データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明

[場所] 
[年月日] 2021年4月7日
[出典] 財務省
[備考] テレビ会議,仮訳
[全文] 

 2020年の急速な縮小の後、世界経済の見通しは、主にワクチン接種の展開と継続的な政策支援を背景に改善してきている。しかし、回復は、各国間・各国内でばらつきがあるとともに脆弱であり、新型コロナウイルスの新たな変異株の拡大やワクチン接種のペースの違いなど、より大きな下方リスクにさらされている。我々は、女性、若者、非正規労働者、未熟練労働者を含む、特に最も影響を受けた人々の経済的な傷跡の問題に取り組む。我々は警戒を続け、支援策のいかなる早まった引き揚げも回避することにコミットする。我々は、下方リスクと負の波及効果を防ぎ、長期的な財政の持続可能性を保ちつつ、人々の生命、雇用及び所得を守り、世界経済の回復を支え、拡大する格差と闘い、金融システムの強じん性を強化するため、必要とされる間は、全ての利用可能な政策手段を用いるとの決意を再確認する。

 パンデミックの克服は、安定的で持続的な回復の前提条件である。我々は、保健システムを強化し、安全で効果的かつ手頃な新型コロナウイルスのワクチン・治療・診断への公平かつ迅速なアクセスを促進することに引き続きコミットし、これらの生産と分配を迅速に強化するための取組を奨励する。この点に関し、我々は、新型コロナウイルスの予防接種が国際公共財として有する役割を認識し、全ての協働の取組、特に「新型コロナウイルス対応ツールへのアクセス加速事業(ACT-A)」の4つの柱とその下のCOVAXファシリティへの支持を再確認する。我々は、特に世界保健機関を含む多国間機関との、また多国間機関間の協力や政策の一貫性を強化する必要性を強調する。我々は、「国際公共財としてのパンデミックへの備えと対応のための資金調達に関するG20ハイレベル独立パネル」による7月の提言に期待する。

 強固なファンダメンタルズや健全な政策は、国際通貨システムの安定に不可欠である。我々は、為替レートは根底にある経済のファンダメンタルズを反映することに引き続きコミットし、また、為替レートの柔軟性は経済の調整を円滑化しうることに留意する。我々は、外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する。我々は、為替レートの過度な変動や無秩序な動きが、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることを認識する。我々は、通貨の競争的切下げを回避し、競争力のために為替レートを目標としない。

 我々は、成長及び雇用創出の回復において、開かれた公正な、ルールに基づく貿易の重要な役割を認識する。我々は、保護主義と闘うとのコミットメントを想起し、世界貿易機関の改革のために協調して取り組むことを奨励する。

 2020年4月15日に承認され、昨年10月に更新されたG20行動計画は、各国ごとの状況を考慮しながら、我々の対応の道しるべとなる重要な原則を定めている。我々は、これまでの我々のコミットメントに関する顕著な進展を取りまとめた第3次進捗報告書(付表1)を歓迎する。最近の保健と経済の動向、及び依然として残る下方リスクは、力強い政策対応、強化された多国間協調、そして最も脆弱な人々への継続的な支援を必要としている。このため、我々は、現在と将来の世界的な課題に取り組むため、先を見据えたアジェンダを設定するG20行動計画の第2次更新(付表2)を承認する。我々は、2020年11月のリヤド首脳宣言に沿って、G20行動計画を生きた文書とし続け、定期的にこれを見直し、更新し、実施を捕捉し、報告するとのコミットメントを再確認する。

 我々は、回復を後押しし、幅広い繁栄を確保するために、技術革新から生じる機会を活用する必要性について同意する。我々は、生産性を向上させるデジタル・トランスフォーメーションに関するG20の政策オプション・メニューに期待する。これは、デジタル化によってもたらされる機会を活用するためのグッド・プラクティスを提供するとともに、こうした機会が国内外で享受されることを確保するものである。我々は、グローバルなリスク監視を強化するために実施している取組を歓迎し、必要に応じて将来の政策議論により体系的に統合することを期待する。我々は、パンデミック、自然災害、気候・環境リスクを含む将来のショックに対する強じん性の向上に取り組むため、引き続き緊密に協調する。我々はまた、データ保護及びプライバシーに関する法的枠組の遵守を確保しつつ、環境問題に関係するものを含むデータの入手可能性及び提供を改善し、デジタル化により生み出されたデータの蓄積を活用することが、我々の意思決定をより良いものとするために重要であることを認識する。従って、我々は、国際通貨基金(IMF)に対し、経済及び金融統計に関する当局間グループ(IAG)及び金融安定理事会(FSB)との緊密な協力の下、考えられる新たなデータギャップイニシアティブに関し、コンセプトノートを準備するよう求める。

