[文書名] G20リオデジャネイロ首脳宣言
1.我々G20の首脳は、主要な地球規模の課題及び危機に対処し、強固で、持続可能で、均衡ある、かつ包摂的な成長を推進するために、2024年11月18日及び19日にリオデジャネイロで会合を行った。我々は、誰一人取り残すことなく、公正な世界と持続可能な地球を構築することへの我々のコミットメントを再確認するために、持続可能な開発アジェンダが生まれた場所に集う。
国際経済及び政治情勢
2.我々は、国際経済協力のプレミア・フォーラムとしてのG20の役割を再確認する。我々は共に、世界経済の効果的な管理に対する共同の責任を共有し、持続可能で強靭かつ包摂的な世界経済成長のための条件を醸成する。我々は、世界的な危機や課題に対応し、持続可能な開発目標を達成するために、途上国を支援することに引き続きコミットしている。
3.我々は、地政学的、社会経済的、気候及び環境に関する重大な課題と危機に直面しており、緊急の行動が求められている。2030アジェンダの持続可能な開発目標(SDGs)を達成するまでわずか6年しかなくなったが、わずか17%のSDG目標しか順調に進んでおらず、ほぼ半数が最低限又は中程度の進捗を示しており、また、3分の1以上で進捗が停滞又は後退すらしている。G2
0は、必要とされている国際協力と政治的推進力を通じて、これらの課題に対処するのに適している。G20の首脳として、我々は、我々が直面している危機が世界に等しく影響を及ぼすわけではなく、最貧層や、既に脆弱な状況にある人々に不均衡な負担を強いていることを認識する。
4.我々は、国内及び国家間の不平等が、我々が直面するほとんどのグローバルな課題の根底にあり、これらの課題によってこの不平等が悪化していることを認識する。我々は、持続可能な開発目標への取組を加速するとともに、強いコミットメントを再確認する。世界は緊急の行動だけでなく、社会的に公正で、環境的に持続可能で、かつ経済的に健全な対策も必要としている。そのため、我々は、
2024年に「公正な世界と持続可能な地球の構築」というモットーの下、あらゆる側面における不平等をG20の議題の中心に位置付けて取り組む。
5.我々は、世界経済のソフトランディングについて良い見通しをもっている一方で、複数の課題が残っており、高い不確実性の中でいくつかの下振れリスクが高まっている。我々は、強固で、持続可能で、均衡ある、かつ包摂的な成長を促進し、生活費への圧迫に対処し、財政の持続可能性を確保し、負のスピルオーバーを軽減し続ける。我々の中央銀行は引き続き、それぞれのマンデートに沿って、物価の安定を達成することに強くコミットしている。我々の財政政策は、財政の持続可能性を守り、バッファーを再建し、成長を促すものであり続け、生産性を向上させる改革に対する官民投資を促進する。我々は、経済活動が、世界の多くの地域で予想されていたよりも強靭であることが明らかになり、国ごとのばらつきを伴いつつも、世界的なインフレは高い水準から低下しつつあるという事実に安堵している。しかし、成長は国々の間で不均衡が大きくそれが経済面での差異を広げるリスクに影響している。我々は、中長期的な世界の成長見通しが過去の平均を下回ることを懸念している。我々は、構造的な改革を通して、国々の間の成長格差を減らそうと努力し続ける。我々は、財務大臣及び中央銀行総裁が行った2021年4月の為替相場のコミットメントを再確認する。我々はまた、経済成長を支え、合意された国際基準の、進行中の政策協調に支えられた、完全で、適時かつ一貫性のある実施に基づく、開かれた、強靱で、包摂的で、安定した金融システムを促進するとのコミットメントを再確認する。我々は、持続可能な資本フローをさらに促進し、特に中央銀行の独立性を含む健全な政策枠組を育成するという我々のコミットメントを再確認する。
6.我々は、世界中の戦争及び紛争による甚大な人的被害及び悪影響を苦痛と共に留意する。
7.現在進行中の紛争及び戦争に関し、我々は、各国の立場や国連安保理及び国連総会で採択された決議を再確認し、全ての国が国連憲章の目的及び原則に全体として整合的な方法で行動しなければならないことを強調する。国連憲章に沿って、全ての国は、いかなる国の領土一体性及び主権又は政治的独立に対しても、領土取得を追求するための武力による威嚇又は武力の行使は慎まなければならない。我々は、全ての当事者が国際人道法および国際人権法を含む国際法の下での義務を遵守しなければならないことを確認し、この点において、民間人とインフラに対する全ての攻撃を非難する。
8.ガザ地区における壊滅的な人道的状況とレバノンにおける事態の悪化について深い懸念を表明する一方、我々は、人道支援の流れを拡大し、一般市民の保護を強化する必要性を強調し、大規模な人道支援の提供を阻む障壁の撤廃を要求する。我々は、戦争の人的被害や悪影響を強調する。我々は、パレスチナ人の自決権を確認し、国際法及び関連する国連決議に則り、安全で承認された国境内でイスラエルとパレスチナが平和裏に共存する二国家解決というビジョンに対する揺るぎないコミットメントを再確認する。我々は、国連安保理決議第273
5号に沿ったガザ地区における及びブルーラインの両側で一般市民が安全に自宅に戻ることを可能にするレバノンにおける包括的な停戦を支持するという点で結束する。
9.特に、ウクライナにおける戦争に関して、我々は、ニューデリーでの議論を想起しつつ、人的被害やグローバルな食料及びエネルギー安全保障、サプライチェーン、マクロ金融の安定性並びにインフレ及び成長に関する更なる悪影響を強調する。我々は、国家間の平和的かつ友好的な善隣関係の推進のため、国連憲章の全ての目的及び原則を堅持し、包括的で、公正かつ恒久的な平和を支持する全ての関連する建設的なイニシアティブを歓迎する。
10.我々は、核兵器のない世界、また全ての人々にとってより安全な場所という目標の推進に改めてコミットするともに、この点に関する義務を遵守する。
11.我々は、あらゆる形態のテロ行為を非難する。
12.紛争の平和的解決、危機に対処する取組並びに外交及び対話が極めて重要である。平和があってこそ、持続可能性と繁栄が達成できる。
13.具体的な成果に向けた行動を導くため、G20議長国のブラジルは、今年の取組において、次の3つの優先事項に焦点を当てる。(i)社会的包摂、飢餓と貧困との闘い、(ii)持続可能な開発、エネルギー移行及び気候行動、(iii)グローバル・ガバナンス機関の改革。
社会的包摂性並びに飢餓と貧困との闘い
14.貧困削減及び飢餓撲滅に向けた前進は、新型コロナ感染症の大流行以来、大きな打撃を被っている。飢餓に直面する人々の数は増加し、2023年には約
7億3,300万人という驚異的な数字に達し、子どもと女性が最も影響を受けている。こうした前例のない課題は、あらゆるレベルにおいて、より大きくかつ効果的なコミットメント、資金調達及び行動並びに成長及び雇用創出を強化する健全な経済政策を求めている。
