[文書名] 女性のエンパワーメントに関する首脳特別イベントにかかるプレス・リリース
本日,日本,アルゼンチン,オーストラリア,ブラジル,カナダ,チリ,エジプト,欧州委員会,フランス,ドイツ,インド,インドネシア,イタリア,メキシコ,オランダ,サウジアラビア,セネガル,シンガポール,スペイン,タイ,英国,米国,ベトナムの首脳がG20大阪サミットの機会に大阪に集い,特別ゲストであるマキシマ開発のための金融包摂に関する国連特使(オランダ王妃)及びイバンカ・トランプ米大統領補佐官並びに国際機関(国連,OECD,IMF,ILO,ADB,WTO,WHO,WBG,UN Women,WPL,W20)と共に,女性のエンパワーメントを達成するとの共通目標に向けた我々の英知と経験を共有した。
ジェンダー平等と女性のエンパワーメントは包摂的で持続可能な社会と経済成長に不可欠であり,我々が対話を継続し,コミットメントをフォローアップし,我々の試みに向けて弾みをつけることは極めて重要である。
長年に亘り,G20はこのイシューを扱うことの重要性と,更なる行動の必要性を認識してきた。過去の議論やコミットメントに基づき,G20日本議長国下では,我々の取組を更に進めるという強い期待を持って,次の3つの優先分野,すなわち,1.女性の労働参画,2.女子・女性のSTEMを含む教育支援,3.女性ビジネスリーダー・女性起業家の声の反映に焦点を当てられた。
以下のメッセージは,“女性が輝ける”世界の実現に向けた各国首脳の自国における取組やコミットメントを示すものである。
日本(安倍晋三総理大臣)
「女性の視点が加わることにより、女性たちが活躍することにより、日本の景色は一変します。人口が減少する日本にあって、女性は次なる成長の大きなエンジンです。セクハラ・パワハラの根絶,長時間労働の改善など,女性が働きやすい環境の整備に引き続き努めていきます。また,2020年までの3年間で少なくとも400万人の途上国の女性への質の高い教育・訓練の機会を提供し,国際協力における女性支援にも引き続き取り組んでいきます。」
アルゼンチン(マウリシオ・マクリ大統領)
「公平で持続可能な開発は,女性と女児のエンパワーメントを促進することによってのみ達成が可能です。アルゼンチンは雇用,科学,テクノロジー及び教育におけるジェンダー格差の撤廃とジェンダーに基づくあらゆる形態の暴力からの保護に完全にコミットしています。昨年,ブエノス・アイレスにおいて,我々首脳はG20の全ての議題においてジェンダー視点を取り入れました。本日は,少女及び女性の完全な包摂に向けた第二の足がかりとなります。平等は間近です。もはや後戻りはありません。」
オーストラリア(スコット・モリソン首相)
「女性の安全と経済的参画は,世界の経済的繁栄にとって不可欠です。我々は,科学・技術・工学・数学(STEM)や経済・企業教育への投資,女性の子育てや職場復帰の支援,経済的に脆弱な女性達への支援提供により,オーストラリア人女性の経済的機会を確保しています。オーストラリア人女性の労働参加は記録的な水準にあります。我々はブリスベン25×25ゴールへのコミットメントを期限よりもかなり早く達成する予定です。女性の安全に対する我々の記録的な投資は,女性達がオーストラリア社会に完全に参加することを可能にするでしょう。ジェンダー平等と女性・女児のエンパワーはオーストラリアの援助プログラムの6つの優先事項の一つです。」
ブラジル(ジャイル・ボルソナーロ大統領)
「ブラジル政府は女性の人権保護のために日々取り組んでいます。我々は,女性と女児に対するあらゆる種類の暴力との闘いに深くコミットしています。ブラジルはまた,女性の経済参画を増進させるための手段の提供を決意しています。我々は,社会における女性の役割の強化が偉大で反映した国家を建設するためのカギだと信じています。」
カナダ(ジャスティン・トルドー首相)
「女性がビジネス界で成功するための平等な機会を手にすると,女性達は我々の経済を成長させ,社会を強くします。EMPOWERは女性のビジネスリーダーと起業家を支援し,経済成長を創出し,国際舞台における競争力を持ち続けるためのものです。」
チリ(セバスティアン・ピニェラ大統領)
