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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合閣僚声明

[場所] 軽井沢
[年月日] 2019年6月16日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

<エネルギー・環境>

1. 我々、G20エネルギー大臣及び環境大臣は、持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境について議論を行うため、2019年6月15日と16日に、軽井沢(日本)で会合を開催した。

2. 我々は、3E+S(エネルギー安全保障、経済効率性、環境+安全性)を向上するためのエネルギー転換を主導することの重要性、並びに、気候変動、生物多様性の損失、資源効率性、持続可能な消費と生産、大気・土地・淡水・海洋の汚染、都市の環境の質、及びエネルギーアクセスといった主要な地球規模の問題や課題に早急に対処することの重要性を認識する。我々は、これらの課題は複雑で緊急性を有すること、エネルギー転換と持続的かつクリーンなエネルギーシステムに関するイノベーションの重要性、エネルギー安全保障、経済成長、気候変動及び環境保護の間にある密接なつながり、及び、持続可能な開発のための長期低排出戦略の重要性を認識するとともに、G20メンバーはこれらの課題に対処するために、具体的かつ実質的な行動をとり、かつ、継続することを認識し、また、それらの行動の進展を認識する。我々は、パリ協定を実施することをブエノスアイレスにおいて選択した国々による、同協定の完全な実施に向けてブエノスアイレスにおいてなされた、コミットメントの再確認に留意する。このため、我々は、環境と成長の好循環を加速させることの重要性を強調する。これは、非連続のイノベーションによって推進されるとともに、政府による環境整備のもと、ビジネス界が重要な役割を果たすものである。

3. 我々は、この好循環を加速させるための「持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関するG20軽井沢イノベーション・アクションプラン」を、自発的なアクションを促進するための共同の努力として、採択する。本アクションプランは、民間部門をはじめとした多様なステークホルダーが関与する、様々な関連の国際、地域、国家及び地方のイニシアチブを補強し、強化する。

4. 我々は、この好循環を加速させるとともに、強靱で包括的で持続可能な未来への変革を導くため、世界の叡智を結集すること、資金と投資を誘導すること、そして、技術的イノベーションや行動変容を促すようビジネス環境を改善することに重点が置かれるべきであることを認識する。我々は、多様な恩恵をもたらす、生態系を基盤とした解決策を含む解決策を促進する。

5. 我々は、「Research & Development 20 for clean energy technologies(“RD20”)」と呼ぶ国際会議を立ち上げてG20各国の主要な研究開発機関間の国際的な連携関係を促進するという、気候変動の文脈においてイノベーションに弾みをつけることを目指したG20議長国である日本のイニシアチブを歓迎する。我々は、既存のイニシアチブ下で行われる研究開発の連携もまたイノベーションの推進に重要であることを認識する。

6. 我々は、公的資金が重要な役割を果たすことを認識する一方で、民間資金の誘導に資するために、透明性向上のための産業界と金融界とのグローバルな対話の強化と、リスク緩和策の開発の重要性を認識する。我々は、エネルギーアクセス、強靭性、持続可能性、よりクリーンな環境と水へのアクセスを強化する、様々なエネルギー源の選択肢、革新的技術及び質の高いインフラのための、資金の誘導や市場及び投資環境の改善のための努力を支持する。

7.我々は、革新的な技術の普及並びにインフラ事業、製品及びサービスの発展のための官民協力を含め、ビジネス環境の改善やビジネス活動の促進をすることの重要性を強調する。


<エネルギー>

1. G20エネルギー大臣は、これまでの議長国及び閣僚会議における貴重な成果を踏まえ、この目標を達成するために国によって異なる道筋が存在することを認識しつつ、可能な限り早期に、我々のエネルギーシステムを低廉で、信頼でき、アクセス可能で、持続可能かつ温室効果ガス排出の少ないシステムへの転換を主導する特別な責任を強調する。G20エネルギー大臣は、エネルギー転換において化石燃料が今なお主要な役割を果たしていると認識しつつ、よりクリーンな技術への投資拡大、省エネルギーでの協力、再生可能エネルギーの普及、そして持続可能な開発のための2030アジェンダの精神に沿ったエネルギー・イノベーションを促進し支援するために必要な政策及び金融・ビジネス環境の整備により、成功裏にエネルギーシステムを変革する必要性を強調する。我々は、エネルギー転換が経済成長と温室効果ガス削減を組み合わせた開発戦略を達成するために不可欠な要素であると認識する。G20エネルギー大臣は、様々なエネルギー源のよりクリーンな利用を促進し、開放的で、透明性が高く、かつ競争的なエネルギー市場を促進する。G20エネルギー大臣は、「G20軽井沢イノベーション・アクションプラン」を採択し、いくつかの名だたる国際機関の貴重な支援を得て作成された6つの議長文書に留意する。

