[文書名] G20トロント・サミット宣言
前文
1.トロントにおいて,我々は,我々の国際経済協力に関する第一のフォーラムという新たな役割として最初のG20サミットを開催した。
2.世界経済危機への対処における我々の成果に基づき,我々は,成長及び質の高い雇用の完全な回復を確保し,金融システムを改革及び強化し,強固で持続可能かつ均衡ある世界の成長を実現するために我々がとるべき次の措置に合意した。
3.今日までの我々の努力は良い成果を挙げた。前例のない世界的に調和された財政及び金融刺激策は,民間の需要と貸付けの回復を助ける上で主要な役割を果たしている。 我々は,我々の金融システムの安定性及び強度を向上させる強力な措置をとっている。国際金融機関のための大幅な資金の増加は,最も脆弱な人々への危機の影響を安定化して対処することを助けている。現在行われているガバナンスとマネジメントに関する改革は,完了されなくてはならず,またこれらの機関の有効性及び適切性を強化することとなろう。我々は保護主義に対抗するとの強固なコミットメントを成功裏に維持してきた。
4.ただし,深刻な挑戦はまだ残っている。成長は戻りつつあるものの,回復は一様でなく脆弱であり,多くの国で失業は依然容認できない水準にあり,危機の社会的な影響はいまだ広く実感されている。回復を強化することが鍵である。回復を持続するために,我々は,強固な民間の需要のための状況を創出することに取り組みつつ,既存の刺激策の実施を継続する必要がある。同時に,最近の出来事は,財政の持続可能性確保の重要性,並びに我々の各国が,財政の持続可能性を実現するために各国の状況に即して差別化された,信頼に足る,適切な段階を設けた,及び成長に配慮した計画を策定する必要性を強調している。深刻な財政課題を抱える国々は,健全化のペースを加速する必要がある。これは,世界的な成長が引き続き持続可能な道程を進むことを確保することを助けるために,世界的な需要をリバランスする努力と結合されるべきである。我々の金融機関の透明性を増大させ,バランスシートを強化し,実体経済におけるものを含む,信用の利用可能性及び急成長を支援するため,金融の修復及び改革に関する一層の進ちょくもまた必要である。我々は,我々の市民のニーズにこたえる,より良く規制されたより強じんな金融システムを構築するための新たな措置をとった。また,国際金融機関の改革を完了させる差し迫った必要性がある。
5.雇用の増強を達成すること及び市民の,特に最も脆弱な人々の社会的保護の重要性を認識し,我々は2010年4月に会合した雇用労働大臣会合の勧告及びILOとOECD共同による訓練戦略を歓迎する。
6.我々は,我々が行ったコミットメントに責任を負うことを決意し,我々の大臣及び実務者に,合意した期限内にこれらを完全に実施するため,すべての必要な措置をとるよう指示した。
強固で持続可能かつ均衡ある成長のための枠組み
7.G20の最も優先的な課題は,回復を保護し,強化すること,及び強固で持続可能かつ均衡ある成長のための基礎を築き,我々の金融システムをリスクに対して強化することである。我々は,したがって,多くのG20諸国による,需要を拡大し,成長をリバランスさせ,我々の財政を強化し,我々の金融システムをより強固でより透明なものにするためにとられた行動及びコミットメントを歓迎する。これらの方策は,我々の集合的幸福に対する多大な貢献を示すとともに,これまでの行動の上に立脚するものである。我々は,経済成長を強化し,強固で持続的な回復を促進するために,引き続き協力し,適切な行動をとる。
8.我々がピッツバーグで立ち上げた,強固で持続可能かつ均衡ある成長のための枠組みは,政策措置の集合的な整合性を評価し,政策枠組みを強化することによって,我々の共通目的を達成するための方法である。
9.我々は,相互評価プロセスの第一段階を完了し,より良い結果を得ることができると結論づけた。IMFと世界銀行によると,我々がより野心的な改革の道を選べば,中期的には以下が見込まれている。
・世界の生産量が4兆米ドル近く押し上がる。
・数千万の追加的雇用が創出される。
・更に多くの人々が貧困から救い出される。
・世界的な不均衡が大幅に縮小する。
持続的な世界経済の成長増進は,最貧国の人々を含む,万人の生活を改善するために,我々がとり得る最も重要な措置である。
