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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明

[場所] パリ
[年月日] 2011年2月19日
[出典] 財務省
[備考] 
[全文]

1. 我々G20財務大臣・中央銀行総裁は、経済・金融面での現在の課題に対処し、我々の首脳から与えられたマンデートを達成するための今後の進め方に合意するため、本日会合を行った。

2. 世界経済の回復は、強固なものとなりつつあるが、依然一様ではなく、下方リスクは残っている。ほとんどの先進国においては、成長は緩やかで、失業率は高止まりしている一方、新興国においては、より力強い成長が続いており、景気過熱の兆候が見受けられる国もある。我々は、我々が直面している課題に対する一貫して協調した対応を確保し、危機の原因に対処し、より健全な世界経済の成長を回復させるという我々の意志を再確認する。

3. 我々は、強固で持続可能かつ均衡ある成長を達成するための全てのG20メンバーによる協調した政策措置へのコミットメントを再確認する。我々の主要な優先的政策措置は、トロントでのコミットメントに沿った、各国の状況によって差別化された中期財政健全化計画の実施、適切な金融政策の実現、根底にある経済のファンダメンタルズをよりよく反映した、為替レートの柔軟性の向上及び世界需要を維持し、潜在成長を増大させ、雇用創出を助け、世界的なリバランスに貢献する構造改革を含む。我々は、ソウル・サミット以降の進捗を議論し、多角的協調を強化することにより、過度の不均衡を縮小し経常収支を持続可能な水準で維持することの必要性を強調した。我々は、統合された2段階のプロセスを通じて、政策措置を必要とするような継続した大規模な不均衡に焦点を当てることを可能にする一連の項目に合意した。第1段階に必要な作業を完了するため、我々の目標は、大規模な一次産品生産者を含む、国及び地域の状況を考慮する必要性を認識しつつ、4月の次回会合までに、これらの項目それぞれを評価する参考となるガイドラインに合意することである。これらの参考となるガイドラインは、目標となるものではないが、以下の項目を評価するのに使用される: (i)公的債務と財政赤字、民間貯蓄率と民間債務、(ii)為替・財政・金融・その他の政策を十分に考慮しつつ、貿易収支、投資所得及び対外移転のネットフローから構成される対外バランス。我々はまた、強固で持続可能かつ均衡ある成長のための枠組みを実施し、既に行ったコミットメントをモニターする2011年版の行動計画の策定へ向けた予定表を採択した。ソウルで合意したように、我々は、IMFに対し、相互評価プロセスの一部として、対外的な持続可能性と政策の一貫性確保に向けた進捗についての評価を10月の会合において提供することを求める。その際、我々はまた、合意されたガイドラインに基づく継続した大規模な不均衡の原因に関する分析によって情報を得て、行動計画を含むMAPに関する報告のレビューを行う。我々はまた、ソウルでのコミットメントを達成するためになされた進捗の評価をレビューする。

4. 国際通貨システム(IMS)はその強じんさを示してきたものの、脆弱性は残っており、システミックな安定性を確保し、秩序のある調整を促進し、悪影響を及ぼすような資本移動の変動、準備通貨を持つ先進国が過度の変動を監視することを含む、為替レートの無秩序な動き、為替レートの継続した不均衡を回避するため、IMSを改善する必要性が高まっている。今日、我々は、IMSの機能の強化に向けた作業プログラムに合意した。IMSの機能強化は、以下を通じて目指される:不安定性をもたらす可能性のある資本移動への対処に関する、好ましくない結果をもたらしうることに留意しつつも、マクロ健全性措置を含む一貫した手法や措置、資金セーフティ・ネットやSDRの役割といった論点を含む、ショックを予防し、対処する能力を強化するための国際的な流動性の管理。これにはまた、為替レートについての諸論点とIMFのサーベイランスの強化に関する議論が求められる。我々は、4月の次回会合において、以下の報告を議論することを期待している:IMSの強化に関するIMFからの報告、新興・途上国における現地の資本市場や国内通貨の借入れを強化する行動に関する経験に基づく世界銀行とRDBsによる報告。加えて、我々は、資本移動に関するOECDの作業及びUNCTAD等、他の関連する国際機関の貢献を得ることができる。

5. 我々は、一次産品価格の潜在的な過度の変動の影響についての懸念を議論し、我々の代理に対し、国際機関と協働して、根底にある動きと、こうした趨勢が消費国と生産国双方に与える課題について我々に報告し、可能性のある対応策の検討を求めた。我々は、この変動が食糧安全保障に与える影響に留意しつつ、途上国の農業セクターへの長期的な投資の必要性を改めて表明した。我々は、石油データイニシアティブ共同機構(JODI oil)の質、適時性及び信頼性を高めるためのIEF、IEA及びOPECによる中間報告を歓迎し、最終報告で詳述されるこれらの提言を実施するための戦略について更に取り組むことを求める。1月24日にリヤドで開催されたシンポジウムに基づき、我々は、IEFが2011年2月22日の次の会合において、産消対話を改善するための具体的な戦略を提供することを奨励する。首脳の要請を受け、我々は、IMF及びIEF並びにIEA、GECF及びOPECに対し、石油の価格変動に関するG20の作業をガスと石炭に拡大するための具体的な提言を2011年10月までに策定することを求める。我々は、次回会合において、以下の報告を議論することを期待している:価格報告機関に関するIEF、IEA、OPEC及びIOSCOの報告、現在関連する国際機関によって作業が行われている食糧安全保障に関する中間報告、及び、特に、透明性を強化し、市場の濫用に対処するための商品デリバティブ市場の規制・監督に関するIOSCOの提言及びFSBの次のステップの検討。