エネルギー・イノベーション

2. エネルギー転換の枠組みにおいて、G20エネルギー大臣は、各国の事情を考慮しながら、デジタル化、再生可能エネルギー及びシステムの柔軟性、デマンドサイドマネジメント、省エネルギー、バイオ燃料、革新的な原子力及び先進的でよりクリーンな化石燃料技術を含む、革新的でクリーンかつ効率的な技術が果たす重要な役割を認識しつつ、エネルギー・イノベーションを加速化することの必要性を強調する。G20メンバーは、関連国際機関が国際協力を支援し、革新的技術の効果を分析することを奨励し、特に政策、国内の経験、市場の枠組みに関して、これらの技術の開発、普及、展開のためのベストプラクティスを共有する。G20エネルギー大臣は、各国の事情に応じて、持続可能なバイオ燃料及びバイオエネルギー、並びにセクターカップリング(例えばPowertoXや産業部門を含むすべての部門のヒートポンプ、冷暖房及び淡水化)のための革新的な技術に関する更なる国際協力を支援する。G20メンバーは、イノベーション・エコシステムを作り、エネルギー転換を促進する上での新規事業及び中小企業の役割を認識することの重要性を強調する。

3. G20エネルギー大臣は、IEAの水素レポート等の関連国際機関の報告書に留意しつつ、経済成長を支えるよりクリーンなエネルギーの将来を促進するため、水素を含むエネルギーキャリア及び貯蔵の機会を認識する。G20エネルギー大臣は、研究開発の協力、水素の技術的及び経済的可能性評価、コスト削減の道筋、並びに規制及び基準を含む様々な課題への対処を含む、クリーンで、安定かつ安全なエネルギー源としての水素の可能性を開拓するための既存の国際的努力を強化する。

4. G20エネルギー大臣は、各国の状況に応じて、「カーボン・リサイクル」及び「エミッション・トゥー・バリュー」に関する作業に留意しつつ、国際協力及び多国間のイノベーション・イニシアティブを通じて、二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)技術の開発及び展開の可能性を認識する。

エネルギー安全保障

5. エネルギー安全保障に関する懸念を浮き彫りにした最近の動向を踏まえ、G20エネルギー大臣は、エネルギー安全保障がエネルギーシステムの転換に向けた指針の一つであると認識する。G20エネルギー大臣はまた、エネルギー供給途絶を防ぐための信頼あるエネルギーインフラの強靱性、保護及び開発の重要性を強調し、エネルギー源、供給者及び経路の多様化、開放的で、柔軟性、透明性、競争力、安定性かつ信頼性ある市場の促進、省エネルギー向上の重要性を強調する。彼らは、消費者と生産者間の対話の促進、ビジネス部門における世界の協力、及び持続可能かつ低廉で、信頼でき、強靱でよりクリーンなエネルギーシステムを確保するためのエネルギー投資を継続かつ増加させるための適切な条件を促進する必要性を強調する。G20エネルギー大臣は、持続可能な成長を促進し、我々のエネルギーシステムの強靱性を強化する質の高いインフラ投資の重要性を認識する。

省エネルギー

6. G20エネルギー大臣は、省エネルギーが、エネルギー転換にもたらす重要な貢献と、エネルギーサービスを提供する低廉で安全かつ持続可能な手段としての省エネルギーの未開発の可能性を認識するとともに、省エネルギー・リーディング・プログラム(EELP)のタスクグループ及びIPEECの作業を歓迎し、省エネルギーハブの設立に向けた進捗に留意する。G20エネルギー大臣は、過去の成果に加え、WelltoWheel分析を含むIEAにより作業が行われるグローバル・省エネルギーベンチマーク等の省エネルギー活動に留意する。彼らは、国際協力やベストプラクティスの共有を通じて、冷暖房、建物等の省エネルギーの可能性と効果を更に追求する。G20エネルギー大臣は、エネルギー転換の達成を手助けするため、全ての部門における省エネルギーへの投資及び資金供給の著しい拡大のための政策行動を奨励する。

