[文書名] 20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(2014年2月22-23日)
1. 我々は、最近の世界経済における改善の兆しを歓迎する。とりわけ米英及び日本の成長が強まっている一方で、中国や多くの新興国において強固な成長が継続し、ユーロ圏において成長が再開している。いくつかの主要なテール・リスクは低減している。
2. こうした最近の改善にもかかわらず、世界経済は、強固で持続可能かつ均衡ある成長の達成には引き続き遠い。我々は、世界経済が依然としていくつかの分野における需要の弱さに直面し、そして市民に再び仕事を与え、発展に向けた彼らの希望を満たすために必要な水準よりも成長が依然として低いことに同意している。金融市場の最近の変動、高水準の公的債務、継続する世界の不均衡、及びいくつかの国に残る脆弱性は、重要な課題に引き続き対処する必要があることを浮き彫りにしている。
3. 慢心する余地はない。これらの課題への対応には大胆さを必要とする。我々は、財政の持続可能性と金融セクターの安定を維持するという文脈の中で、世界の成長を大きく引き上げる新たな施策の策定にコミットする。我々は、今後5年間で、我々全体のGDPを現行の政策により達成される水準よりも2%以上引き上げることを目指し、野心的だが現実的な政策を策定する。これは、実質ベースで2兆米ドル以上の増加であり、大幅な雇用創出につながるであろう。これを達成するため、我々は、マクロ経済政策に加え、民間投資を増進し、雇用と労働参加を引き上げ、貿易を向上させ、競争を促進することを含む、G20としての具体的な行動をとる。これらの行動は、我々の包括的な成長戦略及びブリスベン行動計画の基礎となる。
4. 我々は、多くの先進国において金融政策は引き続き緩和的である必要があると同時に、物価安定と経済成長の見通しを踏まえ、然るべきタイミングで正常化すべきであることを認識する。このような将来的な進展は世界経済にとって良いことであり、緩和的な金融政策への依存度を低下させることは、中期的には金融の安定性にとって有益であろう。移行期には、経済政策は、投資を含む民間需要を喚起する措置の助けとなり得る。我々は、デフレ及びインフレ圧力に適時に対応することにより、物価の安定を維持するために必要な措置を講ずる準備がある。我々の中央銀行は、金融政策の在り方については、継続的な情報交換や世界経済に与える影響への配慮との関連で、引き続き注意深く測定され、明確にコミュニケーションが行われる、というコミットメントを維持している。
5. 市場が様々な政策の変更や各国の状況に反応する際には、資産価格や為替レートが調整される。これは時に成長に悪影響を与え得る過度な変動をもたらすかもしれない。多くの国はこれに対し準備があるが、我々の主な対応は、国内のマクロ経済政策、構造政策、金融規制・監督政策の枠組みを更に強化・改良することである。為替レートの柔軟性も、経済の調整を円滑化し得る。政策余地が減少している国々は、財政余力を再構築する必要があろう。我々は、我々の行動を互いに、また対外的に、整合的にコミュニケーションを行う。我々は、引き続き、他国への波及効果への対応に協力し、グローバル・セーフティ・ネットが引き続き有効であることを確保する。
6. 我々は、引き続き、債務残高対GDP比を持続可能な道筋に乗せつつ、経済成長や雇用創出を支えるために、短期的な経済状況を勘案して機動的に財政戦略を実行する。我々は、成長戦略の一環として、財政戦略の改善に取り組み続ける。
7. 我々は、特にインフラや中小企業への投資を促進するための環境創出にコミットしている。これは、短期及び中期的な世界経済のより強い成長への移行のために重要である。我々は、健全で予見可能な政策・規制枠組みを創設すること及び市場のインセンティブや規律の役割を強調することにより、民間投資の制約を取り除くための改革を実施する。これらは、民間部門の長期投資を促進し、公的部門の資本的支出の効果を最大化し、国際開発金融機関(MDBs)の触媒的な機能を高めるための他の措置とともに、我々の成長戦略及びブリスベン行動計画の重要な要素となる。
8. 2010年に合意したIMFクォータ・ガバナンス改革が未発効であること及び第15次クォータ一般見直しが2014年1月までに完了しなかったことは大変遺憾である。我々の最優先課題は引き続き2010年改革の批准であり、我々は米国に対し4月に開催される次の会合までの批准を促す。4月に、我々はこの優先課題の達成や2015年1月までの第15次クォータ一般見直しの完了に向けた進捗を検討する。
9. 我々は、正しい租税政策の原則に基づく、税源浸食・利益移転(BEPS)に対する世界的な対応にコミットしている。利益を生み出す経済活動が行われ、価値が創出される場所で、利益が課税されるべきである。我々は、引き続き、G20/OECDの税源浸食・利益移転(BEPS)行動計画を完全に支持し、合意されたタイムテーブルに示された通りの進捗を期待する。ブリスベン・サミットまでに、ますますグローバル化する経済において、伝統的、電子的及び電子化された企業を含む、全ての産業にわたるBEPSに対処するため、効果的で実用的かつ持続可能な措置を実現することを開始する。我々は、相互主義に基づく、税に関する情報の自動的な交換のための共通報告基準を支持し、9月の会合において我々の実施計画を詳細にするために、我々の金融機関を含む、全ての関係団体と協働していく。並行して、我々は、2015年末までにG20諸国間で、税に関する自動的情報交換が開始されることを期待する。我々は、そうすることが可能な国により当該基準が早期に採用されることを求める。我々は、全ての金融センターに対して、我々のコミットメントに適合することを求める。我々は、要請に基づく情報交換のための既存の基準を遵守していない全ての国・地域に対し、迅速に遵守するとともに、更なる遅滞なく多国間税務行政執行共助条約に署名するよう促す。我々は、フェーズ2の評価を受ける資格を得ていない14の国・地域に、より厳しいインセンティブを与える準備ができている。我々は、低所得国及び開発途上国に対し、税に関する我々の取組から恩恵を得るよう、関与させるとともに支援を行う。
10. 2014年において、我々は、強じんな金融機関の構築、大きすぎて潰せない問題の終結、シャドーバンクによるリスクへの対処、デリバティブ市場の安全性の確保といった、世界的金融危機への対応として我々が着手した中核的改革の重要な面を、ブリスベン・サミットまでに概ね終了させることに努力を集中する。我々は、信頼と成長を支える金融システムの強じん性と規制環境の安定性が向上することを望む。我々は、国際金融システムの統合が促進され、悪影響をもたらす市場の分断が低減されるとともに、意図せざるビジネスへの負担を避けるような形で、これらの改革を実施する。我々は、効果的なピアレビューに裏打ちされた、規制のタイムリーで整合性ある実施に再び焦点を当て、国境を越えて協力することにコミットし、それはOTCデリバティブ改革を含むものである。この改革に関して、我々は、国・地域及び規制当局が、本国の規制枠組みを十分尊重しつつ,効果の類似性に基づいて、国によって差別されることなく相互の規制及び執行枠組みの質により正当化されるときは、相互の規制に委ねることを可能とすべきとの見解で一致する。
11. 我々は、国際機関や他の関連団体による我々の会合のための作業に感謝する。