10.我々は,回復の持続,雇用の創出,及びより強固で,より持続可能で,より均衡のとれた成長の達成のために協調行動をとることにコミットしている。これらは,各国の状況に即して差別化される。本日我々は以下に合意した。
11.先進国において,財政刺激策を遂行し,今後実施される「成長に配慮した」財政健全化計画を伝達し,それを将来に向けて実施すること。健全な財政は,回復を維持し,新しいショックに対応する柔軟性を提供し,人口の高齢化という課題に対応する能力を確保し,並びに将来の世代に財政赤字及び債務を残すことを回避するために必要不可欠である。調整の経路は,民間需要の回復を持続させるため,注意深く水準調整されなければならない。幾つかの主要国が同時に財政調整を行うことは,回復に悪影響を及ぼすリスクがある。必要な国で健全化が行われないことが,信認を損ない,成長を阻害するリスクがある。このバランスを反映し,先進国は, 2013年までに少なくとも赤字を半減させ,2016年までに政府債務の対GDP比を安定化又は低下させる財政計画にコミットした。日本の状況を認識し,我々は,成長戦略とともに最近発表された日本政府の財政健全化計画を歓迎する。深刻な財政課題がある国は,健全化のペースを加速する必要がある。財政健全化計画は,信頼に足る,明確に説明され,国の状況に即して差別化され,経済成長を促進する措置に焦点を当てる。
幾つかの新興国において,社会セーフティ・ネットを強化し,コーポレート・ガバナンス改革,金融市場の発展,インフラ支出及び為替レートの柔軟性の向上を強化する。
我々の成長見通しを増加及び持続させるために,G20メンバー全体において構造改革を追求する。
世界的な需要のリバランスを更に推進する。
金融政策は,物価の安定を達成するために適切なものであり続け,それにより回復に貢献する。
先進赤字国は,開かれた市場を維持し,輸出競争力を強化する一方,国内貯蓄を拡大するための行動をとるべきである。
12.黒字国は,その外需への依存を低下させ,国内の成長の源により焦点を当てるための改革を実施する。
13.我々は,開発の格差を縮小するとともに,我々の政策行動が低所得国に与える影響を考慮しなければならないことにコミットしている。我々は,官民双方からの開発資金を奨励する新しいアプローチを通じることも含め,開発資金を引き続き支援する。
14.我々は,これらの措置が国レベルで実施される必要があり,個別の国の状況に即して設計される必要があることを認識する。この過程を円滑にするために,我々は,各国主導の協力的な相互評価の第二段階が国及び欧州地域のレベルで実施されること,並びに必要があれば,強固で持続可能かつ均衡ある成長の達成に向けて我々が採用する追加的措置を特定することに合意した。
金融セクター改革
15.我々は,我々の経済のニーズに寄与し,モラルハザードを抑制し,システミックなリスクの積み上がりを抑制し,強固で安定した経済成長を支援する,より強じんな金融システムを構築している。我々は,健全性監督の強化,リスク管理の改善,透明性の促進,及び国際協力を強化することによって,世界的な金融システムを強化してきた。これまでに多くのことが達成された。我々は,欧州安定化メカニズム及び同ファシリティの完全な実施,欧州の銀行において現在実施されているストレス・テストの結果を公表するとのEUの決定,並びに最近の米国の金融改革法案を歓迎する。
16.しかし,成すべきことは更にある。したがって,我々は,ワシントン,ロンドン及びピッツバーグ・サミットにおいてなされた金融セクター改革に向けたコミットメントを,合意された又は前倒しされた期間で達成するために協働することを誓約する。新しい基準への移行は,先進国及び新興国における改革の累積的なマクロ経済への影響を勘案する。我々は,我々のすべての決定が完全に実施されることを確保するために,国際的な評価及びピア・レビューにコミットしている。
17.改革アジェンダは,4つの柱の上に築かれる。