再生可能エネルギー

7. G20エネルギー大臣は、イノベーション及び一部においては大幅なコスト削減による恩恵を受けて、再生可能エネルギーの開発と普及に関して達成された目覚ましい進展を歓迎する。G20エネルギー大臣は、世界の再生可能エネルギーの急速な成長を歓迎し、再生可能エネルギーの生産への投資と資金供給の拡大を奨励する。G20エネルギー大臣は、風力、バイオエネルギー、太陽光、水力、地熱エネルギー等の再生可能エネルギーが、全世界の輸送、冷暖房、産業を含む分野で重要な役割を果たし得ること、また、各国の事情や状況に応じて、セクターカップリング及び持続可能なバイオエネルギーが、これらの分野で重要な役割を果たし得ることを認識する。再生可能エネルギーの進展は電力部門を越えて加速されるべきである。G20エネルギー大臣は、再生可能エネルギーの大きな可能性を加速する革新的な解決策を促進するため、IRENA、IEA、ISA及びバイオフューチャー・プラットフォーム等の国際機関の支援を得つつ連携する。

電力システム

8. G20エネルギー大臣は、電力市場の改善と投資環境の支援により、低排出の将来のために、安定で、柔軟、クリーン、低廉かつ強靱な電力システムを実現する重要性を認識する。G20エネルギー大臣はまた、電力貯蔵、スマートグリッド技術、ICT技術の悪意ある利用の危険性の最小化、電気自動車、水力発電、バイオマス発電、柔軟な発電プラント及び需要側マネジメントを含む変動型再生可能エネルギーのシステム統合のための技術の重要性を強調する。彼らは、電力利用の可能性の増加及び、電化モビリティ、冷暖房、産業プロセス等を通じて、最終用途部門の排出を削減または回避し、システム効率と費用対効果を改善するセクターカップリングの機会を認識する。

原子力エネルギー

9. 原子力の利用継続を選択する国々において、原子力は、エネルギー安全保障、ベースロード電源へのアクセス及び温室効果ガス排出の削減または回避に貢献し得る。これらの国々は、小型モジュール炉や革新炉における、イノベーション(新規開発の国際協力を通じたものを含む)を推進し、原子力のための事業環境の改善を意図する。我々は、これらの国々に対し、最高水準の原子力安全、核セキュリティ及び核不拡散を維持するよう求める。また、廃止措置や高レベル放射性廃棄物の最終処分に係る国際協力の価値の認識、国民の関与に関する経験や知見の共有、及び安全性向上に向けた技術協力の促進が重要である。

化石燃料

10. G20エネルギー大臣は、透明で、流動性があり、柔軟で、安定かつ競争的な世界のエネルギー市場の重要性を繰り返し強調する。G20エネルギー大臣は、供給確保及び緊急時対応のためのベストプラクティスや知見の共有を通じた、LNGを含む天然ガスの安全保障の向上を支援する。G20エネルギー大臣は、天然ガスが現在、多くのG20メンバーにとって重要な役割を果たしており、より低排出なエネルギーシステムに向けた転換を支援する中で、今後数十年に渡り大幅に拡大する可能性を認識する。天然ガスは、いくつかの国及びマリンバンカリングを含む輸送部門等新たな部門における需要拡大を賄う上でも重要な役割を果たし得る。化石燃料の利用継続を選択する国々は、各国の事情に応じ、CCUSを含む、先進的でよりクリーンな化石燃料技術への投資や資金供給の必要性を認識する。

無駄な消費を助長する非効率な化石燃料補助金

11. 2009年、ピッツバーグ首脳宣言において、最貧困層を対象とする支援を提供する一方で、無駄な消費を助長する非効率的な化石燃料補助金を中期的に合理化し、段階的に廃止することを要求した。G20エネルギー大臣は、この共同コミットメントを再確認する。G20エネルギー大臣は、既に自発的ピア・レビューに参加してきたG20メンバーによる努力を歓迎し、ピア・レビュー未実施の国が実現可能な範囲で早期にピア・レビューを開始することを奨励する。