15.世界は飢餓を撲滅するのに十分な食料以上を生産している。我々は、集団として、貧困と闘い、飢餓を撲滅するための知識又は資源を欠いているわけではない。我々に必要なのは、食料へのアクセスを拡大するための条件を整える政治的意志である。この観点から、我々は、「飢餓と貧困に対するグローバル・アライアンス」を発足させ、世界の飢餓及び貧困を削減することを目的とした、国が主導し、国が所有する形で、大規模かつエビデンスに基づいたプログラムの実施を支援するための、資金動員と知識の共有への革新的なアプローチを歓迎する。我々は、不平等を是正し、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップの活性化に貢献し、飢餓、貧困の撲滅のための取組を加速させるため、全ての国、国際機関、国際開発金融機関、ナレッジセンター、慈善団体に対し、同アライアンスへの参加を呼びかける。同アライアンスは、現金給付、地産地消型学校給食プログラムの開発、マイクロファイナンス及び正式な金融システムへのアクセス改善及び社会的保護などといった、各国の状況に適合可能な、実証済みの戦略を推進する。
16.我々は、食料安全保障及び栄養、並びにデカンハイレベル原則を通じて再確認された十分な食料を享受する権利の漸進的実現の重要性に対するG20のコミットメントを強調する。農業は、気候変動、生物多様性の損失、汚染及び砂漠化に直面しつつ、貧困との闘い、飢餓の撲滅、栄養改善といった重要な課題に取り組む最前線にある。我々は、農業及び食料システムの課題に対する万能の解決策が存在しないことを認識しつつ、途上国が持続可能な食料生産及びマーケティングの能力を強化するための支援にコミットする。我々はまた、食料の損失・廃棄に関する国連SDGs目標12.3を達成するための我々の取組強化によるものを含め、農業生産性を持続可能な形で向上させ、食料の損失・廃棄の削減に向けて取り組む我々のコミットメントを新たにする。世界の農業・食料貿易のダイナミックな相互作用を考慮すれば、我々は、世界貿易機関(WTO)のルールに整合的な開かれた貿易政策を通じて、食料安全保障と栄養、食の安全及び持続可能性を達成する上での各国の相互依存関係を認識する。国内生産の重要性を認識する一方で、国際的、地域的、国内的な供給ルートを多様化することも、外的ショックに対する世界の食料サプライチェーンの強靱性を強化する重要な方法である。我々はまた、土壌の健全性を改善し、水質汚染を最小化する必要性に対処しつつ、肥料不足の課題に、地元での生産の強化、貿易、肥料の効率性の向上、バイオ肥料の活用等を通じて対処することを目指す。
17.我々は、2023年SDGsの進捗の加速に関するG20行動計画の迅速な実施を求める。我々はさらに、南北協力、南南協力、三角協力を含む開発協力の拡大、また、最も困窮している低中所得国を支援するための明確な配分枠組みを有する譲許的資金の持続可能なフローを推進することができる、国際開発金融機関及びブレンデッド・ファイナンスといった革新的な金融ツール及びメカニズムを通じた資金を引き出すことなどの不平等と闘うための追加的なツール及びメカニズムを強化することにコミットする。我々は、全てのパートナーに対し、この課題に対応するため、あらゆる資金源から国内外の新規かつ追加的な資金を動員し、同時にその有効性を高めるよう求める。我々はまた、透明性及び相互説明責任の重要性に留意する。我々は、国連開発アジェンダに引き続きコミットし、2025年のスペイン、セビリヤにおける第4回国際開発資金会議の成功を期待する。我々はまた、持続可能な開発を促進し、不平等と闘う我々の取組の一環として、途上国がグローバルな産業バリューチェーン及びサプライチェーンにより良く統合され、工業化及び近代化プロセスを加速させることを支援する我々のコミットメントを再確認する。
18.我々は、腐敗及び関連する不正な資金の流れに対する国際的な取組において模範を示すという我々の共有のコミットメント及び献身を再確認する。我々は、貧困、社会的及び経済的不平等並びに持続可能な発展等の国際的な課題における腐敗の影響を認識し、腐敗対策及びインテグリティ(清廉性)の推進が公正な世界及び持続可能な地球の構築に貢献し得ることを認識する。我々はGlobEネットワーク及び他の国際的な腐敗対策のネットワークを最大限に活用する。
19.我々は、国際租税協力に関するG20リオデジャネイロ閣僚宣言を承認する。累進的な課税は、国内の格差を是正し、財政の持続可能性を強化し、財政健全化を促し、強固で、持続可能で、均衡ある、かつ包摂的な成長を促進し、SDGsの達成を促す重要な手段の一つである。我々は、格差に対処し、より公正かつ累進的な税制を促進するために、いくつかのG20加盟国により近年実施された国内の税制改革を称賛し、SDGsを支援するために国内資金動員の改善が重要であることを認識する。
20.課税主権を完全に尊重しつつ、我々は、[超富裕層の]個人が効果的に課税されることを確保するために、協力して取り組むことを目指す。協力には、潜在的に有害な税の慣行への対処を含めた、ベストプラクティスの交換、租税原則に関する議論の奨励、租税回避防止メカニズムの考案などが含まれうる。我々は、関連する国際機関、学術界、専門家からの技術的なインプットも踏まえつつ、G
20やその他の関連するフォーラムにおいて、これらの問題について議論を続けることを期待する。我々は、「BEPS包摂的枠組み(IF)」が効果的な累進課税政策の文脈で、これらの課題への取組みを検討することを奨励する。
21.我々は、IFにおける二本の柱の解決策に関する進展を歓迎する。我々は、IFの2021年10月の声明と、第一の柱に関する最終パッケージの交渉の迅速な妥結を含む、全ての関心を持つ法域による二本の柱の解決策の迅速な実施に対する我々のコミットメントを改めて表明する。我々の国際租税協力は、不要な努力の重複を避けるよう努めつつ、既存の国際フォーラム間の相乗効果を最大化することで、包摂的かつ効果的であるべきであるとともに、幅広いコンセンサスに達することを目指すべきである。また、我々は、国連における、国際租税協力に関する国連枠組条約とその議定書の策定に関する建設的な議論を継続する。
22.我々は、飢餓撲滅及び貧困削減のためのものを含む大規模な政策を実施する上で、多くの国が直面している制約を認識する。最も必要に迫られている人々が、より支援を享受し、誰一人取り残されないことを確保することが不可欠である。我々は、あらゆる資金源から飢餓と貧困との闘いのための資源を拡大する必要性を認識し、これとその他の開発目標を支援するため、ドナー国層の拡大、既存のドナーからの継続的な支援を含む強固で効果的な第21次IDA増資を、アフリカ開発基金のような他の重要な地域的手段の増資に加えて、達成することを目指す。
23.我々は、とりわけ、市場の変動、タイトな金融環境、債務脆弱性が、資金調達コストが増す中で、短期的に公的予算の圧迫を増し得ると認識する。我々は、開発金融における課題への各国固有の解決策は、成長、国内資金動員、能力構築、民間資金フロー、的を絞った譲許的資金を支援するための政策措置の組み合わせに基づき得ると考える。この文脈において、我々は、短期的な流動性課題に直面する一方、債務は持続可能である脆弱国に対する支援に取り組むことを国際社会に求める。我々は、IMFと世界銀行が、これらの国々を支援するため、各国固有かつ自発的である実現可能な選択肢に関する作業を継続し、来年にG2
0の財務大臣に報告することを奨励する。