18.第一の柱は,強固な規制枠組みである。我々は,バーゼル銀行監督委員会(BCBS)による,銀行資本と流動性要件の新たな国際基準に向けた進ちょくを評価するとともに,その作業を歓迎及び支持する。我々の銀行システムの強じん性の水準を大幅に引き上げる改革に関して,著しい進展が達成された。新たな改革が完全に実施される時に,資本の量は大幅に増加し,資本の質は大きく改善される。このことは,例外的な政府支援を受けなくても,今次金融危機に比肩する規模のストレスに金融機関が耐え得ることを可能にする。我々は,新しい資本の枠組みについてソウル・サミットの際に合意に達することを支持する。我々は,すべてのメンバーが新しい基準を採用するとともに,持続的な回復に整合的で,市場の混乱を押さえるような時間的枠組みにより,かつ金融安定理事会(FSB)及びBCBSのマクロ経済への影響度調査に基づく移行期間を経て, 2012年末までを目標に,これらの基準を段階的に実施することで合意した。段階的実施の枠組みは,各国の異なる出発点や状況を反映し,新基準との間の当初の差異が各国が新たな国際基準に収れんするに従って,時間をかけて縮小するように設定されるものとする。
19.我々は,ヘッジファンド,信用格付会社,店頭デリバティブの透明性及び監督を改善する強力な措置の実施を,国際的に整合的で無差別な方法で加速することによって,金融市場のインフラを強化することに合意した。我々は,単一の質の高い国際的な会計基準の実現及び健全な報酬のためのFSB基準の実施が重要であることを改めて強調した。
20.第二の柱は,実効的な監督である。我々は,新たな,より強固なルールを,より実効的な監督によって補完しなくてはならないことに合意した。我々は,FSBに対して,IMFと協議し,特に監督当局の権限,能力及び資源,並びに早期の介入を含め,積極的にリスクを特定し対処するために採用されるべき特定の権能に関して,監督を強化する勧告を,2010年10月に財務大臣及び中央銀行総裁に報告するよう指示した。
21.第三の柱は破たん処理及びシステミックな機関に対する対処である。我々は,危機時にすべての種類の金融機関を,納税者が最終的に負担することなく再編又は破たん処理する権能と手法を我々が備えるシステムを設計し,実施することにコミットしており,その実施の指針となる原則を採択した。我々は,FSBに対し,ソウル・サミットまでに,システム上重要な金融機関に関する問題に効果的に対処し,また破たん処理を行うための具体的な政策提言を検討し,策定するよう要請した。モラルハザードのリスクを減少させるため,実効的な破たん処理手法,強固な健全性や監督要件,核となる金融市場のインフラを含めた政策枠組みを持つ必要がある。我々は,金融システムの修復又は破たん処理の資金を提供するため及び金融システムからのリスクを減少させるための政府の介入が行われる場合には,関連する負担に対し金融セクターが公平かつ実質的な貢献を行うべきであることに合意した。我々は,この目的のため幅広い政策手法があることを認識した。金融機関への賦課金を追求している国々もあれば,異なるアプローチを追求している国々もある。
22.第四の柱は,透明性のある国際的な評価及びピア・レビューである。我々は,IMF及び世界銀行の金融セクター評価(FSAP)に対する我々のコミットメントを強固にするとともに,FSBを通じて実施されている強固で透明性のあるピア・レビューを支援することを誓約した。我々は,タックス・ヘイブン,資金洗浄及びテロ資金供与との闘い,並びに健全性基準の遵守に関し,包括的,整合的かつ透明性のある評価に基づき,非協力的な国・地域に対処している。
国際金融機関と開発
23.国際金融機関(IFIs)は,金融経済危機に対するグローバルな対応の中心にあり,IMFによる7500億ドルや国際開発金融機関(MDBs)による2350億ドルなど極めて重要な資金を動員した。これは,我々の世界的な協力の基盤として,これらの機関の価値を強調している。
24.将来,IFIsを我々にとってより一層強力なパートナーとするため,我々は,その正当性,信頼性及び有効性を強化することにコミットする。
25.このために,我々は,国際開発金融機関に関するピッツバーグ・サミットのコミットメントを達成した。これは,貸出し能力のおおむね倍増を可能にする3500億ドルのMDBs増資を含む。この新たな資本は,これらの機関をより透明で,説明責任を果たし,有効な機関とし,また貧困層の生活の向上,成長の支援,並びに気候変動及び食料安全保障に当てた焦点を強化するために,現在行われている重要な改革を伴うものである。