エネルギーアクセスとアフォーダビリティ

12. G20エネルギー大臣は、エネルギー貧困が女性に及ぼす不均衡な影響に留意しつつ、低廉で、安定で、持続可能かつ近代的なエネルギーサービス及びクリーンな調理設備へのアクセスの確保が、社会的及び経済的発展の前提条件の一つであることを認識する。G20エネルギー大臣は、持続可能な開発のための2030アジェンダの精神に沿って、世界規模でのエネルギーアクセスの改善に関する進展を歓迎し、普遍的なエネルギーアクセスを促進するという我々のコミットメントを再確認する。G20エネルギー大臣は、エネルギーアクセスと生産的なエネルギーの利用をさらに進歩させる方法を追求する。G20エネルギー大臣は、被災地や遠隔地における避難民へのエネルギーアクセスの提供の必要性を考慮しつつ、G20の過去の成果を踏まえ、関連する国際機関の支援を得て、地域的なアクションプランの実施を強化する効果的な方法を追求するため他の関心国とともに取り組む。

<環境>

I 資源効率性及び海洋プラスチックごみ

資源効率性

1. 我々、G20環境大臣は、循環経済、持続可能な物質管理、3R(リデュース、リユース、リサイクル)及び廃棄物の価値化等の政策やアプローチを通じた資源効率性の向上が、持続可能な消費と生産及び持続可能な開発目標の追及において、国連環境総会(UNEA)「持続可能な消費と生産の達成に向けた革新的な筋道に関する決議(UNEP/EA.4/L./2)」を認めつつ、経済成長と環境保全の両立ができるものであり、かつ、すべきものと認識する。また、我々は、資源効率性の向上が、様々な環境上の課題への対応、競争力強化、経済成長、持続可能な資源管理及び雇用創出にも貢献するものと認識する。

2. 我々は、政策決定における科学的アプローチの重要性を認識し、国際資源パネル(IRP)、経済協力開発機構(OECD)、国際連合工業開発機関(UNIDO)及び東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)等を含みこれらに限らない関連する国際・地域機関による貢献を認め、これら機関との協働を継続する。

3. 我々は、廃棄物及び海洋ごみの追加的な発生源になり得る災害廃棄物の環境上適正な管理を含む、持続可能かつ効果的・効率的な資源利用に関する行動を促進し、必要な能力を構築するため、世界・地域レベルでの、官民連携を含む、様々な二国間及び多国間の連携を促進する。

4. 我々は、資源効率性の向上が、海洋ごみ、特に海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックの問題の解決に貢献することを認識し、また、廃棄物の海洋への流出を削減するため、包括的なライフサイクルアプローチをとることの重要性についても認識する。

5. 我々は、食品保存のための革新的技術の展開、効率的で衛生的な食品廃棄物管理、市民の啓発及び教育、関連する国の取組及び政策の経験の共有を含む、食品ロス及び食品廃棄物削減に向けた行動を加速させる。我々は、あらゆる種類の排出物を削減する可能性において、資源効率性及び循環経済に関する政策の経済的・環境的便益を認識し、また、これら便益を追求することを期待する。

6. 我々は、G20資源効率性対話によるこれまでの活動を評価し、同対話を、G20メンバー間の取組、成果及びベストプラクティスの継続的な共有、関連組織からのインプットを考慮した科学的知見と科学に基づくアプローチの進展、関連イニシアティブとの連携に活用する。我々は、同対話に対し、こうした活動を組織し、イノベーションやビジネスの機会を民間部門とともに模索するため、議長国を務める日本の下、同対話のロードマップを作成することを招請する。

