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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想に関する共同発表

[場所] バリ
[年月日] 2022年11月14日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

 日本とインドネシアは、2022年11月14日、バリにおいて、G20首脳会合のサイドラインで、「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想の実現に向けたイニシアチブを共同で発表した。両国は、アジアが、世界の経済成長の中心として、世界経済のドライビングフォースになるとともに、各国の異なる事情を考慮しながらクリーン、持続可能、公正、経済的及び包括的なエネルギー移行を実現することにおける協力のモデルにもなると確信する。この地域が経済発展を損なうことなく世界のエネルギー移行のプロセスを主導することを可能とするため、カーボンニュートラル/ネット・ゼロ排出という目標を達成するためのエネルギー移行のプロセスにおいては、供給の確保、経済性、及び人中心であることが重要な鍵となる。

 日本とインドネシアは、エネルギー移行が経済成長を牽引するとの考えを共有し、他のアジア諸国に対し、このイニシアチブに参加するよう呼びかける。両国は、経験と能力の共有における互恵的な協力及び連携がAZEC構想を実現させる鍵であると確信する。

 日本は、AZECの協力枠組みの一環として、インドネシアにおけるエネルギー移行のプロセスを支援するためにインドネシア側と共に日本の公的機関からの資源・資金を動員することによってインドネシアを支援する用意がある旨を表明した。日本貿易保険(NEXI)は、完全に統合されたインドネシアの国営電力会社であるPLNがエネルギー移行を実行する取組を支援するため、最大5億米ドルの融資に対する保険を引受けるための覚書の改訂に署名する。また、国際協力銀行(JBIC)とPLNは、潜在性のある再生可能エネルギーのプロジェクトや排出削減技術の開発におけるパートナーシップを強化するため、同社と日本企業による協業を通じて持続可能なエネルギー移行を促進するための覚書に署名した。この協力は、前述の活動に限られるものではなく、より多くの関係者を関与させる形で発展し続ける。

 両国は、AZECの協力を発展させることがアジアにおける協力モデルの先駆けとなることを希望する。我々は、アジアにおけるエネルギー移行を加速させるためのこれらの協力的な取組に参加するよう、他のアジア諸国に対して重ねて呼びかける。