データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G20ローマ首脳宣言

[場所] ローマ
[年月日] 2021年10月31日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

1 我々G20の首脳は、今日における最も緊急の世界的課題に対処するため、また、新型コロナウイルス危機からのよりよい復興と、我々の国々や世界中で、持続可能で包摂的な成長を可能にするための共通の取組を収れんさせるため、10月30日及び31日にローマで会合を行った。「国際経済協調の第一のフォーラム」として、我々は、数十億の生活に影響を与え、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた進捗を著しく阻害し、グローバルなサプライチェーンや国際的な移動を途絶させたパンデミックによって発生した、国際保健危機や経済危機を克服することにコミットする。これらの点を心に留めながら、我々は、医療・看護関係者、最前線の従事者、国際機関及び科学コミュニティが新型コロナウイルスの危機を克服するために絶え間なく努力していることに深い感謝を表明する。

2 共通の、効果的な解決方法を探すうえでの多国間主義の重要な役割を強調しつつ、我々は、最も脆弱な人々のニーズに特別な関心を払いながら、パンデミックへの我々の共通の対応を更に強化し、世界の回復に向けた道を切り開くことに合意した。我々は、パンデミックを克服することを最も必要としている国々を支援し、それらの国々の強じん性を向上し、食料安全保障や環境面での持続可能性を確保するといった重要な課題に対処するための決定的な措置を取ってきた。我々は、気候変動に対応するための共通のビジョンに合意し、ジェンダー平等の達成に向けた重要な措置を取ってきた。我々はまた、デジタル化の恩恵が広くかつ安全に享受され、不平等を減らすことに貢献することを確保するため、共通の努力を更に推進してきた。

3 世界経済2021年の間、ワクチンの展開と継続的な政策支援に支えられ、世界の経済活動は強固なペースで回復してきている。しかし回復は、引き続き各国間・各国内で大きく差異があり、特に新型コロナウイルスの新たな変異株の拡大の可能性やワクチン接種ペースの違いなどの下方リスクにさらされている。我々は、特に女性、若者、非正規労働者、未熟練労働者などの最も影響を受けた人々や不平等に対する、新型コロナウイルスによる悪影響に対処するため、必要とされる間は、全ての利用可能な政策手段を用いるとの決意を継続している。我々は、金融の安定と長期的な財政の持続可能性を維持し、下方リスクと負の波及効果を防ぎつつ、いかなる時期尚早な支援策の引き上げも回避しながら、引き続き回復を持続させる。中央銀行は、現下の物価のダイナミクスを緊密にモニタリングしている。彼らは、一時的なインフレ圧力を見抜き、政策スタンスに関する明確なコミュニケーションにコミットしつつ、物価の安定を含む自らのマンデートを果たすために、必要に応じて行動する。我々は、サプライチェーンの混乱など、我々の経済に影響を与えているグローバルな課題への警戒を続ける。我々は、経済の回復にともなってこれらの問題を監視し、対処するため、また、世界経済の安定を支えるために協働する。我々は、2021年4月に更新されたG20行動計画で設定された、先を見据えたアジェンダの推進にコミットし、また、我々は、第4次進捗報告書を歓迎する。我々は、財務大臣及び中央銀行総裁による2021年4月の為替相場のコミットメントを再確認する。

4 保健我々は、ワクチンがパンデミックへの対応として、最も重要なツールであることを認識し、広範な新型コロナウイルスワクチンの接種が国際公共財であることを再確認しつつ、中・低所得国のニーズに特別な関心を払いながら、安全で、安価で、質が高くかつ有効なワクチン、治療薬、診断薬への適時、公平かつ普遍的なアクセスを確保するための努力を推進する。世界保健機関(WHO)の世界ワクチン接種戦略において推奨されているように、2021年末までに少なくとも全ての国の人口の40%に、2022年中頃までには全ての国の人口の70%にワクチンを接種するという世界全体の目標に向けた進捗を促すため、我々は、開発途上国におけるワクチンや必要不可欠な医療製品・原材料の供給を促進し、関連する供給または資金面の制約を取り除くことを助けるための措置をとっていく。我々は、保健大臣に対し、この目的への進捗を監視し、必要に応じて、世界的なワクチン接種を加速させる方策を探すことを要請する。

5 我々は、ワクチンへの受容、信頼及び偽情報との闘いを促進する一方、サプライチェーンの強化及び国際的なワクチン製造能力を現地及び地域レベルで拡大かつ多様化することも通じて、研究と開発を支援し、ワクチンの製造と全世界への迅速かつ公平な配分を確保するためのグローバルな戦略を強化する。このため、我々は、ワクチンの提供に関し、世界貿易機関(WTO)に非整合な輸出制限を控え、透明性や予測可能性を向上させることにコミットする。我々は、COVAXを含むACTアクセラレータのすべての柱への支持を再確認し、引き続きその有効性を向上させる。我々は、ACTアクセラレータのマンデートを2022年まで延長することを支持し、「多国間リーダーズ・タスクフォース」の立ち上げを認識する。我々は、「COVAXのACTアクセラレータ・ファシリテーション・カウンシル・ワクチン製造作業部会」による取組及びワクチン製造のより広範な基盤を作ることを目指した報告書を歓迎する。特に、我々は、南アフリカ、ブラジル及びアルゼンチンにて新たに立ち上がった「mRNAハブ」のような、様々な地域における技術移転ハブ、また、共同生産及び製剤に関する取決め等を通じ、中・低所得国におけるワクチンの配布、接種及び現地製造能力の強化を支持する。我々は、各国の法制度及び状況に基づき、WHOにより安全で有効とみなされた新型コロナウイルスワクチンの承認に向け、また、公衆衛生を引き続き保全しつつ、プライバシーやデータ保護を確保しながら、ワクチン緊急使用リスト(EUL)を拡充するために手続及びプロセスの最適化を含むワクチン承認に関するWHOの能力を強化するために、協力して取り組む。G20としての集団的な取組として、根強く残るワクチン接種のギャップを踏まえ、我々は、ワクチン、治療薬及び診断薬の供給と、アクセスを増大することにコミットする。我々は、必要なところに、透明性があり、迅速かつ予測可能な形でワクチンの輸送・接種を確保するための我々の努力を拡充する。我々は、民間セクターや多国間金融機関に対し、この試みに貢献するよう要請する。我々は、この点における世界銀行グループの作業並びにワクチン供給予測ダッシュボードを通じた国際通貨基金(IMF)及びWHOの作業を認識する。

6 我々は、共同的な行動のための羅針盤としての、グローバル・ヘルス・サミットで採択された「ローマ宣言」へのコミットメントを再確認し、グローバル・ヘルス・ガバナンスの強化にコミットする。我々は、十分かつ持続可能な形で資金提供を受けたWHOによる、主導的かつ調整的な役割を強化するために進行中の作業を支持する。我々はパンデミック予防・対策・対応(PPR)のための資金調達が、より適切で、より持続可能で、より調整されたものでなればならず、また既存の多国間資金調達メカニズムを適切な組み合わせで動員しながら潜在的な資金ギャップに対処するとともに、新たな資金メカニズムの設立を検討することを含め、保健と財務の政策決定者間の継続的な協力を必要とすることを認識する。我々は、ワン・ヘルス・アプローチを採用しつつ、パンデミックPPRに関係する課題についての対話と国際協力の強化、経験とベストプラクティスの交換の促進、財務省及び保健省の間の連携体制の発展、共同行動の促進、国境を越えて影響を及ぼす健康危機の評価と対処、及びパンデミックPPRのための資金の効果的な管理の奨励を目的として、「G20財務・保健合同タスクフォース」を設立する。この文脈において、このタスクフォースは、パンデミックの予防、備え及び対応のための適切かつ持続的な資金調達を確保するため、WHOが中心的役割を果たし、G20が主導しつつ、当初より低中所得国、非G20パートナー及び国際開発金融機関の関与のもとで、包摂的に設計された、金融ファシリティを設立するための方途について、2022年の初頭までに作業し報告する。

