[文書名] 第3回G20財務大臣・中央銀行総裁会議成果声明
我々、G20財務大臣・中央銀行総裁(FMCBG)は、2025年7月17-18日に南アフリカ・ダーバンで会合を行った。南アフリカ議長国による「連帯、平等、持続可能性」のテーマの下、世界の繁栄を一層促進し、主要な共通課題に対処するため、国際的な政策協調にコミットした。
世界経済
世界経済は、不確実性の高まりと、進行中の戦争と紛争、地政学と貿易の緊張、グローバルなサプライチェーンの混乱、高い債務水準、及び頻繁な異常気象現象と自然災害といった、経済成長、及び金融と物価の安定に影響を与える、複雑な課題に直面している。
高水準の公的債務及び財政圧迫に照らし、我々は、財政余力を構築し、財政の持続可能性を確保し、官民の投資を奨励し、生産性を向上させる改革を実施しつつ、成長を志向するマクロ経済政策の追求により長期的な潜在成長力を高める必要性を認識している。強い経済成長を生み出し、より多くのより良い雇用を創出するために構造改革は不可欠である。
全ての過度な不均衡はIMFによりさらに分析をされるべきであり、必要であれば、そして、差別をすることなく、開かれた世界経済に貢献し、持続可能な世界の成長を損ねることのないやり方で、各国固有の改革と多国間の調整を通じて対処されるべきである。我々は、2021年4月の為替相場についてのコミットメントを再確認する。
中央銀行は、それぞれのマンデートに沿って、物価安定の確保に強くコミットし、引き続き、データを踏まえながら政策を調整する。中央銀行の独立性はこの目標を達成するために極めて重要である。
我々は、世界経済についての既存の、そして新たなリスクに対処するための多国間協力の強化の重要性を強調する。我々は、繁栄を促進する努力の追求を継続し、貿易上の課題を前進させるための世界貿易機関(WTO)の重要性を認識し、国際貿易体制の不可欠な要素として、WTOで合意されたルールを認識する。我々は、WTOに課題があること、そして、今日の現実に照らしてより適切、かつ、よく対応するよう、WTOの全ての機能を革新的なアプローチを通じて改善するための、有意義で、必要かつ包括的な改革をWTOは必要することを認識する。我々は、「フレームワーク作業部会」の優先事項における進展に留意し、それぞれの成果に期待する。
国際金融アーキテクチャ
国際開発金融機関(MDBs)は「G20MDBロードマップ」及び「自己資本の十分性に関する枠組(CAF)」報告書の提言を実施している。我々はMDBs及び国際金融アーキテクチャ作業部会の「モニタリング及び報告フレームワーク」策定が進捗していることを認識し、10月に最初の報告書を受け取ることを期待する。我々は、MDBsが既存の資金をより効率的に活用し、民間部門とより多くのリスクを共有し、今後10年に亘り融資能力を拡大するための新たな手段を活用する際の助けとなるCAFの可能性を一層認識する。我々はまた、国際金融公社及びその他MDBs間の、ブレンディッド・ファイナンスに係る協働を歓迎する。我々は、「リマ持株原則」に沿った国際復興開発銀行の「2025年株式保有見直し」の結果に期待する。
我々はアフリカ開発基金第17次増資を支持する。我々はG20「アフリカとのコンパクト(CwA)」の強化を通じたものを含むG20とアフリカ経済との強化されたパートナーシップの戦略的重要性を認識し、アフリカの持続的成長に向けた民間投資の動員に関する議長国によるサイドイベントを歓迎する。我々は、議長国によって開始された、アフリカの成長と開発の阻害要因に対する作業を歓迎する。
我々は、効果的、包括的、かつ体系的に低中所得国における債務脆弱性に対処することにコミットしている。この目的のため、我々は、予測可能で、適時に、秩序立ち、かつ連携した方法でG20の「共通枠組」(CF)の実施を更に強化することへの我々のコミットメントを再確認する。我々は、CFの初期の事例から得られた教訓に関するG20ノートと、債務措置の段取りを示した文書を支持する。我々は、情報共有を促進するため、CFの事例に係るファクトシートが、現在、G20及びパリクラブのウェブサイトで利用可能なことを歓迎する。我々は、エチオピアと公的債権者委員会による債務措置に関する覚書の合意を歓迎する。また、我々は、民間債権者を含む全ての利害関係者に債務透明性の向上を求める。