6. 我々は、金融セクター改革を続けることにコミットしている。良い進捗はあったものの、まだ多くの作業が残っている。我々は、流動性基準について合意した観察期間と見直し条項を十分に考慮しつつ、合意した期限内に銀行に対するバーゼルⅢの新たな基準を完全に実施する。同様に、我々は、国際的に整合的かつ無差別な方法で、店頭デリバティブや信用格付会社の格付への依存抑制に関するFSB提言を実施する。我々は、2011年のFSB作業計画において予定されている、システム上重要な金融機関に関し進行中の以下の作業を次回のサミットまでに完了することを期待している:指標となる基準を基にした、FSB及び各国当局によるグローバルなシステム上の重要性を有する金融機関の決定/より密度の高い監督・監視、クロスボーダーの文脈も含めた実効的な破綻処理能力、各国の状況に応じて追加的な資本賦課・コンティンジェントキャピタル・ベイルイン条項付き債務を含み得る実行可能な選択肢のメニューを通じたより高い損失吸収力のための措置、負担金を含めた各国当局が決定するその他の補完的な措置、を含む包括的かつ多角的な枠組み。当初G-SIFIsに適用される枠組みに合意したところで、我々は全てのSIFIsをカバーすべく速やかに動く。我々は、BIS、IMF及びFSBによるマクロ健全性の枠組みについての報告、FSB、IMF及び世界銀行が各国当局からのインプットを受けてまとめる新興市場・途上国における金融の安定に関する課題についての報告、の2つの報告が10月の会合までに最終化されることを期待している。我々は、シャドーバンキング及びシャドーバンキングと規制された銀行システムとの相互関係に伴うリスク、とりわけ裁定行為のリスクに実効的に対処するため、FSBが2011年半ばまでに策定することになっているシャドーバンキングシステムの規制及び監視に関する提言に期待している。我々は、IOSCOに対し、特に最新の技術発展がもたらすリスクを抑制するために市場の健全性及び効率性を促進する提言を2011年半ばまでに策定するよう求める。我々はまた、FSBに対し、FSBのガバナンス、リソース、アウトリーチを強化するための包括的な提言を次回の会合のために提出するよう求める。我々は、ピッツバーグにおいてG20首脳により合意されたより健全な報酬慣行に関するFSB原則及び基準を全ての国・地域が完全に実施するよう促し、FSBにこの分野における継続的なモニタリングの実施を求め、残っているギャップを特定するための徹底した第2回FSBピア・レビューの結果を本年半ばまでに受け取ることを期待している。我々は、OECD、FSB及びその他関係する国際機関に対し、金融サービス分野における消費者保護についての共通原則を10月の会合までに策定するよう求める。我々は、バーゼル委員会の原則に基づく銀行の定期的なストレステストを含む、より実効的な監視・監督にコミットすることを再確認する。

7. 我々は、国際基準の遵守状況を改善し、非協力的な国・地域を特定するプロセスを強化する要求を改めて表明する。我々は、戦略上の欠陥を有する国・地域の公表リストのFATFによる次回の更新と、FSBにより次回のG20サミットの前に評価される、全ての国・地域の公表リストを期待している。我々は、透明性及び情報交換についてのグローバル・フォーラムにより発出された18のピア・レビューを歓迎し、これまでのところ、実効的な情報交換を実現するための要素が未導入であるとされた全ての国・地域に対し、直ちにその脆弱性に対処するよう強く促す。我々は、完了すると見込まれる約60のフェーズ1のレビューに基づく、特に国・地域のフォーラムへの協力の質、遵守の水準及び未解決の欠陥に対処するための2011年11月までの進捗の報告を期待している。我々は、より多くの国・地域に対し、グローバル・フォーラムに参加し、その基準を実施することをコミットするよう求める。我々は、全ての国・地域に対し、租税情報交換協定のネットワークを更に拡大することを強く促し、国・地域に対し、税務行政執行共助条約に署名することを考慮するよう奨励する。

8. 我々は、共有された成長のためのソウル開発合意とその複数年行動計画の実施に向けた今後の進め方を議論した。特に、我々は、ソウルで昨年12月に立ち上げられた、金融包摂のためのグローバル・パートナーシップの立上げを歓迎する。我々はまた、インフラ投資のためのハイレベル・パネルのメンバーの指名を歓迎し、9月までの彼らの提言を期待している。我々は、気候変動資金に関する国連ハイレベル諮問グループによる報告を議論した。我々は、カンクン気候会議の肯定的な成果、特に、緑の気候基金を設立する決定を歓迎し、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の目的、規定及び原則と整合的な、官民、バイ・マルチの資金や革新的資金を含む、資金源の動員に関する議論を推進する。

9. 我々は、世界の景気回復にとって自由貿易と投資に対する我々のコミットメントの重要性を認識し、再確認する。我々は、あらゆる形態の保護主義的な貿易行動を導入せず、反対し、ドーハ交渉の迅速な妥結の重要性を認識する。

10. 我々は、適切なときに国際機関と地域開発銀行と十分に調整して対応し、全ての人々の利益と経済の安定のために策定される改革とともに、チュニジアとエジプトを支援する用意がある。