[文書名] G20財務大臣・中央銀行総裁会議 債務持続可能性に関する閣僚宣言
G20は、債務持続可能性の課題に直面している国々を支援する上で重要な役割を果たしている。これは、新型コロナ感染症の深刻な影響を緩和するために、債務返済よりも保健、社会、経済への対応を優先することで、緊急に必要とされていた財政的余力を最貧国に提供した、2020年に開始された歴史的な「債務支払猶予イニシアティブ(DSSI)」を通して示された。より一層の体系的なメカニズムの必要性に鑑み、G20首脳はリヤド宣言において、包括的かつ協調した債務再編へのアプローチを提供するため、パリクラブでも合意された「DSSI後の債務措置に係る共通枠組」を支持した。
システミックな債務危機のリスクは概ね抑制されているようである一方、多くの脆弱な低中所得国は、高い資金調達コスト、大規模な対外借換ニーズ、そして大幅な民間資金流出に直面している。これらの債務脆弱性は、他の要因と相まって、こうした国々の財政的余力、貧困や不平等への対応力、そして成長と開発への投資能力を制約し得る。状況は、特にアフリカにおいて、多くの低所得国にとって非常に困難である。我々は、低所得国(LICs)にとって、対外公的債務全体に係る利払いが顕著に増加し、過去10年間で2倍以上となったことに懸念をもって留意する。
債務は、慎重に管理された場合において、持続的な開発投資をファイナンスするための重要なツールである。借入国は、強い経済成長を促進するために、健全な公的債務管理を追求し、強固な財政枠組に依拠し、構造改革を実行しつつ、責任ある借入のための重要な措置を取ることができる。また、いくつかの借入国は、債務持続可能性の強化と各国における国内資金動員の促進への取組みを支援するための更なる国際的な援助を必要としている。
更なる行動への我々のコミットメント
これまでの進捗に基づき、我々、G20財務大臣は、債務持続可能性を更に高めるため、以下にコミットする。
1. 我々は、高水準の債務は、インフラ、災害への強靱性、保健医療、教育及びその他の開発ニーズへ投資する能力を制約する、多くの途上国の包摂的な成長への障壁の一つであることを認識する。
2. 我々は、効果的、包括的、かつ体系的に低中所得国による債務脆弱性へ対処する取組みを支援する我々のコミットメントを再確認する。
3. 我々は、予測可能で、適時に、秩序立ち、かつ連携した方法で「DSSI後の債務措置に係る共通枠組」の実施を更に強化することへの我々のコミットメントを再確認する。
4. 我々は、民間債権者を含む全ての利害関係者に債務透明性の向上を求めることを再確認する。
5. 我々は、進行中であるIMF・世界銀行の低所得国向け債務持続可能性枠組(LIC-DSF)の見直しを支持する。この見直しは、IMF・世界銀行の低所得国向け債務持続可能性分析(DSA)を支える手法の更なる改善をもたらし、債務脆弱性についてより効果的に理解し対処することに資する。
6. 我々は、極めて重要な余裕と流動性を提供し得る、「危機に強靱な債務条項」の、適切な場合における自発的な活用に留意する。
7. 我々は、債務持続可能性の強化を支援するため、利点と限界についてバランスの取れた見方をもって、負債管理オペレーション及び「開発債務スワップ」、気候又は類似のスワップの自発的且つケースバイケースでの活用の検討を模索する取組みに留意する。
8. 我々は、共通理解をさらに推進すべく、公的債務に係るグローバル・ラウンドテーブル(GSDR)をはじめとして、民間部門、公的二国間及び多国間の債権者並びに債務国を含む主要な関係者と建設的に関与していくことに引き続きコミットする。借入国と関与し、借入国の声を高めることは重要である。
9. 我々は、債務は持続可能である一方、流動性困難に直面している、強固な改革アジェンダを有する脆弱国への支援を、国際社会に引き続き求めるとともに、IMFと世界銀行に、これらの国々を、各国固有かつ自発的な形で支援するための実行可能な選択肢に関する作業を継続することを要請する。我々はまた、これらの国々への支援策を、IMFと世界銀行の協力を得て議論する。我々は、本件に係る、IMFと世界銀行からの更なる報告に期待する。