24.ある世代の不平等な社会的流動性、機会及び成果が次の世代のそれらに直接影響するため、我々は、不平等が世代間に影響を及ぼすことを認める。全ての人々は、年齢、性別、障害、人種、民族、出身、宗教又は経済的若しくはその他の地位にかかわらず、基本的ニーズを満たすための必要不可欠なサービス、働きがいのある人間らしい仕事及び完全、平等、効果的かつ有意義な社会参加を確保するその他の社会的及び経済的機会へのアクセスを持つべきである。不平等を削減することは、強固で、持続可能で、均衡ある、かつ包摂的な成長を達成するために極めて重要である。我々は、各国の状況に応じて、不平等の削減を推進するための更なる措置を採用することにより、各国が模範を示すことを奨励する。我々は、全ての者の社会的、経済的及び政治的包摂性並びにエンパワーメントの推進に努め、それは、特に人種差別との闘い並びに民族的及び人種間の平等の推進において、この観点から、差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、適切な立法、政策及び行動の推進によるものを含む。我々は、金融上のウェルビーイングを向上させ、SDGsを達成する上で金融包摂の重要な役割を認識する。
25.我々は、適切で、予測可能で、透明性があり、柔軟かつ持続可能な資金調達に支えられた、グローバルヘルスアーキテクチャーにおけるWHOの中心的な調整の役割を再確認する。我々は、WHOの活動に財政支援する追加的手段として、WHO投資ラウンドの実施を支持する。我々は、今後1年から2年で、必須の保健サービス及び保健システムをパンデミック以前よりも高い水準まで向上することに焦点を当て、メンタルヘルスを含む、人々を中心とした統合された保健サービスの提供及びユニバーサル・ヘルス・カバレッジを達成するため、より強靭、より公平、より持続可能で、かつより包摂的な保健システムを構築することに引き続きコミットする。我々は、WHOアカデミーを通じたものを含め、保健医療分野の労働力の研修の強化を支持する。我々は、顧みられない疾病や脆弱な状況にある人々のためのワクチン、治療薬、診断薬及びその他の保健医療へのアクセスを推進するため、自発的な協力を中心とした、地方及び地域における製造、イノベーション、公平なアクセスのための連合の設立を歓迎する。我々はまた、エイズ、結核、マラリアの流行の終息及びポリオ撲滅へのコミットメントを再確認する。我々は、人間、動物、植物及び環境の健康の相互関連性並びに薬剤耐性への対処の必要性を認識し、ワンヘルス・アプローチの前進を強調する。我々は、エビデンスに基づいた伝統的及び補完的な医療の潜在的な役割を認識する。我々は、保健関連のSDGs及びパンデミックの予防・備え・対応への投資の拡大に関する協調を推進し、議論を前進させるとともに、この観点から、パンデミック基金及びその他の資金調達イニシアティブの貢献を認識する。我々は新しい資金調達の目標を達成するため、多様なドナー層からのパンデミック基金への更なる貢献を奨励する。我々は、各国の主権を十分に尊重しつつ、国際保健規則(IHR)を補完することを狙った、パンデミックの予防・備え・対応に関するWHOの新たな法的文書を起案及び交渉する、現在行われている交渉の妥結を支持する。我々は、パンデミック時の感染症危機対応医薬品への公平なアクセスを含め、野心的で、バランスの取れた、効果的で、目的に沿った法的文書へのコミットメントを改めて表明する。現在のエムポックスの流行の文脈において、我々は、エムポックスの流行とその他の新興及び再興する公衆衛生上の緊急事態に対処するための世界的な協調の重要性を強調し、この観点から、G2
0財務・保健合同タスクフォースの取組を歓迎し、同タスクフォースに2025年までにその進捗に関する報告をするよう要請する。
26.我々は、安全な飲料水と衛生へのアクセスは、健康及び栄養の前提条件であり、持続可能な開発の成果にとって極めて重要であることを認識する。この観点から、持続可能で強靭な水と衛生システム構築のためにリソースを動員することは、全ての人々にとってのより健康で衡平な未来のために極めて重要である。したがって、我々は、生物多様性の損失、気候変動、環境悪化、水媒介性疾病、災害及び汚染の影響に対する強靱性を構築するために、包摂的で、統合され、持続可能で、かつジェンダーに対応した水・衛生(WASH)システムの推進を支持する。この目的のため、我々は飲料水、衛生サービスの強化に関する行動要請を歓迎する。
27.我々は、人間の尊厳及びエンパワーメント、衡平性、平等及び包摂性、持続可能で社会経済的な成長、積極的な市民活動、繁栄、平和及びウェルビーイングを実現するものとして、デジタル教育を含む質の高い教育及び訓練の重要な役割を強調する。我々は、現在の世界的な教員不足に関し、懸念をもって留意する。教員をその質を保ち、維持し、かつキャリアの浅い教員の関心を喚起することのできる専門能力開発政策は、これからの未来に向けて我々の社会を準備するという多次元的な課題にとって不可欠な要素となっている。
28.我々は、連帯、対話、協働及び協力を育み、より持続可能な世界を、あらゆる次元において、あらゆる観点から醸成する上での文化の力及び本質的価値を認識する。我々は、文化的権利の完全な行使のために、包摂性、社会参加及びアクセシビリティの原則にコミットし、人種差別、差別及び偏見に立ち向かい、デジタル環境における著作権及び関連する権利の議論並びにAIが著作権者に与える影響に関する議論について、強化されかつ効果的な国際的関与を求める。我々は、創造的な経済の発展に向け、各国に国際的な協力、連携及び交流を強化することを奨励する。我々は、関連するユネスコの会議の条約への我々のコミットメントを再確認する。我々は、文化、芸術及び遺産部門で働く人々の貢献を推進する政策を支援するとのコミットメントを再確認し、各国に対し、公正な給与及び適正な労働条件の向上のため、知的財産権の枠組及び国際労働基準に従い、オンライン及び対面の双方において、社会的及び経済的権利並びに芸術の自由に取り組む協力及び対話を強化するよう求める。我々は、歴史的モニュメント及び宗教施設を含む文化遺産の保護の強化を奨励する。我々は、適当な場合には、代替的な紛争解決メカニズムを可能にしつつ、各国間の関係を新たにするという幅広い歴史的視点に立脚して、不法に輸出された文化財を含む文化財の返還及び回復に関する開かれた及び包摂的な対話を支援することを求める。我々は、関係者の同意に基づいた原産国及び地域への文化財の返還及び回復の価値の認識が高まっていることを認める。
29.我々は、不平等を是正するために、デジタル技術及び新興技術の可能性を活用することにコミットする。我々は、デジタル包摂性には、普遍的で有意義な連結性が必要であり、デジタル・ガバメント・ソリューションが、プライバシー、個人情報、人権及び基本的自由を保護しつつ、人々の生活を向上させる鍵となることを認識する。我々は、公平なデジタル・トランスフォーメーションに対するデジタル公共インフラの貢献を認識し、既存の隔たりを埋め、全ての女性、女児及び脆弱な状況にある人々を含む社会及び個人に力を与えるデジタル技術の変革する力を認識する。我々は、デジタル・プラットフォームが、情報発信を増幅し、地理的な境界内及び境界を越えたコミュニケーションを促進することによって、デジタル・エコシステム及びオンライン上の相互作用を再形成してきたことを認識する。しかしながら、情報領域のデジタル化及び人工知能といった新技術の加速度的な進化は、誤情報及び偽情報、ヘイトスピーチ、その他の形態のオンライン上の危害のスピード、規模及び範囲に劇的な影響を与えている。この意味で、我々は、関連する政策や適用される法的枠組に沿ったデジタル・プラットフォームの透明性及び責任の必要性を強調し、この観点から、プラットフォーム及び関連するステークホルダーと協力する。適切なセーフガードを講じた透明性、知的財産権及びプライバシーを尊重するデータ、アルゴリズム及びコンテンツ・モデレーションに関する説明可能性、並びにデータ保護は、健全な情報エコシステム構築のための鍵となり得る。データ共有の文脈において、我々は、適用される国内・国際的な法的枠組を尊重しつつ、また、開発に果たすデータの役割を認識しつつ、データの越境移転と信頼性のある自由なデータ流通を実現することの重要性を再確認する。