海洋プラスチックごみ

7. 海洋ごみ、特に海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックは、海洋生態系、人々の暮らし、漁業・観光業・海運業等の産業に対する負の影響、人間の健康に対する負の影響の可能性を鑑みると、緊急の行動が求められる問題である。プラスチックの耐久性や広く普及していることを考慮し、我々は、プラスチックが我々の経済活動や日常生活に重要な役割を担っていることを留意しつつ、全ての国が国内的また国際的に、関連するステークホルダーと連携して、この問題に対する施策を実施する必要があることを繰り返し述べる。我々は、ライクサイクルアプローチを通じたプラスチックごみ及びマイクロプラスチックの海洋への流出の抑制や大幅な削減に向けて、この問題を解決するための施策を推進し、国際社会と連携した取組を含む各国による適切な国内的取組を速やかに実施することを決意する。

8. このため、我々は、自主的な国内的取組を通じて、2017年のG20ハンブルグサミットで立ち上げられた「G20海洋ごみ行動計画」の実施を促進するため、「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」を策定し、附属書として提示する。フォローアップにおいて、我々は、G20の各議長国の決定により、G20資源効率性対話及びUNEPの下に創設される関係者プラットフォームをはじめとする関連会議との共同開催の機会を活用する。

9. 我々は、国連環境総会における「海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックに関する決議(UNEP/EA.4/L.7)」及び「使い捨てプラスチック汚染対策に関する決議(UNEP/EA.4/L.10)」を認識し、第14回バーゼル条約締約国会議における決議に留意する。我々は、効果と効率性を最大化し、取組の重複を回避するため、国連環境計画を含みこれに限らない関連する国際的・地域的な手段、組織及びイニシアティブと共に行動(work)する。

II 生態系を基盤とするアプローチを含む適応と強靱なインフラ

10. インフラ、気候及び適応にかかるG20メンバーによる従来の作業を踏まえ、排出削減もまた役割を担うことを認識しつつ、我々は、強靱な社会経済・生態系のシステムを全球規模で構築する上での、適応に関する取組がもたらす利益、及び質が高く気候に対し強靭なインフラが果たす役割を強調する。この文脈で、我々は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の1.5°C特別報告書に留意し、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)COP24の結果を歓迎し、2019年9月の国連気候行動サミットに続く、COP25における成果を期待する。

11. 我々は、強靱性と適応に関する取組が、災害リスクを含む気候変動影響を低減し、持続可能な開発のための2030アジェンダを推進しうること、とりわけ、脆弱なコミュニティーと人々にとってそうであることを認識する。我々はまた、異常気象及び災害に対して強靱なインフラへの投資を含む、適応および災害リスク低減のための包括的な戦略を国および地域レベルで策定することの重要性を認識する。我々は、適応がすべての人が直面する世界的な課題である一方で、気候変動の影響が環境依存性と地域性があることを認識し、それゆえ、地域レベルでの強靱性を構築することの重要性を強調する。我々は、多面的かつ生態系を基盤とするアプローチが、地域のニーズと課題に対応しつつ、環境保全の目的と地域資源の持続可能な利用とを同時達成しうることを認識する。生態系を基盤とするアプローチが、食糧安全保障、生物多様性保全、および排出削減などのコ・ベネフィットをもたらしうることに留意し、我々は、生態系を基盤とするアプローチについての我々の議論と努力が、愛知目標の実施から得られたレッスンを基礎とした、ポスト2020年生物多様性国際枠組についての検討に貢献しうることを認識する。

12. 我々は、最新の科学的知見や優良な取組・活動を踏まえた適応計画の策定と、適応能力の強化の重要性を強調する。それゆえ、我々は、先住民族や地域の知識を含め、関連する情報、優良事例、及び経験を、様々な関係者間で共有するための国際協力を引き続き推進する。我々は、適応がビジネスの新たな機会を提供することを認識し、公的資金の重要な役割と、革新的で環境にやさしい優れた技術とアプローチを活用することの重要性に留意しつつ、強靭性向上のための社会変革にむけて民間の資金と投資を動員することにより、適応に関する努力を強化するための民間セクターとの連携を目指す。

13. ここに我々は、気候持続可能性作業部会(CSWG)での関連の議論に基づき、CSWGの適応作業計画(2018-2019)の成果の一つとして、G20メンバーが取り組み、他国とその情報を共有することを望んでいる活動、イニシアティブ及び優良事例を整理した「G20適応と強靱なインフラに関するアクション・アジェンダ」を取りまとめる。