10. 我々は、債務管理、債務透明性、公共財政管理、そして国内資金動員のギャップに対処することの重要性を強調し、この目的のために、適切な能力構築を引き続き推進する。
附録 G20による過去および進行中の共同取組
1. G20ニューデリー首脳宣言は、先進国に対し、官民、国内外を含むあらゆる資
金源からの開発資金を補足し促すそれぞれのODAのコミットメントを適時かつ完全に履行し、途上国の資金ニーズへの対処に貢献することを求めた。
2. G20は、債務脆弱性に対処するために、包括的で多角的なアプローチを追求してきた。このアプローチには、G20「債務支払猶予イニシアティブ(DSSI)後の債務措置に係る共通枠組」の実施の更なる強化に係る措置、債務は持続可能である一方で流動性困難に直面する国々への支援の提供、現地通貨建て債券市場の発展促進、国内資金動員の推進、債務透明性の向上、持続可能な資金調達慣行の推進や革新的な債務手法の議論をしながらの格付機関との関与、が含まれる。
3. 創設から5年間で、G20「債務措置に係る共通枠組」は、債務措置を要請した4か国(チャド、ザンビア、ガーナ、エチオピア)に対し、債務措置を提供した。一連の各事例では、債務措置の議論開始から債務国と公的二国間債権国の覚書締結までのタイムラインが、より短くなっている。エチオピアでは、このプロセスが1年以内に終結した。
4. 「共通枠組」の実施を促進するため、2024年のG20ノート「共通枠組:得られた教訓と今後について」を踏まえ、我々は、2025年7月、共通枠組を改善するために取られた措置を示すG20ノート「共通枠組の初期事例から得られた教訓へのフォローアップ」、及び、共通枠組のプロセスを更に明確なものとする「共通枠組下の債務再編の段取り」に係るG20ノートを支持した。講じられた債務措置についての情報共有を促進するため、「共通枠組」の事例に係るファクトシートも、G20及びパリクラブのウェブサイトで公表された。こうしたことは、2025年4月の共同議長文書としての公的債務再編に関するGSDRプレイブックの公表によって更なる後押しを得た。
5. G20は、民間債権者を含む全ての利害関係者による債務透明性の向上の重要性を強調した。我々は、進行中のデータ共有取組を含むデータ共有と自発的なデータ突合プロセスの取組みに留意した。
6. G20において、債務についての借入国の声を反映するため、南アフリカ議長国は2025年3月18日、アフリカ開発銀行と共催でサイドイベントを開催し、14のアフリカの借入国が債務持続可能性に関する見解をG20と共有した。借入国からの提言を把握するために成果文書が草案された。これらの国々の声を高めるため、我々は、借入国のプラットフォームを構築するための最近の取組みに留意する。
7. G20は、IMFと世界銀行による、債務は持続可能である一方、流動性困難に直面している脆弱国を支援するための取組みに留意した。IMFと世界銀行は、これらの国々を、各国固有かつ自発的な形で支援するための、実行可能な選択肢に関する作業を継続している。
8. 自然災害等の外的ショックによって引き起こされた短期流動性ストレスに直面している債務国が利用可能なツールキットを補完するため、G20は、ソブリン貸付における「気候変動に対する強じん性を取り入れた借入条項(CRDCs)」の自発的活用のマッピングを行った。この取組みは、これらの条項の需給を明確化するとともに、商業原則と各国の国内法を尊重しつつ、これらが自発的かつケースバイケースで債務契約に置換される方法を伝達することを目的としている。
9. これらの課題に焦点を当てることで、G20は、低中所得国における債務脆弱性への対処と、これらの国々の開発目的を後押しする取組みを支援してきた。