に基づく交流強化・連携事業の奨励、両国のスポーツ連盟同士間の交流の促進、スポーツにおけるスタートアップ企業育成に関する知見の交換、これらの2つのイベントの機会における、オリンピック言語であるフランス語の発展などを通じて、スポーツ協力に新たな推進力を与える。

34- 両国は、日仏の航空会社に与えられるキャパシティーを需要の増加に適応させることにより、引き続き観光客の往来の進展に応えるようコミットする。

35- 両国は、二国間関係の強化に資するべく、日仏自治体交流会議の枠組みや姉妹都市交流等を通じた地方自治体間の交流を促す。