データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(2013年10月10-11日)

[場所] ワシントン
[年月日] 2013年10月11日
[出典] 財務省
[備考] 仮訳
[全文]

1. 9月に我々の首脳が会合して以降、世界経済の回復は続いている。主要な先進国において改善の兆しが見られる一方、多くの新興国において成長が鈍化しているが、新興国は引き続き世界の成長の重要な推進力である。現在の見通しは、多くの国における許容できないほどに高い失業率などの課題を示しており、下方リスクは引き続き残っている。米国は短期的な財政の不確実性に対処するために緊急の行動をとる必要がある。我々は、強固で持続的な成長は、いずれは金融政策の正常化に向けた移行を伴うものであること、資本フローの変動は引き続き重要な課題であることを認識する。健全なマクロ経済政策、構造改革及び強固なプルーデンスの枠組みは、変動の増大への対処の助けとなる。我々は、金融政策の在り方の将来的な変更については、引き続き注意深く測定され、明確にコミュニケーションが行われることを確保する。我々は、国内の成長を支えるために実施される政策が、世界の成長や金融の安定をも支え、これらの政策が他国に与える波及効果に対応するよう協力する。

2. 我々は、豊富な雇用を伴う包摂的な成長のための堅固な環境を創出するとともに、世界経済の下方リスクに対処するため、我々の全体としての取組や各国の取組を強化する。我々は、強固で持続可能かつ均衡ある成長の達成のための改革を提示しているサンクトペテルブルク行動計画の実施に完全にコミットしており、この目標を達成するため、ブリスベンサミットに提示するための包括的な成長戦略を更に策定する。この観点において、財政の持続可能性の確保は引き続き主要な優先課題であり、我々は、政府債務を持続可能な道筋に乗せつつ、短期的な経済状況を勘案するように中期的な財政戦略を機動的に実施するとのコミットメントを再確認する。

3. 我々は、成長を高め、雇用を創出し、開発を促進するためには、投資のための長期ファイナンスが重要であることを再確認し、民間部門の投資フローについての更なる作業を含む、サンクトペテルブルクで承認された作業計画を進めている。我々は、国内の資本市場の発展を促進するための措置を特定し、世界の貯蓄が投資により良く仲介されるようにし、機関投資家による長期投資ファイナンスに関するG20/OECD ハイレベル原則を実施するためのアプローチについての作業を進展させる。我々は、特に新興国や途上国におけるインフラ投資のための追加的な資金を動員し触媒するための、世界銀行グループと地域開発銀行において進行中の作業に留意する。

4. 我々は、2010年 IMF クォータ・ガバナンス改革の早急な批准が緊急に必要であることを改めて強調する。新たなクォータ計算式に関する最終的な合意に達するプロセスが第 15 次クォータ見直しに統合されるとの理解の下で、我々は、ソウルサミットで合意され、カンヌ、ロスカボス及びサンクトペテルブルクで も再確認されたとおり、クォータ計算式に合意し 2014 年 1 月までに第 15 次クォータ一般見直しを完了することに、IMF の全加盟国とともに引き続きコミットしている。

5. 我々は、最近の経験を踏まえ、債務管理の慣行の改善を支援するための国際機関による進行中の作業を歓迎する。我々は、「公的債務管理のためのガイドライン」の見直し及び更新の進捗に貢献してきており、IMF と世界銀行グループがこの作業を 2014 年の早い時期に完了することを期待している。

6. 我々は、サンクトペテルブルクで首脳により合意された意欲的な税の議題の実施を注意深く監視し、特に自動的情報交換のための新たな基準の創設や BEPS 行動計画の実施に関するグローバル・フォーラムと OECD からの定期的な報 告に期待する。加えて、我々は、グローバル・フォーラムが、要請に基づく情報交換の効果的な実施に関する包括的な国別評価を完了させるとともに、当該 基準の実施の継続的な監視を確保する必要性を再確認する。我々は、FATF の作業へのコミットメントも再確認する。

7. 我々は、より強じんな金融機関の形成、「大き過ぎて潰せない」問題の終 結、透明性や市場の公正性の向上、規制のギャップの解消、シャドーバンキングから生じ得るシステミックリスクへの対処、情報のギャップの軽減等における既に達成された大きな進捗に基づいて構築することを目指した、首脳宣言で承認された金融改革の実施を通じて、健全かつ信頼に足る金融システムを構築するための取組を追求していく。

8. 我々は、アフリカ開発基金の最近の増資を歓迎し、国際開発協会(IDA)第 17 次増資の成功を達成するとのコミットメントを再確認する。

9. 我々は、国際機関やその他の関係機関が報告書や文書を我々の会議に提出したことに感謝し、これらの機関の将来の作業に期待する。

10. 我々は、ロシアの議長任期の満了に際し、そのリーダーシップに感謝するとともに、サンクトペテルブルクで提示された目標の達成に向けて我々が協 働するに当たり、来年のオーストラリアのリーダーシップに期待する。