[文書名] サイエンス20 - G20 サイエンス・アカデミー・サミット 持続可能な開発のための変革する科学 共同声明
我々、G20 各国及び招待国の科学アカデミーは、2023年7月21日、22日にインドのコインバトールで会合を開催し、「一つの地球、一つの家族、一つの未来(Vasudhaiva Kutumbakam)の精神に基づき、持続可能な開発のための変革する科学の必要性を認識した。
サイエンス20(S20)会議は、G20議長国であるインドが主催し、「持続可能な開発のための変革する科学」をテーマに開催された。S20は3つのサブテーマ「より環境に優しい未来のためのクリーンエネルギー」、「ユニバーサル・ホリスティック・ヘルス」、「科学を社会と文化につなぐ」について議論を行った。我々の提言の詳細は次のとおりである。
G20インド2023: サイエンス20コミュニケ 持続可能な開発のための変革する科学
A. より環境に優しい未来のためのクリーンエネルギー
背景
1. エネルギーは人類と経済の発展を支えており、不可欠なものである。しかし、現在主流のエネルギーシステムは、気候変動やその他の環境と健康に悪影響を及ぼしている。入手可能な最高の科学を代表する気候変動に関する政府間パネル(Inter- governmental Panel on Climate Change: IPCC)は、2019年に、エネルギー、輸送及び産業部門が、59ギガトンの二酸化炭素(GtCO2)総直接排出量の72%を占めていると指摘した*1*。国連が持続可能な開発目標の第7の目標(SDG7)として採択した、クリーンで手ごろな価格のエネルギーは、人類の持続可能な未来にとって不可欠であり、従って、緊急の考慮を必要としている。
2. 過去10年間の技術革新と普及が大きく進歩したことにより、太陽光発電(photovoltaic: PV)や風力等の低炭素/排出技術のコストが低減した。これは大規模な脱炭素化*2*のための多くの機会に道を開いた。同時に、実用的な規模で貯蔵するソリューションと重工業及び輸送の脱炭素化のコストが依然として高いこと、大規模に展開されていないことなど、いくつかの課題が残っている。気候変動問題の緊急性に鑑みると、クリーンエネルギーへの転換速度を大きく加速する必要がある。これはエネルギー部門が主たる温室効果ガス(greenhouse gas: GHG)の原因であること、及び今世紀半ば又はその前後までに、GHG排出量のグローバル・ネットゼロを達成する必要があることについての幅広いコンセンサスによる。
3. エネルギー転換において、公平性についての配慮がますます議論の中心になりつつあり、今や重要な役割を果たさなければならなくなっている。世界レベルでは、各国のGHG排出量はそれぞれ異なるレベルであり、各国の開発、能力、脆弱性のレベルもそれぞれ異なる。同様に、大規模な組織的転換は、経済及び雇用構造に、非常に大きな分配上の影響を与えるため、公平性の問題が地方レベルにおいても発生する*3*。そのような問題及びそれらへの対処方法の探求は、近年更に勢いを増している。
4. これらの問題に適切に対処しなければ、クリーンエネルギ―への転換を阻害する可能性があるため、倫理的な理由だけでなく、実質的な理由から、取り組む必要がある。
5. その成果の1つは、最も広い意味で、誰も置き去りにしないことを目的とした「公平な移行(Just Transitions)」への注目が高まっていることである。*4*エネルギー転換によって不利な立場に置かれる人々(化石燃料に依存する労働者、コミュニティ、及び国々など)が大きく注目を集める一方、真に包摂的であるためには、クリーンエネルギーを利用できない人々にも焦点を当てる必要がある。
6. 国際エネルギー機関(IEA)によれば、2022年に、世界中で7億7,500万人が電力を利用できず、約25億人が清潔な調理施設を利用できなかった*5*。驚くべきは、この問題が単に大きいというだけでなく、それが続いていることである。クリーンなエネルギーを利用できないことは人類の発展を阻害する。特に女性と子供たちに影響を与える。例えば、家庭における大気汚染、主にバイオマス、灯油又は石炭の燃焼から発生する煙が、年間約320万人の早期死亡に関係している*6*。従って、クリーンエネルギ―利用の問題は、環境に優しいエネルギーへの転換の不可欠な一部として取り組むべき課題である。
