[文書名] 持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関するG20軽井沢イノベーションアクションプラン
前文
1. 非連続なイノベーションは、3E+S(エネルギー安全保障、経済効率性、環境+安全性)を向上させるためのエネルギー転換の主導のため、また、気候変動、生物多様性の喪失、資源効率、持続可能な消費・生産、エネルギー貧困、PM2.5及びHFCを含む土地・淡水・海洋・大気の汚染、都市の環境質、エネルギーアクセスといった重要な地球規模の問題と課題への対処のための、環境と成長の好循環にとって不可欠な推進力である。我々は、持続可能な開発目標のための2030アジェンダのエネルギーと環境の側面に応え、持続可能な成長のための諸問題に対処する際に、シナジーと包括的なアプローチを促進することの重要性を強調する。
2. 我々、G20各国は、低廉で、信頼でき、持続可能で、温室効果ガス低排出のエネルギーシステムを発展し展開するため、また、よりクリーンでより強靱かつ持続可能な未来の達成のための、イノベーション、投資及びより良いビジネス環境の促進において、民間部門を支援する重要な役割を有する。政府は、イノベーションのための明確なシグナルの提供とイノベーションを可能にする環境の整備において、重要な役割を担う。
3. これに関し、我々は、自発的に、以下に示される共同および個別の具体的な行動をとる。このリストは、イノベーションのためのすべての活動を網羅することを意図するものでなく、我々は更なる協力の追求を継続する。
4. 我々は、国際機関および地域機関が、(1)G20各国のイノベーション政策情報の収集、(2)「イノベーションギャップ」及びエネルギー転換を支援しよりクリーンな環境の達成に資するアクションをより明確に特定するための分析の拡大、(3)その成果のG20への報告、を行いうることを提案する。我々は、次期議長国が、関連機関に対し委任した主題や期待される成果について作業を課し、関連する国際機関のエネルギー部門におけるイノベーションポータルやイノベーショントラッキングを活用できることを提案する。
5. 我々は、イノベーションに関する国際協力に向けた、以下の自発的なアクションをとる。
(1)イノベーションを奨励するために世界の叡智を結集するためのアクション
6. 我々は、既存枠組における国際協力を強化し、また、全体論的な視点で、各国の状況に応じて、大気・水の関連技術、ライフスタイルの変容のための行動科学、バイオエネルギー、二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)、クリーン車両、大幅なリノベーション及びネットゼロエネルギー建築物、需要管理、エネルギーアクセス技術、エネルギー効率化技術、エネルギー貯蔵、水素、グリッドのデジタル化、低炭素技術、生態系を基盤とした解決策、再生可能エネルギー、技術の統合による強靱で持続可能な都市・コミュニティ、資源効率技術を含む、革新的な技術及びアプローチの研究、開発及び展開を奨励することに努める。
7. 我々は、既存の取組と連携して、グローバルな産官学間のイノベーションのためのネットワーク拡大を支持する。我々はまた、クリーンエネルギー技術及び資源・エネルギー効率のためのイノベーションを推進するため、また、さらなる国際共同研究開発を追求するために、G20各国の主要な研究開発機関、大学及びビジネス間での国際協力を促進する。我々は、既存の研究開発のイニシアチブとの相乗効果の創出の重要性を認識しつつ、「Research and Development 20 for clean energy technologies (RD20)」と呼ばれる国際会議を通じて、気候変動の文脈においてイノベーションに弾みをつけることを目指した、G20議長国である日本のイニシアチブを歓迎する。
8. 我々は、将来のエネルギー需給のより良い理解に関する定量分析の重要性、並びに、デジタル化、人工知能(AI)、インターネットオブシングス(IoT)及びシェアリングエコノミーによって牽引される需給両面のイノベーションの役割を認識する。我々は、世界の科学コミュニティ及び国際機関・枠組によってなされる、エネルギー・気候モデルのための経済全般にわたる全範囲シナリオのさらなる洗練及び開発のための努力を支持する。
(2)イノベーションの発展・展開のための民間資金及び投資の誘導のためのアクション
9. 我々は、エネルギーアクセス、レジリエンス、よりクリーンな環境及び水へのアクセスを増進する、様々なエネルギー選択、革新的技術及び質の高いインフラのための、資金の誘導並びに市場及び投資環境の改善の取組を支援する。我々は、公的資金が重要な役割を果たすことを認識しつつ、公的資金及び貿易保険といったリスク軽減措置を通じて、機関投資家を含めた、民間資金及び投資の誘導に向けた継続的な努力を支持する。
10. 我々は、再生可能エネルギーの導入の拡大に起因して増大した変動性に対応し、
電力の安全と柔軟性を高めるアクション及び革新的な蓄配電技術を活用するアクションを含め、電力分野のビジネス環境の改善を促進する。我々は、容量市場や市場のひずみの回避等、投資回収の予測可能性を高めることにより、グリッドや電源への投資を推進する電力市場メカニズムの開発を支持する。
(3)ビジネス環境の改善及び革新的技術の普及に向けたビジネス活動の促進のためのアクション
11. 我々は、ビジネス環境の改善やビジネス活動の促進のため、ビジネスマッチング、ワークショップ及びその他の国際的な連携を追求する。次のアイデアはG20各国から可能性のある分野として提案されたものである:省エネラベリング及び基準の開発、IEAによる省エネグローバルベンチマーク、環境ラベル表示と環境に優しい公共調達基準、透明性の向上と規制の調和、地域及び小規模市場への展開。
12. 我々は、関連機関やビジネスコミュニティと連携し、官民パートナーシップに焦点を当てつつ、よりクリーンな環境に関連したビジネス機会を育むためのより良いビジネス環境の創出に関する勧告や選択肢を検討し提供するための分析研究の立ち上げを歓迎する。