30.我々は、2024年にG20研究・イノベーション作業部会が発足することを歓迎し、研究・イノベーションにおける、開かれた、公正で、多様かつ互恵的な国際協力の重要性を再確認する。この協力は、現在、G20研究・イノベーション大臣によって定義されたオープンイノベーションに加えて、オープンサイエンス、必要に応じた研究インフラ、自主的な技術移転と相互に合意する条件での能力の共同開発、世界中の研究者、科学者の行き来及び資源のやりとり、途上国への科学技術支援及び強化された科学コミュニケーションなどのツールを利用することにより促進することができる。我々はさらに、科学技術・イノベーションへのアクセス及び生産における世界的な不平等及び非対称性を解消する必要性を認識する。
31.我々は、社会的包摂性を達成するために、質の高い雇用を創出し、全ての人々のための働きがいのある人間らしい仕事を推進することの重要性を認識する。我々は、(i)「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」に記載されている労働者の権利を保護し、労働者に力を与え、強制労働を根絶し、現代の奴隷制及び人身売買を終わらせるとともに、あらゆる形態の児童労働を撤廃すること、(ii)全ての労働者のために、労働安全衛生及び適切な社会的保護へのアクセスを確保すること、(iii)全てのセクターにおいて、公正な移行を保障するための取組及び政策に焦点を当てること、(iv)デジタル格差を埋め、脆弱な状況にいる人々の包摂を優先すること、(v)女性の経済への平等、完全かつ有意義な参加を確保するために、差別的な社会的及び文化的規範並びに法的障壁を撤廃する、包括的な政策を策定し、実施すること、及び(vi)社会的対話及び団体交渉を推進することへのコミットメントを再確認する。
32.我々は、2024年にG20女性のエンパワーメント作業部会が初めて開催されたことを祝うとともに、ジェンダーの平等並びに全ての女性及び女児のエンパワーメントに対する我々の完全なコミットメントを再確認する。我々は、女性主導の開発を奨励し、世界のGDPの成長にとって極めて重要である、経済のあらゆるレベル及びあらゆるセクターにおける女性の、完全、平等、効果的かつ有意義な参加及びリーダーシップを推進する。我々は、全ての女性及び女児が、医療、教育、キャリア形成、平等な賃金及び指導的地位の機会へのアクセス不足のような様々な要因がもたらす特有の障壁に直面していることを認識する。我々は、女性及び女児に対する性的暴力を含むジェンダーに基づく暴力が、公的及び私的領域において驚くほど高いことを認識し、女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を非難し、オンライン及び対面における性的暴力を含むジェンダーに基づく暴力の終結及び女性差別との闘いという我々のコミットメントを想起する。我々は、社会的及びジェンダー的共同責任を推進し、男性及び男児のケア労働への平等な参加を奨励及び促進し、ケア責任の衡平な分配及び再分配を妨げるジェンダー規範に挑戦することによって、女性の経済への平等、完全かつ有意義な参加を確保するため、有償及び無償のケア労働におけるジェンダー平等を推進することにコミットする。我々は、北京宣言及び行動綱領の30周年を迎えるに当たり、そのレビュー会合の成果文書を含む実施を果たすための取組を強化する。我々は、G20ロードマップ「ブリスベン目標に向けて、また、ブリスベン目標を超えて」の実施にコミットし、我々の大臣が、特にジェンダーによる賃金格差の是正に関して、2025年以降の新たなG20のコミットメントを確立するために提案を策定することを期待する。我々は、平和の代理人としての女性の役割を認識する。
33.世界が大規模災害の頻度のかつてない増加に直面する中、我々は、災害が脆弱な状況にある人々、特に低所得者層に不均衡な影響を与え、貧困及び不平等を悪化させていることを認識する。我々は、仙台防災枠組に沿って、国際的な防災協力を加速させることにコミットする。我々は、災害リスク軽減のため、災害への備えのアプローチが果たす重要な役割並びに、人、物資及びインフラへの事前投資の必要性を強調する。
34.我々は、移住労働者及び難民を含む移住者を、より包摂的な世界に向けた我々の取組の中で、その移住者の地位にかかわらず、人権及び彼らの基本的自由の完全な尊重を確保しつつ、各国の政策、法律及び状況に沿って支援するとの我々のコミットメントを再確認する。我々はまた、人道上のニーズ及び退去の根本的原因に対応しつつ、安全で秩序ある正規の移住のための包括的なアプローチの一環として、非正規の移住の流れと移民の密入国を防止することの重要性を認識する。我々は、出身国、通過国及び目的国の間の協力強化を支持する。我々は、今後の議長国の下でも、移住及び強制される退去に関する対話を継続する。
持続可能な開発、エネルギー移行、気候変動への行動
35.我々は、経済、社会及び環境の3つの側面における持続可能な開発の役割を人々、地球及び繁栄のための協力の指針として強調し、我々の共同の課題を克服することを究極の目標とする。我々は、気候変動、生物多様性の損失、砂漠化、海洋及び土地の劣化、干ばつ並びに汚染による危機や課題に対処するための緊急の行動を拡大することへの、それぞれのコミットメントを再確認する。
36.我々は、特に国連気候変動枠組条約(UNFCCC)及びパリ協定の下での進展を踏まえ、多国間主義への強いコミットメントを再確認し、同協定の目的及び長期目標の達成に向けた努力の追求において結束し続けることへの決意を再確認する。我々は、気候変動の緊急性と深刻さを理解し、認識する。我々は、世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏2度高い水準に抑えること並びに世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏1.5度高い水準までのものに制限するための努力を、この努力が気候変動のリスク及び影響を著しく減少させるであろうことを認識しつつ、継続するというパリ協定の気温目標を再確認する。我々は、気候変動の影響は、摂氏1.5度の気温上昇の方が、摂氏2度の気温上昇と比べてはるかに小さいということを強調し、気温の上昇を摂氏1.5度に制限するための努力を追求することへの決意を再び表明する。
37.我々は、持続可能な開発の優先事項や貧困と飢餓の根絶に向けた取組との相乗効果を伴いながら気候変動対策を加速させ、規模を拡大することを視野に入れつつ、自国の経済及び国際金融システムにおいて大胆かつタイムリーで構造的な行動を主導することを決意する。我々の取組の総和は、個々の取組の総和を上回る力を持つことを認識し、我々は、気候変動に対する世界的な資金動員に向けて協力し、取組を集結する。