 気候変動への対処と環境保護の促進は、我々の経済と社会にとって、一段と緊要性を増している。回復を形作っていくことは、革新的な技術への投資やより持続可能な経済・社会への公正な移行の促進に関し、最も影響を受ける人々に特に配慮しつつパリ協定と整合的な形で、将来を見据えた戦略を策定するまたとない機会を提供する。我々は、共有する目的を達成するため、いかにより良く協調しこうした戦略を実現できるか議論することを楽しみにしている。我々は、国際機関に対し、それぞれのマンデートに沿って、回復戦略をモニターし、気候変動や脱炭素の取組が成長と雇用に与える影響について更なる分析を行うよう慫慂する。

 我々は、サステナブル・ファイナンスの動員が、世界経済の成長と安定や、よりグリーン、より強靭で、かつ包摂的な社会・経済への移行の促進に不可欠であることを認識する。我々は、FSBに対し、気候関連の金融安定リスクに関するデータの入手可能性とデータギャップの評価、及び気候関連財務開示を改善する方法について取り組み、これらの事項について7月に報告することを求める。我々は、FSBの気候関連財務情報開示タスクフォースの提言に基づき、国際的に一貫性のある、比較可能で質の高いサステナビリティ報告に係る開示基準の重要性に同意する。我々は、民間部門の参加の広がりを歓迎する。我々はまた、こうした分野での公共部門の参加と透明性の広がりに留意する。我々は、サステナブル・ファイナンス・スタディ・グループの再設置を歓迎し、作業部会へと格上げするとともに、エビデンスに基づく気候に焦点を当てたG20サステナブル・ファイナンス・ロードマップの初版を協力して策定すること、サステナビリティ報告を改善すること、サステナブル投資を特定すること、国際金融機関の取組をパリ協定と整合的にすることについて、2021年の同部会による作業に期待する。我々はまた、7月11日に開催予定のヴェネツィア気候カンファレンスにおいて、これらの課題について議論を継続することを楽しみにしている。

 我々は、回復段階における質の高いインフラ投資の重要な役割を認識する。強靱かつ持続可能で、包摂的なインフラを促進することは、経済の成長や発展を刺激するための鍵となる。我々は、政策決定へのより良い情報提供や景気刺激策の策定を後押しする、グローバル・インフラストラクチャー・ハブ(GIH)によるインフラ・トラッカーの創設を歓迎する。我々は、強固で持続可能な回復を支援するため、雇用創出におけるインフラの潜在力を模索する。我々は、「回復のための環境的に持続可能な投資に関するIMFノート」に留意する。我々は、「投資対象としてのインフラに向けたG20ロードマップ」に沿って、さらに「インフラ投資における機関投資家及び資産運用者との協働に関するG20/経済協力開発機構(OECD)レポート」に基づき、民間資金を動員するため、官民の投資家間の対話を柔軟に継続する。我々は、インフラの資金ギャップを埋めるため、革新的な金融手段を引き続き模索する。我々は、「インフラの強靱性とメンテナンスに関するG20政策アジェンダ」の策定に合意する。我々は、質の高いブロードバンドの連結性のための投資の促進等を通じて、デジタル・インフラの資金調達の改善や、十分なサービスを受けられていない地域へのカバーを拡大することに取り組む。我々は、中央政府との強固な連携を促進し、より包摂的な社会を達成するため、地方当局からの代表者との知識共有を奨励する。我々は、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」に関する作業を推進することを歓迎する。この点に関し、我々は、「GIH質の高いインフラ投資調査報告書」を歓迎する。我々は、質の高いインフラ投資に係るあり得る指標を探求するとした我々のこれまでの合意を想起し、この分野におけるインフラストラクチャー・ワーキンググループの成果を期待する。我々は、データへのアクセスに関する国際機関の進行中の作業、例えばインフラ・データ・イニシアティブ等を通じて、インフラ投資の意思決定により良く情報提供する必要性を再確認する。