我々は、流動性困難に直面する一方、債務は持続可能である脆弱国を支援することを国際社会に求めるとともに、IMFと世界銀行が、これらの国々を、各国固有かつ自発的な形で支援するための、実現可能な選択肢に関する作業を継続することを奨励する。
我々は、「特別引出権(SDR)チャネリングに関するG20ノート」を認識する。我々は、支援を必要とする国々のための1000億米ドルを超える自発的なSDRチャネリングあるいは同等の貢献の達成、並びに「貧困削減成長トラスト」及び「強靱性・持続可能性トラスト」への移転について留意する。我々は、未履行のプレッジを迅速に実施することを求めるとともに、チャネリングされた結果発生するSDR建て請求権の、準備資産としての地位の尊重と、それらの流動性を確保しつつ、MDBsへのSDRチャネリングの検討を、意欲がありかつ法的にそれを追求できる国に対して奨励する。
我々は、グローバル金融セーフティ・ネットの中心にあり、強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有するIMFへの我々のコミットメントを再確認する。我々は、「第16次クォータ一般見直し」にて合意されたクォータ増資についての国内承認を進めており、さらなる遅延なくこのプロセスを終わらせることを期待している。我々は、最も貧しい加盟国のクォータシェアを守りつつ、加盟国の世界経済に占める相対的な地位をより良く反映させるための、クォータシェアの調整の重要性を認識する。しかし、我々は、クォータとガバナンス改革に関する加盟国のコンセンサスを築くにあたっては段階を踏んだ手続きが必要であることを認識する。我々は、「ディリヤ宣言」に沿って、IMFクォータとガバナンスに関する将来の議論を導く一連の原則を、2026年の春会合までに策定するようIMF理事会に求めることを支持する。
我々は、MDBs及びその他の国際経済・金融機関の意思決定における途上国の代表性及び発言権を強化する必要性を強調する。その関連で、我々はサブサハラ・アフリカの発言権と代表制を高めるためのIMF理事会における25番目の理事の創設を歓迎する。
我々は、EMDEsへの持続的な資本フローを促進し、健全な政策枠組、とりわけ中央銀行の独立性を発展させることにコミットし続ける。我々はノンバンク金融機関(NBFI)の役割の拡大と、その資本フローに与える影響を理解するための継続中の作業に留意する。
サステナブル・ファイナンス
我々は、適切な場合には、サステナビリティ目標及び各国の優先事項を支援する中で、MDBs、気候・環境関連基金、各国の開発銀行間の相互運用性を高めるための関係者間の強靱かつ効果的な協調を確かなものにするよう助けることにより、グローバル・サステナブル・ファイナンス・アーキテクチャを強化するというコミットメントに留意する。効率性の向上と、革新的な金融手段の活用の促進による協調融資と民間資金動員の拡大は、途上国における国主導の気候変動対策への投資におけるリスク共有に不可欠である。
我々は、適応及び強靭性を金融機関及び企業の自発的な移行計画に統合するための、主要な考慮事項の調整に関する進捗を認識する。これらの取組みは、脆弱なセクターが持続可能かつ気候変動に対し強靭な経済へと向かうことを支援し得る。我々は、適応のためのより効果的な資金供給メカニズムに関する継続的な作業を期待するとともに、実践的な指針及びツールの策定による自然災害の保険補償ギャップに対処する、柔軟で各国の事情に合わせた解決策を促進する。
我々は、相互運用性、アクセス可能性、透明性、及びスケーラビリティの促進等により、健全性が高く、自発的で、民間部門主導の炭素市場の可能性に留意する。我々は、自発的なツールとして「共通カーボンクレジットデータモデル」を構築することを目指して、原則を策定するための「気候データ運営委員会」による取組みに留意する。