38.我々は、我々の主導的な役割に留意し、UNFCCCの目的を追求するにあたり、衡平並びに各国の異なる事情に照らした共通に有しているが差異のある責任及び各国の能力に関する原則を反映した形で、パリ協定の完全かつ効果的な実施を強化することによって気候変動に取り組むという我々の確固たるコミットメントを再確認する。我々は、今世紀半ば頃までに、世界の温室効果ガス
(GHG)排出量のネット・ゼロ又はカーボンニュートラルを達成するという我々のコミットメントを再確認し、そのための取組を強化する。我々は、パリ協定並びに各国の異なる事情、道筋及びアプローチを考慮しつつ、各国が決定する方法で、GHG排出量のネット・ゼロ又は気候中立へのコミットメントを前進させるよう、互いに奨励する。
39.我々は、ドバイにおける国連気候変動会議(COP28)の野心的かつバランスのとれた成果、特にUAEコンセンサス及びパリ協定の第1回グローバル・ストックテイク(GST-1)を歓迎し、全面的に支持する。
40.我々は、次期のNDC(国が決定する貢献)において、全てのGHG、セクター及び分類を網羅し、最新の科学に基づき、各国の異なる事情に照らして、地球温暖化を摂氏1.5度に抑えることに整合した野心的な経済全体の排出削減目標を提示することをGST-1がパリ協定の締約国に奨励していることに積極的に対応する。
41.我々は、気候変動の影響が広範囲にわたって顕著に拡大していることを受け、社会全体及び経済全体での適応を拡大し、優先化し、主流化するための緊急の行動の必要性を認識する。我々は、GST-1が、各国の異なる事情に基づく緊急で、漸進的で、変革的かつ国主導の適応行動を呼びかけ、パリ協定第2条1項(b)の目標達成に必要なものに沿った適応の取組の強化を呼びかけたことを再確認する。
42.我々は、摂氏1.5度の道筋に沿って、温室効果ガスの排出を大幅に、迅速かつ持続的に削減する必要性を認識し、参加国に対し、GST-1で取り上げられているように、パリ協定並びに各国の異なる状況、道筋及びアプローチを考慮しつつ、各国が決定する方法で、気候変動に対する世界的な取組に貢献することを求める。さらに我々は、参加国が、一方的措置を含む、気候変動に対応するための措置が恣意的若しくは不当な差別又は国際貿易の偽装された制限を構成すべきではないことに留意しつつ、全ての国における持続可能な経済成長及び発展の達成を目指し、それにより気候変動の問題により効果的に対処できるようにする、協力的で開かれた国際経済システムの推進に向けて加盟国が協力すべきであることを認識する。
43.我々は、途上国への官民の気候資金と投資の拡大、広く利用可能な技術革新の加速、強靭性及び温室効果ガスの低排出経路の強化、さらには野心的なグリーン産業計画と戦略の支援を含む、国際協力と支援の強化の必要性を強調する。我々は、ニューデリー首脳宣言であらゆる資金源からの気候資金を数十億から数兆へと迅速かつ大幅に拡大する必要性が認識されたことを再確認する。
44.サステナブル・ファイナンスに関して、我々は、サステナブル・ファイナンス・ロードマップを引き続き支持し、2024年G20サステナブル・ファイナンス報告書で達成されたコンセンサスを歓迎する。我々は、国のオーナーシップを強化し、投資の影響を最大化するために、各国のニーズ、優先事項及び戦略と整合させ、気候・環境関連基金の運用を最適化することの重要性を認識する。我々は、これらの基金が協力し、その潜在能力を最大限に引き出すための具体的な措置を講じ、共通のアプリケーション並びに国際開発金融機関及び各国の開発機関との協力強化を通じたものを含め、アクセスを改善することを奨励する。我々は、経済、社会、環境の側面及び地域事情を考慮した公正な移行の実現の継続並びに自然を活用した解決策(NbS)の融資の課題に取り組む作業の前進の重要性を強調する。
45.資金の流れを、温室ガスの低排出と、気候変動に対して強靱な開発への道筋と整合的なものとすることに向けた進展の重要性を強調し、我々は、シェルパ・トラック及び金融トラックを統合し、気候変動を世界の金融、経済及び開発のアジェンダにさらに主流化することを支援しつつ、気候変動に対する世界的な資金動員のためのタスクフォース(TF-CLIMA)の設立に向けたG20議長国としてのブラジルのイニシアティブを歓迎する。TF-CLIMAを基礎として、我々は、特に途上国に対し、気候変動対策のための民間資金の流れを促進するための構造的な障壁を特定し、これに対処するために協力し、取組を結集する。我々は、信用格付や国別リスク評価の透明性を高めることを模索することを含め、関連機関がリスクを十分に把握できるよう取り組むべきであることを認識する。我々は、持続可能な開発、気候変動及び貧困撲滅への取組という喫緊の課題に対処できるよう、国際金融アーキテクチャの改革を加速させる。我々は、新興市場及び開発途上経済における持続可能な金融を促進するための手段の一つとして、各国の自主的なプラットフォームの構築を支援する。
46.各国主導で柔軟性があり、各国の事情に十分に適合したプラットフォームは、途上国におけるプロジェクトやプログラムに公的・民間資本を動員する効率的な手段として機能し、緩和、適応及び強靱性構築の課題を、公正な移行のための具体的な資金の流れと一致させるのに役立つ。
47.我々は、バクーにおける新規合同数値目標(NCQG)の成果を期待する。我々は、COP29議長国への支持を誓い、バクーにおける交渉の成功にコミットする。我々はまた、2025年のCOP30議長国への支持も誓う。
48.我々は、SDG7、パリ協定及びドバイにおける国連気候会議(COP2
8)において採択されたGST-1の成果に基づき、特に貧困層や脆弱な状況にある人々を誰一人取り残すことなく、各国の異なる事情を考慮し、クリーンで、持続可能で、公正で、低廉かつ包摂的なエネルギー移行を加速させることにコミットする。
49.我々は、既存の目標や政策を通じて、再生可能エネルギーの容量を世界全体で3倍にし、エネルギー効率改善率を世界平均で年率2倍にする取組の実施を支援し、同様に、2030年までに、各国の事情に沿って、排出削減対策技術及び除去技術を含む他のゼロ及び低排出技術に関しても同様にその実施を支援する。さらに、我々は、世界的な、特に途上国におけるエネルギー移行のための資金ギャップを埋めるため、あらゆる資金源及びチャネルからの投資を促進し、その規模を拡大する必要性を認識する。途上国の低炭素及び低排出への移行を支援する必要があることを再確認し、我々は、途上国に対する低コストの資金調達促進に向けて取り組む。我々は、エネルギー移行のための資金を呼び込むための環境整備において、国内のエネルギー計画、能力構築、政策戦略及び枠組み並びに政府の異なるレベル間の協力が重要な役割を担うことを認識する。
50.我々は、無駄な消費を助長する非効率な化石燃料補助金を中期的にフェーズアウトし、合理化するという2009年にピッツバーグで表明したコミットメントを実施するための取組を強化し、最も貧しく脆弱な人々に的を絞った支援を提供しつつ、この目標を達成することにコミットするニューデリー宣言のコミットメントを再確認する。