7 我々は、保健に関するSDGs、特にユニバーサル・ヘルス・カバレッジを達成するための我々のコミットメントを再確認する。我々は、WHOの文脈における国際文書又は国際約束の可能性の検討を含むパンデミックへの備えと対応を支援し、強化すること及び、国際保健規則(2005)の実施と遵守を強化することを目的とした多国間の取組を歓迎する。我々は、国際レベル、地域レベル、国家レベル、地方レベルのワン・ヘルス・アプローチを追求することにコミットする。我々は、この目的のため、WHO、国連食糧農業機関(FAO)、国際獣疫事務所(OIE)及び国連環境計画(UNEP)の調整的な役割の下に、世界的な監視、早期発見及び早期予防システムを強化し、人獣共通感染症の出現をはじめとする、人間、動物及び環境の相互関係から発生するリスクに対応し、薬剤耐性と戦うグローバルな取組を追求しながら、抗菌剤へのアクセス及びその適切な管理を確保し、非感染性疾患及び精神疾患を含むその他の重要な問題に引き続き対応する。我々は、パンデミックに迅速に対応する重要性を認識し、そのような脅威の特定以降、安全で効果的なワクチン、治療薬及び診断薬の開発サイクルを300日から100日に短縮し、それらを広く利用可能にするため、科学を支援する。

8我々は、女性や女児及び最も脆弱な立場にある人々のニーズに特別な注意を払いつつ、性と生殖にかかわる健康を含め、孤独、失業、食料不安、女性や女児への暴力の増加、教育や保健・サービスへのアクセスの制約による、パンデミックのメンタルヘルスと福祉への影響を踏まえ、新型コロナウイルスにとどまらない、保健サービスの継続を確保することや、国家保健システムやプライマリー・ヘルスケア・サービスを強化することの重要性を再確認する。我々は、エイズ、結核及びマラリアと戦うためのイニシアティブを引き続き支持する。我々は、個人の保健データを保護する必要を考慮しながら、デジタルその他健康に関連する技術のイノベーションを強化するため、相互に合意された条件に基づく自主的な技術移転を促すため、また、強化された保健カリキュラム及び訓練教材を通じた公衆衛生の人材の運用水準の更新と強化に向けWHOと協働するための努力を追求する。この目的のため、我々は、「保健の価値を高めるためのグローバル・イノベーション・ハブ」に対するエンゲージメントを追求し、WHOアカデミーの立ち上げ及び、イタリアG20議長国によって提案された「公衆衛生人材:ラボラトリウム」などのイニシアティブを歓迎する。

9 持続可能な開発我々は、持続可能な開発のための2030アジェンダ及びアディスアベバ行動目標に向けた進捗を後退させる、特に開発途上国における新型コロナウイルスの危機による影響を引き続き深刻に懸念している。我々は、各国の戦略、地方におけるSDGsの推進、女性及び若者のエンパワーメント、持続可能な生産及び責任ある消費パターン、そしてすべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスの重要性を認識し、公平性を増進させ、全てのSDGsの進捗を加速できるような、世界中で持続可能、包摂的、強靭な復興を支援するためのグローバルな対応へのコミットメントを再確認する。我々は、最も脆弱な国に特別な関心を払いながら、「2021ローマ・アップデート」に基づいて、「2030アジェンダに関するG20行動計画」と「開発途上国における新型コロナウイルス対応及び復興に向けたG20の支援」の実施に向けた我々の行動を強化する。我々は、これまでの進展を歓迎し、特に、「アフリカ及び後発開発途上国の工業化の支援に関するG20イニシアティブ」、「G20アフリカ・パートナーシップ」、「G20アフリカとのコンパクト」そして他の関連するイニシアティブを通してアフリカの国々に対し引き続き支援することを再び表明する。我々は、不正な資金の流れに対処することに引き続きコミットする。

10 脆弱国への支援我々は、世界全体で6500億ドル相当の追加準備資産を利用可能にした、IMFによる2021年8月23日の特別引出権(SDR)の新規一般配分を歓迎する。我々は、脆弱国を支援するために、国内の法律や規制に従って、対外ポジションの強い国が、配分されたSDRの一部を自発的に融通することを通じ、その影響を大きく拡大するための実施可能な選択肢に取り組んでいる。我々は、最もニーズのある国のために世界合計で1,000億ドルを自発的に貢献するという野心に向けたステップとして、約450億ドル相当の最近のプレッジを歓迎する。また、我々は、貧困削減・成長トラストの融資能力を大幅に拡大するための現在の取組を歓迎し、可能な国々に融資原資や利子補給金へのさらなる自発的な貢献を求める。また、我々は、IMFに対して、そのマンデートと整合的な形で、アフリカ諸国を含む低所得国、小島嶼開発途上国及び脆弱な中所得国が、パンデミックや気候変動に起因するものを含む将来の国際収支の安定にかかるリスクを減少させることができるように利用可能な長期資金を提供すべく、強靭性・持続可能性トラスト(RST)を設立するよう求める。この新たなRSTは、トラストを通じて融通されるSDRの準備資産としての性質を保持する。我々の財務大臣は、プレコーショナリー・バランスの中間見直しの文脈においてIMF理事会でサーチャージ・ポリシーについてのさらなる議論が行われることを期待する。

11我々は、パリクラブでも合意されている、G20による「債務支払猶予イニシアティブ(DSSI)」の下で達成された進捗を歓迎する。暫定的な推計によれば、このイニシアティブの下で、2020年5月から2021年12月までに、少なくとも合計127億ドルの債務支払猶予を受けていることを示し、50ヵ国が、恩恵を受けている。我々は、「DSSI後の債務措置に係る共通枠組」の最近の進捗を歓迎する。我々は、「共通枠組」を適時かつ秩序だった方法で連携して実施するための取組を強化することにコミットする。こうした強化は、債務国に一層の確実性を与え、IMFと国際開発金融機関(MDBs)による資金支援の迅速な提供を促進する。我々は、「共通枠組」の下での現在の交渉の進捗に期待する。我々は、民間債権者及び他の公的な二国間債権者が、措置の同等性の原則に沿って、債務措置を少なくとも同程度の条件で提供することの重要性を強調する。我々は、債務脆弱性の観点から、「共通枠組」に示された、MDBsの今後の作業を想起する。我々は、債務の透明性の向上に引き続き取り組むための、民間債権者を含む全ての関係者による協働の重要性を確認する。我々は、債務データの質及び整合性を強化し、債務の開示を改善するためのプロセスに係るIMF及び世界銀行グループによる提案の進捗に期待する。

12 我々は、SDGsの達成に向けて、MDBsの長期的な支援の極めて重要な役割を再確認する。低所得国の高い資金ニーズを認識しつつ、我々は、国際開発協会(IDA)のバランスシートの持続可能な利用を含めた、2021年12月までの野心的なIDA第20次増資を期待する。我々はまた、将来の第16次アフリカ開発基金増資を期待する。我々は、MDBのオペレーションの効果を最大化することに資する、「MDBsの自己資本の十分性に関する枠組の独立レビュー」の立ち上げ及び「政策連動融資の利用に関するG20勧告」を歓迎する。

