データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 附属文書3 2019年G20ストックテイク・エクササイズに関する議長声明

[場所] 新潟
[年月日] 2019年5月12日
[出典] 農林水産省
[備考] 仮訳
[全文]

2017年G20農業大臣宣言での指示に基づき、これまでのG20農業大臣会合で立ち上げられたイニシアティブに関する2回目のストックテイクが、2019年第1回農業準備会合において行われた。各イニシアティブのコーディネーターによって準備された報告書に基づき、各国大臣代理が10のイニシアティブの状況を確認し、以下のとおりとりまとめた。

農業市場情報システム(AMIS)

2018年:AMISの活動を拡大して食料貿易のチョークポイントの監視を行う提案は、この問題に対する適切な情報の欠如に加えて、AMIS事務局の人的・財政的資源が限られていることにより、道半ば。2月25-26日のAMIS迅速対応フォーラム(RRF)において、AMISの持続可能性に関する作業部会の活動結果について議論された。RRFは、その目的達成のためには長期的に持続可能な資金が必要であることに留意し、今後5年間におけるAMISに対する任意の資金拠出を強く推奨した。さらに詳しくは:http://www.amis-outlook.org/

地球観測に関する政府間会合による全球農業モニタリングイニシアティブ(GEOGLAM)

2018年:AMISと早期警戒のための通常の作物モニタリングに加え、2つの新しい取組「農業生産異常への早期警戒のためのオンラインの意思決定支援システム」「市場及び食料安全保障を支援するための定量的指標の開発」を開始。

2019年:作物モニタリングや2018年からの新しい取組等、様々な進行中の取組を継続。日本の支援のもと、ベトナムやメコン川流域国等へのアウトリーチ活動の加速が期待される。

さらに詳しくは:http://www.geoglam.org / https://www.cropmonitor.org

小麦イニシアティブ(IRIWI)

2018年:事務局がパリからベルリンへ移行。17の会合及びトレーニングワークショップを10カ国で開催。作業部会への参加は53カ国660人に拡大。小麦ゲノムのリファレンス・シーケンスが完了、小麦10ゲノムプロジェクトが始動、国際小麦生産パートナーシップ(InternationalWheatYieldPartnership)が新プロジェクトを開始。2019年:暑熱及び干ばつに対する小麦改良コンソーシアム(HeatandDroughtWheatImprovementConsortium)及び小麦情報システム(WheatInformationSystem)の始動。カナダで初の国際小麦会議を開催。研究計画における農業経営的な考察の役割強化、越境性病害虫の監視及び防除戦略、遺伝資源の利用拡大に関する新しいプログラムの開発。

さらに詳しくは:https://www.wheatinitiative.org

食料の損失及び廃棄の測定方法及び削減に係る技術プラットフォーム(TPFLW)

2018年:TPFLWと食料の損失減少のための事例コミュニティ(CoPonFL)の合併の取組は継続。バリューチェーンにおける食料の損失を測定する定量的及び定性的な研究は6カ国で完了し、影響評価に関する更なる研究が継続中。食料供給チェーンにおける重要な損失ポイント特定のための食料損失分析手法の適用に関するケーススタディの報告書をオンラインで公開。

2019年:進行中の取組の継続。食料の損失及び廃棄を意識する国際デー(9月29日)が2019年9月の国連総会で提案される。

さらに詳しくは:http://www.fao.org/platform-food-loss-waste/en/ / http://www.fao.org/food-loss-reduction/en/

農業の生産性及び持続可能性向上のためのG20分析枠組み

2018年:食料及び農業の生産性及び持続可能性向上のための政策を分析した国別レビューが、中国、エストニア、韓国及びスウェーデンについて完了・公表。アルゼンチン、日本、ラトビア及びベトナムの追加レビューを2019年に公表予定。国別レビューの主要な成果を統合した報告書も完成間近。

2019年:国別レビューの経験、関連研究の証拠及びG20農業大臣行動計画2017の提言を反映し、分析の枠組みを修正中。

さらに詳しくは:www.oecd.org/tad/agricultural-policies/innovation-food-agriculture.htm

G20首席農業研究者会議(MACS)

2018年:第7回MACSをアルゼンチンで開催し、G20農業大臣への支援並びに科学分野におけるG20各国及び国際機関の相乗効果及び協力を強化する方法について議論。アルゼンチンとドイツは、ラテンアメリカやカリブ諸国の特定された地域的課題に取り組むための食料の損失及び廃棄に関するワークショップを主催。フランスとロシアが主導する持続可能な土壌管理、中国が主導する農業技術共有、カナダと米国が主導する農業生態系リビングラボ等の課題に関する作業部会の活動が行われた。2019年:第8回MACSが4月25、26日に日本で開催。加えて、日本は越境性植物病害虫と気候変動対応技術についてのワークショップを2019年中に開催予定。さらに詳しくは:https://www.macs-g20.org/

G20農業大臣行動計画2017の事項

【AMR】2017-2018年:G20(農業及び保健)、GFFA等の様々な会合でAMRの議論が継続した。2019年:多くの国が取り組んでいる中、G20農業大臣行動計画2017の項目16、17のコミットメントについて、引き続きの評価が必要。各国はAMR対策の取組の範囲を広げる必要。【農業と水】2017-2018年:作物の遺伝的多様性についての専門家によるワークショップを開催。水に関する情報システムを強化する活動も継続中。2019年:11月に遺伝的多様性に関する国際会議を開催予定。FAOによるG20への「水不足に関する国際的枠組み」に関する報告を検討。

【ICT】2017-2018年:G20(農業、デジタル経済及びMACS)、ICT農業解決フォーラム(E-agricultureSolutionsForum)、GFFA(2019年1月)等様々な会合で農業におけるICTの議論が継続。2019年:「持続可能な農業生産に関するイノベーションラボ」の国際ワークショップの提案を検討。国際ワークショップは、可能であれば、提案されている食料及び農業のデジタル協議会の枠組みとの相乗効果を模索する予定。

熱帯農業プラットフォーム(TAP)

2018年:農業イノベーションの重要性のより良い理解、投資の増加、共通枠組みの開発、能力構築の進捗状況の監視を優先事項として新たな行動計画を決定。その他、シンポジウム、イベント、対話、各国の農業イノベーションシステムの評価、パイロット国におけるTAP共通枠組みの検証等を実施。

2019年:新たな行動計画に基づく数々の進行中の活動の進展。さらに詳しくは:http://www.tropagplatform.org/

農業リスク管理プラットフォーム(PARM)

2018年:行動計画の第1期が終了する前に特にサブサハラアフリカにおいて、リスク及びリスク管理ツールの特定、農業リスク管理に対する能力及び意識向上、専門家の増加、パートナーシップの促進等の進展が見られた。

2019年:第2期は6月から開始し、農業リスク管理の規模拡大のため、新たなパートナーを募集中。

さらに詳しくは:www.p4arm.org(PARM) / https://issuu.com/parm-ifad/docs/parm_brochure_a5(PARM第2期)

G20農業大臣は、この報告に関する各コーディネーターの取組を認識するとともに、今後もこのストックテイクの取組を継続することの重要性を強調する。