「一刻も早く,より多くの女性リーダーが必要です。なぜなら彼女たちの献身,情熱,ひたむきさは我々の社会にとってインスピレーションとなるからです。ジェンダー平等は,我々の潜在力を育て,成長させ,十分に発展させるために不可欠です。女性をエンパワーし,労働力に統合することで,我々の能力,生産性,そして機会を拡大することができます。チリはAPEC内でこれらの事項を強く主張しています。なぜなら,我々は,男性と女性が生来の違いを保ちつつ,尊厳,権利,義務及び機会の完全なる平等を有する社会というものを信じているからです。」
エジプト(アブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領)
「女性のエンパワーメントは最優先事項です。エジプトが最近制定した「女性のエンパワーメントのための国家戦略2030」は,幾つかの目標,特に経済的エンパワーメントを含んでいます。中小企業を通じたものを含め,金融包摂や労働市場への参画を促進することが我々の主要目標です。また,我々の政府は,女性に公平な機会を与えるため,教育,特にSTEM分野におけるジェンダー格差を縮めることに注力しています。我々はまた,女性の起業家精神を育み,アフリカ女性がその可能性を最大限に発揮できるようにするため,アフリカの国々と共にプログラムを進めています。」
欧州委員会(ジャン=クロード・ユンカー委員長)
「女性のエンパワーメントは,欧州委員会の優先事項の一つです。今日,EUではかつて無いほど多くの女性が働いています。欧州委員会は,性別による賃金格差の削減,女性起業家支援,保育へのアクセス改善に関する活動おいて,最先端を走ってきました。しかし,依然として女性の収入が男性と比較して平均して16%少なく,政治や主要なEU企業における参画も進んでいない中で,すべきことは多くあります。我々は一段と力を入れる必要があります。女性のエンパワーメントとは,平等に向けた障壁の一つ一つを壊していくことです。そのときになって初めて,我々は自らの可能性を十分に発揮し,平等な社会の経済的利益を享受することができるのです。」
フランス(エマニュエル・マクロン大統領)
「ジェンダー平等の推進は,我々皆がそのために闘わねばならない世界的大義であり,日本がG20においてリーダーシップをとって下さったことに感謝します。フランスは自らの役目を果たし,女児の教育へのアクセスと女性のエンパワーメントを国際的に推進していきたいと考えています。しかし,我々は,特に紛争地域やデジタルの文脈における女性に対する暴力の問題にも対応せねばなりません。また,ジェンダー平等は最も強力な発展要素の一つであり,また成長のためのエンジンであることが証明されています。フランスはジェンダー平等をG7議長国の優先事項の一つとして推進していきます。」
ドイツ(アンジェラ・メルケル首相)
「女性が人生においても経済においても平等な機会と権利を有する場合にのみ,国は成功することができます。女性と少女の平等な参加無しにSDGs目標の達成はありません。2017年のドイツG20議長国下において,女性起業家資金イニシアティブ(We-Fi)を立ち上げました。これは,途上国の女性起業家達の資金や知識,ネットワークへのアクセスのギャップ縮小に向けた重要なステップです。この重要なイニシアティブに未参加の国々に対し,参加を呼びかけます。」
インド(ナレンドラ・モディ首相)
「女性を神性の不可分の半分とみなすインドの考え方は,女性の平等や,女性が我々の幸福の中心を占めることを古来より重視していることを反映しています。今日,国家開発努力における女性の優位性は,適正な公衆衛生整備,煙のないキッチン,母性衛生,起業家ローン,ユニバーサル・ヘルスと住宅供給,「女子の保護と教育」といった政府の最重要スキームに反映されています。これはまた,インドの火星ミッションへの女性の進出の例にも見られます。女性達は,女性主導のエンパワーメントに対するインドの並外れた貢献を今後も具体化していくでしょう。」
インドネシア(ジョコ・ウィドド大統領)
「女性のエンパワーメントは,インドネシアの外交政策の主流となっています。私は,HeForSheキャンペーンのグローバル・インパクト・チャンピオンの一人として,経済や政治分野を含む全ての政策において,女性のエンパワーメントの強化に徹しています。例えば外交政策では,女性を平和と寛容の仲介者としてエンパワーするため,女性,平和,安全保障のキャンペーンに積極的に取り組んでいます。女性をエンパワーすることによってのみ,我々は,皆のためのより良く,より繁栄した平和な世界を見ることができるでしょう。」