 我々は、脆弱な国々が新型コロナウイルスのパンデミックに伴う課題に対処するにあたり、これらの国々への支援をさらに強化する。我々は、準備資産を補充する長期的かつ全体的な必要性に応じるため、特別引出権(SDR)の6,500億ドルの新規一般配分について、IMFが包括的な提案を行うよう要請する。IMFが2016年に行った評価手法に基づけば、新たな配分は、世界的な流動性を高め、世界経済の回復を支えるであろう。我々はまた、IMFに対し、SDRの準備資産としての特性を維持しつつ、SDRの使用における透明性及び説明責任を強化するための提案を行うよう求める。並行して、我々はIMFに対し、新規配分のプロセスを遅滞させることなく、脆弱な国々の利益のために、加盟国が自発的にSDRを融通するための選択肢を探求することを求める。

 我々は、パンデミック関連の支出増加を支えるにあたり、債務支払猶予イニシアティブ(DSSI)によって達成された進捗を歓迎する。全ての公的な二国間債権者は、完全に、かつ、透明性高く、このイニシアティブを実施すべきである。新型コロナウイルスに関連する高い流動性ニーズが続いていることに鑑み、我々は、2021年12月末まで6か月間の最後のDSSI延長に合意した。これは、パリクラブでも合意されている。我々は、民間債権者に対し、適格国から要請があった際には、同等の条件でDSSIに参加することを改めて要請する。この最後の延長は、受益国が危機の課題に立ち向かうにあたり更なる資金を動員し、適当な場合、IMFの高次クレジット・トランシュ支援プログラム等を通じた、債務脆弱性に対処するためのより構造的なアプローチに移行することを可能にする。この流れの中で、我々は、ケースバイケースで債務脆弱性に対処するため「DSSI後の債務措置に係る共通枠組」を実施する進行中の取組を歓迎するとともに、第1弾の債権者委員会の来る初回会合を期待する。それぞれのケースにおいて、我々は、参加する公的な二国間債権者の間の情報共有等を通じて、「共通枠組」を協調して実施することにコミットしている。債権者による合同の交渉は、開かれた形で透明性高く行われなければならず、全ての債権者及び債務国に何か特定の懸念がある場合には、主要条件の確定前に、適切に考慮されなければならない。この観点から、我々は、債務措置の必要性及び必要となる債務再編の大枠が、IMF・世界銀行グループの債務持続可能性分析及び参加する公的債権者による共同評価に基づくことに留意する。我々は、IMF及び世界銀行が、それぞれのマンデートに沿って、「共通枠組」の実施をサポートすることを求める。我々は、民間債権者及び他の公的な二国間債権者が、措置の同等性の原則に沿って、「共通枠組」に基づく債務措置を少なくとも同程度の条件で提供することの重要性を強調する。我々は、債務の透明性の向上に引き続き取り組むための、民間債権者を含む全ての関係者による協働の重要性を再確認する。我々は、債務脆弱性の観点から、「共通枠組」に示された国際開発金融機関(MDBs)の今後の作業を想起する。我々は、債務データの質及び整合性を強化し、債務の開示を改善するためのプロセスに係るIMF及び世界銀行グループの提案に関する進捗に期待する。我々は、「G20持続可能な貸付に係る実務指針」の実施に関する第2回目の任意の自己評価の開始を歓迎する。我々は、国際金融協会の「債務透明性のための任意の原則」の実施に関する更なるアップデートを期待する。

 我々は、MDBsが新型コロナウイルスのパンデミックに対応した新興国及び低所得国への2,300億ドルのコミットメントの一環として、2020年4月から2020年12月までの期間にDSSI適格国向けに750億ドルのコミットメントを行ったことを歓迎する。我々はまた、パンデミックが発生して以来、IMFが低所得国に提供した124億ドルの資金と、貧困削減・成長トラスト(PRGT)の新たな融資原資への約240億ドルの動員を歓迎する。我々は、大災害抑制・救済基金(CCRT)への今日までの貢献を歓迎するとともに、2022年4月までの債務救済の提供を可能にするため、更なる貢献を求める。