7. G20諸国は世界のエネルギー消費量の75%超及びCO2排出量の75%超を占めている。G20は世界的なクリーンエネルギーの技術革新にも大きな責任を負っている。従って、G20諸国国間の調整と協働を強化することは、世界のエネルギーシステムを持続可能で、包摂的で環境に優しく公正な結果をもたらす方向に転換していくための鍵となろう。
今後の道筋
8. サイエンス20のアカデミーは、G20諸国に対し、パリ協定の長期気温目標に沿って(市場に基づくアプローチの活用を含む)、持続可能で、包摂的で、環境に優しい公正な転換を前進させつつ、クリーンエネルギーへの転換を加速するために協働することを一層強化するよう促す。
a) 協力と協働とパートナーシップを通じて、全ての段階における技術革新を強化すること。
i. 更なる開発が必要な技術又は商業化前の段階にある技術について、G20諸国は協力強化を目指すべきである。これは共同研究開発プロジェクト、長期の技術革新プログラムへの共同出資及びクリーンエネルギーの研究開発への投資を奨励する政策体制を発展させることにより実現可能である。G20諸国は、また、クリーンエネルギーのスタートアップ・エコシステムを共に支援し、強化する努力も推進すべきである。この努力は、他の関連するG20の取り組みとリンクし、相乗効果を見出すべきである。成熟した、商業的に競争力のある技術について、G20諸国はパイロット・プロジェクトを通じて、特定の技術に対する政策策定の効果的な実践を共有し、財政及び技術のフローを奨励しつつ、その進展を加速するために協力すべきである。
ii. 再生可能電力、ゼロエミッション及び低排出技術によって生産される水素、それらの派生物(例えば、アンモニア、バイオ燃料、合成燃料(e-fuel))及びエネルギー貯蔵は、クリーンエネルギーへの転換の鍵になる可能性があり、それゆえに、特別に注目する必要がある。
iii. したがって、G20諸国がこれらの分野で、共同で研究開発努力を高め、早期の展開を調整し、大規模化及び展開経路の効果的な実施事例を共有することにより、連携を強化することを提言する。このような活動に産業界がより大きく関与することは必須である。
iv. G20諸国は、研究開発及び実証を通じて、需要側の削減に、よりフォーカスすることが求められる。これには物理科学及びその他の分野、例えば行動科学、経済学、社会学、地理学、心理学、建築学、文化研究などが含まれる。このような努力がG20諸国及びその他の国々に大きな利益をもたらす可能性がある。
b)クリーンエネルギー技術の進歩を活用したクリーンエネルギーへのアクセス向上
i. サイエンス20のアカデミーは、G20諸国がクリーエネルギ―へのアクセスを向上させるための行動をとることを推奨する。これはクリーンエネルギー技術、特に再生可能エネルギーとその貯蔵における能力向上及びコスト削減によって達成することができる。
ii. 再生可能エネルギー技術、キャパシティ・ビルディング及び適切な政策の推進を含め、多面的なアプローチが必要である。地方政府、NGO、民間企業との連携により、G20諸国はクリーエネルギ―プロジェクト、例えば太陽光及び風力システム、ミニグリッド、エネルギー効率の高い解決策の実施を促進することができる。このような努力の成果は、クリーンかつインクルーシブな未来のエネルギーへのを世界的に進展させつつ、生活を向上させ、コミュニティに力を与え、GHG排出を削減し、経済発展を促進するなど、広範に及ぶ可能性がある。
{*1* IPCC. 2022. Climate Change 2022: Mitigation of Climate Change. Contribution of Working Group III to the Sixth Assessment Report of the Intergovernmental Panel on Climate Change. Cambridge, UK: Cambridge University Press.