13 国際金融アーキテクチャ我々は、持続可能な資本フローの促進、現地通貨建て資本市場の発展、及び強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有するIMFを中心とした、強固で効果的なグローバル金融セーフティ・ネットの維持を通じることを含む、長期的な金融の強靭性を高め、包摂的な成長を支えるとの我々のコミットメントを再確認する。我々は、「統合的な政策枠組」等を踏まえた、資本フローの自由化と管理に関するIMFの「機関としての見解」について、今後の見直しに期待する。我々は、IMFのクォータの十分性について再検討することに引き続きコミットし、2023年12月15日までに、指針としての新クォータ計算式を含め、第16次クォータ一般見直しの下でIMFのガバナンス改革のプロセスを継続する。

14 我々は、既存のコミットメントに沿って、持続可能な開発のための全ての資金源のSDGsとの整合性を強化することの重要性及び関連する資金ギャップに対処する必要性を認識しつつ、透明性及び相互説明責任の重要性に留意しつつ、「統合された国家資金調達フレームワークを自主的に支援するためのG20フレームワーク」、「持続可能性に関連した資金調達手段に関するG20ハイレベル原則」及び「SDG整合性に関するG20共通ビジョン」を承認する。また、我々は、開発大臣及び財務大臣に、さらに協力を促進するよう求める。

15 食料安全保障、栄養、農業及び食料システム我々は、誰も置き去りにせず、食料安全保障及びすべての人のための十分な栄養を実現することにコミットする。このため、我々は、マテーラ宣言及びその行動の呼びかけを承認する。我々は、パートナー及びステークホルダーに対し、新型コロナウイルスが食料安全保障と栄養に与える影響に対応する手段として、FAOによって立ち上げられた「フードコアリション」への協力または参加を奨励する。我々は、世界の多くの場所における、特に「2021食料危機に関するグローバル報告書」に記載されている国々における、武力紛争に起因する飢饉の状況や深刻な食料不安を懸念する。我々は、責任ある投資を通して資金へのアクセスを増やし、早期警報プログラムを開発するとともに改善し、食料バリューチェーンにおける食料の損失及び廃棄を減らし、小規模で収益をほとんど得られない農家の暮らしを改善し、都市と農村のインターフェースをよりよく統合することを通じ、飢餓と栄養不良をなくし、貧困を撲滅し、持続可能性を確保するために不可欠な、持続可能で強じんな食料システム及び農業のイノベーションを促進する。我々は、世界的・地域的及び地場の食料バリューチェーン及び国際食料貿易の強化等を通じ、持続可能な食料システムを促進することが、食料安全保障に貢献するだけでなく、気候変動及び生物多様性の損失という、相互に連関したグローバルな課題への対処に大きく貢献することを認識する。我々は、食料システムの政策立案における強化された連携と、より改善された持続可能な食料システムの資金ツールの重要性を強調しつつ、「学校給食コアリション」といったイニシアティブを含む、食料システムサミットの成果を認識し、すべてのパートナーがフォローアップに貢献することを招請する。

16 環境我々は、2030年までに生物多様性の損失を止めて反転させるための行動を強化することにコミットし、生物多様性条約(CBD)締約国に対し、昆明でのCOP15において、野心的で、バランスのとれた、実践的で、効果的で、強固で、変革的な「ポスト2020生物多様性枠組」を採択することを求める。我々は、「国連生態系の回復の10年」(2021-2030年)の立ち上げを歓迎し、自主的に、2040年までに土地劣化を50%削減させるという共通の野心を再確認し、2030年までに土地劣化の中立性を実現すべく努める。我々は、議長国サウジアラビアの下で立ち上げられた「土地劣化の減少及び陸域生息地の保全強化に関する世界イニシアティブ」を基礎とし、その来るべき実施戦略に期待する。我々は、多くの国が「リーダーによる自然への誓約」を遵守するために、また、2030年までに世界の陸地の少なくとも30%、そして世界の海洋の少なくとも30%が保全または保護されることを確保するために実施している取組を認識し、また、我々は、各国の状況に基づき、この目的に向けて前進するべく支援する。我々は、他国も同様の野心的なコミットメントをすることを奨励し、支持する。我々は、自然資源の保存、保護及び持続可能な利用を確保するための取組を追求し、過剰漁獲を終わらせるための具体的な措置を講じ、違法・無報告・無規制漁業を終わらせるという我々のコミットメントの実現に取り組み、違法伐採、違法採掘、野生生物の違法取引、廃棄物や有害物質の違法な移動や処分など、環境に影響を与える犯罪と闘う。我々は、気候、生物多様性、生態系のための資金の流れには多くの相乗効果があることを強調し、共通便益を最大化するためにこれらの相乗効果を強化する。この観点から、我々は、自然関連の財務情報開示の作業の重要性を認識する。

17 我々は、都市及びその周辺で経済的、社会的、気候上及び環境上利益をもたらす価値あるツールとして、「自然を活用した解決策または生態系を活用したアプローチ」の実施を、包摂的な方法で、かつ地域コミュニティと先住民の参加を通じて、拡大し、奨励する。我々は、関連する政策及び意思決定過程において、ワン・ヘルス・アプローチの実施を組み込む。我々は、人為的な圧力により水資源が世界的にリスクにさらされていることを認識する。我々は、議長国サウジアラビアの下で採択された「水に関するG20対話」及び「水に関するG20プラットフォーム」を通じたものを含め、統合された水資源管理を支援する手段として、イノベーションやベストプラクティスの共有を継続していく。

18 我々は、海洋生物多様性の保全、保護、回復、そして持続可能な利用のための行動を強化することにコミットし、議長国サウジアラビアの下で立ち上げられた「世界サンゴ礁研究開発促進プラットフォーム」へのコミットメントを再確認する。我々は、国家管轄権外区域の海洋生物多様性の保全及び持続可能な利用に関して、国連海洋法条約(UNCLOS)の下で野心的かつバランスの取れた法的拘束力を有する国際文書に向け、UNCLOSの締約国が、現在進行中の交渉を可能な限り速やかに進展させることの重要性を強調する。南極条約システムの文脈において、我々は、海洋保護区(MPAs)が、特に東南極、ウェッデル海及び南極半島において、条約区域を代表する繊細な生態系を保護するための強力なツールとして機能しうることを認識しつつ、南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)の長期にわたるコミットメントを全面的に支持し、その実施に向けた更なる進展を奨励する。我々は、過剰漁獲と過剰能力につながる有害な漁業補助金をSDGsに沿って禁止するというコミットメントを再確認する。「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」に沿って、我々は、違法・無報告・無規制漁業を終わらせるとともに、既存の手段の強化及び新たな国際的な合意または手段の策定を視野に入れて、とりわけ、国連環境総会(UNEA)が行ってきたイニシアティブに基づき、海洋プラスチックごみに対処するというコミットメントを再確認する。

19 我々は、土地の劣化と闘い及び新たな炭素吸収源の創出の緊急性を認識しつつ、地球上で最も劣化した生態系に焦点を当てて、1兆本の木を共に植えるという野心的な目標を共有し、民間部門及び市民社会の関与の下、気候プロジェクトを通じ、このグローバルな目標を2030年までに達成すべく他の国にG20の取組に参画することを要請する。

20 都市及び循環経済我々は、G20資源効率性対話等を通じて資源効率性の増大にコミットし、持続可能な開発を実現する要素としての都市の重要性及び、第3回国連人間居住会議(ハビタット3)の「新都市アジェンダ」で強調されているように、都市の文脈における持続可能性、健全性、強じん性、福祉を向上させる必要性を認識する。我々は、企業、市民、学術界及び市民社会組織の関与の下、循環経済のアプローチも採用することを含め、持続可能な消費と生産の形態そして排出の管理及び削減の実現に向けた取組を強化し、気候変動の緩和と適応のための現地における行動を支援する。我々は、経済協力開発機構(OECD)及び国連人間居住計画(UN-Habitat)の支援の下、「地方におけるSDGs推進と中間都市のためのG20プラットフォーム」を承認する。我々は、中間都市が、統合的で包括的な都市計画を採用すること、クリーンで持続可能なエネルギーと万人のための持続可能な交通への移行を加速すること、廃棄物管理を改善すること、女性、若者、移民及び難民のエンパワーメント並びにディーセント・ワークを促進すること、障がい者や高齢者を支援すること、食料システムの持続可能性を強化すること、デジタル・イノベーションへのより公平なアクセスを可能にすることを支援する。「災害に強じんなインフラのためのコアリション」のようなパートナーシップは、このアジェンダを加速化させる手段となりうる。