我々は、柔軟性があり、自発的な性質を持つ複数年にわたる「G20サステナブル・ファイナンス・ロードマップ」のこれまでの進捗に留意する。
インフラ
質の高いインフラ投資の拡大は、より迅速で、より持続可能な経済成長と開発の支援に決定的に重要であることを認識し、我々は、有効な計画と準備慣行のための枠組み、ブレンディッド・ファイナンスのデリスキング措置の拡大に関するレポート、及び国境を越えたインフラプロジェクト推進のためのツールキットの策定に向けた進捗状況に留意する。また、我々は、自発的かつ拘束力のない、「プロジェクトレベルのデータ活用とパイプラインのデジタル化に関する実践指針」と、「主要な市場データの入手可能性と利用可能性向上に関するノート」も支持する。
金融セクターの課題と金融包摂
我々は、経済成長を支え、バーゼルIIIを含む、全ての合意された改革と国際的な基準の、一貫性のある、完全で、かつ適時の実施に基づき、脆弱性に対処し、開かれた、強靭で、かつ安定した金融システムを促進するとの我々のコミットメントを再確認する。我々は、EMDEsとAEsの双方におけるNBFIの役割の拡大に留意し、NBFIのデータの入手可能性と報告、質、利用、及び情報共有に対処するための金融安定理事会(FSB)の作業を支持する。我々は、最近最終化された、NBFIのレバレッジによるシステミックなリスクに対処するためのFSBの勧告を承認し、法域による実施を奨励する。我々は、イングランド銀行総裁アンドリュー・ベイリー(AndrewBailey)氏の
FSB新議長への任命を歓迎する。
我々は、「クロスボーダー送金の改善に向けたG20ロードマップ」の効果的な実施と、「ロードマップ」の目標を達成するための、必要に応じた適切な更なる行動への我々のコミットメントを再確認する。我々は、その実施の進展を促進するための、FSB、国際決済銀行(BIS)の決済・市場インフラ委員会、金融活動作業部会(FATF)、及びその他の国際機関が行ったイニシアティブを歓迎する。我々は、開かれたスケーラブルな金融における、信頼と廉潔性を向上させるための革新的解決策の推進を目的とした「BISイノベーションハブ」による「G20TechSprint2025」の立上げを歓迎する。我々は、気候関連金融リスクに対処するための「FSBロードマップ」のアップデートと、暗号資産及びステーブルコインのハイレベル勧告の実施に関する今後のFSBによるテーマ別ピア・レビューに留意する。
我々は、グローバルネットワークに亘るマネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融と闘うためのFATF基準の実施の監視におけるFATFとFATF型地域体を支援するとの我々のコミットメントを再確認する。特に、我々は、法人の悪用に対抗し、財産回復を更に促進し、クロスボーダー送金の透明性を向上させ、暗号資産を用いた不正資金を軽減しつつ暗号資産セクターのイノベーションを促進するためのグローバルな取組みを強化することの重要性を改めて強調する。我々はまた、DeFi、ステーブルコイン及び個人間で行われる取引(P2P取引)を含む、新たな技術及び関連するリスクに係るFATFの進行中の作業を支持する。
我々は、金融包摂や、個人及び中小零細企業(MSMEs)のための金融サービスのアクセスを促進する、我々のコミットメントを再確認する。我々は、決済、貯蓄、信用、保険及び送金にまたがる金融サービスの利用を強化する革新的なアプローチを提供する、「アクセスから利用への移行」と題する議長国のプライオリティ・ペーパーからの洞察を歓迎する。我々は、「MSME金融のためのG20金融包摂のためのグローバル・パートナーシップ(GPFI)行動計画」の継続的な実施を支持する。我々はまた、個人及びMSMEsのための、金融包摂の質を高める、新しくかつ革新的な技術の役割を模索するための成果物を歓迎する。
国際課税