{*2* 脱炭素化とは、「人間の活動による二酸化炭素排出を低減する人間の行動」
www.ipcc.ch/report/ar6/wg3/downloads/report/IPCC_AR6_WGIII_Annex-I.pdf}
{*3* 同上}
{*4* UN DESA Policy Brief No. 141: 緑の転換: これまでの考え方及び実践 Department of Economic and Social Affairs - United Nations.: https://www.un.org/development/desa/dpad/publication/un-desa-policy-brief-no- 141-a-just-green-transition-concepts-and-practice-so-far}
{*5* IEA SDG7: Data and projections – analysis, IEA. Available at: https://www.iea.org/reports/sdg7-data-and-projections/}
{*6* Household Air Pollution - World Health Organization: https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/household-air-pollution-and-health}
G20 インド2023: サイエンス20コミュニケ 持続可能な開発のための変革する科学
B. ユニバーサル・ホリスティック・ヘルス
背景
1. 生涯にわたってウェルビーイングを増進させながら、すべての人の健康寿命を延ばすことは、国連の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)、特に目標3の主要な目的である。経済・社会の発展は、国レベルでも世界的レベルでも、良好な健康状態に左右される。従って、普遍性(universality)は、公正の基本的概念とより広範な発展のための個人及び人口レベルにおける健康の重要性という理由により、留意すべき重要な事項である。
2. 健康には、内因的価値と手段的価値(例えば、経済的価値)の両方がある。また、良好な健康状態を維持するためのホリスティック(包括的な)・アプローチの役割に関する理解も向上している。健康を大局的に見るには、自然環境や社会環境も考慮する必要がある。これは、人間の健康と他の動植物及び生態系との相互関連に焦点を当てた、世界保健機関(World Health Organization: WHO) 及び他の国連機関の提案する「ワン・ヘルス(One Health)」*1*アプローチにおいて示されている。
3. ユニバーサル・ホリスティック・ヘルスには、知識と科学的な洞察の統合を必要としており、かつ、多様な分野、分析手段、そして科学技術の役割を重視する。これらには、次に挙げるものに限定されるわけではないが、生物学、医学、「オミクス(omics)」アプローチ、データサイエンスと人工知能 (artificial intelligence: AI)・機械学習(machine learning: ML)、デジタル化、心理学、生態学、公衆衛生と労働衛生、社会科学、人文科学が含まれる。
4. ホリスティック・アプローチは、科学のみならず実務や政策にとっても有用である。このようなアプローチでは、あらゆる利害関係者のホリスティックな視点を持つことが求められる。例えば、科学者、医師、医療専門家、医療従事者、患者家族と患者、政策立案者などである。
5. 多様な地理的・文化的背景を超えて、健康の生理学と疾病について理解することは重要である。この文脈において、遺伝子と環境の相互作用(gene-environment interactions: GEI)を理解するには、メタゲノム、バイオマーカー並びに、それらと世界中の人口集団にまたがる他の要因との相互作用を研究する必要がある。
6. 保健衛生に取り組むためのホリスティック・アプローチが必要である。これには、予防(例えば、より清潔な環境、栄養、教育)と治療が含まれる。
今後の道筋
7. サイエンス 20 のアカデミーは、G20諸国が、次の重要な分野における協働を強化することを提言する。
a). 野生生物、家畜群、人間社会の観察監視・予測システムを強化すること。これにより、パンデミックのおそれがある新興・再興病原体の早期検知と予測が可能になる。
b). 人畜共通感染症の広がりに対する取り組みと同様に、薬剤耐性(antimicrobial resistance: AMR) に取り組むために共同行動を取ること(例えば、医薬品の廃液や農業向け利用は水や土壌の汚染につながるため、人間や動物の診療における抗菌薬の乱用を控える)。