イタリア(ジュゼッペ・コンテ首相)
「ジェンダー平等は道徳的に正しいだけでなく,我々の社会の持続可能な発展や福祉にとって経済的にも望ましいものです。女性はかけがえのない資源です:彼女たちの権利を守り,彼女たちの教育へのアクセスと最も高いレベルでの労働参画を促進することは,彼女たちを輝かせ,我々みんなのためになります。我々はG20首脳として,変化の手綱を握るべく,長期的な取組の規模を至急拡大する責任があります。イタリアはこの目標に向けて自らの役割を果たす用意があります。」
メキシコ(マルセロ・エブラル外相)
「ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを実現することはメキシコ政府の優先事項であり,社会的包摂と持続可能な発展の不可欠な要素です。今回の憲法改正は,政府内の全レベル・部署において,男女数の均等を明確な目標とする責務を課しました。また,女性が圧倒的に多数を占める家庭内労働者の健康や社会福祉へのアクセスを確保する政策が導入されました。更なる進展を達成するためには,民間企業との効果的なパートナーシップとインセンティブが引き続き重要です。」
オランダ(マルク・ロッテ首相)
「安倍総理が“W20促進プラットフォーム”を歓迎されたことを大変喜ばしく思います。私はこのプラットフォームを完全に支持し,国連特使であるマキシマ王妃が,金融包摂,特に女性の包摂的な経済発展に関してG20及びW20に建設的な関与を継続していることに感謝します。オランダは数十年間に亘り,女性の平等な権利の闘いの最前線にいます。経済的エンパワーメントは,貧困から脱出し,平等と包摂的な経済成長を促進するのに最良の方法です。」
スペイン(ペドロ・サンチェス首相)
「ジェンダー平等は単なる社会正義の問題ではなく,経済成長のパワフルなエンジンでもあります。我々はジェンダー格差を縮め,女性の適正な仕事へのアクセスを推進し,職場における偏見,差別,ハラスメントと闘う必要があります。それ故,スペインは平等で譲与不可の育児休暇を導入し,質の高い公共ケアサービスを拡大しています。我々はまた,給与の透明性の向上と,差別との闘いに焦点を当てた州事務所の創設を通じて,ジェンダー間の給与ギャップに取り組んでいます。」
タイ(プラユット・ジャンオーチャー首相)
「持続可能で包摂的な成長を達成するには,職業選択を含む女性の社会における多様な役割を前向きに支援するジェンダー・バランスの取れた政策を通じて,また同時に差別的な慣習を排除することを通じて,ジェンダー平等を目指さなくてはなりません。我々は全ての女性が教育と職業に関して平等な機会を与えられることを確保せねばなりません。タイは関連する法令の強化やジェンダー予算の実施,社会のあらゆるレベルにおける女性の意思決定権への参加支援を通じ,女性のエンパワーメントを推進し続けす。」
トルコ(レジェップ・タイップ・エルドアン首相)
「女性のエンパワーメントは持続可能な開発目標を達成するカギです。それ故,トルコはG20議長国であった時にW20を始めました。我々は,女性が男性と対等の立場に立てるよう,職業訓練,生涯教育,STEAM教育へのアクセスが強化され,起業政策が検討されることを信じています。「{sic}女性のエンパワーメントのための戦略ペーパーと行動計画」を通じ,教育,健康,経済における女性のエンパワーメントと意思決定メカニズムとメディアにおける女性の参画を支持します。我々の目標は,労働力における女性の参画を更に増やすことです。」
英国(テリーザ・メイ首相)
「女性のエンパワーメントなしに、今日のグローバルな課題に効果的に取り組むことはできません。本日のイベントでは、どのように国際社会が、国民の半分を保護し、エンパワーするかを議論する機会となりました。
英国では、平等を改善するためのいくつもの手段を講じています。それは,企業が賃金格差の説明責任を負うことを確保することを目的としたジェンダー賃金格差報告の導入もその一つです。女性の可能性を解き放つことによってのみ,より安全で,平和で豊かな生活を築くことができるのです。」
(了)