21 エネルギー及び気候科学界からの呼びかけに応え、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最近の報告書に懸念をもって留意し、我々の指導的役割を念頭に置きながら、我々は気候変動という重大で緊急の脅威に対処し、グラスゴーで開催される国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第26回締約国会議(COP26)の成功に向けて共に取り組むことにコミットする。このため、我々は、各国の異なる状況に照らした共通に有しているが差異のある責任及び各国の能力に関する原則を反映した、最大限入手可能な科学的知識に基づき、この重要な10年間に緩和、適応、資金面で行動を起こしつつ、UNFCCC及びパリ協定の完全かつ効果的な実施へのコミットメントを再確認する。我々は、2030年アジェンダの達成を可能にする手段としても、世界の平均気温の上昇を、工業化以前よりも2℃より十分に下回るものに抑え、工業化以前よりも1.5℃高い水準までのものに制限するための努力を追求するというパリ協定の目標に引き続きコミットする。

22 我々は、1.5℃の気候変動の影響は、2℃の場合よりもはるかに低いことを認識する。1.5℃に抑えることを射程に入れ続けるためには、長期的な野心と短・中期的な目標とを整合させる明確な国別の道筋の策定を通じ、また、持続可能な開発の観点から、重要な実現手段としての財政や技術、持続可能で責任ある消費と生産を含む、国際的な協力と支援によって、異なるアプローチを考慮しつつ、全ての国による意味のある効果的な行動及びコミットメントが必要である。我々は、COP26の成功を期待している。

23 この努力において、IPCC評価による評価を受けて、今世紀半ば頃までに温室効果ガス排出量のネット・ゼロ又はカーボン・ニュートラルを達成することの重要性及びパリ協定の目標を達成するために求められる世界的な取組を強化する必要性を認識しつつ、我々は、緩和、適応、資金面での行動を加速させる。したがって、我々は、G20メンバーが世界の温室効果ガス排出量の削減に大いに貢献できることを認識しつつ、最新の科学的発展及び各国の事情に沿って、この10年にさらなる行動をとり、必要に応じて2030年の国が決定する貢献(NDC)を策定し、実施し、更新し、強化し、また、循環炭素経済(CCE)、社会経済・経済・技術・市場の発展を含む様々なアプローチを考慮しつつ、そして最も効率的な解決策を促進しつつ、今世紀半ば頃までに、人為的な排出量と吸収源による除去量の均衡を達成することと整合的である、明確かつ予測可能な道筋を定めた長期戦略(LTS)を策定することにコミットする。我々は、ネット・ゼロ、カーボン・ニュートラルへのコミットメントや、G20メンバーによる新たな野心的なNDC及びLTSを始めとする、今日までに行われた取組と、COP26までにあるいはその際までの取組を認識する。

24 我々は、各国の事情に応じて、気候変動の緩和と適応に野心的な財源の分担を割り当て、気候と環境への悪影響を回避する国家的な復興・強じん化計画を実現する。我々は、更新を奨励しつつ、国際エネルギー機関(IEA)と協力して開発した「持続可能な復興トラッカー」を認識する。我々は、ゼロ・低排出・革新的・現代的でクリーンエネルギーソリューションの可能性を最大限に引き出すため、その最も効率的かつ効果的な開発・展開を加速し、特に開発途上国において、万人のためのクリーンエネルギーへのアクセスを確保することを含め、費用同等性と商業的実現性の迅速な達成を支援するために協働する。我々は、公的な研究・開発・展開を拡大することにコミットする。我々は、経済の全てのセクターにおける最も効率的な解決策に関する主要な国際的なイニシアティブ及び共同又は二国間のプロジェクトを通じたものを含め、相互に合意された条件に基づき、強化された各国主導のキャパシティ・ビルディングと技術開発・移転に関する協力を拡大する。

25 気候変動の影響は、世界中で経験されており、特に最貧層、最も脆弱な人々に影響を与えている。我々は、適応に関する世界全体の目標の効果的な実施の重要性を強調し、その報告書を提出する。我々はまた、国家戦略、優先事項及びニーズを考慮しつつ、利用可能な資金にアクセスするためのメカニズム、条件、手続等を促進することにより、途上国のニーズに対応するための緩和策との均衡を達成する観点から、適応資金の規模を拡大することにコミットする。我々は、意味のある緩和行動と透明性の実施という観点から、途上国のニーズに対応するため、今後2025年にかけて毎年、そして2020年までにも共同で毎年1,000億米ドルの動員という、先進国によるコミットメントを想起かつ再確認するとともに、可能な限り速やかにその目標を完全に果たすことの重要性を強調する。我々は、この観点から、2025年までに、国際的な公的な気候資金の貢献を全体として増加及び改善するという、いくつかのG20メンバーによる新しいコミットメントを歓迎するとともに、その他の国による新しいコミットメントに期待する。我々は、OECDの推計に基づき、2023年までの目標達成が見込まれることを示す、「気候資金支援に関する実施計画」に留意する。また、我々は、持続可能な開発と貧困削減への取組の観点から、気候変動の脅威に対する国際的な対応を強化するというパリ協定の狙いと、その目標の一つが資金の流れを、温室ガスの低排出と、気候変動に対して強じんな開発への道筋と整合的なものとすることであることを想起する。我々は、MDBsを含む国際金融機関が、野心的なタイムスケジュールの中でパリ協定との整合性を追求する努力を強化し、新興市場や途上国経済における持続可能な回復・移行戦略、NDC、長期的な低温室効果ガス排出開発戦略を支援し、国連2030アジェンダの達成を引き続き支援しつつ、そのマンデート及び内部の承認手続に沿って民間資金を動員する計画を打ち出すことを奨励する。

26 我々は、各国の事情を考慮し、NDCを尊重しつつ、温室効果ガス排出量を全体として大幅に削減することにコミットする。我々は、メタンガスの排出が気候変動に大きく寄与していることを認識し、各国の事情に応じて、メタンガスの削減が気候変動とその影響を抑制するための最も迅速で、実行可能で、最も費用対効果の高い方法の一つとなり得ることを認識する。この点において、我々は、様々な機関の貢献を歓迎し、国際メタン排出観測所(IMEO)の設立を含め、メタンに関する特定のイニシアティブに留意する。我々は、温室効果ガス排出量指標を支えるためのデータ収集、検証、測定を改善し、高品質の科学データを提供するための協力をさらに促進する。

27 我々は、2009年にピッツバーグで行われた、無駄な消費を助長する非効率な化石燃料補助金を、中期的且つ段階的に廃止・合理化するというコミットメントを実施するための努力を向上させ、最貧層や最も脆弱な人々に的を絞った支援を提供しつつ、この目標を達成することをコミットする。