c). 耐性を生じない薬物及びAMRに対する新規抗菌薬を開発すること。これにはAI、ML*2*、連合学習に基づいたアプローチなど、創薬のための新しい手法を伴う。強固なサプライチェーンと公平にアクセスできる仕組みも同様に重要である。
d). 病気の因果関係を示す経路を明らかにし(全人類と生態系全ての健康を決定づける生物学的・社会的・環境的な因子)、予測・診断・管理アルゴリズムの開発に役立つ学際的な知見を統合するために、データサイエンス、特にAIとMLを活用すること。
f). コミュニティを中心に据え、プライマリーヘルスケア主導で、遠隔医療支援サービスを重視しつつ、メンタルヘルスに関する連携を拡大すること。これにより、早期発見や医療従事者への継続的かつ公平なアクセスが可能になるとともに、適切なサポートと治療の提供が可能になる。これに加えて、運動、ヨガ、瞑想などの実践を組み入れることもできる。
g). すべての人が手頃な価格で、容易に、かつ継続的にヘルスケアサービスを利用できるようにするために、医療システムのレジリエンスに加え、ヘルスケア製品及びサービスの経済や市場力学に関するよりよい理解を深めること。伝統的な医薬と知識に関する協力を深め、根拠に基づく伝統医学の利用及び、現代の予防的・治療的アプローチといった既存のアプローチを伝統医学がいかに補完しうるかについて探求すること。これには、様々な伝統医学体系に基づく知識の体系的理解と標準化のための科学的研究及び、医療の場で補完的に用いるために、根拠に基づく情報を得た上で、有益な実践を統合することが含まれる。*3*
h) ユニバーサル・ヘルスを実現するためには、信頼できる健康情報がすべての人にとって重要であることに鑑み、G20諸国は、そのような情報を多様な人々に効果的に普及する際に、経験とベストプラクティスを共有すべきである。
i) 医療従事者やその他の利害関係者の能力開発を含め、医療における教育と訓練を重視すること。これにより、各種プログラムは、科学的根拠に基づくアプローチを保ちつつ、現地の社会経済的かつ文化的な環境に適合することを確実にする。
{*1* One Health High-Level Expert Panel (OHHLEP) 2022: One Health Theory of Change https://cdn.who.int/media/docs/default-source/one- health/ohhlep/ohhlep--one-health-theory-of-chance.pdf; One Health High-Level Expert Panel (OHHLEP) 2022. ワン・ヘルス: 持続可能で健康的な未来のための新しい定義。
PLoS Pathog 18(6): e1010537. https://doi.org/10.1371/journal.ppat.1010537}
{*2* 例えば、以下を参照。Liu,G.etal.(2023)深層学習による Acinetobacter baumannii を標的とした抗生物質の発見。 Nature News. Available at: https://www.nature.com/articles/s41589-023-01349-8}
{*3* アルテミシニンの開発と、伝統的な知識の利用によってもたらされたマラリアの有効な治療法が顕著な例である。 (https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/2015/tu/facts)}
G20インド2023: サイエンス20コミュニケ 持続可能な開発のための変革する科学
C. 科学を社会と文化につなぐ
背景
1. 知識の追求は長い間人類の基本的な願望であり、その結果として得られる自然と社会に対する理解は、人類の進歩と発展を支えてきた。最近の科学技術における飛躍的進歩は、我々の哲学的並びに文化的認識、社会的文脈及び生活を変えつつある。1
2. 科学と発見は、自然科学、人文学、社会科学の個人の或いはグループの成果である。科学と発見は、共に社会的な課題に取り組んでいる。と同時に、科学的事業とその優先順位は社会的及び文化的な文脈によって決定される。
3. 科学の急速な進歩と、その結果もたらされた知識の技術や実践への転換は、科学と社会の関係性を絶えず変化させつつ広範囲に影響を及ぼしてきた。この関係性をより良く理解することが、人類の福祉を向上させる機会を提供すると同時に、このような科学技術の進歩がもたらす望ましくない、或いは意図しない結果を可能な限り予測し、軽減する。人工知能(AI)及び機械学習(ML)の最近の進歩は、この二面的な性質を物語っている。すなわち科学、健康、エネルギー、農業及び教育といった多様な領域に対する積極的な貢献可能性について、大いなる興奮と熱狂がある。同時に、生活、情報、社会秩序、ガバナンスに悪影響を与えかねないという懸念もある。
