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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] インドネシアJETPに係る共同プレスリリース

[場所] インドネシア・バリ
[年月日] 2022年11月15日
[出典] 財務省
[備考] 仮訳
[全文] 

インドネシアと国際パートナーが画期的な気候変動目標と関連する資金を確保

インドネシア・バリ島-本日、G20サミットの「グローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII)」のイベントにおいて、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領と、米国と日本により共同で主導された、カナダ、デンマーク、欧州連合、フランス、ドイツ、イタリア、ノルウェー、英国が参加する同志国の国際パートナーズグループ(IPG)のリーダーたちは、インドネシアとともにそのG20議長下で発展した「公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)」を立ち上げた。この画期的なパートナーシップは、地球温暖化を1.5℃以内に抑えることを射程に入れ続けることと整合的な形で、インドネシアにおける野心的で公正な電力部門の移行を支援する。

インドネシアは、国際的なパートナーの支援を受けながら、温室効果ガス排出量を削減し、影響を受けるコミュニティを支援する、重要な新しい目標と政策を達成するための包括的な投資計画を策定するために、以下のように取り組む。

・ 電力部門の総排出量ピークを2030年までとし、予測される排出量のピークを前倒しする。

・ 電力部門の排出量の上限を、ベースライン値である357MT-CO2から、2030年に290MT-CO2に引き下げる。

・ インドネシアの電力部門の排出量ネットゼロ目標を10年前倒しし、2050年までに電力部門の排出量をネットゼロにするとの目標を設定する。

・ 再生可能エネルギーの導入を加速し、2030年までに再生可能エネルギーによる発電が全発電量の少なくとも34%を占めるようにする。これは、この10年における再生可能エネルギーの総導入量を現在の計画と比較しておよそ倍増にすることである。

これらの目標を達成するために、この長期的なパートナーシップは、贈与、譲許的融資、市場金利融資、保証、民間投資を組み合わせて、3年から5年の間にまず200億米ドルの公的及び民間資金を動員することを意図する。JETPへの貢献は、100億ドルの公的資金のプレッジと、バンク・オブ・アメリカ、シティ、ドイツ銀行、HSBC、マッコーリー、MUFG、スタンダードチャータードを含む、「ネットゼロのためのグラスゴー金融同盟(GFANZ)」が調整する初期メンバーの民間金融機関からの100億米ドルの民間投資を含む。このパートナーシップは、国際開発金融機関の専門知識、資源、業務も活用する予定である。

このパートナーシップの成功により、インドネシアの電力部門のピーク時期が約7年早まり、結果として累積温室効果ガス排出削減量は、インドネシアの現在の軌道から、2030年までに300MT以上の削減が、2060年までに2GTを大きく超える削減が期待される。

今後6ヶ月間、参加国はこれらの野心的な目標を支援するための投資、資金、技術支援に関する具体的な計画の策定に共同で取り組む。

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、「インドネシアは、エネルギー移行を利用してグリーン経済を達成し、持続可能な開発を推進することを約束する。我々は、この移行を加速させる完全な実施を実現する国際的なパートナーの協力と支援に感謝している。このパートナーシップは、グローバルな社会にとって貴重な教訓を生み出し、具体的な協調行動を通じて、私たちが共有する気候変動目標の達成に向け、他の国でも再現することができるだろう」と述べた。

バイデン米国大統領は、このパートナーシップの重要性を強調し、「インドネシアは、このパートナーシップの構築を通じて、多大なリーダーシップと野心を示してきた。その結果生まれた新しい加速された目標は、質の高い雇用を創出し、生活と地域社会を守るというコミットメントを前進させながら、各国がいかに排出量を劇的に削減し、再生可能エネルギーを増やすことができるかを示している」と述べた。

日本の岸田文雄首相は、「日本は、1.5度目標に向けたインドネシアのコミットメントを支援するパートナーシップの立ち上げを歓迎する。日本は、他のパートナー国との連携の下、米国と共にパートナーシップを主導し続け、民間部門のさらなる関与により、インドネシアの石炭から再生可能な代替エネルギーへの現実的かつ野心的な移行を加速させる」と述べた。

カナダのジャスティン・トルドー首相は、「クリーンエネルギーの開発は、気候変動に対処し、より安全で持続可能かつ強力な世界経済へ移行するための中心的な要素である。この新しいパートナーシップを通じて、カナダは、インドネシアが気候及びエネルギーの目標を達成し、再生可能エネルギーによる発電量を増進し、地域社会や労働者に投資し、エネルギー安全保障を強化しながら排出を削減することを支援する」と述べた。

欧州連合のヴァズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長は、「インドネシアのための「公正なエネルギー移行パートナーシップ」は、よりグリーンで、よりクリーンなインドネシアの未来、及びインドネシアの人々にとっての機会に満ちた未来に向けたロードマップを描く。インドネシアが再生可能エネルギーのハブになることで、経済の転換の恩恵を受けるのは彼ら自身となる」と述べた。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、「フランスは、再生可能エネルギーの導入を促進し、カーボンニュートラルに到達するというインドネシアのコミットメントを支援するこの野心的なパートナーシップの一員となることを誇りに思う。このパートナーシップは、インドネシアの発展を支え、誰一人取り残さない公正な方法で多くの経済機会を創出するだろう」と述べた。

ドイツのオラフ・ショルツ首相は、「エルマウでのG7サミットで、G7と国際的なパートナーは、「公正なエネルギー移行パートナーシップ」を推進した。インドネシアとの協力による我々の進展は、気候変動対策を加速させることが、公正な移行と経済的繁栄とが密接に関係しているという強いシグナルである。このJETPは、多国間協力、エネルギー移行、持続可能な投資のための先を指し示すプロジェクトだ」と述べた。

イタリアのジョルジア・メローニ首相は、「イタリアは、化石エネルギー源から再生可能エネルギーへのインドネシアのエネルギー移行を促進するために、多くの資金と技術支援を提供する野心的なプラットフォームである「公正なエネルギー移行パートナーシップ」の一員となることを誇りに思う」と述べた。

ノルウェーのヨーナス=ガール・ストーレ首相は、「ノルウェーは、このパートナーシップに貢献し、エネルギー移行を加速させるインドネシアの取組を支援できることを嬉しく思う。私たちは、これにより、再生可能エネルギーの導入を加速し、気候危機を抑えるための大規模な排出量削減に効率的に貢献するためにかなり必要とされる民間資本を動員できると信じている」と述べた。

英国のリシ・スナク首相は、「インドネシア政府と新たな「公正なエネルギー移行パートナーシップ」の立ち上げを、誇りに思う。これにより、新たなグリーン・インフラのための数十億ドルの民間資金が引き出されるだろう」と述べた。