我々は、全ての関係者にとって受け入れ可能な、均衡ある、かつ実用的な解決策を見出すという共有された目標をもって、「第2の柱」のグローバル・ミニマム課税に関する懸念に対処することに建設的に関与することを継続する。解決策の実現は、実質ベースの税制上の優遇措置の公平な取扱いに関する議論を含む、公平な競争環境の観点から特定されうる重大なリスク、及び、税源浸食と利益移転のリスクが対処されることを確保することへのコミットメントを含む必要があるとともに、経済のデジタル化に伴う課税上の課題に関する建設的な対話を含む、国際課税システムを安定させるための更なる進展を促す。これらの取組みは、全ての国の課税主権を保持しつつ、OECD/G20「包摂的枠組み」(IF)のメンバー間の緊密な協力によって進められる。我々は、税の透明性に関する実績評価に係るOECD及びグローバル・フォーラムによるレポート、BEPSに関する実績評価に係るIFによるレポート、脱税や租税回避と闘うための不動産に関する自主的な情報交換に係るOECDによるレポート、技術支援を強化するための能力開発の枠組みの強化に関する進展に係る「税に関する協働のためのプラットフォーム(PCT)」によるレポート、国内資金動員(DRM)の向上のための歳入行政の強化に関するIMFによるレポートを期待する。我々は、PCTが、DRMに焦点を当てた「税と開発カンファレンス」を、来年、東京で開催することを発表したことを歓迎する。
我々は、「国際租税協力に関するG20リオデジャネイロ閣僚宣言」を想起しつつ、グローバルな移動について研究し、税制、格差、及び成長の相互作用を理解するために、段階的かつ証拠に基づいたアプローチを採用するというIFの決定を歓迎する。また、IFの有効性及び包摂性を高めるための議論についても歓迎する。我々は、国際租税協力に関する国連枠組条約を策定するための進行中の交渉に留意するとともに、参加しているG20メンバーは、不要な努力の重複を避けるよう努めつつ、幅広いコンセンサスを得る、及び、既存の成果、プロセス、及び他の国際機関において現在進行中の作業を基礎とするという目的を再確認する。
財務・保健合同タスクフォース
財務・保健合同タスクフォース(JFHTF)は、パンデミックへの予防・備え・対応(PPR)に関する財務と保健の連携の強化に、引き続きコミットする。我々は、現在ドナーによる支援が減少していること、及び外部資金と国内資金のフローのより良い調整と連携の必要性を踏まえ、効率的かつ効果的な保健支出及び国内資金動員の重要性を強調する。我々は、更新版の「経済の脆弱性及びリスクの枠組み(FEVR)に関するグローバル・レポート」及び「対応資金のためのオペレーショナル・プレイブック」による暫定的な洞察に留意する。我々はまた、財務・保健当局者により行われたパンデミック対応資金に関するシミュレーション・エクササイズに留意し、更なるエクササイズに期待する。我々は、財務・保健合同タスクフォースの実績評価に関する独立報告書に留意し、ハイレベル独立パネルの焦点を絞った再開に留意し、パンデミックへの予防・備え・対応の強化のための国際的及び国内的な投資行動を促進するパンデミック基金や他の国際保健関連基金と協働し続ける。
我々は、2025年6月30日から7月3日にかけてスペインのセビリアで開催された第4回開発資金国際会議の成果と、途上国の開発目標達成のための支援を行うという参加国による新たなコミットメントに留意する。
我々は、ベレンでの来るCOP30を認識し、「COP30財務大臣のサークル」における参加国の関与に留意する。
我々は、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の最初のサイクルを、南アフリカの人々とネルソンマンデラ国際デーを祝いつつ、この生き生きとしたアフリカ大陸で締めくくった。この2日間の我々の議論はより良い世界を作ることを中心としており、マンデラ精神の価値を体現していた。我々は、2025年秋のワシントンDCでの次の会議を楽しみにしている。