28 我々は、気候とエネルギーの間に密接な関係があることを認識し、緩和の取組の一環として、パリの温度目標に整合するような時間軸に合致するよう、エネルギー部門におけるエネルギー強度を削減することにコミットする。我々は、低炭素な電力システムに向けた移行を可能にするため、持続可能なバイオエネルギーを含むゼロ炭素又は低炭素排出及び再生可能な技術の展開及び普及に関して協力する。また、これは、排出削減対策が講じられていない新たな石炭火力発電所への投資をフェーズアウトさせていくことにコミットする国々が、可能な限り早くそれを達成することを可能にする。我々は、グリーンで、包摂的で、持続可能なエネルギー開発を支援するために、国際的な公的及び民間資金の動員にコミットし、我々は、海外の新しい排出削減対策が講じられていない石炭火力発電に対する国際的な公的資金の提供を2021年末までに終了する。

29 我々は、危機から回復するにつれ、気候変動に対処しつつ、そして最も脆弱な家庭やビジネスにも低廉性を確保するエネルギーシステムへの公正かつ秩序ある移行を保証しつつ、エネルギー安全保障を維持することにコミットする。この努力において、我々は、ここ何年ものトレンドを考慮しつつ、エネルギー市場の進化を注視し続け、集中的な対話を促進する。したがって、G20は、国際エネルギー・フォーラム(IEF)と連携して、エネルギー市場の効率性、透明性、安定性を促進するべく、生産者と消費者の間の対話を促進する。我々は、開放的で競争的かつ自由な国際エネルギー市場を促進するとともに、エネルギー安全保障と市場の安定性を強化するための道筋を模索しつつ、様々な供給源、供給者、ルートからのエネルギーの途絶のない流れを維持することの重要性を強調する。我々は、情報通信技術の悪意のある利用を含む攻撃のリスクに対するエネルギーシステムのセキュリティを確保しつつ、エネルギー計画の改善を通じたエネルギー安全保障及び市場安定化の強化におけるデジタル化の役割を認識する。従来のエネルギー安全保障上の課題に引き続き取り組むことに加え、我々は、クリーンエネルギーへの移行には、断続的なエネルギー源の割合の増加、エネルギー貯蔵の需要の高まり、気候変動のパターンに柔軟な制度、異常気象の増加、エネルギーの種類及び供給源の責任ある開発、重要鉱物や物質、半導体及び関連技術の信頼でき、責任のある、持続可能なサプライチェーンなどの側面を統合した、エネルギー安全保障に関する理解の向上が必要であることに留意している。

30 移行及びサステナブル・ファイナンスのための政策我々は、財務大臣及び中央銀行総裁が、気候変動と環境保護といった地球規模の課題への対処、及び、グリーンで、より豊かな包摂的経済への移行促進に協調して取り組むことに合意したことを歓迎する。我々は、G20行動計画において、「地球の保護」を目的とした柱が導入されたことを歓迎する。我々は、気候変動から生じるマクロ経済リスク、及び異なる移行の費用と便益、そしてリスク防止戦略や緩和・適応政策のマクロ経済・分配面への影響について、確立された手法の活用等により、より体系的な分析を実施することの重要性に同意する。我々は、G20の様々なワーク・ストリームが、それぞれのマンデートの範囲内で重複を避けつつ、また、各国の事情を考慮しつつ温室効果ガス排出の少ない経済に移行するための最も適切な政策の組合せに関する我々の議論に情報を提供するため、相乗効果を発揮することを求める。そのような政策の組合せには、脱炭素化及び循環型経済を促進する持続可能なインフラ及び革新的な技術への投資、そして、最貧困層や最も脆弱な人々に的を絞った支援を提供しつつ、適切な場合には炭素に価格付けを行う仕組みやインセンティブの使用を含む、クリーンエネルギーへの移行を支援するための財政、市場、規制の幅広いメカニズムを含むべきである。我々は、ベネチア国際気候カンファレンス及び税制と気候変動に関するG20ハイレベル税シンポジウムでの建設的な議論を歓迎し、また、我々は、気候変動政策のマクロ経済・財政への影響に関する政策対話が、更なる技術的作業から恩恵を受け得ることを認識する。

31 サステナブル・ファイナンスは、持続可能な開発のための2030アジェンダ及びパリ協定に沿って、よりグリーンで持続可能な経済と包摂性のある社会への秩序ある公正な移行を促進するために極めて重要である。我々は、サステナブル・ファイナンス作業部会(SFWG)の設立を歓迎し、また、我々は、G20サステナブル・ファイナンス・ロードマップ及び統合レポートを承認する。当初気候に焦点を当てたロードマップは、気候及び持続可能性に関するG20の広範なアジェンダに関する情報を提供する、自発的かつ柔軟性のある、複数年にわたる行動指向の文書である。我々は、今後数年間のG20メンバーの相互の合意に基づき、生物多様性、自然及び社会問題といった追加的課題を含むよう、徐々にロードマップの対象範囲を拡大することの重要性を認識する。我々は、SFWGが実施する作業を補完する、気候変動による金融リスクに対処するための金融安定理事会(FSB)ロードマップを歓迎する。我々は、気候関連金融安定リスクに関するデータの入手可能性についてのFSB報告書及び、国際的に一貫性のある、比較可能で信頼できる気候関連財務情報開示の推進に関するFSBの報告書とその勧告を歓迎する。我々はまた、FSBの気候関連財務情報開示タスクフォースの枠組及びサステナビリティ基準設定主体の作業を基礎とし、頑健なガバナンス及び公的監視の下で、ベースラインとなるグローバルな報告基準を策定する、国際財務報告基準財団の作業プログラムを歓迎する。

32 国際課税10月8日にOECD/G20「BEPS包摂的枠組み」が公表した「経済のデジタル化に伴う課税上の課題に対応する二つの柱の解決策に関する声明」及び「詳細な実施計画」に示された最終的な政治的合意は、より安定的で公正な国際課税制度を確立する歴史的な成果である。我々は、OECD/G20「BEPS包摂的枠組み」に対して、2023年に新たな課税ルールがグローバルなレベルで発効することを確保するため、「詳細な実施計画」で合意された通りに、モデル規定と多国間協定を迅速に策定することを求める。我々は、途上国がOECD/G20「BEPS包摂的枠組み」への参加を通じて得られた進捗と、国内資金動員の取組を更に支援する可能性のある分野を明らかにする、途上国とOECD/G20「BEPS包摂的枠組み」に関するOECDの報告書に留意する。

33 ジェンダー平等と女性のエンパワーメント我々は、ジェンダー平等へのコミットメントを再確認し、包摂的で持続可能な開発にとって、あらゆるレベルにおける女性と女児のエンパワーメントとリーダーシップの極めて重要な役割を強調する。我々は、新型コロナウイルスのパンデミックによって、不均衡に影響を受けてきた女性と女児を、より良い前進のための取組の中核に据えることにコミットする。我々は、STEM(科学、技術、工学及び数学)分野を含む教育及び機会への平等なアクセス、女性の起業家精神及び指導力の促進、ジェンダーに基づく暴力の根絶、社会・医療・介護・教育サービスの強化、ジェンダーの固定観念の克服、さらに不均等な無償ケア労働及び家事労働の是正といった重要な要素に取り組んでいく。我々は、G20ロードマップ「ブリスベン目標に向けて、また、ブリスベン目標を越えて」を実施し、特に男女間の賃金格差を是正することに注力して、女性の雇用の質と量を早急に高めることにコミットする。我々は、ブリスベン目標に向けた進捗状況及び行動を、関連する年次報告書で共有するという我々のコミットメントを再確認し、国際労働機関(ILO)及びOECDに対し、ロードマップの補助指標を考慮の上、我々の進捗状況を毎年報告し続けることを要請する。