 この先については、IMFは、低所得国がパンデミックへの対応を強化し、対外的なバッファーを構築するためには、2025年までに最大2,000億ドル、先進国との所得の格差の解消を加速するためには、2,500億ドルの追加的な投資支出が必要と試算している。我々は、各国がこうした資金ギャップを解消できるよう、全ての手段を活用する。我々は、国際開発協会(IDA)の重要な役割を認識し、IDA第20次増資の1年前倒しを歓迎する。2021年12月までに合意される野心的かつ成功裏のIDA増資は、強固な政策枠組みのもと、パンデミックの足元及び長期的な影響に対応するIDA国の、グリーンかつ強靭で包摂的な回復を支えるであろう。我々は、IDAに対し、AAAの格付けを維持しつつ、持続可能な方法でIDA国への追加資金を引き出すために、IDAのバランスシートをさらに活用する方法を検討することを求める。我々は世界銀行グループが民間資金の動員に対する取組みを拡大することを求める。また、我々はIMFに対し、譲許的貸付の融資能力を強化するとともに、PRGT及びCCRTを通じたものを含め、脆弱国を支援するために資金を動員する追加的な選択肢を、加盟国とともに模索することを要請する。また、我々はIMFに対し、全ての脆弱国のための追加的な支援手段を模索するよう要請する。我々は、MDBsに対して「バランスシート最適化に関するG20行動計画」の実施を含め、各機関の受益国のために、利用可能な資源を最大限活用することを奨励する。また、我々は、MDBsがそれぞれのマンデートに従い、かつ信用格付けを維持しつつ、開発効果を最大化するための潜在的な新たな手段の検討をさらに進めることを奨励する。我々は、多国間、地域レベル、国レベルでの開発パートナー間における調整の強化の重要性を再確認する。我々は、国主導の試行的なプラットフォームの実施の進捗に関するMDBsからの更なるアップデートを期待する。

 我々は、持続可能な資本フローの促進、現地通貨建て資本市場の発展、及び強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有するIMFを中心とした、強固で効果的なグローバル金融セーフティ・ネットの維持を通じ、長期的な金融の強靭性を高め、包摂的な成長を支えるとの我々のコミットメントを再確認する。我々は、資本フローの自由化と管理に関するIMFの「機関としての見解」について、予定されている見直しに期待する。我々は、新規借入取極の倍増及び新たな二国間借入取極により最近達成された、IMFの全体的な融資能力の維持を歓迎する。我々は、クォータの十分性について再検討することに引き続きコミットし、2023年12月15日までに、指針としての新クォータ計算式を含め、第16次クォータ一般見直しの下でIMFのガバナンス改革のプロセスを継続する。  

 我々は、世界規模で公正、持続可能かつ現代的な国際課税システムのための協力を継続していく。我々は、2021年半ばまでに、第1の柱及び第2の柱の青写真に関する報告書という強固な土台の上で、グローバルなコンセンサスに基づく解決策に至ることについて引き続きコミットしている。我々は、今日までの進捗を認識し、G20/OECD「BEPS包摂的枠組み」に対し、設定された期限までに合意に至ることを目指して、残された未解決の課題に対処するよう求める。我々は、国際的に合意された税の透明性基準の実施における進捗を認識し、OECDによる暗号資産に関する自動的情報交換に係る提案の検討についての進行中の作業を支持する。我々は、7月の税制と気候変動に関するハイレベル税シンポジウムにおける建設的な議論を期待する。我々は、新型コロナウイルス危機対応における税と財政政策に関するOECDの更新された報告書に留意する。我々は、途上国に対する持続可能な税収基盤を築くための能力強化に関する支援への我々の関与を再確認し、OECDに対して、G20/OECD「BEPS包摂的枠組み」への参加を通じた進捗に関する報告書を用意し、国内資金動員の努力をさらに支援することが可能な分野を特定するよう求める。

 我々は、新型コロナウイルス危機への対応のために包括的かつ団結した取組を維持すること、及び、金融セクターが金融安定を維持しながら、経済への支援を提供し続けるよう確保することにコミットする。我々は、新型コロナウイルスへの国ごとの又は国際的な対応の支えとなる、2020年4月に合意されたFSBの原則へのコミットメントを再確認する。ほとんどの支援措置は、それらを性急に解除することによって生じうる潜在的リスクを認識し、経済及び公衆衛生の状況から必要である限り継続される。我々は、長期的な金融安定リスクを最小化するために、支援措置の延長、修正あるいは終了を漸進的かつ的を絞った方法で検討する際における、柔軟な状態依存アプローチの便益を議論するFSB報告書を歓迎する。我々は、情報共有、及び合意された国際基準との整合性のモニタリングを含む、金融安定に関する新型コロナウイルス対応措置に関する国際協調を、FSBが支援し続けることを求める。

