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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第9回 韓日中サミットの冒頭発言(尹錫悦 韓国大統領)

[場所] 韓国・ソウル
[年月日] 2024年5月27日
[出典] 駐日本国大韓民国大使館
[備考] 
[全文] 

ただいまより第9回韓日中サミットを開会いたします。

約8年半前の第6回サミットが開かれたまさにここで、岸田文雄総理、李強総理とともに、第9回韓日中サミットを開催できますことを大変嬉しく思います。

3か国の指導者が、新型コロナウイルスという共同の危機を乗り越え、本日、一堂に会したのは、私たち3か国の国民と国際社会にとって大きな意味をもちます。特に、本年は3か国協力が25周年を迎える年であり、4年5か月ぶりに集まった本日のこの場をとりわけ意義深く思います。

私たち3か国協力の原動力は、何よりも国民の支持であると思います。したがって、私たち3か国協力を通じ、国民の健康と安全、生活水準と暮らしの質の向上を目指して努力しなければなりません。3か国の国民が肌で感じることのできる、実質的な協力方策を追求していかなければなりません。

また、これから3か国協力の主役を担う未来世代が、心を開き、活発に交流できる環境づくりを行わなければなりません。本日、踏み込んだ忌憚のない意見交換を行い、私たち3か国協力に新しい活力を吹き込むことを期待します。

それだけでなく、3か国協力の安定性と持続性も築いていかなければなりません。4年5か月ぶりの本日のサミットを通じ、3か国協力を、より揺るぎなく推進していくことを希望します。二国間関係では解きにくい問題も、3か国協力を通じて解くことができると思います。強固な3か国協力を土台にして、域内のパートナーとともに協力の外縁も広げていくことを期待します。

さらに、グローバルな課題においても3か国がともに力を合わせ対応していくことを希望します。本年、そろって国連安保理の理事国として活動している私たち3か国が、グローバルな複合危機と地政学的葛藤の前で知恵と力を集め、国際社会の平和と繁栄にともに寄与していくことを願います。

岸田総理、李総理、1997年の東アジアにおける通貨危機という前代未聞の挑戦に立ち向かった際、私たちは、3か国協力の新たな機会を開きました。今日、私たちが直面している域内とグローバルなレベルのさまざまな挑戦も、3か国間で意思疎通を促進し、協力の地平を拡張する新たな機会へ転換できると思います。

本日のこの会議が、3か国協力の新たな出発と跳躍を約束する歴史的な道しるべになることを期待します。

最後になりますが、北朝鮮は、韓日中サミットが開催されるきょう未明、いわゆる衛星の打ち上げを予告しました。弾道ミサイルの技術を使用したいかなる発射は、国連安保理の決議に正面から違反するものであり、地域及び世界の平和と安定を損なうものであります。北朝鮮が、国際社会の警告にもかかわらず、発射を敢行する場合、国際社会はこれに対し断固として対応すべきだと思います。

続きまして、岸田総理と李総理より冒頭発言を頂戴いたします。