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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第2回G20財務大臣・中央銀行総裁会議議長声明

[場所] 米国・アシュビル
[年月日] 2026年9月1日
[出典] 財務省
[備考] 仮訳
[全文] 

第2回G20財務大臣・中央銀行総裁会議議長声明*1*

1. 我々、2026年8月31日及び9月1日にノースカロライナ州アシュビルに参集したG20財務大臣・中央銀行総裁は、2026年のG20財務トラックの優先課題を前進させるため会合した。我々は、招待国*2*及び国際機関*3*による関与を歓迎した。我々はまた、G20諸国がどのように民間主導の成長及びイノベーションを促進できるかについて議論するため、民間セクターの代表者の参加を得た。

2. 我々は、アシュビル及び西部ノースカロライナの市民による歓待に感謝するとともに、壊滅的なハリケーン・ヘレンの被害後における地域の復興の進展及び住民の強靱性を称賛する。

3. 我々は、米国G20議長が強い経済成長の促進に焦点を当てたことを歓迎するとともに、民間セクターの関与、生産性向上、グローバルな不均衡、金融リテラシー、公的債務、デジタル資産及び金融セクターの課題を含む主要優先課題において達成された成果を認識する。我々はまた、効率性を高め、中核的な経済・金融の優先課題への焦点を強化するための、米国議長下でのG20財務トラックの構造及び議題の簡素化の成功を歓迎するとともに、G20財務トラックが目的に即し機敏に対応できることを引き続き確保する。

世界的な経済成長の促進

4. 世界経済は、進行中の戦争及び紛争を含む複数のショックに直面する中でも、強靱性を維持している。エネルギー、食料、肥料、重要鉱物等の主要なバリューチェーンの効率的で円滑な機能を確保することは、世界の成長を支えるために不可欠である。我々は、エネルギー貿易に対する継続的な混乱を懸念するとともに、ホルムズ海峡と世界全体における自由、安全かつ予測可能な航行及び、進行中の戦争と紛争の解決が、持続的な成長を支えるために不可欠であることを強調する。

5. 数多くの下方リスクを踏まえ、我々は、安定的かつ予測可能なマクロ経済環境が、特に途上国において、成長及び雇用を支えるに当たり重要な役割を果たすことを認識する。我々は、世界のサプライチェーンが引き続き正常に機能することを確保するため、各国に対し不要な輸出規制を控えるよう求める。我々は、肥料の生産、上流工程、加工、貯蔵、輸送及びその他の重要インフラへの融資の拡大を含む肥料サプライチェーンの全ての段階において国際開発金融機関(MDB)による支援を可能とする「肥料サプライチェーン強化に向けたMDBロードマップ」を策定するとのコミットメントを確認したMDB共同声明を歓迎する。必要かつ財政余力がある場合には、一時的で的を絞った措置は、債務持続可能性を維持しつつ、ショックに対応し、最も貧しく脆弱な人々への経済的影響を抑制することに役立てることができる。我々の財政政策は、財政の持続可能性を確保し、財政余力を回復させるとともに、成長を促進し、生産性を向上させる投資を促進する。我々は、民間投資が成長の重要な原動力であることに留意する。我々は、生産性を向上させ、幅広い導入を可能にする、人工知能(AI)、コンピューティング及びデジタルインフラへの投資の潜在力を歓迎する一方、金融セクター及びその他のセクター固有の潜在的なリスクを含むリスクに対応すること及び、イノベーションがサイバー強靱性を強化することを可能とするAIを活用することの重要性を認識する。我々は、2021年4月の為替相場についてのコミットメントを再確認する。

6. 中央銀行は、それぞれのマンデートに沿って、物価安定の維持及び金融システムの継続的な強靱性に強くコミットしており、これは強固な経済成長を支える。中央銀行の独立性は、金融政策の実施のために極めて重要である。人工知能及びその他の構造変化が我々の経済を再形成する中、中央銀行は、生産能力の拡大と需要の変化を厳密に区別するよう目指す。