 我々は、システム上重要な銀行の「大きすぎて潰せない問題(TBTF)」に対する改革の実効性に関するFSBの評価報告書を歓迎する。我々は、効果的なTBTF改革が社会に純便益をもたらすという主要な発見に留意し、我々は評価の中で特定された改革のギャップへの対処に取り組む。我々は、パンデミックから得られた教訓について、金融安定の観点から検討することにコミットする。2020年3月の市場混乱に関するFSBの「包括的レビュー」報告書に基づいて、我々は、システミックな観点からノンバンク金融仲介(NBFI)セクターの強靭性強化に取り組み、FSBがマネー・マーケット・ファンドの強靭性を強化するための政策提案に関する市中協議報告書を7月に、最終報告書を10月に提出し、NBFIに関するより広範な作業計画の更新についての報告を行うことを期待する。我々は、2020年G20リヤド・サミットで承認された「クロスボーダー送金の改善に向けたG20ロードマップ」の適時かつ効果的な実施、及び送金の流れの促進にコミットする。我々は、規制上、監督上及び監視上の枠組がどのようにいわゆる「グローバル・ステーブルコイン」へ対処しているかに関するFSBの進捗報告書、及び中央銀行デジタル通貨の国境を越えた利用と、国際通貨システムへのより広範なインプリケーションに関する幅広い議論に期待する。我々は、いかなるいわゆる「グローバル・ステーブルコイン」も、関連する全ての法律上、規制上及び監視上の要件が、適切な設計と適用可能な基準の遵守を通して十分に対処されるまではサービスを開始するべきでないことを再確認する。我々は、金融セクターにおけるサイバーインシデント報告の調和に関するFSB報告書に期待する。我々はまた、LIBORからの移行に関する進捗報告書に期待する。我々は、LIBOR指標の停止日に関する発表による明確性の向上を歓迎し、2021年末までの円滑な移行の重要性を再確認する。

 我々は、マネーロンダリング(ML)、テロ資金供与(TF)及び拡散金融(PF)と闘い、これを防止するための国際的な基準設定主体としての金融活動作業部会(FATF)への支持を再確認する。我々は、金融犯罪への対処におけるデジタル・トランスフォーメーションの機会と課題に関するFATFの現在の作業の成果に期待する。我々は、暗号資産及び暗号資産交換業者に関するFATF基準のグローバルな履行についての2回目の12か月レビューの妥当性を認識し、いわゆるステーブルコインがFATF基準の対象であることを認識する。我々は、特にFATFによる環境保護と天然資源の不正な搾取に関連した腐敗や不正な資金の防止との関連性についての進行中の作業を歓迎し、環境犯罪の気候及び生物多様性への影響を認識する。我々は、特に新型コロナウイルスに関連する金融犯罪に注意を払いながら、ML/TF/PFの全ての資金源、技術及び経路に対処していくという我々のコミットメントを確認する。我々は、FATF基準の効果的な履行を強化するためにFATF型地域体のグローバルネットワークをさらに強化することにコミットする。

 昨年承認された「G20金融包摂行動計画」に基づき、我々は、特に最も脆弱で十分なサービスを受けられない人々や中小零細企業にとって、新型コロナウイルス危機を通して拡大しているかもしれない金融包摂上のギャップを特定し対処する、金融包摂のためのグローバル・パートナーシップ(GPFI)の取組を支持する。我々はまた、送金費用の削減を含め、GPFIが送金へ焦点を当て続けることを歓迎する。我々は、各国のニーズ、能力、及び状況に応じた、デジタル金融リテラシー、消費者保護、金融事業行動の分野を含む、責任あるデジタル金融サービスから提供される、金融包摂をリスクから守りつつ強化する機会を活用した、適切な対応を導くための、質が高く、可能な限り粒度の高いデータに基づいた政策オプション・メニューを策定することを奨励する。