34 我々は、初の「G20女性活躍担当大臣会合」の開催を歓迎し、各国の政策において、適切な実施手段を用いて、ジェンダー平等に対する体系的かつ分野横断的なアプローチに向けた具体的な措置を、引き続き強化する。我々は、学術界、市民社会及び民間部門と協力し、女性のエンパワーメントのために取り組んでいく。この目的のために、我々は今後の議長国の下で、G20女性活躍担当大臣会合の開催を支持する。我々は、2025年に見直される予定である、「女性の経済代表性向上のための民間アライアンス(EMPOWER)」による活動及び同アライアンスのG20への関与を歓迎する。我々は、女性が経営する中小企業を支援するための重要なパートナーシップとして、女性起業家資金イニシアティブを認識する。

35 雇用及び社会的保護新型コロナウイルスのパンデミックは、労働市場における不平等を悪化させ、弱い立場にある労働者に不均衡な影響を与えている。社会的パートナーと協力して、我々は、社会対話を促進し、グローバルなサプライチェーンにおけるものを含む、より大きな社会正義-すなわち安全で健康的な労働条件、全ての人のためのディーセント・ワークを確保するために、人間を中心とした政策アプローチを採用していく。不平等を減らし、貧困を撲滅し、労働者の労働市場への移行及び再統合を支援し、包括的で持続可能な成長を促進するために、我々は、「変化する仕事の世界における全ての人のための適切な社会的保護へのアクセスを確保するためのG20政策原則」にまとめられているように、社会保護制度を強化する。我々は、「リモート・ワークやデジタル・プラットフォームを通じた労働に関する規制の枠組みを強化するためのG20政策オプション」を歓迎する。我々は、デジタル・ジェンダー・デバイドや世代間の不平等に対処することに特別な注意を払いつつ、公平かつ包摂的で誰も取り残さないものであることを確保しながら、リモート・ワーカーやプラットフォーム・ワーカーの適正な労働条件を確保することに取り組み、規制の枠組みを新たな労働形態に適応させるために努力する。また、我々は、ILO及びOECDに対し、「アンタルヤ・ユース・ゴール」に向けた進捗状況のモニタリングを継続することを要請する。我々は、全ての労働者にとって安全で健康的な労働条件を強化するための更なる国際協力へのコミットメントを強調し、「労働における安全と健康に関するG20アプローチ」を歓迎する。

36 教育教育へのアクセスは人権であり、包摂的かつ持続可能な経済の回復にとって重要な手段である。我々は、特に女性、女児及び脆弱な状況に置かれた生徒に注意しつつ、質の高い教育への全ての者によるアクセスの確保にコミットする。我々は、教育システムが包摂的、適応的かつ強じんになるための取組を増やし、教育から質の高い雇用への移行を向上させるような、生涯学習も通じた、教育、雇用及び社会制度間の連携を高める。

37 我々は、世界的な課題に対処するために必要なスキルと意識を若い世代に備えさせる上で、環境スチュワードシップを含めた持続可能な開発に向けた教育の重要な役割を認識する。我々は、この目的のため協力を強化し、より強く効果的な措置を促進することにコミットする。

38 移住及び強制移動パンデミックの影響は、グローバル化した我々の経済において、移住に関し、新たな課題に我々を直面させた。我々は、その移民としての地位にかかわらず、人権及び基本的自由への最大限の尊重を確保するとともに、国内の政策、法制度及び状況に沿った形で、国際協力の精神に基づき、パンデミックへの対応と回復に取り組む上で、移民労働者を含む移民及び難民の完全な包摂を支援するために前進することにコミットする。また、我々は、人道的な必要性及び避難の根源的な原因に対応しつつ、安全で、秩序ある、正規の移住に向けた包摂的なアプローチの一環として、非正規移住の流れと移民を密入国させることの防止の重要性を認識する。我々は、OECDがILO、国際移住機関(IOM)及び国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)との協力の下作成した「2021年国際的移住及び強いられた避難の傾向と政策に関するG20に対する年次報告」に留意する。我々は、今後の議長国下において、移住と強いられた避難に関する対話を継続する。

39 交通及び往来我々は、世界保健機関、国際民間航空機関、国際海事機関及びOECDといった関連する国際機関の作業に即した形で、国際的な往来を安全かつ秩序だった方法で再開させるために努力する。この目的を達成するために、各国の公衆衛生政策を考慮しつつ、我々は、引き続き公衆衛生を保護し、かつ、プライバシーとデータ保護を確保しつつ、検査要件と結果、ワクチン接種証明書及びデジタル・アプリケーションの相互運用性と相互認証を含む、シームレスな往来を確保するために共有された基準が適当であると認識する。我々は、輸送人員の重要な役割と、公衆衛生基準及び無差別の原則に即した航空、海上及び陸上の乗務員の処遇に対する調和されたアプローチの必要性を強調する。

40 金融規制我々は、新型コロナウイルスのパンデミックから得られた金融安定の観点からの教訓及び次のステップの提案に関するFSBの最終報告書を歓迎する。グローバル金融システムは概ね強靭だが、我々が、2008年の金融危機後に合意されたG20規制改革の残された要素を完了すること等により対処することにコミットした規制枠組み上のギャップが残っている。我々はまた、FSBのノンバンク金融仲介(NBFI)に関する作業計画を実施することにより、NBFIセクターの強じん性を、システミックな観点を持って強化すること及び、中央銀行による異例の介入の必要性を減らすことにコミットしている。我々は、マネー・マーケット・ファンド(MMF)の強じん性を強化するための政策提案に関するFSBの最終報告書を承認し、各法域の事情に措置を合わせる必要性を認識するとともに、クロスボーダーな検討を考慮しつつ、報告書の枠組み及び政策ツールキットを用いて、我々の法域におけるMMFの脆弱性を評価し、対処する。

41 我々は、クロスボーダー決済の改善に向けたG20ロードマップにおいて設定された2021年のマイルストーンに関し報告された進捗を歓迎し、また、我々は、FSBの報告書において設定された、コスト、スピード、透明性、アクセスに関する課題に2027年までに対処するための野心的だが達成可能なグローバルな定量目標を承認する。我々は、公的な当局と民間部門に対し、これらの目標を達成するために実務的な改善をもたらすよう協働することを要請する。我々は、いかなるいわゆる「グローバル・ステーブルコイン」も、関連する全ての法律上、規制上及び監視上の要件が、適切な設計と適用可能な基準の遵守を通して十分に対処されるまではサービスを開始するべきでないことを再確認する。我々は、各法域に対しFSBのハイレベル勧告の実施を進めることを、また、基準設定主体に対しFSB勧告を踏まえて基準又は指針を調整するか否かについて評価を完了させることを奨励する。我々は、決済・市場インフラ委員会、国際決済銀行イノベーションハブ、IMFそして世界銀行に対し、クロスボーダー決済の改善における、中央銀行デジタル通貨の潜在的な役割と国際通貨システムへのより広範なインプリケーションに関する分析を引き続き深めるよう、奨励する。我々は、ランダル・クォールズ(RandalK.Quarles)氏のFSB議長としての働きに感謝し、彼の後任としてクラス・クノット(KlaasKnot)氏の任命を歓迎する。

42 貿易及び投資我々は、成長、雇用創出、産業生産性の回復及び持続可能な開発の促進のために、開かれた、公正で、公平で、持続可能で、無差別かつ包摂的な法に基づく多角的貿易体制の役割の重要性と、WTOを中心とした、体制強化へのコミットメントを確認する。「WTOの将来に関するリヤド・イニシアティブ」を想起しつつ、我々は、WTOの全機能を改善しつつ必要な改革を担うため、すべてのWTO加盟国と積極的にかつ建設的に取り組んでいくことに引き続きコミットするとともに、我々は、開発の課題への対処を含め、包括的かつ透明性のあるアプローチを通じた、このコミットメントを実施に移す必要性を強調する。WTOの改革を前に進めWTOを活性化するための重要な機会として、我々は、第12回WTO閣僚会議(MC12)が、成功裏に終わりかつ生産的なものとなることにコミットする。我々は、適時で、公平でグローバルなワクチンへのアクセスの強化に向けて取り組むことを含め、MC12までに貿易と保健に関する成果を挙げることを視野に、多角的貿易体制の能力を強化し、多面的な対応を通じてパンデミックと災害に対する準備及び強じん性を高めるため、MC12に向けて、そしてその後も、全てのWTO加盟国と協働する。我々は、SDG14.6に沿って、MC12までに、有害な漁業補助金に関する有意義なWTO合意を達成することを支持し、農業に関する進行中の取組を歓迎する。

