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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 実質的所有者の透明性に関するG20ハイレベル原則を実施するための日本の行動計画

[場所] アンタルヤ
[年月日] 2015年11月16日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

法人及び法的取極めの実質的所有者の透明性の重要性を認識し,日本は,FATF基準を満たす模範を示す実質的所有者の透明性に関するG20ハイレベル原則を実施するため,以下の行動をとることにコミットする。

1 法人及び信託を含め,様々な顧客や商品・サービス等につき,その固有のリスク,リスクを低減させるための措置,疑わしい取引の届出状況,資金洗浄事犯検挙事例等に基づいて分析,及び評価することにより,毎年国のリスク評価を実施し,その結果が当局及び金融機関等に共有されるよう公表する。

2 特定事業者(金融機関及び指定非金融業者・職業専門家)が,法人又は法的取極めの実質的所有者を自然人まで遡って確認することを義務付け,その情報が十分で,正確かつ最新に保たれることを確保する。

3 法人及び法的取極めが資金洗浄・テロ資金供与等に利用されることを防止する観点から,現行の制度を充実させることによって,当局が法人の実質的所有者情報を確認することができるよう制度を整備する。

4 信託の受託者に対して,信託の委託者及び/又は受益者が法人である場合,当該法人を実質的に所有又は支配する自然人について取引時に確認することを求める。

5 顧客の実質的所有者を確認するため,日本において法人の設立を支援する者に対する監督及び法の執行の充実を図る。

6 特定事業者(金融機関及び指定非金融業者・職業専門家)が,顧客管理を含む,国内の資金洗浄・テロ資金対策に関する義務に違反した場合には,関連法令の規定に則り適切な制裁を講じることを確保する。

7 国際刑事警察機構(ICPO),又は資金情報機関(FIU)の情報交換枠組みを通じ,外国当局と実質的所有者に関する情報を適時かつ実効的に交換することを含め,国際協力を向上させる。

8 透明性を阻害するおそれのある金融商品や株式保有形態が悪用されないための適切な措置が講じられていることを確保する。