26.我々は,国際開発金融機関の譲許的融資ファシリティ,特に今年増資を行う,国際開発協会(IDA)及びアフリカ開発基金の適切な資本を確保するとのコミットメントを達成する。
27.我々は,途上国・体制移行国に投票権を4.59%増加させる,2008年以来世界銀行の出資国が合意したボイス改革を支持した。
28.我々は,2008年のクォータ及びボイス改革,並びに新規借入取極(NAB)の拡大の承認を確保するとの我々の決意を強調する。
29.我々は,ピッツバーグでなされたコミットメントと整合的に,IMFがソウル・サミットまでにクォータ改革を完了し,並行してその他のガバナンス改革を実施するために,なお必要とされる多くの作業の加速を求めた。
30.本日,我々は,すべてのIFIsの長及び上級リーダーに対する開かれた,透明で,能力本位の選任プロセスに関する我々のこれまでのコミットメントに立脚する。我々は,選任プロセスを,より広い改革の文脈において,ソウル・サミットに至るまでの間に強化する。
31.我々は,財務大臣及び中央銀行総裁に対し,ソウル・サミットにおける我々の検討のために,グローバル・フィナンシャル・セーフティ・ネット強化のための政策の選択肢を用意するよう指示することに合意した。我々の目標は,より安定し,強じんな国際金融システムを構築することである。
32.ハイチの人々と共に結束し,ハイチのIFIに対する債務の全額帳消しの実施を含む,緊急に必要とされている復興支援の提供を行う。我々は,ハイチ復興開発基金の設立を歓迎する。
33.我々は, 中小企業(SME)金融チャレンジを立ち上げ,MDBsの力強い支援を通じたものを含む,優秀提案の実施のための資金を動員することにコミットする。我々は,革新的な金融包摂のための一連の原則を作成した。
34.我々は,ピッツバーグでの食料安全保障に関するコミットメントとして,農業及び食料安全保障のためのグローバル・パートナーシップの実施を更に進めるための重要な措置である,世界農業食料安全保障プログラムの立ち上げを歓迎し,更なる貢献を奨励する。農業における革新のために民間部門を利用するため,革新的で結果に基づいたメカニズムを検討することにコミットする。我々は,ラクイラ・イニシアティブの完全な実施及びその原則の適用を求める。
保護主義との闘いと貿易と投資の促進
35.世界経済危機はここ70年以上の間で最も急激な貿易の落ち込みをもたらしたが,G20諸国は貿易と投資が提供する機会に市場を開いておくことを選択した。それは正しい選択であった。
36.したがって,我々は,投資又は物品・サービスの貿易に対して障壁を高めることはせず,また,新たな障壁も設けず,新たな輸出規制を課さず,若しくは輸出を刺激するために世界貿易機関(WTO)非整合的な措置をとらないとのコミットメントを更に3年間,2013年末まで更新し,そのような措置がとられる場合には是正していくことにコミットする。我々は,財政政策及び金融セクター支援のための対策を含む,我々の国内政策措置による,貿易及び投資に対する,いかなる負の影響も最小化する。我々は,WTO,OECD及び国連貿易開発会議(UNCTAD)に対し,それぞれの権限の範囲内で引き続き状況を監視し,四半期ごとにこれらのコミットメントへの遵守について公表することを求める。
37.開かれた市場は,成長と雇用創出を支え,強固で持続可能かつ均衡ある成長のためのG20の枠組みの下での目標達成に,極めて重要な役割を果たす。我々は,雇用創出が貿易自由化への政治的支持を動員する中心であることに合意し,OECD,ILO,世界銀行及びWTOに対し,ソウル・サミットにおいて,貿易自由化が雇用や成長に与える利益について報告するよう求める。
38.我々は,したがって,WTOドーハ開発ラウンドを,そのマンデートと整合的に及びこれまでの進展を基礎として,できるだけ早期にバランスのとれた野心的な妥結に導くことについての支持を改めて表明する。我々は,それぞれの交渉代表に対し,あらゆる交渉の場を使ってこの目的を追求し,その進ちょくについてソウルでの次回会合において報告を行うよう求め,同会合において我々は交渉状況と今後の進め方について議論する。
39.我々は,「貿易のための援助」のモメンタムを維持することにコミットする。我々は,世界銀行や国際開発金融機関を含む国際機関が能力を強化し,世界貿易を押し上げる貿易円滑化の取組を進めるよう求める。
他の論点と今後の課題