51.我々は、特に排出削減困難なセクターにおいて、エネルギー移行を加速するための規模とグローバルな市場を創出する上で、排出削減及び除去、炭素管理並びに排出削減等を目的とした、様々な低排出エネルギー、持続可能燃料及び技術を開発及び導入するための技術中立的で統合的かつ包摂的なアプローチが極めて重要な役割を果たすことを強調する。我々は、適当な場合、温室効果ガス排出量評価のための相互に認知された方法論及び基準の使用を奨励する。
52.我々は、供給源での加工を通じた重要鉱物及び原材料、半導体及び技術を含むエネルギー移行のための信頼性が高く、多角的で、持続可能かつ責任あるサプライチェーンを支持する。我々は、「エネルギー移行のための重要鉱物に関する国連事務総長パネル」の下に招集された専門家の作業に留意する。
53.我々は、クリーン・クッキング・プロジェクトの年間投資額を増加させ、その低廉性を支援するため、実現可能な政策の策定と実施、途上国に対するあらゆる資金源からの財政的及び技術的支援の提供と動員を含め、2030年までにクリーン・クッキングへの普遍的アクセスを達成するための努力を加速させることにコミットする。
54.我々は、G20エネルギー移行作業部会が採択した自主的な「公正かつ包摂的なエネルギー移行原則」を支持し、各国の事情に沿って、エネルギー移行を追求するための国内政策を立案及び実施する際に同原則を考慮する。
55.我々は、生物多様性条約(CBD)第15回締約国会議(COP15)で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組(KM-GBF)」の迅速かつ完全で効果的な実施へのコミットメントを再確認し、他国にも同様に行うよう奨励する。我々は、CBDの締約国が、KM-GBFとそのゴール及びターゲットに沿って、生物多様性国家戦略及び行動計画を可能な限り早期に更新又は改定することの重要性を強調し、あらゆる資金源からの資金強化を求める。我々は、2024年12月にリヤドにおいて開催される、国連砂漠化対処条約(UNCCD)第16回締約国会議(COP16)の成功裡な終了を期待している。
56.我々は、森林が極めて重要な生態系サービスを提供しているとともに、気候変動対策の吸収源としても機能していることを認識し、我々は、2030年までに森林減少及び森林劣化を止めて、反転させるための強化された取組を含め、森林の保護、保全、持続可能な管理及び森林減少との闘いのための取組を拡大することの重要性を強調する。これらの取組では、持続可能な開発に対するこれらの行動の貢献を強調し、地域社会及び先住民族の社会的及び経済的課題を考慮する。森林の文脈において、我々は、WTOのルールと多国間環境協定に整合的な形で、差別的なグリーン経済政策を回避する。我々は、特に途上国に対する、譲許的かつ革新的な資金調達を含むあらゆる資金源から、森林のための新規かつ追加的な資金を動員することにコミットしている。我々は、生態系サービスへの支払いのために、新規かつ多様な資金源の動員を目指す革新的なメカニズムを奨励する。このため、トロピカル・フォレスト・フォーエバー・ファシリティ(TFFF)の設立計画に留意し、この基金を森林保全のための革新的な手段として認識する。我々は、G20土地イニシアティブの下でコミットされたとおり、
2040年までに土地劣化を自発的に50%削減するというG20の野心を再確認する。我々はまた、干ばつや極端な山火事の悪影響を防止、管理及び対処するための措置をとる。
57.異なるレベルで世界の廃棄物の約75%及び天然資源の世界消費の大部分を生み出している世界最大の経済大国として、各国の多様な貢献及び状況を認識しつつ、我々は、ゼロ・ウェイスト・イニシアティブ及びその他の取組を通じて、未管理の廃棄物及び不適切に管理された廃棄物の発生を大幅に削減するという我々の決意を再確認する。我々は、循環経済を支援するために、廃棄物の発生抑制と、それが不可能な場合には、削減、再利用及びリサイクルを優先する。我々は、持続可能な生産及び消費パターンを受け入れ、持続可能な開発のためのライフスタイルを主流化する(LiFE)ことの重要性を認識する。
58.我々は、プラスチック汚染を終わらせる決意であり、韓国の釜山で開催される政府間交渉委員会第5回会合(INC-5)において、国連環境総会決議5
/14のマンデートに沿った包括的なアプローチに基づき、海洋環境等におけるプラスチック汚染に関する野心的で公平かつ透明性があり、法的拘束力のある国際文書の交渉を2024年末までに完了させるという野心を持って協働することにコミットする。
59.我々は、持続可能な開発にとって海洋が極めて重要であることを十分に認識しており、海洋環境の保護、海洋の資源及び生物多様性の保全と持続可能な利用を確保するために、十分な資金調達、我々の更なる取組及び適切な計画と管理が不可欠であることを認識している。我々は、ニューデリーで至ったコンセンサスに基づき全ての国に対して、海洋法に関する国際連合条約に基づくいずれの国の管轄にも属さない区域における海洋の生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する協定(BBNJ協定)の早期発効及び締約国による実施を求め、特に途上国に対する国際協力、能力開発、技術支援及び財政支援の強化の必要性を強調する。我々は、2025年にニースで開催される第3回国連海洋会議に積極的に関与する。我々は、今後の議長国におけるオーシャンズ20のイニシアティブの継続を期待する。
60.我々は、2024年のバイオエコノミーに関するG20イニシアティブ
(GIB)の発足に大きな満足の意を表明する。我々は、バイオエコノミーが持続可能な未来の構築及び全ての者のための経済成長の促進に貢献する顕著な潜在的可能性を認識し、この革新的で補完的であり生産的なパラダイムが、如何に経済的、社会的及び環境的に持続可能になり得、また持続可能であるべきかの概要を示すことを目的とした、バイオエコノミーに関する10の自発的かつ拘束力のないハイレベル原則を決定した。我々は、さらなる協力の潜在的可能性を認識し、南アフリカが次期G20議長国としてGIBの作業を継続するとした決定を歓迎する。
グローバル・ガバナンス機関の改革
61.平和なくしては、持続可能性も繁栄もない。我々は、あらゆる戦争がもたらす恐怖と苦しみを知っている。持続可能な開発を、社会、経済及び環境といったそのあらゆる側面において推進するための我々の共同の取組がもたらす恩恵を享受するため、我々は、改革されたグローバル・ガバナンスをより良く世界に備え付ける必要がある。G20は金融及び経済危機から生まれ、我々は協力してこれら危機の克服をやり遂げた。我々は、現在、多面的な危機に直面しており、政治的及び地政学的な緊張により、成長の推進、貧困の削減及び気候変動との闘いといった課題に対処する我々の能力が危険にさらされている。
62.国際社会が今日直面している課題は、より良い明日のための多国間での解決策と、現在及び未来世代のためのグローバル・ガバナンスの強化を通じてのみ対処できる。国連及び世界中の他の関連国際機関が約束したことを実行するため、我々は、国連憲章の目的及び原則並びに国際法に根ざし、21世紀の社会的、経済的及び政治的現実を反映し、一層の代表性、実効性、透明性及び説明責任のある刷新された機関と改革されたガバナンスを備えた、再活性化され強化された多国間システムのために取り組むことを誓う。