7. 成長の促進は、我々の経済に共通する主要課題であり、成長志向の経済政策は皆のための世界的な繁栄のフロンティアを拡大する。我々は、規制・行政上の負担、非効率な税制、不十分な投資、高い資本コスト、並びに労働供給、技能及び労働移動の遅れを含む、強固な経済成長に対する重要な共通の阻害要因を特定した。我々は、過度な負担となっている煩雑な手続・規制の簡素化・削減、労働参加の促進、労働市場の摩擦の削減、人的資本の向上、質の高い投資の促進、イノベーションの奨励及び幅広い成長と繁栄を支える税制の推進を含む、幅広い政策・取組を通じて、これらの阻害要因に対処している。我々は、人工知能が世界経済に重大な影響を及ぼす潜在力を持った汎用技術であることを認識する。その責任ある開発、導入及び普及を受け入れる経済が、今後数年間の世界経済の成長のペースを設定する可能性がある。豊富かつ手頃なエネルギーへのアクセス、質の高いインフラ投資、マクロ経済の安定及び法の支配に支えられた予測可能な投資環境、そしてAI及びその他の新たな技術の責任ある受入は、成長の促進に役立つだろう。国内資金動員の強化及び不正資金への対処は、投資に対する重要な構造的制約を取り除き、マクロ経済の強靱性を高め、より力強く持続的な成長を支えるのに役立てることができる。

8. 国際機関は、より力強い成長の成果の促進を支援する上で重要な役割を果たす。この点において、我々は、IMF、世界銀行グループ及びOECDに対し、それぞれのマンデートに沿って、構造的な阻害要因の克服、生産性向上、マクロ経済枠組の強化及び強固で持続的かつ均衡がとれた成長の支援のための行動に関する更なる分析及び政策提言を通じて、我々の取組を支援することを求める。我々は、各国の租税政策及び税制がどのように企業活動のダイナミズムに影響を与えるかに関するOECDの作業を支持するとともに、本年末までにOECDから提出される中間報告に期待する。我々は、世界銀行グループ及びその他の国際開発金融機関に対し、それぞれのマンデートに沿って、中核的なマクロ経済及び開発上の課題に対処する政策改革、並びに生産性、成長及び雇用に実証可能な成果をもたらす的を絞った投資について、加盟国と関与するよう求める。

9. 我々は、広範な経済成長、雇用創出及びイノベーションを推進するうえで民間セクターが果たす重要な役割を確認する。我々は、本年のG20財務トラック会合において民間セクターと直接関与してきており、我々は、各法域において、幅広い市中協議、的を絞ったステークホルダーとの対話、制度化されたパートナーシップモデルを含む仕組みを通じて、引き続き、民間セクターの参加者とそれぞれの関与を継続していく。我々の議論は、政策の明確性を提供し、イノベーション、投資、スキル開発及び効果的な官民連携を促進する協力的なビジネス環境により、持続的な成長が強化されることを強調した。我々は、国際的な基準設定主体に対し、民間セクター主導のイノベーションを支えるとともに、基準はよく調整され目的に沿ったものであるべきとの原則にコミットするよう求める。我々は、政策設計の改善、阻害要因の除去及び成長の加速のため、民間セクターと引き続き緊密に作業していくことにコミットする。特に、成長及び雇用の不可欠な原動力である中小企業の発展を促進する政策行動にコミットする。我々、G20財務トラックは、民間セクターとの強固な関与を継続する。

グローバルな不均衡への対応

10. 我々は、過度かつ持続的な不均衡は、リスクをもたらすとともに、成長を阻害し、他国の不均衡を助長し悪化させ、経済やサプライチェーンの脆弱性を高め、強靱性を低下させるような経済の歪みや国境を越えた負のスピルオーバーを生じさせる可能性があることを認識する。これらの有害な影響は、経済的緊張に寄与し得るとともに、金融チャネルを通じたものを含め、無秩序な調整の潜在的リスクにつながる。我々は、不均衡を悪化させる非市場的政策及び慣行を撤廃するための措置を、各国が講じるべきであることに合意する。特に、過度で持続的な対外黒字を抱える国は、国内消費を抑制し成長のための輸出への過度な依存につながる歪みを取り除くべきである。これらの政策及び慣行は、世界、地域及び国内の市場への有害なスピルオーバーをもたらし、経済的依存を高める。過度で持続的な対外赤字を抱える国も、国内貯蓄と財政再建の促進を含む政策に取り組むべきである。我々は、政策調整の欠如が世界の成長及び強靱性を損ない得ることを認識する。この点について、これらの不均衡への対応は黒字国及び赤字国双方の共通利益であるため、G20の継続的な協力が歓迎される。我々は、6月に2026年の作業計画を完了したG20グローバル・インバランス・スタディ・グループの生産的な議論を歓迎するとともに、共同議長を務めたオーストラリア及び韓国に感謝する。