40.我々は,腐敗は,市場の公正性を脅かし,公平な競争を弱体化させ,資源の配分をゆがめ,公衆の信頼を損ない,法の支配を弱めるものであることに合意する。我々は,すべてのG20メンバーによる国連腐敗防止条約(UNCAC)の批准と完全な実施を求め,他の国々も同様に行動することを奨励する。我々はUNCACの規定に従ってレビューを完全に実施する。腐敗に対処するためのピッツバーグ以降の進展に基づき,我々は,韓国での首脳による検討のため,G20が,強力かつ効果的な贈賄防止規則の採用及び執行,官民セクターにおける腐敗との闘い,腐敗した個人による世界金融システムへのアクセス防止,査証拒否,犯罪人引渡し及び資産回復における協力,並びに腐敗に対して立ち上がる内部通報者の保護を含むがこれに限定されない鍵となる分野において,引き続き腐敗防止の国際的な取組に実際的かつ価値のある貢献を行い,模範を示す方法について包括的な勧告を行うための,専門家による作業部会の設置に合意する。
41.我々は,グリーンな回復及び持続可能な世界的な成長に対する我々のコミットメントを改めて表明する。我々のうち,コペンハーゲン合意に賛同した者は,合意及びその実施への支持を再確認し,他にも同合意に賛同するよう求める。我々は目的規定及び共通であるが差異のある責任とそれぞれの能力を含む原則に基づき,国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の下での交渉に従事することにコミットし,カンクン会議の包括的なプロセスを通じて成功裏の結果を確保することを決意している。我々は2010年11月29日から12月10日まで,カンクンにおいて,国連気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)を主催するメキシコに感謝し,交渉を促進するための努力に謝意を表する。我々はとりわけ革新的資金について国連事務総長の気候変動資金に関するハイレベル諮問グループの結果に期待している。
42.我々は,IEA,OPEC,OECD及び世界銀行からのエネルギー補助金に関する報告書に謝意をもって留意する。我々は,脆弱なグループと彼らの開発ニーズを考慮に入れつつ,無駄な消費を助長する非効率な化石燃料補助金の中期的な合理化と段階的廃止のため,各国の状況に基づいて実施戦略及び予定表を策定した,財務及びエネルギー大臣の作業を歓迎する。我々はまた,国ごとの戦略の継続的かつ完全な実施を奨励し,次回のサミットにおいてこのコミットメントに向けた進ちょくを引き続きレビューする。
43.メキシコ湾における最近の石油流出を受け,我々は海洋環境保護,沖合の採掘及び開発並びに運輸に関する事故の予防,及びその結果への対処につき,ベスト・プラクティスを共有する必要性を認識する。
44.我々は2010年が開発課題にとって重要な年であることを認識する。2010年9月のミレニアム開発目標(MDGs)国連首脳会合は,世界的開発アジェンダ及び世界的なパートナーシップを再確認し, 2015年までにMDGsを達成するための万人のための行動について合意し,最貧国を支援するための我々それぞれのコミットメントを再確認するための極めて重要な機会となる。
45.この点について,後発開発途上国を世界経済システムにおける積極的な参加者かつ受益者とするよう,後発開発途上国と取り組むことが重要である。したがって,我々は2011年6月に第4回国連後発開発途上国会議を開催するとのトルコの決定に感謝する。
46.我々は,グローバル・パルス・イニシアティブの中間報告を歓迎し,更新を期待する。
47.開発の格差を是正し,貧困を削減することは,強固で持続可能かつ均衡ある成長の達成,及び万人のためのより強固で強じんな世界経済の確保という,我々のより広範な目標に不可欠である。この点に関し,我々は,作業部会を設置し,経済の成長と強じん性を促進するための措置にG20が焦点を当てていることと整合的に,ソウル・サミットで採択される開発アジェンダ及び複数年行動計画を策定するよう任務を課すことに合意する。
48.我々は,次回は,2010年11月11日〜12日に,韓国ソウルにおいて会合する。我々は2011年11月議長国フランスの下で,2012年に議長国メキシコの下で会合する。
49.我々は,成功したトロント・サミットを開催したカナダに感謝する。