国連
63.我々は、国連安全保障理事会(安保理)との相互関係の改善と強化を通じて、国際の平和及び安全の維持に関する問題を含め、国連憲章の目的及び原則を堅持するため、国連の主要な審議、政策立案及び代表機関としての国連総会の役割を強化することを通じて、国連総会を活性化することにコミットする。我々はまた、国連憲章に沿って、国連総会の権威を認識しその実効性と効率性を高める変革的な手続及び慣行、並びに国連総会議長の女性候補者の指名増加を通じて、国連総会を活性化することにコミットする。
64.我々は、安保理を21世紀の現実及び要請に整合させ、一層の代表性、包摂性、効率性、実効性、民主性及び説明責任のあるものにし、国連加盟国全体に対してより透明性のある変革的改革を通じて、安保理を改革することを誓う。この改革により、安保理の作業方法の有効性及び透明性を改善するとともに、全ての加盟国間でより良い責任共有を可能にする。我々は、アフリカ、アジア太平洋及びラ米・カリブのような、代表性の低い又は代表されていない地域やグループの代表性を向上させる安保理の構成拡大を求める。
65.我々は、経済社会理事会(ECOSOC)を国連機関、基金及びプログラムとのより大きな相乗効果及び一貫性を通じて強化し、その三つの側面において持続可能な開発をより良く推進し、加盟国がSDGsを達成するのを支援することを誓う。我々は、国連とは独立した既存のガバナンス・メカニズム及びマンデートを尊重しつつ、特にハイレベル政治フォーラムやG20のような国際経済協力のためのフォーラムにおけるECOSOCのより向上した一貫性及び国際金融機関との関与強化にコミットする。
66.我々は、平和構築委員会のマンデートに従って、紛争の根本原因及び促進要因に積極的に対処する役割を強化し、国家の予防、平和の持続及び平和構築の取組に対する政治的及び財政的支援を動員することにより、特に紛争再発の可能性を回避するために、同委員会を強化することにコミットする。
67.我々は、透明性、衡平な地理的配分、国籍のローテーション、能力及びジェンダー・バランスを考慮したポストの充足並びに事務総長を含む上級職への女性の指名増加を通じて、一層代表性のある国連事務局の実現に努めるとともに、いかなるポストも特定の加盟国又は国家グループの専権領域とみなされるべきではないことを再確認する。
68.我々は、共有する目標を実現するための国連改革を推進するため、グローバル・ガバナンス改革に関するG20の行動要請の精神の下、全ての国連加盟国と協力する。
国際金融アーキテクチャ
69.これまでのG20議長国の成果とニューデリーで我々が与えたマンデートを基礎として、我々はMDBsが、SDGs達成に向けた進捗を加速しながら、世界及び地域の広範な課題に対応するためのインパクトを最大化するためのより良い能力を持つよう、ビジョン、インセンティブ構造、運営アプローチ、財務能力を進化させるための包括的な勧告及び行動を提示する「より良く、より大きく、より効果的な国際開発金融機関(MDBs)に向けたG20ロードマップ」を承認する。各MDBsのマンデートやガバナンス構造を尊重しつつ、我々は、MDBsに対して、関連するステークホルダーと協働し、「G20MDBロードマップ」を実行することを求め、定期的に進捗状況を報告するよう促す。我々は、世界銀行グループの世銀改革ロードマップの実施と、他の国際開発金融機関による改革を歓迎する。我々はまた、MDBsに対して、一つのシステムとして引き続き活動すること、そして政府、各国・地域の開発銀行、保険・再保険業者及び民間セクターと提携することを求める。我々は、自己資本の十分性に関する枠組の独立レビュー(CAF)の実施状況と、これまでの進捗状況について報告するMDBの数が増加していることを評価する。我々は、CAF措置は、今後のさらなる実施に伴い、今後10年間で追加的な融資余力をさらに拡大する可能性を依然として有していることに留意する。我々は、MDBが国内資源動員を促進し、民間資本動員を強化することを奨励する。
70.我々は、限られた譲許的資金を割り当てるための明確な枠組みを持って地球規模の課題への対処に支援を必要とする低中所得国を支援するとともに、最貧国への強力な支援を提供するために、世界銀行の能力を押し上げるための更なる資金余力と譲許的資金を共同で動員するとのニューデリー宣言におけるコミットメントを再確認する。我々は、リマ持株原則に沿った国際復興開発銀行の2025年の株式保有見直しを期待する。
71.我々は、より効果的で、信頼性があり、説明責任のある正当な機関を実現するために、MDBs及びその他の国際的な経済及び金融機関の意思決定における途上国の代表性及び発言権を強化する必要性を強調する。この文脈において、我々は、サブサハラ・アフリカの発言権と代表性を強化するための、国際通貨基金(IMF)理事会における25番目の理事の設立を歓迎する。
72.我々は、グローバル金融セーフティ・ネットの中心にあり、強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有するIMFへの我々のコミットメントを再確認する。我々は、最も貧しい加盟国のクォータシェアを守りつつ、加盟国の世界経済に占める相対的な地位をより良く反映させるための、クォータシェアの調整の緊急性と重要性を認識する。我々は、第17次クォータ一般見直しの下で、新たなクォータ計算式を通じたものを含め、更なるクォータシェアの調整に向けた指針としての可能な複数のアプローチを2025年6月までに策定するためのIMF理事会における進行中の取組を歓迎する。我々は、IMF理事会における機運を高めるために、建設的な行動を取る用意がある。我々は、IMF理事会における、チャージ・サーチャージ見直し、並びに貧困削減・成長トラスト(PRGT)制度及びその資金調達に関する見直しを歓迎する。これらの見直しは、適切なステップであり、我々は引き続きIMFが変化する状況に適応するための取組を支援する。
73.我々は、最も資金を必要とする国々に対するプレッジによる1,000億米ドルの自発的な貢献(SDR又は同等の貢献)という世界的な野心の画期的な達成を歓迎し、プレッジの迅速な実施を求める。我々は、飢餓と貧困に対するグローバル・アライアンスの目標を含む、SDGsと地球規模課題に対処するためのMDBsの財務能力を強化するため、その準備資産としての地位を尊重し、かつ特別引出権(SDR)の流動性を確保しつつ、MDBsへのSDRチャネリングに意欲がありかつ法的にそれを模索することが可能な国に、引き続き参加を呼びかける。
74.我々は、効果的、包括的かつ体系的に低中所得国における債務脆弱性に対処することの重要性を再度強調する。我々はG20の「共通枠組」(CF)下、及びその他の債務措置の進捗を歓迎する。我々は、「共通枠組下の事例から得られた教訓に関するG20ノート」に基づき、予測可能で、適時に、秩序立ち、かつ連携した方法でCFの実施を強化することを含め、債務脆弱性に対処することに引き続きコミットする。我々は、第2及び最終パラグラフを含む、「DSSI後の債務措置に係る共通枠組」においてなされた全てのコミットメントを引き続き守る。我々は、債務の透明性の向上に向けて作業を継続する全てのステークホルダーによる共同の取組を歓迎し、民間債権者が後に続くことを奨励する。我々は、我々は、民間セクター、二国間及び多国間の債権者、並びに債務国を含む主要なステークホルダー間の共通理解をさらに深めるため、公的債務にかかるグローバル・ラウンドテーブルを引き続き支持する。我々は、2024年にG