43 我々は、健全で、予見可能かつ透明性のあるサービス貿易と投資に関する国内規制の枠組の重要性を認識する。我々は、公正な競争の重要性を強調し、我々は、好ましい貿易及び投資環境を育成するため、公平な競争条件の確保に引き続き取り組む。貿易摩擦の緩和、全部門の貿易及び投資における歪曲への対処、サプライチェーンの混乱への対応、そして互恵的な貿易・投資関係の促進は、経済が新型コロナウイルスのパンデミックに対応し、回復するにあたって、不可欠である。我々は、貿易及び環境政策は、相互に支えあい、かつWTO整合的であるべきで、持続可能な開発の目的に従って世界の資源の最適活用に貢献すべきと考える。我々は、世界経済により統合されるために、中小零細企業の能力を強化する重要性を強調する。

44 インフラ投資我々は、回復の段階における質の高いインフラ投資の不可欠な役割を認識する。我々は、強じんで、適切な資金供給を受け、よくメンテナンスされ、最適に管理されたシステムは、ライフサイクルを通じてインフラ資産を保全する上で不可欠であり、損失や破損を最小化し、安全で信頼できる質の高いインフラサービスの提供を確保していることを認識する。このために、我々は、「インフラのメンテナンスに関するG20政策アジェンダ」を承認する。我々は、「投資対象としてのインフラに向けたG20ロードマップ」に沿って、また「G20インフラ投資家対話」に基づき、民間資金を動員するため、官民の投資家間の更なる協働を引き続き柔軟に発展させる。我々は、より包摂的なインフラを促進するために、地方当局と中央政府の間で知識の共有を促進することの重要性を強調する。我々は、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」に関する作業を引き続き推進する。我々は、グローバル・インフラストラクチャー・ハブのマンデートを2024年末まで延長することに合意する。

45 生産性デジタル・トランスフォーメーションは、生産性を向上させ、回復を強化し、幅広く共栄に貢献する潜在性を有する。我々は、政策オプションを提供し、グッドプラクティスを共有し、包摂性を促進し、デジタル化による成長機会を活用するための国際協力の重要な役割に焦点を当てる「G20政策オプション・メニュー―デジタル・トランスフォーメーションと生産性回復―」を承認する。同メニューを活用し、生産性の成長維持、及び国やセクターの間及びそれらの中で便益が均等に分配されることを確保するための政策について、引き続き議論していく。我々は、回復を支えるために、優れたコーポレート・ガバナンスの枠組み及びよく機能する資本市場が重要であることを認識し、「G20/OECDコーポレート・ガバナンス原則」の見直しに期待する。

46 デジタル経済、高等教育及び研究我々は、世界の回復と持続可能な開発を実現させる鍵となるものとして、技術及びイノベーションの役割を認識する。我々は、プライバシー、データの保護、知的財産権及び安全性に関連する諸課題に対処しつつ、新技術の適用を加速させ、ビジネスと起業家を繁栄させ、消費者を保護し、かつ能力を与えるような、促進的で、包摂的で、開かれ、公正で、無差別なデジタル経済を創出させるような政策の重要性を認識する。デジタル経済への中小零細企業のより良い包摂を支援する必要に留意しつつ、我々は、コンセンサスに基づく国際基準の活用や、消費者保護、デジタルスキル及びリテラシーの向上も通じ、生産、加工、サービス及びビジネスモデルのデジタル化に向けた行動と国際協力の強化にコミットする。我々は、どのように貿易及びデジタル政策が、世界市場における中小零細企業の競争力を強化し、中小零細企業が直面する特有の課題に対処するかを強調しつつ、多国間による取組が、パートナーシップ、協働、協創、及び人類に裨益する技術及び応用への民間投資を促進させるようなプラットフォームとしての、「G20イノベーション・リーグ」の結果を歓迎する。また、我々は、トレーサビリティの向上による消費者保護を目的としたブロックチェーン・ネットワークといった分散型台帳技術の適用への取組も開始した。我々は、情報通信技術(ICT)が我々の社会において果たす役割の増大を認識する。この文脈において、我々は、ランサムウェアその他の手段によるサイバー犯罪を含む、増大するセキュリティの課題に対処する必要性を強調する。この点に留意しつつ、我々は、ICTの安全を確保し、共通の脆弱性と脅威に対処し、サイバー犯罪と闘うための二国間及び多国間の協力を強化するために取り組む。

47 我々は、信頼できる人間中心の人工知能(AI)の責任ある利用と開発から生じる利益を十分に認識しつつ、競争とイノベーションを促進するための中小零細企業と新興企業に特有のニーズ、多様性と包摂性、さらにはAIの研究、開発及び応用を促進するための国際協力の重要性を考慮しつつ、「G20AI原則」の実行を推進する。我々は、「中小零細企業や新興企業のAI導入を促進するG20の政策事例」を歓迎する。

48 我々は、信頼性のある自由なデータ流通及び国境を越えたデータ流通の重要性を認識する。我々は、開発のためのデータの役割を再確認する。我々は、関連する適用可能な法的枠組みに従って、プライバシー、データ保護、安全性及び知的財産権に関するような課題に対処することに引き続き取り組んでいく。また、我々は、将来の相互運用性を促進するため、引き続き共通理解を促進し、既存の規制手段と、信頼性のあるデータ流通を可能にする枠組みとの間の共通性、補完性及び収れんのための要素の特定に向け、引き続き取り組んでいく。デジタル・サービス・プロバイダの責任を認識しつつ、我々は、人権や基本的自由を保護しながら、2022年にインターネットの安全性の向上やオンライン上の虐待、ヘイトスピーチ及びオンライン上の暴力・テロへの対策によって、デジタル環境における信頼の向上に向け取り組んでいく。我々は、最も脆弱な人々を守ることに引き続きコミットし、デジタル環境における児童に関するOECD勧告から引用された「デジタル環境における児童の保護及びエンパワーメントのためのG20ハイレベル原則」及び児童オンライン保護に関する国際電気通信連合(ITU)2020ガイドラインを始めとする、その他の適切な手段を認識する。

49 金融包摂我々は、中小零細企業(MSMEs)を含め、脆弱で十分なサービスを受けられない社会の層のデジタル金融包摂を強化し、金融包摂のためのグローバル・パートナーシップ(GPFI)の取組を前進させ、「G20の2020年金融包摂行動計画」を実施するとのコミットメントを再確認する。我々は、政策立案者にパンデミック後の世界における新たな金融包摂戦略の基礎を築く取組における指針を提供することを目的として、デジタル金融リテラシー及び金融消費者とMSME保護のためのG20政策オプション・メニュー「新型コロナウイルス危機の先のデジタル金融包摂の強化」を承認する。我々は2021年G20首脳向けGPFI最終報告書及びG20送金目標に向けた2021年首脳向け進捗アップデートを歓迎する。我々は、GPFIが国別送金計画の監視を進め、より詳細なデータを収集することにおいて、GPFIを支持し、送金の流れの継続的な促進及び平均的な送金コストの削減を強く奨励する。