4. 科学技術の進歩によってもたらされる社会と文化の進化は、継続的でまた多くの点で加速しているため、我々の文化遺産や多様性を意図せず侵害している可能性がある。多くの文化的慣習や伝統芸術と同様に、言語も失われつつある。しかし現代の科学技術は、我々の歴史と遺産を保存し、より広くかつ公平なアクセスを可能にする、またとない機会も与えてくれる。
5. 生態学的多様性と文化的多様性の間には、複雑な関係がある。これらは相互に補強し合うだけでなく、持続可能な開発の重要な要素でもある。豊かな伝統的知識と慣習を持つ文化的多様性は、持続的な資源管理及び環境変化への適応にしばしば重要な示唆を与えてくれる。このような多様性を維持することは、それ自体が望ましい目標であり、他の便益ももたらす。
6. 科学を社会と文化につなげることは、科学的な情報の普及にとどまらない。それは、合理的でエビデンスに基づく思考と十分な知識に基づく世論を発展させ、科学コミュニティと多様な社会のステークホルダー間の対話、相互理解、共創を促進する懸け橋を築くことを含む。科学的事業は、科学コミュニケーション、シチズン・サイエンス・イニシアティブ、市民参加型研究を促進することを通して、個人や地域コミュニティが、積極的に科学的発見に関与し、研究の努力を補完し、変革的イノベーションの開発と発展に影響を与える意思決定プロセスに貢献するための力を与える。同時に、他のステークホルダー(産業界の指導者、政策立案者、市民社会の活動家、市民等)は、科学的事業とそれが生み出す知識に関わるイニシアティブをとり、責任を共有する。
今後の道筋
7. サイエンス20のアカデミーは、G20諸国が、下記2つの具体的な協調行動を通じて、科学、社会、文化の間の積極的な結びつきを強めることを提言する。
a) 以下を含む一連の活動を戦略的に計画することにより、文化遺産を保護・保存・復元するためのデジタル技術の基盤を開発・推進する。2
i. 史跡や人工遺物などの全世界の文化遺産を電子的に記録し、保存するために、科学技術をより効果的に活用する。これには、関連するメタデータで裏付けられるデータを検証し、真正性を確認するための強力なツールの開発が含まれうる。
ii. 研究者が文化的慣習、伝統、歴史上の事件に関する新しい視点を得られるよう、歴史的記録、考古学的発見、その他の人工遺物を含むデータの体系的解析を支援する。
iii. 情報格差の解消を促し、特に学生や教師の文化・科学分野における体験型活動を促進するために、地域レベルでの没入型学習を強化する。これは、より広範な能力開発と意識向上にも役立つ。
iv. デジタル素材を将来に確実に伝えるための努力を体系的に考察することを含め、今日生産された新しいメディア媒体や文化遺物を次世代に残すためにはどうすべきか、についてより良く理解することで、デジタル遺産を保存する。
v. 考古学遺物を救い、保全を促進し、バーチャル博物館の数を増やすために、インフラ開発に先立って実施される影響評価に関する法整備を行う。その結果として、文化資源管理の拡大を通して、雇用機会の増大につながる。
b) 以下の方法によって、新たな技術に関する国際協力を強化する。
i. G20各国の政府、国際機関、学術界、市民社会の専門家が一堂に会する広範な場、プラットフォーム又は組織を発展させる。その目的は、責任ある、公正、公平、安全かつ持続可能な新技術(例えば、生成AI、遺伝的形質の遺伝子編集、太陽地球工学)を利用する際のガイドラインにインプットを提供することにある。この分野ではいくつか既存の取り組みが存在するが、それらは概して、国もしくは地域レベルのものにとどまる。新技術に関連する潜在的な利益と懸念は、たとえその影響が国境を越えるものであるとしても、各国の事情や利益によって異なる可能性があるため、上記のテーマについてより幅広い関与を得ることは極めて重要である。
ii. 創造的かつ責任あるイノベーションが優先され、支援されるための条件を整えるために、多様性と包摂性を促進する。そのためには、十分な知識を持つステークホルダーをあらゆるレベルで確保できるよう、教育の拡大が欠かせない。
{*1* 例えばmRNAの研究により、記録的な速さでCOVID-19ワクチンの開発が可能になった。}
{*2* サウジアラビアとユネスコの既存のイニシアティブ「Dive into Heritage」との相乗効果も期待できるはずである。}