11. 我々は、グローバルな不均衡に関するサーベイランスがIMFのマンデートに基づいていることを強調する。我々は、不均衡のマクロ経済上の要因や、歪曲的な政策及び国外・国内へのスピルオーバーのサーベイランスについて、一貫性及び公平性を一層強化するためのIMFの進行中の作業を歓迎する。我々は、分析ツールを向上させ、グローバルな不均衡とそれに伴うリスクを支え助長する政策のサーベイランスを改善するというIMFの本年の作業を強く支持する。また、IMFに対し、不作為のコストを含む、より詳細なシナリオ分析を提示し、その分析を二国間・多国間サーベイランス及び政策提言に更に統合するよう求める。OECDもまた、グローバルな不均衡の構造的要因を分析する上で役割を果たし得る。我々は、IMF及びOECDに対し、それぞれのマンデート及び専門性に沿って、非市場的政策及び慣行を対象とすることも含め、不均衡の頑健な分析に必要なデータの改善を継続するとともに、適切な場合には、データソースの改善を検討するよう求める。

世界的な金融リテラシー及び金融教育の推進

12. 我々は、金融リテラシーが家計の健全性及びウェルビーイングの基盤であることを認識する。我々は、本年春の「G20グローバル金融リテラシーに関するファイアサイドチャット」及び世界銀行グループの支援による「金融リテラシー向上のための課題解決スプリント」を含め、金融リテラシーの重要性へのハイレベルの注目を喚起した米国G20議長の取組を歓迎する。同スプリントの受賞者は、10月にバンコクで開催されるIMF・世界銀行グループ年次総会で紹介される。我々は、人生の全ての段階における金融上の意思決定を改善するため、我々の法域における国による金融教育の取組を拡大するとともに、エビデンスに基づくベストプラクティスの世界的な活用を促進するよう努める。我々は、例えば米国のトランプ口座の活用、他のG20諸国における貯蓄及び投資の促進のためのインセンティブプログラム、並びにその他の各国の取組を通じて、個人の生涯にわたる貯蓄、投資及び資産形成について理解した上での意思決定を支援する消費者教育に重点を置くよう努力する。貯蓄及び責任ある投資の奨励は、成長を促進し、個人の責任意識及び経済的自立を促進する。我々は、金融教育が詐欺の手口を見極め回避するための知識及び手段を提供することにより、消費者が個人の資産管理を守り、金融面の強靱性を高めることに資することを認識する。我々は、金融機会を世界的に引き出し、経済成長を促進する革新的な取組の特定、金融リテラシー・プログラムにおける客観性、高い質及び幅広いアクセスの奨励に資する、民間セクター及びその他の関係者の取組を歓迎する。我々は、G20メンバーが国際的な連携等を通じ、世界的な金融リテラシー及び家計の健全性を引き続き向上させることを奨励する。

グローバルな公的債務アーキテクチャの改善

13. 我々は、債務持続可能性に係る進行中の課題に対処することに引き続きコミットするとともに、債務持続可能性と成長の成果を改善するために、より迅速かつより予測可能な債務措置の必要性を認識する。我々は、予測可能で、適時に、秩序立ち、かつ連携した方法によるG20「共通枠組」の実施を更に強化するため、G20の継続中のコミットメントを再確認するとともに、我々は、共同行動と公平な負担を求めつつも、必要な場合の柔軟性を保持した我々の連帯を確認する。我々は、対外債務の有意な割合をG20メンバーに負っている国々に、「共通枠組」から得られた教訓を適用する取組を深化させている。そのような場合において、G20公的債権者間のより広範な協調は、債務再編の合理化に資する。我々はまた、債務負担が持続可能で強固な改革アジェンダを有するものの、高水準の債務返済の支払いに直面して成長志向の投資がクラウド・アウトされている国々への支援を目指す、IMFと世界銀行の「3本柱のアプローチ」の実施における進展を歓迎する。我々は、公的二国間債権者を含む関連する利害関係者による適切な貢献を通じたものを含め、「3本柱のアプローチ」の実施の更なる強化を奨励する。