50 データ格差環境問題に関係するものを含むデータの入手可能性及び提供を改善し、デジタル化により生み出されたデータの蓄積を活用することは、我々の意思決定をより良いものとするために重要である。我々は、IMFが、FSBと経済及び金融統計に関する当局間グループ(IAG)との緊密な協力の下でこれまでに行った、考え得る新たなG20データギャップ・イニシアティブに向けた取組に留意し、そのさらなる発展に期待する。

51 我々は、行政機関内のデジタル・ツールの効率的な使用の重要性を認識しつつ、引き続きアジャイルな規制枠組みを促進し、人間中心で、能動的で、使いやすく全ての人にアクセス可能な公的なデジタル・サービスを提供していく。我々は、プライバシー及び個人データの保護を促進する一方で、公的及び民間セクターのサービスへのより良いアクセスを提供する、安心で、相互運用可能で、信頼できるデジタル・アイデンティティ・ソリューションに関する真新しい重点を歓迎する。我々は、緊急のシナリオにも展開可能なデジタル・アイデンティティ・ツールの設計のための更なる取り組みを追求する。

52 我々は、質の高いデジタル・インフラへの持続可能な投資が、デジタル・デバイドの削減に大いに貢献できることを認識するとともに、引き続き2025年までに全ての人のための連結性に向けた普遍的で、手頃なアクセスを促進していく。我々は、普遍的、安全、手頃、先進的でよく機能するデジタル・インフラは経済回復の重要な原動力であるとの認識の下、OECDの支援を受けて作成された「デジタル世界に向けた質の高いブロードバンド連結性の資金調達と育成のためのG20ガイドライン」を承認する。

53 我々は、我々の研究及び労働力が、その能力を急速に展開するデジタル環境に適応させ、共有された倫理的な原則及び価値を堅持しつつ、イノベーションとデジタル・ツールの潜在性を牽引することを確保するための取組を強化する。また、我々は、研究協力、オープン・サイエンス及び高等教育を促進するための共通のデジタル・インフラを活用する。我々は、世界中の何十億もの生活を改善し、グローバルな課題に効率的に対処する上で、科学的進歩の重要な関連性を堅く確信し、最先端技術に起因するリスクを考慮に入れつつ、デジタル技術に関するものを含む科学的研究が、責任性を伴った、安全で、透明で、公正で、包摂的で安心な形で、実施されることを引き続き確保していく。

54 我々は、デジタル・タスクフォースを作業部会へ移行することを歓迎し、デジタル経済に関する更なる議論のために、適切な形でデジタル大臣を招待する。

55 観光我々は、2020年に行われた作業を基礎としつつ、各部門の中でも、パンデミックにより最も大きな影響を受けた、観光部門における、迅速で、強じんで、包摂的で、持続可能な回復を、特に途上国及び中小零細企業に焦点を当てつつ、引き続き支援する。我々は、「観光の未来に関するG20ローマガイドライン」を承認し、特に安全な移動、シームレスな旅行、持続可能性及びデジタル化について、その目的を履行するための行動を取ることにコミットする。我々は、観光を支援する中で、創造的な経済及びイノベーションの分野における協力を模索する。このため、我々は、観光大臣に対し、OECD、世界観光機関(UNWTO)その他の関連国際機関との協力を追求するよう求める。

56 文化我々は、文化には固有の価値があることを想起しつつ、国連教育科学文化機関(UNESCO)が重要な役割を果たす、文化を守り促進するための国際的な取組の重要性、そして雇用、社会的保護、デジタル化及びビジネス支援策へのアクセスを促進することで、文化分野を含む労働者を支援する必要性を強調しつつ、持続可能な開発の原動力として、そして、我々の経済・社会の強じん性及び再生を促進させる上で、文化が果たす役割並びに文化的で創造的な専門家及び企業が果たす役割を強調する。我々は、国連安保理決議2347号の目的を想起しつつ、代替不可能な文化資源に対する脅威に対処すること並びに紛争や災害によって損傷を受け、不正に取引され又は危険にさらされている文化遺産を保護及び保全することの重要性を強調する。我々は、関連する機関が文化に関するG20の協力をさらに追求するよう求める。

57 腐敗対策我々は、公的部門及び民間部門における腐敗に対するゼロ・トレランス及び腐敗に対するグローバルな闘いにおける共通目標の達成への我々のコミットメントを新たにするとともに、「2022-2024腐敗対策行動計画」を採択する。我々は、学術界、市民社会、メディア及び民間部門などの他の利害関係者への関与をさらに強化し、この分野における彼らの重要な役割及び積極的な参加を引き続き促進する。我々は、新しくかつ複雑なあらゆる形態の腐敗と闘うことにコミットする。我々は、組織犯罪に関する腐敗、スポーツにおける腐敗対策及び緊急時の腐敗を防止しこれと闘うことに関する各G20ハイレベル原則を承認し、「G20腐敗対策説明責任報告書」を採択する。我々は、国内法に従って、腐敗犯罪者及び彼らの資産にとってのセーフ・ヘイブンを否定し、国境を越える腐敗と闘うことへのコミットメントを再確認する。また、我々は、金融活動作業部会(FATF)の勧告に沿って、法人及び法的取極並びに不動産の国際的及び国内的な実質的支配者情報の、特に国境を越えるフローの透明性を向上させるために、法的に適切な措置を採用することにより、所轄当局に対し適切、正確かつ最新の情報を提供する。

58 我々は、特に公的部門との関係において、民間部門における清廉性の文化を促進することに引き続きコミットする。腐敗をより良く測定するための我々の共同の取組の一環として、我々は、「腐敗指標に関するグッドプラクティス集」を歓迎する。我々は、G20諸国が、外国公務員に対する贈賄を含む贈収賄を犯罪化する関連する義務を遵守するために、規制及び法律を適合させ、国内外の贈収賄を効果的に防止、発見、捜査、起訴及び制裁するための取組を強化することを確保する。我々は、全てのG20諸国がOECD外国公務員贈賄防止条約を遵守する可能性を期待して、行動計画の期間における具体的な取組を示し、腐敗の防止に関する国際連合条約第16条に沿って外国公務員贈賄を犯罪化しかつ外国公務員贈賄防止法制を執行することに向けた我々の行動に関する情報を共有する。腐敗対策における国際協力をさらに向上させる手段として、我々は、「グローブ・ネットワーク」による進捗を歓迎する。

59 我々は、金融活動作業部会(FATF)及びグローバル・ネットワークへの完全な支持を再確認し、マネーロンダリング、テロ資金供与、拡散金融対策(AML/CFT/CPF)の効果的な実施が、金融市場の信頼構築、持続可能な回復の確保、そして国際金融システムの健全性維持に必要不可欠であることを認識する。我々は、合法的なクロスボーダー決済を確保し、金融包摂を促進するという目的のため、FATF勧告におけるリスクベース・アプローチの妥当性を強調する。我々は、実質的支配者の透明性を向上させるためのFATF勧告の強化への支持を確認し、特にFATFの報告書の結果に基づいて行動することで、環境犯罪からのマネーロンダリングと闘うことを各国に要請する。我々は、FATF型地域体(FSRBs)の作業を維持・強化することを目指した、財務大臣及び中央銀行総裁のコミットメントを再確認する。

60 我々は、人類の力強さの証となる、世界中のアスリートのための競技の機会として、2022年北京冬季オリンピック・パラリンピック競技大会を見据える。

61 我々は、国際機関及びG20エンゲージメント・グループに対し、彼らの価値のあるインプット及び政策提言について感謝する。我々は、議長国イタリアに対し、成功裏に欧州委員会とのグローバル・ヘルス・サミットを共催し、ローマ・サミットを開催したこと、そしてG20プロセスへの貢献について感謝し、我々は、2022年にインドネシア、2023年にインド、そして2024年にブラジルで開催予定の会合を楽しみにしている。

(了)