20議長国ブラジルが開催したアフリカ主導の債務、開発及びインフラに関する対話を歓迎する。
多角的貿易体制
75.国際貿易は、包摂的な経済成長、貧困と飢餓との闘い、持続可能な開発及びSDGsの推進のための重要な原動力である。我々は、貿易及び持続可能な開発が相互に補完的であることを確保することの重要性を強調し、貿易と持続可能な開発に関するG20原則を、貿易及び持続可能な開発に関連する措置の立案と実施のためのガイドラインとして機能するものと承認する。我々は、貿易及び投資がその可能性を十分に発揮し、世界的な成長及び繁栄の原動力となることを可能にするため、WTOを中核とする、ルールに基づく、無差別的で、公正で、開かれた、包摂的で公平で、持続可能かつ透明性のある多角的貿易体制を確保する必要性を強調する。WTOルールと整合的な公平な競争条件及び公正な競争を確保することは、繁栄を確保し、全ての人々にとって好ましい貿易及び投資環境を醸成するために不可欠である。我々は、WTOの開発の側面の中心性を再確認する。
76.我々は、マラケシュ協定30周年にあたり、現在の貿易上の課題に対処し、貿易が全ての人々にとって成長及び繁栄の原動力として機能することを可能にするという観点から、WTOの全ての機能を改善するために、WTOの必要な改革に向けて取り組むための我々の支援を再確認する。我々は、2024年までに全ての加盟国が利用できる完全に、かつよく機能する紛争解決制度実現を目的として議論を行うことに引き続きコミットしている。
人工知能のガバナンス
77.人工知能(AI)の急速な進歩は、世界のデジタル経済の繁栄と拡大を約束するものである。人々の権利及び安全を守りつつ、責任ある、包摂的な人間中心の方法で課題を解決し、善そして全ての人のためにAIを活用することが我々の努めである。安全、安心で、信頼できるAIの開発、導入及び利用を確保するためには、人権の保護、透明性及び説明可能性、公正性、説明責任、規制、安全性、適切なヒューマン・オーバーサイト、倫理、偏見、プライバシー、データ保護並びにデータガバナンスに取り組まなければならない。我々は、生成AIを含むAIの可能性を活用する必要性を認識する一方で、その課題にも留意する。我々は、AIがもたらす恩恵を享受しながらリスクを最小限に抑えることができるよう、AIに対するイノベーションを促進する規制/ガバナンスのアプローチを推進していく。AIの潜在力を最大限に引き出し、その恩恵を衡平に共有し、リスクを軽減するために、我々は、先進国と途上国の声を取り入れる必要性を認識し、AIのための国際的なガバナンスに関する国際協力及び更なる議論を促進するために協働する。我々は、持続可能な開発の強化を含む国際的なAI協力の推進における国連が他の既存のフォーラムとともに果たす役割を認識する。国内及び国家間のデジタル・デバイドの拡大を認識し、我々は、この分野における途上国のための能力構築と包摂的な国際協力の推進を求め、これらの取組を支援する国際的なイニシアティブを歓迎する。我々は、G20AI原則及びユネスコの人工知能の倫理に関する勧告を再確認する。
78.我々は、AIを含む新興技術の開発、導入及び利用が労働者に多くの機会をもたらす可能性がある一方で、倫理的な懸念並びに労働者の権利及びウェルビーイングに対するリスクをもたらす可能性があることを認識する。AIやその他の技術が進化し続ける中、2030年までにジェンダー間のデジタル・デバイドを半減させることを含めデジタル・デバイドを埋め、脆弱な立場にある人々の労働市場への包摂を優先し、公平性を確保し、知的財産権、データ保護、プライバシー及びセキュリティを尊重する必要がある。我々は、教育や健康の成果の改善及び女性のエンパワーメントのために、責任あるAIを提唱し推進することに同意する。我々は、有意義なデジタル・インクルージョンを実現するためには、デジタル・リテラシーと技術が不可欠であることを認識する。我々は、職場におけるテクノロジーの統合は、労働者の意見やフィードバックを取り入れることで最も成功すると認識し、そのため、企業が職場でのデジタル技術の統合に際して、社会対話やその他の形態の協議を行うよう奨励する。この点に留意しつつ、我々は、他の関連するワーク・ストリームと協力し、仕事の世界におけるAIの安全、安心で信頼できる利用のためのガイドラインを策定するというG2
0労働雇用大臣の決定を歓迎する。
79.我々は、デジタル経済作業部会の作業の継続と、南アフリカ議長国の下でのこれらの取組を支援する人工知能とイノベーションに関するハイレベルイニシアティブ/タスクフォースにおけるG20での議論に期待する。
包摂的・効果的なG20に向けて
80.我々は、アフリカ連合をG20の完全なるメンバーとして歓迎する。アフリカの声は、G20やその他のあらゆる国際フォーラムにおいて増幅されるべきである。我々は、アフリカとのコンパクトやアフリカ及び後発開発途上国の工業化の支援に関するG20イニシアティブを通じたものを含め、アフリカへの強力な支援を改めて表明し、アフリカ連合が、11年目の実施を迎えるアジェンダ2063の下で貿易・経済統合とその願望を実現できるよう支援する。
81.2024年、G20は、包摂的で効果的なフォーラムとしてのグループの役割を強化することを継続した。我々は、合同会議の数を増やすことを通じてシェルパと財務トラックを統合するとともに、G20議長国であるブラジルの主要優先事項である飢餓と貧困との闘い及び気候変動に対する世界的な動員に取り組む2つの追加的な合同作業部会を開催することでG20内での対話と意見表明機会の改善を促進した。
82.我々は、国際社会の全てのメンバーに対するG20の働きかけの重要性を強調する。この点において、我々は、ブラジル議長下で、全ての国連加盟国に対して開かれた初のG20会合となった外相会合が国連本部にて開催されたことを称賛する。
83.我々は、経済、金融、政治、環境、及び社会問題への取組において、市民社会が果たし得る、また果たすべき建設的な役割を強調したような、関与グループを統合する、ブラジルによるG20議長国としての革新的なアプローチを歓迎する。我々は、非政府ステークホルダーに対し、国際的なアジェンダの根本的な課題について意見を表明する独自の機会を提供したG20社会サミット開催の決定を称賛する。
84.G20は首脳主導の非公式グループであり、今後もそうあるべきであることを踏まえ、シェルパは南アフリカ議長国の下でG20の最初の議長国一巡のサイクルを評価し、2011年のカンヌサミットで同意された原則を十分に尊重した上で、今後の議長国についてのロードマップを含め、2回目のサイクルへの提言を行う。
結論
85.我々は、飢餓、貧困及び不平等との闘い、経済、社会及び環境の側面における持続可能な開発の推進並びにグローバル・ガバナンスの改革への我々のコミットメントを引き続き固く決意する。我々は、次のサイクルにおいてG20議長国となる順番を前倒しするというサウジアラビアの野心を歓迎する。我々は、本年のブラジルのリーダーシップに感謝するとともに、2025年の南アフリカ議長下で共に取り組み、また2026年の米国での再会を楽しみにしている。