14. 我々は、国際的な債務アーキテクチャの強化に際し、債務データの透明性が担う重要な役割を認識する。そのため、我々は、「共通枠組」の下での将来の交渉で使用するための、公的債務措置の主要な条項を詳細に記載した、G20の例示的で拘束力のない覚書テンプレートの公表を歓迎する。我々はまた、借入国向けのプレイブックの更新に係る、「公的債務に係るグローバル・ラウンドテーブル(GSDR)」の取組を評価する。最後に、我々は、債務透明性の改善に当たり、世界銀行の債務国報告システムの取組を支持する。我々は、債務データの突合を支援し正確性を改善するために、法制上及び機密性に係るセーフガードと整合的な形で、世界銀行の「債務データ共有取組」へのG20の参加拡大を奨励する。

金融セクターのイノベーション及び規制の現代化

15. 我々は、強固で持続的な経済成長を支えるため、金融安定性を確保し、金融システムの強靱性及び効率性を促進することにより、規制監督上の枠組の現代化にコミットしている。我々は、金融安定理事会(FSB)の作業を支持するとともに、金融セクターの潜在的な脆弱性への対応に対するコミットメントを確認する。我々は、全ての法域における広範な規制・監督の現代化の取組を確認するFSBのストックテイクの結果を期待するとともに、金融セクター政策を現代化し金融安定を維持する各法域の取組を導く原則を提示する、来るFSB市中協議報告書を期待する。我々はまた、FSBがその勧告の実施をどのように奨励・監視するかを改善する潜在的機会を評価・特定するFSBの「実施モニタリングレビュー」を期待する。我々は、FSBの「AIの責任ある導入に関する健全な慣行」に関する文書の最終化を期待する。我々はまた、バーゼルIIIの最終要素の実施を含む各国の提案及び規制について、最新の情報を共有した。我々は、FSBの「実効的な破綻処理の枠組みの主要な特性」の実施への支持を新たにするとともに、来るFSBの公的流動性バックストップに係るテーマ別ピア・レビューの結果及び勧告を期待する。

16. 我々は、デジタル資産を含むデジタル金融イノベーションが幅広い経済成長を支援する上で果たしうる変革的な役割、並びにそのイノベーションの推進において民間セクターが果たす主要な役割を認識する。我々はまた、この変革の中で金融安定を守り通貨及び決済システムに対する信認を維持することの重要性を認識する。我々は、クロスボーダーの機会及び課題を適切に考慮しつつ、金融安定を維持し、経済成長を支援し、健全なデジタル金融及びデジタル資産イノベーションへの明確な道筋を確立する、責任ある実効的な規制監督上の枠組を前進させることにコミットする。我々は、グローバル・ステーブルコインに関する国境を越えた含意並びにステーブルコインのデータソース、利用可能性及び潜在的な課題に関する報告書の結果を取りまとめた、来るFSBの要約を期待する。我々は、「クロスボーダー送金の改善に向けたG20ロードマップ」へのコミットメントを再確認し、各国に対し、データセキュリティ及び国内の法的枠組を考慮しつつ、大口決済システムの稼働時間拡大、ISO20022共通データモデルの利用奨励及び金融サービス関連データのクロスボーダー移転の促進のための取組を進めるよう求める。

17. 我々は、2026年4月に採択された金融活動作業部会(FATF)閣僚宣言に沿って、マネー・ローンダリング、テロ資金供与、拡散金融を防止するためのFATF基準の実施を監視するFATF及びFATF型地域体を支援するとの我々のコミットメントを再確認する。我々は、各国に対し、マネー・ローンダリング、テロ資金供与、大量破壊兵器の拡散金融の対策に関するリスクベースの監督を実施するよう求めるとともに、米国によって本年後半にダラスで開催されるFATFの「学習・能力開発フォーラム」を通じた実施の促進に期待する。我々は、FATFに対し、暗号資産の利用が多い法域が、優先事項として暗号資産に関するFATF基準を実効的に実施することを確保するよう行動をとることを求める。我々は、特に詐欺集団拠点や詐欺犯によるAIの悪用から生じる進化する脅威といった、詐欺に由来する不正な資金及びマネー・ローンダリングの防止にFATFが改めて焦点を合わせることを歓迎する。我々は、不正資金を迅速かつ大規模により良く発見し遮断するために官民連携を強化し、情報共有を向上させるFATFの取組を歓迎する。

{*1* 本声明は、中国を除く出席した全てのG20メンバーにより合意された。中国は第4、10、11、13パラグラフについて反対した。}

{*2* オランダ、ポーランド、シンガポール、カタール、スイス及びアラブ首長国連邦。}

{*3* 金融活動作業部会(FATF)、金融安定理事会(FSB)、国際通貨基金(IMF)、経済協力開発機構(OECD)及び世界銀行(WB)。}