データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 農業協力に関する共同声明

[場所] 
[年月日] 2015年11月1日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

 我々、日中韓三首脳は、農業が食料供給源のみならず、国土保全、自然環境の保全を含む多面的機能を有する主要な産業であるとの認識を共有した。

 我々は、この地域の持続可能な農業と安定的な食料供給のための三か国協力の重要性を認識した。また、2015年9月13日に東京で開催された第2回日中韓農業大臣会合での貴重な以下の成果を歓迎した。

1.食料安全保障は、国内生産の増加、適切な輸入と備蓄の三つの柱により確保される。三か国の農業大臣は、ともに食料純輸入国であることに鑑み、国内生産力の着実な増大が食料安全保障を確保する上で非常に重要との認識を共有した。

2.越境性の動植物の疾病に対処していくため協力していくことが不可欠である。韓国、日本及び中国が、東アジアにおける口蹄疫防疫に関するシンポジウムを開催してきたことに言及し、三か国の農業大臣は、越境性動物疾病への対応に関する協力覚書に署名した。

3.自然災害は我々の農業や経済に深刻な損害を与えるので、三か国の農業大臣は、自然災害発生時の三か国間の相互協力の可能性を議論した。さらに、進行している気候変動に対応するため、持続可能な農業生産力の確保に関する方策について検討することとした。

4.バイオマスエネルギーは、排出削減、大気汚染防止、気候変動への取組み及び循環型農業の前進に重要な役割を果たしている。

5.三か国の農業大臣は、様々な農業研究事例と農業研究の知見を結集し、持続可能な東アジア型農業の発展を支援していくことの重要性を認識した。

6.三か国の農業大臣は、農業を加工や実務経験と結びつけた農業の6次産業化が、農業や農村の活性化に不可欠であるとの認識を共有した。

7.三か国の農業大臣は、各国の様々な懸念や関心を考慮しつつ、三か国がウィン・ウィン・ウィンの状況になるように、日中韓FTA交渉を加速化させていくことが、三か国の農業発展にとって不可欠であるとの認識を共有した。

8.三か国の農業大臣は、ともに食料純輸入国として、G20、FAO、OIE、IPPC、APEC及びASEAN+3等の国際的・地域的な多国間の枠組みにおいて、政策や立場に関する意見交換や調整活動を更に強化する必要があることを認識した。

9.三か国の農業大臣は、実施の進捗状況及びその他事項を議論・確認するため、高級事務レベル会合のメカニズムの創設を決定した。

日中韓農業大臣会合が、農業分野の協力とともに三か国間の友好的な関係強化に重要な役割を果たしていることに留意し、三首脳は、第3回日中韓農業大臣会合を中国が主催することを支持した。